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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

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2013.10
21
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12:00
Category : 未分類
 防衛省にとって自前の官舎は既得権なので、必死に守ろうとする。他所の役所は、なんだかんだで財務省が管轄する合同宿舎が大きな部分を占めている。だが、防衛が使う官舎は全て自前(旧防衛施設庁は、一部合同宿舎に入れた)であり膨大な戸数を占めている。だから必死になる。

 防衛省には、官舎を専門にする部署があるので、そこが抵抗する。厚生がそれにあたる。防衛が持っている官舎は、国設宿舎と特借宿舎の二つがあるが、どちらも厚生が握っている。特借宿舎については、防衛省とは別人格の防衛省共済組合が担当しているが、似たようなものだ。

 防衛の厚生にとって、宿舎規模が小さくなる施策は、役所の論理として困る。まず、官舎で食っている役人、事務官技官や自衛官、共済組合の仕事が減る。安いしか取り柄のない官舎は、今回の財務の指示で値上げすると持たなくなる。今でも入居率が低い官舎があり、その維持を説明するのに苦心するのだが、それが全国的となると今のような大規模な整備は難しくなる。

 だから、防衛上の必要性を作ってゴネている。「公務員宿舎の家賃 防衛省が据え置き求める」※がそれだ。怪しいことこの上ない。

 防衛は「現在の家賃に住宅手当を上乗せした水準で転居できる地域を分析したところ駐屯地や基地まで、歩いて3時間以上かかる人がおよそ4割になると見込まれ」ると言っているが、今との比較がない。だいたい、田舎の航空基地でも、歩いて3時間以上かかるところに住んでいる隊員は2割はザラに居る。現地採用の人間は、地縁血縁のある地元に済む。自宅を買う人間も、交通不便な自衛隊基地の近くには家は買わない。大抵は交通便利なところに買う。いまでも歩いて3時間かかる人間が2割いる、それが3割になる程度の話だ。

 そもそもの「現在の家賃に住宅手当を上乗せした水準で転居できる地域を分析したところ」も怪しい。同じ価格帯に転居する前提であるが、実際には官舎から出るなら、多少高くとも便利なところに住む。仮に防衛の和光宿舎から出て行くとしても、借家で川越市以北に行くような、都落ちする奴はいない。和光官舎3万円から出て行くとしても、2万7000円の手当を足して5万7000円の家には住まない。一人暮らしや夫婦暮らしなら、多少狭くても和光市内に留まるか、むしろ都心よりに移る。子供がいるにしもて、朝霞や志木あたりの離れたところで済ます。

「家賃収入が年間17億円減る一方、住宅手当や交通費などで、新たに支出が89億円増える」も、相当に影響を大げさにした調査結果だろう。防衛省だけに限らないが、役所が政策に絡む調査というものはそんなものだ。静岡空港や茨城空港の利用者予測のようなものと眉に唾つけてみるのがいい。

 なににしても、防衛省の都合にすぎないということだ。

 官舎の問題では、防衛だけを特別扱いにする必要もない。自衛官の給与水準は、一般の国家公務員よりも高めに設定されている。給与水準の低い一般公務員の官舎代を上げて、防衛だけを据え置くのはおかしな話である。また、国家公務員の人数の過半数は自衛官である。民間より安すぎるとういった官舎問題で、対象の過半数を残すのは片手落ちもすぎる。防衛もお構いなしに官舎代を上げれば良い。



※  「公務員宿舎の家賃 防衛省が据え置き求める」『NHK NEWS WEB』(NHK,2013.10.20)http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131020/k10015409351000.html

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