◇ 歴史的な転換期に突入? = 世界的な自動車販売の不振は、各国経済の鈍化が主たる原因だ。加えて国ごとに、固有の問題点も指摘されている。たとえばインドの金融不安によるローンの貸し渋り、中国の過剰になった個人の債務など。だが、それだけではなく現在の自動車業界は、歴史的にみて大きな転換点にさしかかったという見方も強まっている。
たとえば急速に発展してきたEV(電気自動車)化の問題。11年ごろから急増しており、18年には世界で140万台近くが売れた。ガソリン・エンジンに比べると電気モーターの構造は圧倒的に簡単で、異業種が新規に参入しやすい。それだけ競争は激しくなる。従来からの自動車メーカーは、むしろ不得手なバッテリーの分野で競わなければならない。
さらに自動運転の問題。技術開発は進んだが、完璧な安全性はまだ望めない。もし事故が起きると、メーカーの賠償責任はどうなるのか。事故を起こした車種の売れ行きは、致命的に減少してしまうだろう。ほかにもガソリン車についての排ガス規制。また車を保有しないシェアリングの普及。若者の車離れ・・・業界にとっては大問題が山積している。
T型フォードが発売されてから110年あまり。自動車産業は、多くの国にとって経済を支える主柱となった。メーカーだけでなく、部品や販売など関連産業も幅広い。その自動車業界がいま販売不振に悩んでいるが、これが一時的な現象なのか。それとも大変動が起こる前触れなのか。転換期に突入した可能性の方が強いと思う。
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