来年、ブラジルのサルバドールで世界社会フォーラムを開くという告知が出ていましたので、取り急ぎ翻訳しました。非公式の翻訳です。
しばしば「バイーア」と呼ばれるサルバドール市は、ブラジルの港湾都市で、バイーア州の州都でもある。
港湾都市として発展を遂げ、近年ブラジル第三の都市に成長した。
同時に、社会運動が盛んであることでも知られ、労働者党のルイ・コスタ知事が州の政権を担っている。
2001年にブラジルのポルト・アレグレ市で最初の世界社会フォーラムが開かれ、同年に左派政党である労働者党のイグナシオ・”ルラ”・ダシウヴァ政権が誕生し、その後後継のジルマ・ルセフ政権が2016年に弾劾で崩壊するまで、ラテンアメリカでは珍しい足掛け16年間の安定した長期左派政権が続いた。
しかし、国際的なリバータリアン・ネットワークの支援を受けたとされている「ブラジル・リブレ運動」などの活動もあり、労働者党政権が崩壊し、ブラジル政界の流れは保守に大きく傾くことになった。
その間、世界社会フォーラムはブラジルや他のラテンアメリカ諸国のみならず、アフリカやインドなどで開催された。
特に、2013年と2015年はアラブの春との連帯のため、チュニジアの首都チュニスで行われた。
社会フォーラムを発端とする「オルタグローバル運動」はアラブの春やスペインの「怒れるものたち」運動、オキュパイ・ウォールストリート運動(及び大統領選でのサンダース旋風)、そしてギリシャのシリザ、スペインのポデモス、イギリス労働党のコービン党首の誕生といった流れにつながっている一方で、すでにグローバルなネットワークが構築されつつある状況で十万人が集まってお祭りをすることの意義は薄れている、と指摘する向きもあった。
しかし、トランプ旋風とフェイク・ニュースの隆盛、欧州における移民排斥運動と極右政党の台頭、といった問題も急速に広がっている。
左派のものだった「反グローバル」運動が、急速に右派によって簒奪された、ということもできるだろう。
この状況下で人道(ユマニテ)、人権、民主制、連帯、平和、多様性と尊厳の尊重を基調にした「反ネオリベラリズム、反帝国主義」の運動を再構築することが、サルバドールの世界社会フォーラムに期待されている、ということである。
(非公式日本語訳)
世界社会フォーラム2018の呼びかけ
2018年3月13日〜18日 サルバドール(ブラジル、バイーア州)
「抵抗することは想像することだ。抵抗することは変容することだ」(Resistir é Criar, Resistir é Transformar)世界社会フォーラム2018を規定する場所である"ブラジル社会運動・団体連合"はここにブラジル、ラテンアメリカ、そして世界中の人々、組織、社会運動、運動のネットワークとプラットフォームを、2018年にブラジルのバイーア州サルバドールで2018年3月13日から17日にかけて行われる世界社会フォーラムの組織化と実施のプロセスに参加するよう呼びかける。
2017年1月にポルト・アレグレで行われた前回の世界社会フォーラム国際評議会は、経済的、社会的、環境的な危機と、人間性が経験する民主的価値の危機の深刻さを鑑み、2018年3月にサルバドールで次の世界社会フォーラムを開催する喫緊の必要性があると考えた。ブラジル、ラテンアメリカ、そして世界各地において、反動的で保守的な思考が急成長しており、それが我々、連帯、社会正義、民主制と平和という枠組みによる新しい世界の擁護者全てを、緊急体制と永続的な運動の中に置き、人間性を苦しめる混乱した現実への抵抗と変容の闘いのための社会運動の世界的な結節と連合のプロセスを要求している。
世界社会フォーラムはそれ自体を、すべての形態の帝国主義と資本による支配に反対するこの地球すべての市民社会の運動体と組織が、様々な考えについて民主的に議論し、提案を構成し、経験を自由に共有し、効果的な行動を策定するための、水平で多元的な出会いのための「開かれた空間」であることを強化する。それは、ネオリベラルなグローバリゼーションへのオルタナティヴの建設を探求するため、また我々の世界が経験している非人間化のプロセスに対する、多様性と共にある社会的抵抗の能力を向上させる国内的あるいは国際的な領域における、社会運動やそのネットワーク、その他の形の市民社会の結節のための世界的広がりを持つプロセスである。
この観点から、サルバドールでの世界社会フォーラム2018は、多様な形態の暴力や社会的・地域的不平等の原因に立ち向かう方法を探求し、多様性の尊重、民主制、連帯という観点の中での、人道にとっての共通の問題を共に考えるための、オルタグローバリスト の再結集の機会となるだろう。
ブラジル、特にバイーアはここ数ヶ月で、国内外の保守勢力の攻撃に対する抵抗運動が成長した場所である。ここで、この現代という歴史的時期において、民主的で民衆的な勢力によって採用された戦略の間違いと成果について熟考することにしよう。この理由から、サルバドールにおける世界社会フォーラムは、ブラジルと世界で姿を現しつつある権威主義的な思想に立ち向かう効果的なアクションを考えるため、これら抵抗の多様な経験を、博愛的で参画的な方法で結合させる重要な機会を提供するだろう。
世界社会フォーラム2018のモットーは、「抵抗することは想像することだ。抵抗することは変容することだ」(Resistir é Criar, Resistir é Transformar)であり、これはブラジルの社会運動連合にとって、私たちの抵抗が新しい芽を運んできてくれる、ということを言わんとしている。わたしたちは、このネオリベラリズムに抗し、帝国主義に抗し、環境破壊に抗する"民衆の闘い"という世界規模のプロセスの中で、私たちは日々の実践を通して、「もう一つの世界」につながるオルタナティヴを構築しているのだ、と理解している。
であるがゆえに、世界社会フォーラム国際評議会とブラジル促進委員会は、連帯、ラディカルな民主制、持続可能な環境と社会的公正による社会の構築に参画している世界中の市民に対して、世界社会フォーラム2018の組織化と開催に参加するように呼びかける。全ての人の参加は我々のユートピアの未来にとって、根源的である。
サン・パウロ 2017年8月18日
世界社会フォーラムのためのブラジル連合
Replies should be sent to: [email protected] or through the website www.fsm2018.org. Please let us know your name and organization in your reply to this WSF call.
英語版PDFへのリンク
http://fsm2018.org/wp-content/uploads/2017/08/OPEN_LETTER_WS_-2018.pdf