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夢の中 その1
台也文土 作
ここは小さなな田舎町、黒木は買い物をして、
帰る所だった。
誰かが、声をかけた。
「黒木君・・・、黒木君」
確かに俺の名を呼んでいる。
椅子に座っている、男か?
手を振っている。
誰だろう、見たことないな。
「黒木君・・、オレだよ。山崎だよ」
え!山崎・・・・?
山崎は、小学校の時の同級生だったが、あういう顔をではなかったな。
「黒木君、久しぶりだね、元気そうで何よりだ」
「あの・・・もし、私は黒木と云いますが、人違いではありませんか」
「いや~・・、何言ってんだい、山崎だよ、一緒に川で泳いだりしたじゃないか」
川で遊んだ? 同級の山崎とは良く一緒に遊んでいたな。
「ほれ、学校の裏の北上川で、丸太でイカダを作って漂流ごっこしたじゃない」
「確かに、そんなこともしたけど、私が覚えている、山崎君とは違うんだけど」
「・・・・、驚かして、すまない。実はオレ顔を整形したんだ」
「え!・・顔を整形した?」
【続く】
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ここは小さなな田舎町、黒木は買い物をして、
帰る所だった。
誰かが、声をかけた。
「黒木君・・・、黒木君」
確かに俺の名を呼んでいる。
椅子に座っている、男か?
手を振っている。
誰だろう、見たことないな。
「黒木君・・、オレだよ。山崎だよ」
え!山崎・・・・?
山崎は、小学校の時の同級生だったが、あういう顔をではなかったな。
「黒木君、久しぶりだね、元気そうで何よりだ」
「あの・・・もし、私は黒木と云いますが、人違いではありませんか」
「いや~・・、何言ってんだい、山崎だよ、一緒に川で泳いだりしたじゃないか」
川で遊んだ? 同級の山崎とは良く一緒に遊んでいたな。
「ほれ、学校の裏の北上川で、丸太でイカダを作って漂流ごっこしたじゃない」
「確かに、そんなこともしたけど、私が覚えている、山崎君とは違うんだけど」
「・・・・、驚かして、すまない。実はオレ顔を整形したんだ」
「え!・・顔を整形した?」
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夢の中 その2
台也文土 作
顔を整形したという山崎をまじまじと見る黒木ですが、
どうも、信じられません。
しかしながら、北上川でのイカダ遊びは一緒にやった。
黒木は、山崎との思い出を探り出した。
和子ちゃんに、誕生日プレゼントで、カエルをやった事を思い出した。
「あのさ・・・、クラスの女の子に、カエルをやった事があったよな」
「ああ、誕生日プレゼントだよ、おめでとうってね」
「それで、そのカエルが、ノートにションベン漏らしてさ、
エラク怒っちゃったよな、誰よ!こんないたずらするのって、
俺と二人、思いっきり殴られたよな、あの娘誰だっけ」
「ああ、よく覚えてるよ、和子ちゃんだったな」
山崎のいう事は、合っている。
やはり、目の前に居るのは同級生の山崎である。
「そうか、やはり山崎君か疑って失礼したね」
「いやいいんだ、当然だ。こっちがびっくりさせたんだから」
「じゃ、久しぶりだから、仲間を集めて一杯やろうか」
「いや、それは止めてくれ。この事は、皆には言わないでくれ」
山崎は、他のクラスメートとかに会うのは嫌がるのでした。
【続く】
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顔を整形したという山崎をまじまじと見る黒木ですが、
どうも、信じられません。
しかしながら、北上川でのイカダ遊びは一緒にやった。
黒木は、山崎との思い出を探り出した。
和子ちゃんに、誕生日プレゼントで、カエルをやった事を思い出した。
「あのさ・・・、クラスの女の子に、カエルをやった事があったよな」
「ああ、誕生日プレゼントだよ、おめでとうってね」
「それで、そのカエルが、ノートにションベン漏らしてさ、
エラク怒っちゃったよな、誰よ!こんないたずらするのって、
俺と二人、思いっきり殴られたよな、あの娘誰だっけ」
「ああ、よく覚えてるよ、和子ちゃんだったな」
山崎のいう事は、合っている。
やはり、目の前に居るのは同級生の山崎である。
「そうか、やはり山崎君か疑って失礼したね」
「いやいいんだ、当然だ。こっちがびっくりさせたんだから」
