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花子の一人旅 10

花子は、神社の湧き水を飲み、心が静まり、

何かに吸い込まれるような気分になりました。

「この水は、体に沁みて行くようですね」

「ええ、この水は、薬水と言って、悪い病を治してくれるんですよ」

「あらまあ、うれしい」

「火実子様が、おいでになりました」

「カミコ様ですか・・・」

「ええ、この家の頭首でございます」

「頭首?」

「ようこそ、いらっしゃいました」
火実子様
「あぁ・・、花子ともうします、お邪魔しております」

「随分と遠くから来なさったようですね」

「ええ、ずっと前から、この地域には興味がありまして、

ようやく来ることが出来ました、嬉しいです」

「それはそれは、どんな所に興味があるんですか」

「大昔の古い時代から、続いている所だと聞きました、

それで何か残ってるんじゃないか思いましてね」

花子は、今まで旅した事などを話しました。

党首の火実子様は、気さくな方でした。

花子は、火実子様の事を考えました。

「カミコ様か・・・、北の国のカミコ、ここはキタカミの地・・北上だ。

もしかして、名前の由来に関係があるのだろうか」

【続く】

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花子の一人旅 9

出迎えた女の人は、花子を家の中え案内した。

中は広く、土間があり部屋が幾つかあった。

「ここで、お休みなってください」

花子は、背負っているカバンを降ろした。

「素晴らしいお家ですね、私こういうとこに住んでみたい」

「あらまあ、気に入りましたか、良かったです」

「私、花子と言います、歴史とか、古い建物とかを見て歩くのが

大好きなんです」

「そうでしたか、それはそれは、私はフジといいます、

ここで働かせてもらっています」

おフジさんか、ここで働いてるのか、いいな、私もしばらく置いてもらえないかな。
花子はお客
「お水をどうぞ」

「どうもすみません、いただきます」

「山の中を歩いたので、お疲れになったでしょう」

花子は、水を飲んだ。

「わーー、美味しい、こんに美味しい水は始めてだわ」

「これは、神社の湧き水ございます」

「先ほど、通った神社ですか」

「そうです」

【続く】

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花子の一人旅 8

花子が、古い大きなかやぶき屋根の家に近づくと、

中から、女の人が出てきました。

「いらっしゃいませ、ようこそおいでくださいました」

「あ! どうも初めまして、こんにちは」
女の人が
花子は、丁寧に挨拶されて、ドギマギしながら答えました。

「どうぞ、中へ入ってお休みください」

「あの、よろしいんですか」

「えーえーー、お気軽にどうぞどうぞ」

花子は、案内されて家の中へと入って行くのでした。

【続く】


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花子の一人旅 7

花子は、林を抜けて目の前にある、

建物を見て思わず声をだした。

「わーー・・・、何コレ!」
古い家発見
古民家である。

「かやぶきの家だ、こんなとこに、あったんだ」

花子は、感動した。

歴史好きで、あちこちを訪ねたりしてきたが、これは又一段と素晴らしい。

花子は、吸い込まれるように家の方に近づいて行くのでした。

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花子の一人旅 6

花子は、林の向こうに何かを発見した。

「よし、行ってみるか」

斜面を降りて行くと、平地となり建物が見えた。

家のようだ。
林内から
集落で見た、現代の家とは、違う感じがする。

何かしら懐かしいような気がしてきた。

花子は、林を出た。

目の前に現れた建物を見て、思わずアッと、声をあげた。

【続く】

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花子の一人旅 5

神社の祠に、あった石を見て、古代の人々がやはりここに住んでいたんだ。

花子は、そう確信した。

大勢の人々がいて、祭りごとをしたんだ。

この周囲に、何か跡があるに違いない。

そう思った花子は、林の中に入って行った。
林内
高い木が茂る中を歩くが、それらしきものを

