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方言小話：イタズラワラスの恋
方言小話：イタズラワラスの恋
オラ、ハナ婆ちゃんの所へ行ったのでがんすよ。
ハナ婆ちゃんは、７５歳になるけど、まだまだ気が確かでなや。
「婆ちゃんの思い出の話を聞きたいな」
「ほう・・、そうかい。ふだば聞かせちゃるすべか」
ハナ婆ちゃんは、語り始めるのだった。
【続く】
方言の小話をしますので、宜しくお付き合いをお願いします。
今回は、７０代半ばのハナ婆ちゃんが、語ります。
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オラ、ハナ婆ちゃんの所へ行ったのでがんすよ。
ハナ婆ちゃんは、７５歳になるけど、まだまだ気が確かでなや。
「婆ちゃんの思い出の話を聞きたいな」
「ほう・・、そうかい。ふだば聞かせちゃるすべか」
ハナ婆ちゃんは、語り始めるのだった。
【続く】
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方言小話：イタズラワラスの恋 その２
方言小話：イタズラワラスの恋 その２
ワタスの学校に行ってるの時の話でな。
それはそれはもう、悪さをする男ワラスでな。
教室でぁマンズはぁ、ズッとすてる事がねえでな。
立ってれば、いきなりドーンと押して、脅かす。
座ってれば、こっそり近づいてきて椅子を引っ張って転がす。
まんずスワすなくてなぁ、邪魔ばっかりするんだよ。
特になぁ、私のとこさ来てな。
「来るなー！ あっちさ行ってろー・・」
て、叫んでもな、来るんだったなぁ。
何時だったかな、
友達と遊んでたら、寄ってきてな、
いきなり、私の頭の髪を掴んで、持ち上げて結んだんだよ。
私ぁ、相撲取りみたいになって、皆から笑われたな。
ある時は、頭さ泥の土を塗られたこともあったな。
「そのワラスの名前は、タケ蔵よ」
【続く】
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ワタスの学校に行ってるの時の話でな。
それはそれはもう、悪さをする男ワラスでな。
教室でぁマンズはぁ、ズッとすてる事がねえでな。
立ってれば、いきなりドーンと押して、脅かす。
座ってれば、こっそり近づいてきて椅子を引っ張って転がす。
まんずスワすなくてなぁ、邪魔ばっかりするんだよ。
特になぁ、私のとこさ来てな。
「来るなー！ あっちさ行ってろー・・」
て、叫んでもな、来るんだったなぁ。
何時だったかな、
友達と遊んでたら、寄ってきてな、
いきなり、私の頭の髪を掴んで、持ち上げて結んだんだよ。
私ぁ、相撲取りみたいになって、皆から笑われたな。
ある時は、頭さ泥の土を塗られたこともあったな。
「そのワラスの名前は、タケ蔵よ」
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方言小話：イタズラワラスの恋 その３
方言小話：イタズラワラスの恋 その３
ある日の事だった。
タケ蔵の奥さんという人から電話があってなや。
私ぁ・・、びっくりしたよ。
何せなぁ、学校出てから５０年も過ぎてたからな。
埼玉に住んでたんだな。
「主人が亡くなりました」
てな。
私ぁ、何のことか分からなかったんだな。
タケ蔵の奥さんは、しゃべってけだぁよ。
【続く】
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ある日の事だった。
タケ蔵の奥さんという人から電話があってなや。
私ぁ・・、びっくりしたよ。
何せなぁ、学校出てから５０年も過ぎてたからな。
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「主人が亡くなりました」
てな。
私ぁ、何のことか分からなかったんだな。
タケ蔵の奥さんは、しゃべってけだぁよ。
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方言小話：イタズラワラスの恋 その４
方言小話：イタズラワラスの恋 その４
あのイタズラばっかりしてだタケ蔵は、
結婚して、埼玉で働いてたんだ。
タケ蔵の奥さんは、話してけだよ。
生前タケ蔵は、
「オラ、しっかりすねばなんね、
ふんでねば、花子に叱られる、花子と一緒になれな」
と、言ってたそうでがんしたって。
「ありゃ～・・まあ・・まあ、どでんしたよ」
私ぁ、思い出したよ。
タケ蔵のイタズラが、あまりにもひどいから、
先生に
「何じょにかすてけろ」
いぇ、喋ったのさ。
先生も、タケ蔵のイタズラには、手を焼いてたな。
「花ちゃん、我慢すてけろ、あれはヤケの愛情表現なんだよ」
て、言ってたな。
私ぁ、その事の意味がさっぱり分からなかった。
あれから６０年も経ったずもんな。
「ふーん、ふだったのか」
【続く】
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あのイタズラばっかりしてだタケ蔵は、
結婚して、埼玉で働いてたんだ。
タケ蔵の奥さんは、話してけだよ。
生前タケ蔵は、
「オラ、しっかりすねばなんね、
ふんでねば、花子に叱られる、花子と一緒になれな」
と、言ってたそうでがんしたって。
「ありゃ～・・まあ・・まあ、どでんしたよ」
私ぁ、思い出したよ。
タケ蔵のイタズラが、あまりにもひどいから、
先生に
「何じょにかすてけろ」
いぇ、喋ったのさ。
先生も、タケ蔵のイタズラには、手を焼いてたな。
「花ちゃん、我慢すてけろ、あれはヤケの愛情表現なんだよ」
て、言ってたな。
私ぁ、その事の意味がさっぱり分からなかった。
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方言小話：イタズラワラスの恋 その５
方言小話：イタズラワラスの恋 その５
学校を卒業して、６０年も経っていたが、タケ蔵の事はすぐに思い出した。
イタズラの過ぎる男だった。
そのタケ蔵が亡くなったと、奥さんから知らせがあった。
私の事を色々語ってたと・・。
私ぁ、同級生の梅ちゃんと埼玉さタケ蔵を拝みに行ったよ。
写真のタケ蔵は、いい男になってたなや。
たまげたなぁ。
奥様は、笑って話してけだ。
「うちのタケは、ずーっと、花子さんの事を思ってたんですよ」
てな。
私の嫁ぎ先の住所とか、町の広報誌に載った記事とかを、
大事に取っていたんだと。
【続く】
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イタズラの過ぎる男だった。
そのタケ蔵が亡くなったと、奥さんから知らせがあった。
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私ぁ、同級生の梅ちゃんと埼玉さタケ蔵を拝みに行ったよ。
写真のタケ蔵は、いい男になってたなや。
たまげたなぁ。
奥様は、笑って話してけだ。
「うちのタケは、ずーっと、花子さんの事を思ってたんですよ」
てな。
私の嫁ぎ先の住所とか、町の広報誌に載った記事とかを、
大事に取っていたんだと。
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