村野瀬玲奈の秘書課広報室

　　

自公政権と維新などの野望であり、民進などの賛成も加わってすすめられることになるカジノ（統合型リゾート、IR）推進政策の問題点と、観光国としての日本に外国人観光客は何を期待しているかについての資料をメモします。

その前にまず、私のカジノについての意見はたとえばこちら。まだ読んだことがない方は、タイトルだけで納得しないで、リンク先で全文を読んでください。

■カジノ推進政策、条件付きで賛成してもいいですよ。
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-6062.html
2014/10/18 21:00

では、ここから今回の本題。まずは、日本に来る外国人観光客の目的はそもそも賭け事ではなく、食と景観と温泉が上位にきているという調査結果の指摘から。国、つまり政府がおこなったアンケートです。

衆院予算委。清水(共産)「ここに日本に観光へいらっしゃる外国の皆さんへ国が行ったアンケートがあります。カジノどころか、パチンコすら目的になってない。その目的は食であり景観であり温泉なんです。この現況があるのに、カジノが観光振興になるわけですか?」 pic.twitter.com/rp3Rmq3VeU

— インドア派キャンパー (@I_hate_camp) 3 February 2017

たとえば、ここに政府による調査報告があります（←リンク）。たしかに、「カジノ」の「カ」の字も出てきません。日本観光への期待についてのところを一部だけ引用しておきましょう。

· 回答全体では、「日本の食事」が64.0％と最も多く、次いで「ショッピング」（51.6％）、「温泉」（45.0％）となっている。
· 「博物館・美術館」は23.8％で、８番目の順位となっている。また、「伝統的な景観・旧跡」が６位（34.9％）、「伝統文化の体験・鑑賞」が11位（19.8％）、「現代文化の体験・鑑賞」が12位（8.7％）となっている。
· 居住地別に見ると、中国において、「博物館・美術館」への期待が49.5％と高く、「ショッピング」、「温泉」、「日本の食事」に次ぐ４番目の順位となっているのが特徴的である。
· 欧米では、「伝統的な景観・旧跡」が59.5％と最も多く、「伝統文化の体験・鑑賞」、「現代文化の体験・鑑賞」についても、他の国・地域と比べて高い順位にあるものの、「博物館・美術館」への期待は10.8％と低位にとどまっている。

（引用ここまで）

「食事やショッピングの合間に、あるいは温泉地で、カジノがあれば行くんだよ」とカジノ推進論者は強弁するのでしょうか。では、「カジノがあったら行きますか」、「行くとしたらどれくらいお金を使ってもよいと思いますか」という質問を入れて正確な需要予測をするべきでしょう。だけど、観光客のそういう潜在的な賭博欲（んげ）を引き出そうとしたら、全国津々浦々の温泉や観光地にカジノを置かなければなりませんが、それはさすがに無粋だとは思わないのでしょうか。

「おもてなし」を言うなら、来日観光客の主目的である食や温泉のアピールにこそ力を入れるべきではないでしょうか。カジノは来日観光客の期待ではなく、日本側のカジノ推進者の期待にすぎないということです。

では、いくつかの外国でのカジノの実情はどうでしょうか。

【カジノ解禁法案】経済効果は年２．１兆円　参考は観光大国・フランス…２００施設へ拡大も規模小さく - 産経ニュース https://t.co/74naO6ywsU @Sankei_newsさんから

— h (@_h_japan) January 12, 2017

確かに、フランスには「カジノ」がたいへんに多いです。たとえば、パリの街中にもたくさんあります。「Casino」の看板が至る所にあり、小規模な「petit Casino」という看板も至る所にあります。実は私もよく行きます。私のお目当ては主に日用品、食料品です。...って、それは賭け事をする所じゃなくてスーパーマーケットチェーンの「Casino」でしょ、というツッコミをはやく誰か入れてください。笑

真面目に、フランスの「カジノ賭博」の市場規模や売り上げがどのくらいか、ちょっと見てみたのですが、（スーパーマーケットの方ではなくてギャンブルの）カジノの売り上げや収入を明記したネット資料が今のところ見当たりません。ただ、2016年2月のフランス上院の報告書の37ページにスロットマシーンのような賭博関連機器と思われる売り上げが載っているのを見つけました。

●Sénat
Rapport - Cercles de jeux au 02-02-16 - Sénat
https://www.senat.fr/rap/r15-414/r15-4141.pdf

(...Page 37...)