「じゃ、久しぶりだから、仲間を集めて一杯やろうか」
「いや、それは止めてくれ。この事は、皆には言わないでくれ」
山崎は、他のクラスメートとかに会うのは嫌がるのでした。
【続く】
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夢の中 その3
出会った見知らぬ男が、同級生の山崎と、理解した黒木でした。
少しづつ、ざっくばらんに話をするものの、何故か違和感があります。
何故整形したのだろうか。
そこの所が、気になるのだが聞けない。
もやもやしながらも、会話をしていると、
山崎が言います。
「俺の名は、アンソニー岡崎だ、他にも何種類か名を持っている」
「アンソニー岡崎!」
「ああ、そう覚えてくれ、電話番号を教えて置こう」
黒木は、アンソニー岡崎の電話番号を登録した。
「外国人みたいだね」
「ああ、南米日系二世になっているんだ」
「日系二世!」
驚かされる。名前もそうだが、日系の二世とは、一体山崎は、
何をやってんだ。
「ところで、自分を変えようとか、人生をやり直したいとか思っている人は
いないかな」
「人生をやり直す?」
「ああ、やり直すというかやり直した方がいいと思うような人だね」
人生をやり直した方が、いいか。
そうだ、山川の息子は40歳になるが、引きこもって困っていたな。
能力はあるんだけど、何故か無気力状態になってんだな。
黒木は、アンソニー岡崎に、山川の息子について話すと、
「いい年齢だね、山川に連絡を取ってくれ、交渉は直接私がする。
本人に会ってもいいとなったら、連絡を頼む」
アンソニー岡崎は、くれぐれも山崎の名は出さないよう念を入れて、
去って行った。
【続く】
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少しづつ、ざっくばらんに話をするものの、何故か違和感があります。
何故整形したのだろうか。
そこの所が、気になるのだが聞けない。
もやもやしながらも、会話をしていると、
山崎が言います。
「俺の名は、アンソニー岡崎だ、他にも何種類か名を持っている」
「アンソニー岡崎!」
「ああ、そう覚えてくれ、電話番号を教えて置こう」
黒木は、アンソニー岡崎の電話番号を登録した。
「外国人みたいだね」
「ああ、南米日系二世になっているんだ」
「日系二世!」
驚かされる。名前もそうだが、日系の二世とは、一体山崎は、
何をやってんだ。
「ところで、自分を変えようとか、人生をやり直したいとか思っている人は
いないかな」
「人生をやり直す?」
「ああ、やり直すというかやり直した方がいいと思うような人だね」
人生をやり直した方が、いいか。
そうだ、山川の息子は40歳になるが、引きこもって困っていたな。
能力はあるんだけど、何故か無気力状態になってんだな。
黒木は、アンソニー岡崎に、山川の息子について話すと、
「いい年齢だね、山川に連絡を取ってくれ、交渉は直接私がする。
本人に会ってもいいとなったら、連絡を頼む」
アンソニー岡崎は、くれぐれも山崎の名は出さないよう念を入れて、
去って行った。
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夢の中 その4
台也文土 作
アンソニー岡崎の事を考える、黒木でした。
アンソニー岡崎こと、山崎は成功して会社経営をしているはずで、
それなりの財を築いた。
一族をも、この町から移住させて面倒をみている。
仲間うちでは、有名な話である。
何も人生を変える必要はないでないか。
どうも、分からない。
黒木は、山川に連絡を取り、会った。
「どう、将司君は・・・」
「うんまあ、相変わらずだな」
「そうか、たまには外へ出たりするかい」
「ふらっと、パチンコに行ったりしているようだけど、家の事は
一切やらんね」
「そうか・・・」
「腹も立つけど、喧嘩すると負けるしな」
「実はな、アンソニー岡崎とかいう人に会ってな」
山川に、整形して人生を変える、人生をやり直す事ができるという事を話した。
「将司君、どうかな」
山川は、戸惑ったようだが、このままでどうにもならない、
ならば、それにかけてみようかと思った。
「分かった・・、息子に話してみるよ」
「そうか、将司君が、納得し人生をやり直す決心がついたら、連絡してくれ」
数日して、山川から息子がやってみる、了解したとの連絡があった。
黒木は、アンソニー岡崎に伝えた。
【続く】
