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童話:ソリっこ遊びに行く
童話:ソリっこ遊びに行く
マサ男の住んでる所は、山の奥の又奥だった。
そこは山に囲まれて、たった一軒だけがポツンとあったんだってな。
冬になると、雪が降って辺り一面真っ白になってなや。
だ~れも、来る事はない。
静かでな、淋しい所だったな。
マサ男は、外へ出てソリで遊んでた。
家の前の坂を上って、ソリに乗って滑るんだ。
スーっと、下へ滑り降りる時に風が顔をなでるんだ。
気持いいんだな。
「ようし、もう一回」
てな。
何度も何度も滑っては上り、滑っては上りしてな。
ずーっと、一人で遊んでいたんだ。
【続く】
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マサ男の住んでる所は、山の奥の又奥だった。
そこは山に囲まれて、たった一軒だけがポツンとあったんだってな。
冬になると、雪が降って辺り一面真っ白になってなや。
だ~れも、来る事はない。
静かでな、淋しい所だったな。
マサ男は、外へ出てソリで遊んでた。
家の前の坂を上って、ソリに乗って滑るんだ。
スーっと、下へ滑り降りる時に風が顔をなでるんだ。
気持いいんだな。
「ようし、もう一回」
てな。
何度も何度も滑っては上り、滑っては上りしてな。
ずーっと、一人で遊んでいたんだ。
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童話:ソリッこ遊びに行く その2
童話:ソリっこ遊びに行く その2
山の家で一人ソリ遊びをするマサ男。
だども、どうも張り合いがないのだな。
「よいしょ、よいしょ」
「そりゃー・・」
と、大声を出さないと、さみしい。
マサ男は、
みんなと一緒のところで遊びたいなと思うのだった。
そうだ、行こう。
みんながいる所へ行こう。
マサ男は、山裾の向こうを見た。
あの山を越えると、みんながいるんだな。
マサ男は、歩きだしたのだった。
里までの道は遠いのである。
雪道だし、幼い子供の足では、到底無理である。
マサ男はソリを引っ張りながら歩いた。
少しづつ、一歩づつ歩いた。
雪の上には、わずかだが誰かが歩いた跡がついていた。
それを見ながらマサ男は歩いた。
「こっちへ、行けばいいんだ」
幾つものカーブを曲がり坂を上がり下がりしながら歩くのだった。
そして、家からは見えなくなった。
マサ男は、この道を何度か母におんぶされて通っていた。
この方向に行けば、みんながいるんだ。
みんなと一緒にソリっこ遊びが出来るんだ。
雪道には、小さな靴跡と、ソリの跡が残されていくのだった。
【続く】
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山の家で一人ソリ遊びをするマサ男。
だども、どうも張り合いがないのだな。
「よいしょ、よいしょ」
「そりゃー・・」
と、大声を出さないと、さみしい。
マサ男は、
みんなと一緒のところで遊びたいなと思うのだった。
そうだ、行こう。
みんながいる所へ行こう。
マサ男は、山裾の向こうを見た。
あの山を越えると、みんながいるんだな。
マサ男は、歩きだしたのだった。
里までの道は遠いのである。
雪道だし、幼い子供の足では、到底無理である。
マサ男はソリを引っ張りながら歩いた。
少しづつ、一歩づつ歩いた。
雪の上には、わずかだが誰かが歩いた跡がついていた。
それを見ながらマサ男は歩いた。
「こっちへ、行けばいいんだ」
幾つものカーブを曲がり坂を上がり下がりしながら歩くのだった。
そして、家からは見えなくなった。
マサ男は、この道を何度か母におんぶされて通っていた。
この方向に行けば、みんながいるんだ。
みんなと一緒にソリっこ遊びが出来るんだ。
雪道には、小さな靴跡と、ソリの跡が残されていくのだった。
【続く】
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童話:ソリっこ遊びに行く その3
童話:ソリっこ遊びに行く その3
マサ男は、里へ行く道を懸命になって歩いて行った。
雪道は歩きづらい、足が重くなる。
でも、みんなと一緒にソリで遊ぶんだ。
マサ男は、力いっぱい進むのだった。
「あれ、道が分かれている。どっちへいけばいいのだろう」
マサ男は立ち止った。
おかしいな、こんなところあったかなと、迷うのだった。
「うーん、どっちだったかな」
その時、パタッパタッと音がした。
「あー、ビックリした。何だ・・・何だ」
前を見ると、鳥が走って行くのが見えた。
キジだった。
「こら! まてーっ」
マサ男は、鳥のキジを追いかけたのだった。
キジは、飛ばないで走って山の方へ上がっていった。
「あ~あ、行っちゃった」
マサ男は、再び歩き始めた。
すると、何やら話声が聞こえてきた。
「おーい、お前は誰だ」
「何処へ行くんだ」
「ここへおいで、いいもんあげるから」
そこは、村の墓場だった。
「こっちへおいで、寒いだろう。温めてやるよ」
「いいソリっこだね、ここでも遊べるよ」
マサ男に色々話しかけるのだった。
【続く】
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マサ男は、里へ行く道を懸命になって歩いて行った。
雪道は歩きづらい、足が重くなる。
でも、みんなと一緒にソリで遊ぶんだ。
マサ男は、力いっぱい進むのだった。
「あれ、道が分かれている。どっちへいけばいいのだろう」
マサ男は立ち止った。
おかしいな、こんなところあったかなと、迷うのだった。
「うーん、どっちだったかな」
その時、パタッパタッと音がした。