I. LES ÉTABLISSEMENTS DE JEUX
Au 1er janvier 2016, il y a 199 casinos ouverts et 2 cercles de jeux,
22 951 machines à sous et 1 034 tables de jeux installées.
Pour la saison 2013-2014, le produit brut des jeux était de 2,123 milliards d’euros, dont :
- les jeux de cercle : 146,3 millions d’euros (1,28 %) ;
- les jeux de contrepartie : 146,3 millions d’euros (6,89 %) ;
- les jeux électroniques : 49,6 millions d’euros (soit 2,34 %) ;
- les machines à sous : 1,9 milliard d’euros (soit 89,49 %).

（引用ここまで）

2016年1月1日時点で199のカジノが開業しており、それらの中にギャンブルクラブ（ギャンブルに疎いので適訳かどうかわかりませんが）が2軒、22951台のスロットマシーン、1034台のギャンブルテーブル、...などと書いてあります。総額21億2300万ユーロという金額が書いてあり、1ユーロ121円とすると2568億円ですが、これらはギャンブル設備・機器そのものの売り上げか、ギャンブル施設からあがる売り上げかは自信がありません。そのうち、金額で9割近く、89.49%がスロットマシーンによるもの。いずれにしても、スロットマシーンがフランスのギャンブル施設の中核ということでしょう。

また、上にリンクした産経新聞の記事には「米ラスベガスや中国マカオなどに比べ、（フランスの）各施設の規模は小さ」いと書いてあります。ギャンブルをするカジノがある場所も限られています。

次のサイトには、フランスの賭博産業があげている売り上げの規模が書かれています。ただし、カジノなどの賭け事だけでなく、「PMU」と呼ばれる競馬の馬券や「ロト（loto）」と呼ばれるくじなども含まれていて、純粋なカジノでの掛け金（売上）規模は直接にはわからなくて申し訳ありません。

●Statistiques mondiales écologiques
LES JEUX D'ARGENT EN FRANCE
http://www.planetoscope.com/Etonnant/656-chiffre-d-affaires-des-jeux-d-argent-en-france.html

Combien rapportent les jeux d'argent et de hasard en France ?

46 200 000 000 € / an
46,7 milliards d'euros : le chiffre d'affaire de l'industrie des jeux d'argent autorisés (PMU, casinos, Française des Jeux) en 2012.

Le chiffre d'affaires des jeux d'argent n'était "que" de 37 milliards en 2008.

（引用ここまで）

総額で年間462億ユーロということです。

競馬（PMU）の売上は、2013年で「10,405 milliards d’euros」、つまり104億500万ユーロとフランス語版ウィキペディアに書いてあります。

「ロト（loto）」を運営する公営くじ企業、Française des Jeuxによるくじの売り上げは、フランス語版ウィキペディアによれば、2015年で「13,7 milliards €」、つまり137億ユーロとのこと。

これ以外のギャンブル産業があるのかどうかわかりませんが、あるとしたら、たとえばオンラインギャンブルなどでしょうか。それらがどれほどの売り上げをあげているのかはわからないので、とりあえず、総額から競馬とロトの分を引くと、残りは220億ユーロほどで、その中に賭博施設としてのカジノの売り上げが入っていることになりますが、この中の正確なカジノの売り上げや収入はわかりません。いずれにしても、こういう数字を見ると、賭博はカネになる、と考えて国策として推進したがる日本のカジノ推進論者の心理がわかる気もします。なにせ、カジノ建設、運営を行なう業界とつるんでこれらのカネの分け前にあずかれれば、莫大な利権になるからです。

しかし、繰り返しますが、最初の方に書いた通り、日本に来る外国人観光客の目的は賭け事ではなく、食と景観と温泉です。それを無視したカジノ推進政策で、カジノは作ったけど客が入らない、ということになる可能性が大きいです。