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アンソニー岡崎の事を考える、黒木でした。
アンソニー岡崎こと、山崎は成功して会社経営をしているはずで、
それなりの財を築いた。
一族をも、この町から移住させて面倒をみている。
仲間うちでは、有名な話である。
何も人生を変える必要はないでないか。
どうも、分からない。
黒木は、山川に連絡を取り、会った。
「どう、将司君は・・・」
「うんまあ、相変わらずだな」
「そうか、たまには外へ出たりするかい」
「ふらっと、パチンコに行ったりしているようだけど、家の事は
一切やらんね」
「そうか・・・」
「腹も立つけど、喧嘩すると負けるしな」
「実はな、アンソニー岡崎とかいう人に会ってな」
山川に、整形して人生を変える、人生をやり直す事ができるという事を話した。
「将司君、どうかな」
山川は、戸惑ったようだが、このままでどうにもならない、
ならば、それにかけてみようかと思った。
「分かった・・、息子に話してみるよ」
「そうか、将司君が、納得し人生をやり直す決心がついたら、連絡してくれ」
数日して、山川から息子がやってみる、了解したとの連絡があった。
黒木は、アンソニー岡崎に伝えた。
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夢の中 その5
台也文土 作
数年たって、黒木は63歳になりました。
町で用を足し、ベンチに腰掛けていました。
すると、女性が近づいて来ました。
ニコニコと、笑顔をみせています。
誰だっけ、知ってる人かな、目と目が合いました。
30代位か、えーと、思いつかないな。
「こんにちは、お元気そうですね」
女性が話しかけてきました。しかし、まだ思い出せません。
「ええ・・何とか」
「ちょっと、ここに座っていいかしら」
「ここに、ここせまいですけど」
「あら、そんなことないわよ、ぴったしよ」
「えっ・・・座る? じゃ僕、立ちます」
「あらまあ、いいじゃない、私構わないわよ」
いくら何でも、若い女性と、こんな狭いベンチに初老のオレが、
座ってたら、目立つよな。
それにしても、強引だな。
「少しお時間、いいかしら」
「いや、私は忙しいから・・」
「あらまあ、私もね忙しいのよ、いいじゃない」
黒木は、考えた。
若い時の二十歳代には、友達と街を歩き女の子と会うと口笛を
吹いたり、手を振ったり
「コーヒーでも飲まねえか」
などと、大声を出して誘ったりしたものだ。
まあ、一人ではできなかったけど。
それが今、この年で、女の方から声をかけてくる。
こんな初老の俺に、惚れる女がいるんだ。
顔もスタイルも良さそうだしな、
少し、うぬぼれた考えになったのでした。
「じゃ、何処かでコーヒーでも飲もうか」
「あら、うれしい・・行こう行こう」
【続く】
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数年たって、黒木は63歳になりました。
町で用を足し、ベンチに腰掛けていました。
すると、女性が近づいて来ました。
ニコニコと、笑顔をみせています。
誰だっけ、知ってる人かな、目と目が合いました。
30代位か、えーと、思いつかないな。
「こんにちは、お元気そうですね」
女性が話しかけてきました。しかし、まだ思い出せません。
「ええ・・何とか」
「ちょっと、ここに座っていいかしら」
「ここに、ここせまいですけど」
「あら、そんなことないわよ、ぴったしよ」
「えっ・・・座る? じゃ僕、立ちます」
「あらまあ、いいじゃない、私構わないわよ」
いくら何でも、若い女性と、こんな狭いベンチに初老のオレが、
座ってたら、目立つよな。
それにしても、強引だな。
「少しお時間、いいかしら」
「いや、私は忙しいから・・」
「あらまあ、私もね忙しいのよ、いいじゃない」
黒木は、考えた。
若い時の二十歳代には、友達と街を歩き女の子と会うと口笛を
吹いたり、手を振ったり
「コーヒーでも飲まねえか」
などと、大声を出して誘ったりしたものだ。
まあ、一人ではできなかったけど。
それが今、この年で、女の方から声をかけてくる。
こんな初老の俺に、惚れる女がいるんだ。
顔もスタイルも良さそうだしな、
少し、うぬぼれた考えになったのでした。
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