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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

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2018.10
05
CM:8
TB:0
04:29
Category : 未分類
 ようやく納品終わって時間ができたので少々。

 東電サポーターの松浦晋也さんが「朝日は東電の敵、福島民友は事実を伝える新聞」と言い出した。

名称未設定 1
松浦晋也‏ @ShinyaMatsuura
この件に関しては、福島民友は大変良い仕事をしたと思う。朝日は東電を攻撃したいという気持ちが事実の報道よりも先行していることがバレた。東電は、広報体制にまだまだ甘さがあり、しかも巨大組織故の面倒さを相変わらず抱えていることが見えた、というところか。
https://twitter.com/ShinyaMatsuura/status/1046029367288070144


 これは「三重水素以外は全部抜いた処理水です」のウソがバレた件についての松浦さんの反応だ。

 時系列で並べると次の通り。「また東電が嘘こきやがった」と朝日が正しく指摘した。その後に東電が言い訳をした。その言い訳を福島民友新聞が無批判で「これが真相だ」と報道した。その後に松浦さんが上の発言をした。そのような順番である。


■ 東電の広告宣伝費の影響を想像できない不思議

 だが、そこには想起すべき疑問がある。

 なぜ福島民友が無批判となったのか? 朝日が批判できて福島民友が批判しなかった理由は何か? だ。

 答えは簡単である。福島民友の経営は東電広告費に依存しているからだ。だから東電や原発への批判は鈍る。

 だが、松浦さんは疑問も浮かずその構造に気づいてもいない。世間ではすでに指摘されている広告費コントロールといった仕組みをご存じない。

 だから、朝日と福島民友の態度差を善悪でしか理解できない。「朝日は東電を攻撃したいという気持ちが事実の報道よりも先行していることがバレた。」(松浦)はそれを示している。


■ 「東電は、広報体制にまだまだ甘さがあり」(松浦)と言い出す

  その上で、さらに広報体制の不足を指摘している。 「東電は、広報体制にまだまだ甘さがあり、しかも巨大組織故の面倒さを相変わらず抱えていることが見えた、というところか。」(松浦)がそれだ。

 「東電は、広報体制にまだまだ甘さがあり」(松浦)とは何をイメージしているのだろうか? 

 電力会社をサポートしたい立場から「公明正大な広報が足りない」と主張したいのだろう。

 だが、電力会社の広報体制はダーティである。繰り返すがこれは従前からいわれている。やっていることは地方紙を広告費で支配する。首長、県会、市会を金銭・非金銭でコントロールするといった「広報体制」である。

 それからすれば普通は「もっとダーティになれ、朝日を広告費で買収しろと言い出すのか」といわれる主張でしかない。

 そこには世間との乖離がある。自己認識と世間の認識が合致していない。理系ダイスキお理工さんの皆様は非理系的な世界への興味や理解は高くはない。それを伺わせる主張である。


■ 本当に空間線量を問題視するならALPSをもう一段つくるだろ

 そもそも、言い遁れ感満載の東電公式発表を鵜呑みにするのも不思議である。

松浦晋也‏ @ShinyaMatsuura
つまり、ALPSによる汚染水処理は、敷地境界の空間放射線量が年間1mSvとの条件を早急に満たすため稼働率を優先で運用。結果処理水には取り切れない放射性物質が残っていたということ。そのことはWebにどわっと出ている資料で明記されていた。
https://twitter.com/ShinyaMatsuura/status/1046025250591236096


 東電の言い訳「敷地境界の空間放射線量が年間1mSvとの条件を早急に満たすため稼働率を優先で運用」(松浦)は信じるに足りるだろうか? 

 そんな殊勝な心がけが東電にあるならALPSあるいは類似設備の処理段数を増やす。能力が足りないなら2セットにすればいい。時間もある。フクシマの事故からすでに7年が経過している

 東電がそれをしなかったのは「世論工作で希釈放出を認めさせればどうとでもなる」と多寡をくくったものだ。原子力セクターは「トリチウム水は水で薄めれば無害」の方向に持っていこうとした。それを前提にすれば、不十分処理水も「どうせ水で薄める。希釈後に法令基準値を満たせればいい」と考える。外部負経済下ではそれが合理的な発想となるからだ。


■ ロケットや飛行機や原子力は富と繁栄をもたらすと信じ込む科学技術版のカーゴ・カルト

 だが、松浦さんを首魁とする航空宇宙クラスター(自称)は、そのあたりを読み解けない。航空宇宙産業や原子力のような巨大科学技術には一切批判をしない。担当官庁や企業のいうことをそのまま信じる。

 科学技術に対しカーゴ・カルトに似た信仰をもっている。ロケットや飛行機や原子力といった富と繁栄をもたらすと信じ込んでいる。その中心の世代もロケットや原子力が時代の華であった60年代生まれのラララ科学の子である。だから将来性が疑問のマイクロ・ロケットの打ち上げに熱狂し、どうみても安全性に余裕がない宮崎アニメを模した自作飛行機、ガッチャマンの科学忍法火の鳥となれば周辺民家に迷惑を掛けかねない飛行機を称揚する。航空宇宙の裾野が広がれば日本も月ロケットの類を作り大儲けできる、科学技術の世界一等国になる。そう信じている。

 スタンスが信仰なので企業や担当官庁の科学技術投資の目論見や公式発表は神託のように疑わず信じる。構造が信仰と同じなので全て真に受ける。東電の発表を批判的に読み解けず全肯定するのも当然である。

 信仰ゆえに反する情報は全て遮断する。見て見ぬふりをする。国産ロケットや国産航空機について実現可能性や経済性の劣位の指摘について連中は絶対に触れない。それで明らかだ。実現可能性や経済性の議論の土俵に乗らない。自分たちのなかで神託を振り回して「嘘だ」と唱和するだけだ。

 松浦さんは原発報道で広告宣伝費の影響に気づかない。これは最初に述べたとおりだ。

 それもこの自発的情報遮断の結果である。東電の神託は常に正しい。科学技術への社会的信頼を揺るがす意見は全てデマであると信じ込んでいる。それが原発であれば放射能デマと非難する。「善男善女は耳を貸すべきではない」として邪教処理するのである。



■ オマケ

 まー、お理工さんたちによる「デマ」って評価って結局は「不信心者奴!」だよね。「事実や理屈で正しくない」ではない。「素晴らしい原子力発電への批判は許さない」といった科学技術信仰の敵って意味なんでしょう。神仏基のいずれのご宗旨でもいいけど、「死後の世界はない」「死後復活しない」に集会で寺社教会に集まった原理主義の皆様が「デマだ」といってるのと同じ構図。