さらに言えば、上のフランスの報告書の中には、ギャンブル依存症者が60万人いるとも書いてあります。忘れてはならないことです。

ちなみに、カジノなど賭博産業をめぐる規制や課題を取り上げたフランス経済省のレポートが次のところにあります。内容の紹介はしませんが、参考として。

●Le portail des ministères économiques et financiers _ Le portail des ministères économiques et financiers
La régulation des jeux de cercles et casinos
http://www.economie.gouv.fr/files/files/directions_services/observatoire-des-jeux/20161019-regulation-jeux-argent-et-hasard.pdf


さて、次に韓国です。

韓国のカジノ産業の様子が次のところに少し書かれていますが、カジノに来るのは外国人観光客だとは言えないようです。韓国在住の韓国人がカジノの主な客です。日本にカジノを作ったとしても、日本に来る外国人観光客の目的は賭け事ではなく、食と景観と温泉ですから、外国人観光客が来ると期待しない方がよいでしょう。

@iwakamiyasumi 韓国のカジノでお金を使っているのは、海外の観光客より圧倒的に韓国国民。カジノが黒字になるのは、自国民がカジノで負けたということ【カジノ解禁の先輩・韓国の”失敗”に学ぶべきこと】https://t.co/AukIcadvgN（週プレ）

— S･TAKASHIMA (@1691S) December 29, 2016

カジノの繁栄とは、自国民の貧困化であるという冷徹な事実を見つめましょう。

もうひとつ、たいへんに有益な情報がありました。韓国のカジノ事情について、日本共産党の中村正男さんが現地視察を行なった報告をツイッターに載せています。続けて読んでみましょう。カジノには害が大きいことが指摘されています。

韓国・江原（カンウォン）ランドへ。「カジノ」の実際をこの目で見るためです。仁川空港から２００ｋｍ。「まわりは車も入れられる質屋だらけ」と聞いたとおりの光景がありました。明日は、「賭博中毒管理センター」などを視察、懇談させてもらいます。 pic.twitter.com/wVaHHhrcBV

— 中村正男 (@nakamasa0225) February 1, 2017

韓国・江原(カンウォン)ランド近くの宿からの眺め。山深く、雪が残っています。
朝食のあと、「賭博問題管理センター」「賭博中毒管理センター」「サブ面共同推進委員会」のみなさんから、それぞれ話を聞かせていただく予定です。 pic.twitter.com/Z4I4yldHmU

— 中村正男 (@nakamasa0225) February 1, 2017

韓国・江原（カンウォン）ランド、「賭博問題管理センター」「賭博中毒管理センター」「サブ面共同推進委員会」で話を聞き、リアルな実態、関係者の思いが伝わりました。そして逆に問われました。「なんで大阪のような大都市ににカジノを？！」 pic.twitter.com/Mci9zTioVa

— 中村正男 (@nakamasa0225) February 2, 2017

２日、韓国で最初の懇談は「韓国賭博管理センター」。チャン・センター長は「カジノは他と比べても中毒罹患率が非常に高く、５９・２％ものぼる。勝負が早くて、毎日できる。「大都会の大阪にできるなら、弊害は大きい。つくらない方がいい」。 pic.twitter.com/gx5aqXN32f

— 中村正男 (@nakamasa0225) February 2, 2017

韓国・江原（カンウォン）ランド横の「賭博中毒センター」。キム常務、ウォン事務局長らが応対。「地元の人は危険がいっぱい。入場は月に1回に制限している」など懸命の対策を聞く。「江原ランドが公共機関だからできる。民間なら絶対にできない」とも。 pic.twitter.com/pTcJnAJ23o

— 中村正男 (@nakamasa0225) February 2, 2017

懇談の3カ所目は財団法人「サブ面共同推進委員会」。鉱が廃鉱になって、どうするか。「カジノ」という要求はなかった。できた当初、地域住民の多くが財産をなくしたり、青少年の犯罪がそれまでの3倍に」。「未来」についての真剣な議論と活動を進めている。 pic.twitter.com/xjxtIDfaKt

— 中村正男 (@nakamasa0225) February 2, 2017

韓国・江原道の今朝の気温はマイナス10・2℃でした。
こんなもとでも、カジノ「江原ランド」には多くの人出が。 pic.twitter.com/qQFnCy1MUz

— 中村正男 (@nakamasa0225) February 2, 2017

韓国・江原（カンウォン）ランドの視察・懇談を経て、ソウルへ。２００ｋｍの道のりですが、途中、水原華城へ。かつての都。世界遺産にもなっています。カジノの殺伐とした雰囲気と別世界。ホッと一息つきました。 pic.twitter.com/PupFWaGuTs

