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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

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2014.02
03
CM:2
TB:0
17:40
Category : ナショナリズム
 南氷洋での調査捕鯨は、百害あって一利もないのではないか。

 自分たちの地先で外国漁船が乱獲をすれば、その国民は怒る。その漁船が合法的に操業していても同じである。

 実際に日本人は、中国漁船の乱獲に怒っている。産経の「東シナ海食い尽くす『虎』 中国、日本狙い横取り『泣き寝入りしかない』」はその好例である。中国漁船による操業も、漁獲法も合法である。しかし、日本人は自分たちの地先で勝手をやられていると義憤に駆られている。

 南氷洋での調査捕鯨も同じではないか。オーストラリアやニュージーランドは、自分たちの地先にある南氷洋はショバだと思っている。そこで日本人が、よりによって自分たちが大事に思っているクジラを捕ったら、当然激怒するだろう。

 その激怒に「日本は合法的に捕鯨をしている」とか「科学的にクジラは余っている」というのは、妥当ではない。火に油を注ぐようなものだ。

 シー・シェパードは、オーストラリアとニュージランド国民からすれば、正義の味方である。そのシー・シェパードと殊更に対立を煽るのも、日本にとっては必ずしも得にはならない。

 アレ政権は、結局は内向きである。自国民受けしか考えていないので「シー・シェパードの妨害 菅長官『断じて許されるべきではない』」と大見得を切っている。しかし、これは価値観外交やら自由主義諸国との同盟といった、政権の看板方針と矛盾する。アレ政権は対中包囲網を企画した「安全保障のダイヤモンド」とやらでは、オーストラリアとの同盟強化を謳っている。

 しかし、シー・シェパードへの非難や、その背後にある調査捕鯨の推進は、そのオーストラリアを刺激するものである。なるほど、シー・シェパードが行う妨害活動は、海洋法の精神に合致しない。しかし、オーストラリア・ニュージーランド国民からみれば、立派な抵抗活動である。その親方に虚言癖があろうが、顕示欲の塊だろうが、そんなことはオーストラリア、ニュージーランド国民からすれば大した問題ではない。

 さて、調査捕鯨の継続と、オーストラリア国民との対立と、どちらか大事だろうか。

 調査捕鯨は、なんの役にも立っていない。損得で考えれば、損しかない。日本が調査捕鯨をしている理由は、西欧的価値観による捕鯨中止圧力への反発だけで行っているものだ。※※※ しかし、本格捕鯨につながる見込みは少なく、捕鯨そのものが経済的にも成り立つ見込みもない。鯨肉は全く売れていないのである。

 対して、オーストラリアとの関係深化は日本にとって重要である。オーストラリアは、重要な食料や鉱物資源の供給地である。オーストラリアほど安価な穀物や石炭を買える国はない。安全保障でも重視すべき相手である。日本が行っている中国とのゲームでも、空気を読まずに中国に敵対してくれるような都合の良い国はオーストラリアしかない。アジアで外交オンチのオーストラリアは、日本にとって都合の良い重要な同盟国である。

 仮に調査捕鯨を続けるにしても、やるなら日本近海、太平洋側に限定すべきである。日本沿岸部や小笠原で捕鯨をする分には、オーストラシアやニュージーランドもそれほどカッカしない。

 日本近海であれば、シー・シェパードを苛めることも容易である。シー・シェパードの嫌がらせに対して、日本はそれに倍する嫌がらせを行える。海保や水産庁、税関や港湾当局、海自、入管といった組織を活用して、嫌がらせを行えば、日本人の溜飲も下がる。別に民間有志で漁船を仕立てて、進路上で操業してやるといった方法もあるだろう。



※ 「東シナ海食い尽くす『虎』 中国、日本狙い横取り『泣き寝入りしかない』」『Sankei.biz』(産経新聞社,2013.8.12)http://www.sankeibiz.jp/macro/news/130812/mca1308120801001-n1.htm

※※ 「シー・シェパードの妨害 菅長官『断じて許されるべきではない』」『産経ニュース』(産経新聞,2014.2.3)http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140203/plc14020312490011-n1.htm
 まあ、アレ総理の秘書長である官房長官だから、ネトウヨ受けする発言をするのは仕方ないことかね。あるいはこれが本人の本心なら、菅義偉さんもその程度なんだろうけど。なんつーか、菅義偉さんと下村博文さんは宰相並みに飛び抜けていると思うよ。

※※※ 水産庁も、庁益のためにナショナリズムに乗っかっている部分が大きいと思うねえ。捕鯨やらマグロやらの国際会議で、強硬発言して対立してことばっかやっている。でも、マグロなんかそうだけど、業界団体の利益があるだけで、肝心の資源管理そのものには相当無頓着に見える。捕鯨推進するパワーがあればニホンウナギの禁漁やら漁獲制限に突っこめと思うがね。

Comment

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たいして食べられていない鯨よりは、ウナギを守ってくれとは、言いたくはなりますね。

グリーンピース「我々は日本の鯨肉の食文化に反対しているわけではありません。伝統的な捕鯨(先住民生存捕鯨)については、国際社会の合意と監視を前提に反対していません!」

だそうです。

http://www.greenpeace.org/japan/Global/japan/code/whale/index.html

「南極海での鯨肉の捕獲を目的とした捕鯨は、戦後マッカーサーにより開始された事業です。戦後一時期給食で供給された鯨肉はこの事業によるものであり、日本の伝統的な捕鯨とは異なるものです」って一文には思わず笑ってしまいました。日本国憲法や日米地位協定同様、GHQによる押し付けかよ!「見っともない」(byアレ総理)

また、「歴史群像No.146(2017年12月号)」で「オーストラリアの第二次大戦」って記事がありましたが(著者は山崎雅弘さんだったかな?)、「オーストラリアが日本の調査捕鯨に反対なのは、第二次世界大戦中に日本軍に受けた空襲の記憶がよみがえるから」って記述があり、なるほどと思いましたわ。

アレ総理率いる日本政府はオーストラリアと事実上の同盟関係を結んで中国の軍事的台頭に対抗したいようですが、だったら、日豪の友好関係に水を差す南氷洋での調査捕鯨なんか止めてしまえばいい。

で、江戸時代の鯨組やアイヌの漁民と同様の伝統的漁法により日本近海で細々とやればいい。そうすればグリーンピースなど環境保護団体の大半は非難をやめるでしょう(シーシェパードみたいな過激な連中はしつこく邪魔しそうですがw)。