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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

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2012.05
26
CM:0
TB:1
13:00
Category : ミリタリー
 C-130RのエンジンがJP-5用云々という話は考えすぎだ。海自がC-130の中古買うが、なぜ-Rが選ばれたかとする理由に、エンジン云々を挙げる人、例えばこうおっしゃる方がいらっしゃる。しかし、それは考えすぎだ。

 海自の航空機職域は、JP-4/5に大差を感じない。艦載ヘリはJP-5を使う建前だが、JP-4を使っている陸上基地(まだあるだろう)や他自衛隊に行くと、当然JP-4が給油される。タンクの中でJP-4になるのではなく、コンタミする。しかし、誰も気にしない。問題も起きていない。JET-A/Bが混じっても気にしないだろう。

 そもそもガスタービン、大きく言えばジェット・エンジンは燃料を選ばない。問題になるのは、カロリーベースと粘性くらい。それもバイオ・フューエルで、アルコールや植物油を使うかどうかで問題になる。普段使いの燃料であれば、JP-4/5いずれであるかは問題にならない。上で取り上げた方は「JP-4/5/8燃料関係は[中略]課題山盛り」とおっしゃっている。技術畑を自称されているのだが、些細な差にとらわれて、全般を見失った発言である。

 C-130Rを購入した理由は、まず、買えるものがあったので飛びついたあたりだ。海幕は機会主義である。「C-130Jや-Hよりも-Rが優れる」なんて信念はない。まあ、節操もないので「なんで-Rであるか」と精査されれば、真面目ヅラで「JP-5に適合」と答える。もちろん、コンタミするので意味が無いことは、承知の上である。

 海自は、昔、C-130を欲しがっていた。エンジンやローター・ブレードといった嵩高貨物や多量の弾薬輸送、硫黄島往復、当時はホットだった航空機雷敷設があり、C-130導入を目指していた。実際に日本のC-130整備は、空自が濫觴ではない。海自が予算要求を決めた時に、空自が面子が潰れるとやらで、空自に譲った話である。

 そのC-130の出物があり、予算がどうにかなりそうなら、飛びつかないわけがない。まあ、案外「硫黄島往復で床に座らせないで済む」とかそこら辺が最初の評価ではないかな。P-3Cで人員輸送するとなると、便乗者は床や入り口ステップに座らせる。そのためのシートベルトもあるが、それだけやっても23人しか載せられない。

 C-130は、硫黄島、マーカス往復や、演習等臨時輸送に大活躍する。硫黄島やマーカス向けであれば、人員や整備器材輸送だけでもない。それまでは、空自に依頼したり、艦艇や民間船を仕立てたりしていた物資のうち、急送を要するものは自前で運べるようになる。演習で飛行隊や器材を丸々運ぶときにも役立つだろう。部隊ごとの航空輸送は、これまで空自はできたが、海自にはできなかった。どうしようもない輸送だと、海上自衛隊演芸大会(あるかないか知らない)での応援団送りが1機で済むとかね。例えば、厚木チームが残れば、会場まで応援団60名を送るとか。

 ただ、普段使い、本土での定期便だと持て余すだろうね。運ぶ荷物もそれほどはない。旅客機ではないので、乗り心地もあまり良くない。余裕が増えたので、昔のYS定期便みたいに特産品でも運ぶんじゃないか。アエロフロートで行商人がジャガイモ運んでたみたいにね。下総から岩国に、資料と書いた箱にいれて梨を送るとか。沖縄から整備器材在中と札つけたソノブイ用段ボールに、サトウキビを厚木に送るとか。そのサトウキビから糖蜜が流れでて乗員に怒られるんじゃないの。各基地は贈答に返答する、大湊から北の幸でお返しとか、鹿屋から焼酎とかね。硫黄島の謎魚、刺身用切り身はデフォか。アリガトと電話したら「食べられたか、美味しかったか、じゃあ、俺達も食べる」はお約束だった。
 
2012.05
26
CM:2
TB:1
12:59
Category : 有職故実
 「松型の機関圧力、何PSIだろ」と松型駆逐艦のWIKIPEDIA記事。http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%BE%E5%9E%8B%E9%A7%86%E9%80%90%E8%89%A6 を見ていたのだけれども。興味深い間違いを発見。

機関配置
(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%BE%E5%9E%8B%E9%A7%86%E9%80%90%E8%89%A6 2012年5月26日午後0時45分、プリントスクリーンにより取得)

>機関配置 [編集]
[中略]
>鵜来型水雷艇搭載と同型のタービンを鵜来型同様に2基2軸搭載(19000馬力)

 鴻型水雷艇と、鵜来型海防艦を混同していることは明らかなんだけどね。水雷艇と海防艦を間違えていることに興味があるわけじゃなくてね。

 「鴻」と「鵜」の音と字義を混同している。おそらく、両者の漢字を区別できない。音・字義を把握しないで、なんとなく字型が似ているので混同したのではないかといったところが推測できるのがね。もちろん両者は別の字なんだが、漢字として、その区別がつかないのかなと思う。※ 普段使わない字だし。

 両者は全然違う。少なくとも、漢字としたときには、漢字文化圏では全く別物として扱われる。鴻は「鴻鵠」の「こう」で「大きなとり」、せめて「鴻巣」との混同で「こうのとり(間違いだよ)」。鵜は「鵜飼いの『う』」で「かわう」あるいは「うみう」を指す。ぜんぜん違う。しかも、「鵜来」は島名なんだけれども。

 書いた人は「鴻」と「鵜」の字を艦艇名、クラス名でしか見ない、使わないのではないかな。本来の音も字義もあまり頓着しない。艦艇名としては、似たような大きさで、実際にも似たような仕事をした小型艦艇(水雷艇も護衛艦艇として運用されたから)ということで、そこら辺を完全に混同しているんじゃないかと。



※ 駆逐艦の雷(いかづち)と電(いなづま)も紛らわしいよね。雷鳴=いかづち、電光=いなづま。今の字義で言えば、雷はカミナリで音と光を含有するけど、原義は確か雷鳴がメインだったはず。『大漢和』か『説文解字』で確認しないといけないけど。