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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

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2011.08
27
CM:0
TB:0
12:59
Category : ナショナリズム
 岩波ホールで映画『おじいさんと草原の小学校』(BBC)観てきたのですが、これがなかなか面白いものでした。前にケニアで「84歳の小学生」が話題になりました。その映画化です。
 何が面白いといって、イメージされる「感動ドラマ」とは全然別のベクトルにあるところです。実際は民族創世神話ですね。




 「字が読めるようになりたい」と小学校に入学した、主人公マルゲじいさん。この人、リアルで元マウマウ団で独立の闘士です。

 妻と子供を目の前で英帝に殺される。10年間収容所に入れられる。体中は拷問のあと。背中には鞭の傷、頭蓋骨にはヒビが入っている。歩くのが不自由なのは、つま先を切り落とされたから、という凄まじさ。

 マウゲ爺さん「良い生徒になるから」なんて言って、首尾よく小学校に入るのだけれども。許可した校長先生に、村人や役人から容赦無い圧力が掛かる。老人のために子供向けの予算を使うなとか、そういう話になる。
 しかし、そこでマウゲは民族対立の意識をむき出しにする。「あの役人、イギリスの手先になった部族だ」とね。
 しかし、教師や児童との交流の中で、マルゲは同じケニア人であるという意識が芽生えるのです。ケニア民族創世の物語になっているわけです。

 クライマックスでは、読み書きを教えてくれた先生と、一緒に勉強した児童を救うために立ち上がり…って話。良い生徒は、良い国民になったわけです。おそらく周囲もケニア国民としての団結があがったような結末ですね。

 うん、イギリス帝国主義をキチンと描いたBBCは立派だと思いますよ。
 絵もいいです。よく見ると画像処理してますけど、アフリカって感じが良い。
 あと、女校長先生のナオミ・ハリスは、あれは戦うタイプの大石先生なんでしょうねえ。

 『おじいさんと草原の小学校』は、一応、実話とされていますが「どこまでが実話か」となると、ちょっと膨らませた部分もあるでしょうね。いい映画になるのなら、悪いことでもないのですけど。
 でも、どうせなら、マウゲ爺さんと、あの少年の部族に潜在している敵対関係をもっと煽ったほうが更に面白くなるでしょうねえ。ケニア的にはあまりよろしくない展開でしょうけけど。

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