村野瀬玲奈の秘書課広報室

　経済大国と言われる日本で貧困児童が13%，つまり7人に1人ということはアジア，アフリカ諸国の人々から見ると不思議かも知れません。まるで低開発国のようです。

　近年では日本にいても賃金が低いので高収入を目指して中国の企業等に就職する人が増えています。人件費も日本は安いので，生産の拠点を中国から日本に移し替える企業も出てきているようです。

　理化学研究所では2023年3月末には研究系職員約600人の雇止め＝首切りが予定されています。これは無期転換ルールを意図的に避けるための雇止めとされています。約600人という優秀な研究者が失業することになります。言うまでもなく理化学研究所は日本の優れた研究機関です。こんなことで研究・技術面で世界に立ち向かっていけるのでしょうか。

＞Takeshi さん

思うのですが、日本の近年の自民党政権は貧困層から搾り取って富裕層をさらに富ませる政策をずっと続けてきたからこそ、「経済大国」なのだと考えれば、不思議でも何でもありません。私は逆説的にそう考えます。

本当の経済大国とは、貧困層にまで経済のパイを分配する国なのだと思います。

日本は経済大国だと思い込んでいる間に日本の貧困化が進み、ある日経済的にも学問的にも衰退している日本の姿が誰にもわかるように露わになるという近未来が見えます。

そのような近未来が日本に訪れないように政治と社会を変えたいと願い、行動する人を一人でも増やしたいです。

「貿易戦争は階級闘争である」(マシュー・C・クレイン＆マイケル・ペティス/みすず書房)から一部引用します。

　日本は第二次世界大戦後，貯蓄モデルを人道的な形で発展させた。労働者と企業と政府の間で合意された社会契約のもとで数十年におよぶ経済成長が実現し，経済は西洋と一体化する。労働者は過激なストライキを控え，賃金上昇の要求に制約を設けることに同意した。そして政府は，一般の預金者を犠牲にして企業に低利の融資を行うこと，さらには国内市場を守るために輸入を規制することに同意した。日本では消費者の犠牲のもとに，一握りのコングロマリットが経済を支配して，寡占化が進行した。
　そして国外では，日本企業がお互い同士だけでなく，アメリカやヨーロッパの生産者とも市場シェアを巡って熾烈な競争を繰り広げた結果，企業の効率や独創性が進歩した。日本の労働者や退職者は，財やサービスの料金を必要以上に支払い，国民産出量から家庭に配分されるシェアが西洋よりも少ない状態に甘んじ，家計から企業への購買力の移転を狙った金融制度を利用した結果，実質的に産業の発展に助成金を提供するようになった。日本企業はその恩に報いるため，日本の製造基盤を改善し，生産性が向上した環境を労働者に提供し，役員報酬の高騰を抑えた。一方政府は，最高レベルのインフラに投資する。しかも急成長にもかかわらず，日本からの輸出は他国からの輸入を一貫して上回った。
　やがて日本が西洋の生活基準に近づくと，発展モデルは複数の問題を引き起こした。教育を受けた勤勉な労働者が社会にあふれても，十分な物的資本や技術が不足しているときは，投資にみあうプロジェクトが数多く存在している。したがって，労働者から企業や国に購買力を移転すれば，国の発展が加速される。
　不幸にも，日本には消費よりも投資を優先する制度的な偏向があったため，それが圧力となり，最高レベルのプロジェクトが完了したあとも投資はそのまま継続される。1980年代はじめの時点では，戦後に考案されたメカニズム，すなわち家計支出を抑制して企業に助成金を提供するメカニズムは，もはや役に立たなかったにもかかわらず生き残っていた。投資を追加しても利益が徐々に増加するわけではない。おまけに家計支出への体系的な制約が温存されたため，投資収益率の落ち込みが深刻化した。1990年代から2000年代にかけて日本社会は最終的に新しい環境に順応するが，それには不要な痛みを伴った。設備投資は一気に落ち込み，失業者は増加する。さらに，賃金の伸び率の低さを補うため，家計貯蓄率はゼロにまで低下した。もしも日本が独自の発展モデルをもっと早く放棄していれば，このような事態は避けられたはずだ。

　日本では，定年を迎えて退職する労働者が増え始めた1990年代はじめから，家計は一貫して貯蓄率を下げてきた。この10年間，日本人の個人貯蓄率は実質的にはゼロのままだ。一方，日本政府は1990年代はじめ以来，大きな赤字予算を組み続け,赤字はGDPのおよそ6パーセントに達する。ところが，それでも日本は巨額の経常黒字を計上し続けているのだから，定義のうえでは，国民貯蓄は国民投資よりもはるかに多いことになる。日本でこうした現象が見られるのは，企業収益率が高いうえに，企業が国内での投資にきわめて消極的だからだ。企業の黒字は，政府や家計の赤字を上回るほど大きい。このように複数の要素が組み合わされた制度のもとでは，たとえ個々の部門が「浪費している」ように見えても，貯蓄率は高く，経常収支は黒字を計上する。



「差別の近現代史　人権を考えなおす」(塩見鮮一郎/河出文庫)から一部引用します。

　非正規労働者の増加で，企業が得た利潤は莫大だと思います。一方，個人や家庭にとっては収入の大幅減を意味します。穴埋めするには，夫婦とも働きに出るしかない。このとき，「女性の自立」をすすめる思想が，背中を押してくれます。しかし，農村共同体はもう消え去り，子供たちの面倒をみてくれる祖母も親戚もありません。保育所がこれまで以上に必要になります。あらたな土地を購入し，そこへ建物を建て，保母さんをもとめなければなりません。すでにコクーン社会は始まっています。費用のすべてに税金を充当するしかないでしょう。原因をつくった企業は知らんふりで，あいかわらず，いかにして正社員の数をしぼるかに頭をしぼっています。


　以上で引用を終わります。企業は労働者の利益を搾取・収奪しています。企業の莫大な利益は，労働者がいてこそ上げられるものです。そのような仕組みを作ったのが自民党政府です。最近では人手不足のために正規職員の初任給を上げる企業が増えてきました。非正規社員はお金がないので，昼食は鮭のおにぎり1個（128円）という人が出てきています。1日2食で済ませる人も出てきています。まともな食事は学校給食だけという子供もいます。日本のような高度の経済国家には「子ども食堂」は恥ずかしい存在であるはずですが，多くの人はあたりまえのように受け止めています。