探る、だがそれらしきものはない。

難しいものである。

ただ、林の中を巡ぐるだけだった。

「やれやれ、何もないか」

まあ、そう簡単に発見できる物ではない。

林内は静かである。

もしも、人々が住んでいたなら賑やかだろうな。

花子は、ぼんやりとそんな事を考えた。

「う!・・・・向こうに何かがある」

何だろう、花子は歩き出した。

【続く】

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花子の一人旅 4

花子が見た石、それは小さな物でした。

石には、穴が開いていたのです。

「これは、もしかして勾玉(まがたま)・・・」

沢山置いてあり、形も色も良くはない、

しかしながら、どれも穴が開いている。

「何故、ここにあるのだろう?」

花子は思いを巡らした。

縄文の人達が、ここで、祭りをやった。

ここは、権力のある人の居住地で女性の飾りに使ったものだ。
勾玉
ここは、石に穴を開ける、加工場だった。

いずれにせよ、古い時代から人々は此処で暮らしていたのは、

間違いない。

花子は、穴の開いた小さな石を、眺め手に取り、なでた。

どんな人を飾ったのであろうか。

耳に当てると、何かささやくような気がした。

【続く】

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花子の一人旅 3

花子は、鳥居にやってきました。

木でできた割と大きな鳥居ですが、大分朽ちてます。

奥に祠があります。
神社
石段を、ゆっくりと上がり周りを見ると、

横に、泉が湧いていました。

「なるほど、口をすすいでか」

花子は、泉の水を手ですくい、飲みました。

「あ~・・、おいしい・・生きかえるわ」

縄文人と云うか、古来の人々もこの泉の水を口にしたのだと思うと、

花子は体が震える思いをします。

反対側に、草木が茂っているが、平坦な所があった。

「もしかして、ここで祭りとかをしたのかもしれない」

何かと関連ずけて、空想の世界にはいります。

祠に入ると、誰か管理しているのだろう、賽銭箱があった。

花子は、鈴を鳴らし拝礼した。

祭壇の横を見ると、何やら小さな石がありました。

「あれ!・・・・これは、もしかして」

花子は、目をテンにしてその石を見つめます。

【続く】

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花子の一人旅 2

花子は、縄文時代から続いているという、村を訪ねた。

そこは、山間にある集落である。

細く狭い道をゆっくりと、家や木、畑、山などを見て歩く。
集落
かやぶき屋根などはない、至って普通の家が間隔を

おいて建っている。

二千年、あるいは四千年も延々と続いて来たのであれば

何かしら証しがあるはずだと、

立ち止まっては、眺めるんだが、それらしきものを発見する事は

できない。

人の姿は、いるようでいない。

かといって、家の庭に入って、玄関の戸を叩くのも、

恐れ入る。

こそっと、のぞくのが精一杯である。

ふと、見上げると、山の麓に鳥居が見えた。

「神社か・・、それはいい手がかりがあるかもしれない」

花子は、鳥居を目ざした。

【続く】

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花子の一人旅

花子は二十五歳、旅が好きである。

休みには、名所旧跡を訪ねて歩く。

時には遠出もする。
無歴史好きな女性
歴史のある建物とか、一時栄えたが今は消えた村の跡地とかを

じっくりと時間をかけて、見たり考えたりするのが好きである。

同年代の女性達とは、趣味が合わず一人で行動することが多い。

その方が、花子も気楽でいいと思っている。

今回は、縄文の時代から、ずっと続いていると伝えられている

村を訪ねた。

【続く】

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あなたにお金あげます 8

高山さんから、銀行の通帳と口座番号を聞いたタイガーマスクとやらは、

早速、入金行為をしました。

所が、銀行では、

「その通帳は、使われていません」

「そのような番号は、存在しません」

あるいは、無反応になりました。

「おかしいな、どうしたんだろう」

タイガーマスクは、高山さん宅に電話をしました。

「はい、もしもし高山です」

「もしもし、高山さんですか、奥様をお願いします」

「え!家内ですか、此処にはおりませんけど」

