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小話:吹く風は何処に その41

小話:吹く風は何処に その41

ガン太に、講演依頼の問い合わせが来るようになりました。

貴重な体験を、聞かせてほしい。

と、いう事なのです。

しかし、ガン太はそのような事はできません。

お断りをしています。

言葉遣いは大分よくなりましたが、まだ、長時間通して、大勢の前に立ち、説を話すなどは、

無理なことです。

まして、文章の作成などもした事がありません。

それでも、講演の依頼はあり、雑誌の掲載の許可とかが、

続きます。

稲田さんは、ガン太と相談をし、人間としての成長とか経験としてみれば、

良い面となるかもしれない。

と、して、講演用の原稿を作成してもらう事にしたのでした。

田中君が、了解をしてガン太の話を聞いて、数種類の原稿を用意しました。

講演の時間に応じた話の内容に整理し、予測される質問も、準備をしました。

講演には、田中君も同行するようにして、講演を引き受けるようにしたのです。



さて、今年の農作業も秋となり収穫も終盤へとなってきました。

稲田さんとこへ集まって、収穫祭をする事となりました。

同級生とかが、時折集まっているので、

日にちが決まれば、簡単です。

それぞれが定年になってから、集まる人数が増えてきました。

作業小屋においてある、ドラム缶のストーブを囲みます。

これは、それように作ったから、なお更のようです。

さて、収穫祭当日、準備もでき、人数も揃いました。

「やーー、みんな、お忙しいとこをお集まりいただきまして、ありがとう」

「乾杯は、山田君で行こう・・」

「え! そう、・・・それじゃコップを持ってください」

「イナさん作った新鮮な野菜とお酒を飲める幸せが、

ここにあります、かんぱーい」
吹く風は何処に 85
「かんぱーい」

稲田さんが言います。

「ええー皆さん、今年は実に変化のある年です。不思議と云えば不思議ですけど、

みなさん承知のガン太君が一緒にいると言う、不思議ですね」

「そうだね・・・信じられないよな」

「ガン太は、変わりました。以前のガン太ではありません、

一所懸命になりました、真剣になりました、それを感じるのです」

「そうか・・、そうか、良かったな」

「オレは、うれしよ・・、なあ」

「テレビに出たりしてな、聞いたけどよくまあ生き残ったものだな」

「奇跡だよな」

皆の話は、ガン太の事になるのでした。

【続く】


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プロフィール

大坊峠のツッチー

Author:大坊峠のツッチー
岩手県は北緯40°に位置する岩手町から地域の情報を発信します。山里で農業を営み、昭和26年生まれの人生と、方言による創作小話・童話を綴ります。尚、作品は著作権とし、無断使用はお断りします。

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