「あー、ビックリした。何だ・・・何だ」
前を見ると、鳥が走って行くのが見えた。
キジだった。
「こら! まてーっ」
マサ男は、鳥のキジを追いかけたのだった。
キジは、飛ばないで走って山の方へ上がっていった。
「あ~あ、行っちゃった」
マサ男は、再び歩き始めた。
すると、何やら話声が聞こえてきた。
「おーい、お前は誰だ」
「何処へ行くんだ」
「ここへおいで、いいもんあげるから」
そこは、村の墓場だった。
「こっちへおいで、寒いだろう。温めてやるよ」
「いいソリっこだね、ここでも遊べるよ」
マサ男に色々話しかけるのだった。
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童話:ソリっこ遊びに行く その4
童話:ソリっこ遊びに行く その4
マサ男に色んな声が聞こえてきたのだった。
「ここで遊んで行きな」
辺りを見回しても誰もいない。
「おかしいな」
「ここに穴があるからさ、入っておいで」
マサ男は、何処から聞こえてくるのだろうと、
墓石の方へ近づくのだった。
と、その時、すーっと白い服をまとった婆さんが寄ってきた。
「マサ男か、良くここまで来たな」
「えっ、婆ちゃんはだれ!」
「私は、オメのヒィバーさ」
「ヒィ、婆ちゃん・・だって」
「ほれ、オレはな、オメのな、守護を任せられてんのさ」
「何だか、分かんないよ」
「いいんだ、いいんだ。この道を真っ直ぐ行くともうすぐ大きな道に出る、
あともう少しだからな、さあ行きな」
「うん、ありがとう」
マサ男は、歩きだした。
道は下りに入り、川があって橋を超えると大きな道路に出た。
「やったー、ついに来たぞ」
マサ男は、大きな声を出した。
あともう少しで、みんなが集まって遊んでる所へいける。
マサ男の足取りは軽くなった。
やがて、賑やかな声が聞こえてきた。
「おーっ、着いたぞ」
いるいる、みんなしてソリっこで遊んでる。
「おーい、オラもかててくれーっ」
マサ男は、走って行くのであった。
【続く】
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マサ男に色んな声が聞こえてきたのだった。
「ここで遊んで行きな」
辺りを見回しても誰もいない。
「おかしいな」
「ここに穴があるからさ、入っておいで」
マサ男は、何処から聞こえてくるのだろうと、
墓石の方へ近づくのだった。
と、その時、すーっと白い服をまとった婆さんが寄ってきた。
「マサ男か、良くここまで来たな」
「えっ、婆ちゃんはだれ!」
「私は、オメのヒィバーさ」
「ヒィ、婆ちゃん・・だって」
「ほれ、オレはな、オメのな、守護を任せられてんのさ」
「何だか、分かんないよ」
「いいんだ、いいんだ。この道を真っ直ぐ行くともうすぐ大きな道に出る、
あともう少しだからな、さあ行きな」
「うん、ありがとう」
マサ男は、歩きだした。
道は下りに入り、川があって橋を超えると大きな道路に出た。
「やったー、ついに来たぞ」
マサ男は、大きな声を出した。
あともう少しで、みんなが集まって遊んでる所へいける。
マサ男の足取りは軽くなった。
やがて、賑やかな声が聞こえてきた。
「おーっ、着いたぞ」
いるいる、みんなしてソリっこで遊んでる。
「おーい、オラもかててくれーっ」
マサ男は、走って行くのであった。
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童話:ソリっこ遊びに行く その5
童話:ソリっこ遊びに行く その5
山奥の家では、母ちゃんと妹のヒロ子がいた。
母ちゃんは、ストーブの横で縫物をして、
ヒロ子は、まだ小さくエンツコに入っていた。
「ありゃ、こんな時間か、マサ男はまだ外で遊んでんだかや」
母ちゃんは、何時もなら外へ出て行っても、すぐに家の中に帰ってきて、
ストーブあたるのに、おかしいなと時計を見上げる。
外からも何の音も聞こえないし、変だなと思い外へ出てみた。
あれ、マサ男の姿が見えないな。
何処へいるのだろう。
「マサ男ーっ、・・・マサ男ー」
と、叫んでみたが、返事はない。
静まりかえっている。
どうしたんだろ、ソリ遊びをしているはずなのに。
遊び場所を見ると、小さな足跡が下に降りていた。
足跡をたどって行くと、どうやら、歩いていったようだ。
もしかして、里の方へ行ったのか。
そりゃ大変だ、子供の足では途中で倒れてしまう。
母ちゃんは、気が気じゃなくなった。
早く見つけて、つれて帰らなくちゃ。
母ちゃんは足跡を夢中で追うのだった。
【続く】
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母ちゃんは、ストーブの横で縫物をして、
ヒロ子は、まだ小さくエンツコに入っていた。
「ありゃ、こんな時間か、マサ男はまだ外で遊んでんだかや」
母ちゃんは、何時もなら外へ出て行っても、すぐに家の中に帰ってきて、
ストーブあたるのに、おかしいなと時計を見上げる。
外からも何の音も聞こえないし、変だなと思い外へ出てみた。
あれ、マサ男の姿が見えないな。
何処へいるのだろう。
「マサ男ーっ、・・・マサ男ー」
と、叫んでみたが、返事はない。
静まりかえっている。
どうしたんだろ、ソリ遊びをしているはずなのに。
遊び場所を見ると、小さな足跡が下に降りていた。
足跡をたどって行くと、どうやら、歩いていったようだ。
もしかして、里の方へ行ったのか。
そりゃ大変だ、子供の足では途中で倒れてしまう。
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母ちゃんは足跡を夢中で追うのだった。
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