ジョイントモデルの各パーツはムク成型されており、それをジョイントパーツでつなぎ合わせて組み立てます。
ジョイントパーツは時期により3種あります。画像上から初期型ハトメジョイント、改良型ハトメジョイント、ボールジョイント。
ハトメジョイントの軸部分には溝が掘られていて、これをパーツ側の凸モールドに合わせて差し込みます。そのため横方向への回転はできません。
初期のハトメジョイントは抜き差しがきつい場合があったためか、軸にギザが付いた形に改良されました。
ボールジョイントは76年度商品から採用されます。形状通り自在に動き、可動範囲が大きく向上しました。
組み上げたゲッタードラゴン。肩や首にはジョイントが使用されていないので、現在の視点で見ればポーズ付けの範囲はかなり制限されています。
このジョイントモデルのどこが画期的だったのか、75年当時のキャラクター玩具の状況から考えてみます。
このころロボットプラモデルの主力は、①のようなモーター歩行商品でした。これは1960(昭和35)年に今井科学が発売した「鉄人28号」の機構を受け継いでおり、棒立ち状態での疑似歩行が特徴です。75年当時としても、形状・ギミックともにやや古さを感じさせるものでした。画像は雑誌広告に掲載された塗装済み完成品ですが、キット状態は濃い水色と赤の2色成型です。
②は標準サイズのソフトビニール人形です。怪獣の商品化には最適な形態ですが、ロボットヒーローとの相性は微妙なようです。色彩はよくイメージを再現していますが、形状・可動はいまひとつです。
③のジャンボマシンダーは、スマートで文句なくかっこいい形状です。色もかなり劇中イメージに近い。ただし「大きさ」そのものが売りの商品で、可動はソフト人形と同程度です。
④は変身サイボーグ・変身セット(画像はゲッター1。ドラゴンは発売されていません)。可動性能は素晴らしいのですが、そのためにロボットらしい形状は犠牲になっています。
そして当時の大ヒット商品、超合金です。金属を使用した本物の質感、パンチなどの発射ギミック、ある程度の関節可動まで備えており、ロボット玩具の頂点のひとつです。
ジョイントモデルと比較すると、形状は合金玩具としてかなりアレンジされているのがわかります。色彩の再現度は同じくらいでしょうか。
ポーズをつけると両者の違いがよりはっきりします。
当時の児童にとって超合金は憧れでしたが、なかなか買ってもらえない物でもありました。
ジョイントモデルの価格は500~600円で、少しがんばってお小遣いを貯めれば手の届く範囲です。
「本物そっくりで自由に動かせるロボットプラモがお小遣いで手に入る」のは、子どもにとって魅力的でした。
以上のような当時の状況を踏まえると、ギミックを捨てて形状と可動のみに特化したジョイントモデルが画期的な存在とされる意味が見えてくるように思います。
ではバンダイ模型はなぜ75年当時そのような商品を発売するに至ったのでしょうか。この点はまたあらためて取り上げてみたいと考えています。
ジョイントモデルは77年で終了しますが、80年から展開された「ベストメカコレクション」シリーズが「設定通りの形状」「各関節可動」という要素を受け継ぎます。
このシリーズから「ガンプラ」が生まれ、その人気と相乗してプラモデルの技術革新が進みました。
ジョイントモデルの「接着剤不要の組立」「ある程度色分け済み」という要素も、90年発売の「1/144HGガンダム」くらいから「スナップフィット」「イロプラ」というかたちでより完璧に実現されています。
次回からは個々のジョイントモデルを紹介していきます。
追記:画像②のソフト人形は後頭部の角が一本欠損しています。
画像③のジャンボマシンダーはSHOGUN WARRIORS版。各部のステッカーは自作したものです。
初めましてヾ(≧▽≦)ノ興味あるブログだったんでコメントのこさせてもらいました。また遊びにきま~す(*≧m≦*)
ご来訪ありがとうございました。
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