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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

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2011.03
13
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18:44
Category : エネルギー
 2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震では、原子力発電所も被害を受けた。12日には福島県の原発から放射性物質、つまり放射能が漏洩し、周辺では低レベルながらも被曝された方が発生した。

 原発そのものの構造は地震に耐えた。破損したのは補機であり、その後の適切な操作によって破滅的な事態は避けられる見通しである。なにより現場では関係者が必死で頑張っており。危険な状況での活動には、頭がさがる思いである。

 しかし、原発への信頼は下がった。地震により原発は被害をうけ、放射線漏れにはとどまらず、放射能漏れに至ったことは事実である。従来の原発推進論では「地震があっても大丈夫」と保証していたが、その保証が崩れたことになる。実際の危険性はそれほどではないにせよ、今回の地震で放射能漏れを起こした以上、「同じような大地震が起きたら…」に対して「安全である」とは言い切れなくなった。

 今後、原発は今回以上の地震にも耐えなければならなくなった。現にマグニチュード9.0の地震が発生したのである。今後、原発はヨリ大きな地震に耐えなければならない。設計基準はマグニチュード9.0以上となる。津波対策を施すことも要求される。補機類についてもヨリ頑丈に、冗長性をもって整備しなければならない。非常用予備品の備蓄も大掛かりにしなければならない。原発要員数増員や要員水準も上がる。なによりも、不安や危険性の対価である周辺対策費が跳ね上がる。

 原子力発電はコストアップする。新設にせよ、既存にせよ、原子力発電所は今まで以上に丈夫につくらなければならない。非常時に備えた準備や周辺対策費も厚くしなければならない。これらの対策を実施しても、発電量は増加しない。原子力発電で生まれる電力は当然高くなる。

 原子力発電は高コストに耐えられるのか。まず、原子力発電のコストアップは避けられない。原油価格次第でもあるが、経済性で割があうかどうかの議論も出てくる。 経済性の観点だけでも、原子力発電所の新設には不利に働く。原子力発電のコストについては、いろいろな試算があるが、原発を推進する立場での試算であってもLNGや石炭を使用した火力発電と同等である。今後のコストアップを加味すると、経済性から原子力が選択される可能性は少なくなるのである。

 化石燃料からの転換先は変化する。原発建設の理由である化石燃料への依存減少にしても、原発のコストがある程度上がれば、割高であるグリーン発電、再生可能エネルギーの選択も真面目に考慮されるようになる。グリーン発電には、経済性以外の利点がある。原子力に較べ、グリーン発電は安全であり、災害時にもお荷物にはならない。また、グリーン電力は立地上の自由度もあるため、地域的に分散が可能である。立地が制限される原発は、集中せざるを得ないため、地震等によりまとめて動かなくなる可能性がある。今回の地震で東京電力が保有する原子炉は10基/17基が停止した。分散していれば、半分以上の発電所が停止するようなリスクは避けることができるのである。

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