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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

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2011.11
26
CM:2
TB:0
13:00
Category : ミリタリー
 やえやま級掃海艦があるけど、アレは漁船を使えば充分だったのだろうね。

 やえやま級が整備された理由は、大深度に仕掛けられた機雷に対抗するためとされていた。ソ連には大深度に敷設できる機雷がある。それから潜水艦を守るために必要、と理由づけられていた。
 東京湾口部を安全にするためには、大深度機雷への対応が必要と考えられた。それまで、横須賀の先は、三浦半島をかわってから先、東京湾外湾は急に深くなる。このため、機雷による脅威は考えなくて良いとされていた。しかし、ソ連が作った新型対潜機雷は、有名な所ではクラスター・ベイは、大深度でも使える。
 実際にクラスター・ベイを除去できるような、大深度での対機雷戦装備が80年代に流行していたのである。

 しかし、大深度掃海のために、わざわざ大型掃海艦は必要だったのだろうか。

 大深度用掃討艇であれば、安く小さく作れただろう。やえやまほど大きくするも必要ない。対機雷戦ソーナーを吊り下げ式ととする。処分具を大深度に対応させる。それだけで良い。これは、同時期に整備されたイタリア掃海艇Lerci(600t)では実現している。当時は日本が開発した対機雷戦システムに問題は認識されていない時期である。システムを日本製にしても問題は感じなかっただろう。

 しかし、やえやまは「大深度掃海を行う」とする理由付けがされたため、大型艦になってしまった。木造で、大型繋維掃海具を搭載するために大きくなってしまったのである。1000トンもあるので腐朽修理や除蠣は手間も金も要するだろう。そういう不経済な掃海艦が許されたのは、バブル期でお金に余裕があったためだ。

 どうしても繋維掃海をしたいのなら、漁船で我慢すればよかった。繋維掃海には複雑な艦艇はいらない。極端な話、カッターで、手こぎのボートでも可能である。なるほど、大深度掃海となると抵抗も大きいだろうから、力がいるかも知れない。しかし、それなら大型漁船を使えば済む。船体も鋼製で充分だろう。高級かつ大型で、運ぶことも難しい大深度対潜用機雷は潜水艦だけを正確に狙う。漁船クラスを相手するほど安くはない。

 そもそも、時代は機雷掃討になっている。潜水艦や空母の安全について、深い所が気になるなら、その航路を吊り下げ式ソーナーでルーチン・サーベイすれば充分だ。大深度で機雷を見つけたら、掃討なり迂回なりすればいい。高級かつ大型で、運ぶことも難しい大深度対潜用機雷なんてそれほどの数はバラ撒かれない。そもそも、大深度での繋維掃海をやる所要もそれほどない。

 大深度機雷を一気に処分する。そういうシチュエーションは考えがたい。だが、第二次世界大戦で作ったような、触発式繋維機雷による水中機雷堰を一気に処理する。それなら繋維掃海が成り立つかもしれない。だが、その場合であれば、漁船転用でも充分である。排水トンで1000トン行かないくらいの鋼製漁船でよい。プロペラだけは2軸でCPPの方がいいが、そういった漁船を建造なり、購入なり、チャーターなりする。掃海具も、別に単艦で引くような面倒をせずに、漁網を引く要領で2艘曳きすればよい。たしかに漁船は2隻必要だが、単純なので却って人手も減らせるだろう。磁気を気にすることもあまりないから、40mm機関砲あたりも積める。浮かんできた機雷も確実に殉爆させられるだろう。