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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

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2013.12
16
CM:5
TB:0
12:00
Category : ネトウヨ批判
 「中国の防空圏 疑念捨て日米共同行動を」なのだが、なぜ米国が中国に、日本の現政権並みの強硬姿勢を貫けると考えているのか不思議である。中国への強硬姿勢がない点を指して、「米国は中国に対して甘い」というのは、自分たちの対中強硬論という郭のなかでしか考えられないことを表明しているようなものではないか。

 まず「中国に対して、強硬姿勢でブレないで行動できる」と考えられるのが不思議である。中国と日米は冷戦状態ではない。日本はアレ宰相なのでアレな強硬策をとっているが、中国と日米は冷戦期の米ソのように全面対立構造ではない。

 この点については、伊藤剛さんが主張する「安全保障システム」と「経済システム」の切り分けがわかりやすい。、中国と日米は「安全保障システム」でみれば敵かもしれないが、「経済システム」では味方なのであり、全面的に対立する敵ではない。冷戦期のソ連と米国のように「安全保障システム」と「経済システム」双方とも敵とは違う立場にある。伊藤さんは「『構造』と『認識』のミスマッチ」(『東亜』2013.11)で、概略このように述べている。

 そういった視点から見れば、日米にとって中国は何があっても強硬路線を貫かなければならない敵ではない。安全保障システム側は、対立を辞するな、強硬路線を貫けと要求するかもしれない。だが、同時に経済システム側からは、対中関係をこれ以上悪化させるなという要求もある。

 実際には、日米両国にとって、当座で重要な問題は、中国の軍事力の脅威ではなく、自国経済が振興しないことにある。その点からすれば、中国と不仲になることを避ける経済システム側主張が強い影響力を持つのは当然だろう。

 米国のとった態度は、不可解なものではない。安全保障シムテム的に問題となる、得意な防空識別圏構想に反対しつつ、経済システム的に問題となる、中国との関係悪化を防ぐという、バランスを取った按配式である。

 その米国の態度を理解できず、弱腰となじるのは、やはり全体が見えていないのではないか。「中国に現政権並みの強硬路線を貫け、妥協をするな」という主張は、世界が安全保障システムだけでしか動いていないという、偏頗な世界観の反映であるように見える。むしろ、安全保障システムの理屈に踊らされ、教条的な強硬姿勢を取る現政権の方が、支持層の人気取りのため、自国や自国民の経済的な利益を捨てているようにしか見えない。


※ 「中国の防空圏 疑念捨て日米共同行動を」『産経ニュース』(産経新聞,2013.12.16)http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131216/plc13121603150002-n1.htm

※※ 伊藤剛「『構造』と『認識』のミスマッチ」『東亜』(霞山会,2013.11)pp.28-33.