どうも、電話に出た声が違います。

「あの私、山川一郎と言います。高山さんの息子さんですか」

「はい、そうです。何かご用ですか」

「あ婆ちゃんをお願いします」
電話を置く


「お婆ちゃん?・・母ですか、母はこの春に亡くなりましたよ」

「え!・・亡くなった・・・じゃお爺ちゃんはおりますか」

「父は、昨年暮れに亡くなりました、この家には今は誰も住んでいませんよ」

「本当ですか、私、昨日お話をしたんですけど」

「さあ、それは分かりませんけど、この家は継ぐ者がいないので、

処分する事にしました、今日から撤去工事に入ります。この電話が最後になります、

お世話になりました」

電話は切れた。

【お終い】

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あなたにお金あげます 7

高山の奥様、タイガーマスクさんが電話越しに、お札を振る音に、

感激です。

「本当に、そのお金が通帳に入るんですね」

「勿論ですとも銀行名と口座番号を教えてくれれば、

すぐに入金できすますよ」

「まあ、そうしたら私・・・どうしましょう、素敵なお洋服きて、

街を歩きたいわ」

「えーーそうなさい、そうなさい、街中と言わずパリでもロンドンでも何処へでも

いけますよ」
お金をあげます7
「あらまぁ・・そんな事できるかしら」

「できますよ、奥様は美人ですから、何でも良く似合いますよ」

「本当・・・涙が、でてきちゃわ・・・、私ね・・ずっと我慢してきたのよ、

お金を使わずに貯める事ばっかり考えていたのよ」

「そうですか、そうですか、それは可愛そうでしたね、

でもこれからは違いますよ、貴方は輝きますよ」

「そうね、私の人生のご褒美よね、タイガーマスクさんありがとう、

私の持ってる通帳を全部教えるわ、いい」

「そりゃいいですとも、さあ教えてくださいね、明日からあなたは、

大金持ちの貴婦人ですよー・・・」

【続く】

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あなたにお金あげます 6

高山さんの奥様は、銀行の通帳を沢山持っていて、

どれがいいかなと、迷っていると、タイガーマスクさんから

預金の残高が沢山あるのに、してくださいと言われました。

「あら! そうなの・・・少ないのに入れて貰ったら助かるんじゃないの」

「いやいや、金額が多ければ多いほど気持ちが豊かになるでしょう」

「それはまあ、そうなんだけどね、この通帳がかかわいそうなのよ」

「まあまあ、そんな事気にせずに、沢山入ってるのにしましょう、美人の奥様」

「もう美人だなんて、いやね~・・」

「奥様、この音何だか分かります」

「あらまあ、なんでしょう」
お金を
「お札の束を振っている音ですよ、いい音でしょう」

「えーー、お札の音なの、まあ何と素晴らしい事・・」

「どうです、奥様、これが、通帳に入るのですよ」

「もう・・言葉がでないわ」

「でしょう・・、化粧品でも高級バックでも、なんでも手に入りますよ」

「そうね~そうなったらいいわね、まるで夢みたい」

【続く】

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あなたにお金あげます 5

タイガーマスクという人が電話で「お金をあげますから、

銀行の通帳と口座番号をおしえてください」と、

高山さんの奥さんに言います。

「銀行の通帳ですか、一寸待っててください、

今持ってきますから」

「はいはい、宜しくお願いしますよ・・・」

高山の奥様、通帳を広げます。
通帳沢山
「もしもし、私ね銀行の通帳を沢山持っているのよ、

どれがいいですかね」

「え!通帳を沢山お持ちなんですか」

「そうなのよ、私、銀行大好きなのよ」

「それは、ご立派な事です、それじゃですね、

沢山お金を預金している銀行を選んでくださいね」

「あら~・・そうなの」

【続く】

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Appendix

プロフィール

大坊峠のツッチー

Author:大坊峠のツッチー
岩手県は北緯40°に位置する岩手町から地域の情報を発信します。山里で農業を営み、昭和26年生まれの人生と、方言による創作小話・童話を綴ります。尚、作品は著作権とし、無断使用はお断りします。

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