— 中村正男 (@nakamasa0225) February 2, 2017

韓国・カジノ視察の最終日です。
　昨夜は、ソウル駅近く、外国人のみが入れるカジノ「SEVEN LUCK」を覗きました。江原（カンウォン）ランドの雰囲気との比較をしてもようと。カジノはカジノ。異質な空間、長居は無用でした。 pic.twitter.com/K3v9b3ShW6

— 中村正男 (@nakamasa0225) February 2, 2017

昨３日、衆議院予算委員会での清水忠志議員の安倍首相に対する質疑。「賭博損失は『効果』の５倍」「カジノ問題　国民犠牲の『成長』なんて」「カジノ合法化／依存で行倒れ　ごめん」。今日の「しんぶん赤旗」１面と１４面で詳報。 pic.twitter.com/coOnXsAjxi

— 中村正男 (@nakamasa0225) February 3, 2017

大阪市中央区の産業創造館イベントホールでシンポジウム「ギャンブル依存ゼロの大阪をめざして　それって、個人の責任?」(大阪クレサラ・貧困被害をなくす会主催)が始まりました。体験者の報告、医師、学者、弁護士、市民が一堂に。 pic.twitter.com/CIiKoaSfwR

— 中村正男 (@nakamasa0225) February 4, 2017

日本共産党木津川南地区は、カジノ問題で広く対話をよびかけるビラを作成しました。1面で「『カジノあかん』の声をご一緒に」。２－3面で公明党・佐藤茂樹衆院議員が公開討論に応じなかった経過を紹介。４面で、わたなべ結さんの訴えを紹介。 pic.twitter.com/Kp6Q4i9oxX

— 中村正男 (@nakamasa0225) February 5, 2017

『前衛』３月号の「戦後最悪の政権としての本質が露呈した安倍政権によるカジノ法強行」（小松公生）を読む。「安倍首相じきじきの指示で強行されたカジノ法」「公明党の犯罪的役割」「政権をたきつけ、すがりつく日本維新の会」など背景を端的に。 pic.twitter.com/hbLmhRB5LX

— 中村正男 (@nakamasa0225) February 7, 2017

わたなべ結さん（衆院大阪３区予定候補・比例重複）の韓国カジノ視察リポート。「地域崩壊まざまざ」。２月１－３日に訪れた「江原（カンウォン）ランド」視察と「賭博中毒センター」などとの懇談記録。今日の「しんぶん赤旗」近畿のページで大きく。 pic.twitter.com/bZSYX4qw8m

— 中村正男 (@nakamasa0225) February 7, 2017

ありますよ。ずいぶん前ですが。私たちは、カジノはＮＯ！　同時に、パチンコを含め、現にある賭博の是非について国民的な議論をおこすこと、何よりも500万人を超えるといわれる病的賭博患者の治療と社会的復帰を促すことが大事と考えています（２０１４年総選挙・分野別政策など）。 https://t.co/S7PAmrt86q

— 中村正男 (@nakamasa0225) February 8, 2017

大阪の日本共産党地方議員が一堂に会して会議。金子中央委員会自治体局次長が２０１７年度政府予算案と地方財政計画を講演。宮原府議団長、駒井書記長の報告のあと、大阪市、茨木、四条畷など６人が発言、わたなべ結さんが韓国カジノ視察報告をしました。 pic.twitter.com/n3HSnOnVX4

— 中村正男 (@nakamasa0225) February 10, 2017

1月26日の大阪府が開いた「ＩＲセミナーに参加して」の手記――「大義も道理もない賭博解禁／大阪カジノセミナー」を日本共産党大阪府委員会ＨＰにアップしました。https://t.co/LS3NPCSAN3

— 中村正男 (@nakamasa0225) February 10, 2017

わたなべ結さん（日本共産党衆院大阪３区予定候補・比例近畿）の韓国・カジノ視察レポート「地域崩壊　まざまざ　韓国カジノ」が日本共産党大阪府委員会のＨＰにアップされました。ご覧ください。https://t.co/SwCJ1k12BB

— 中村正男 (@nakamasa0225) February 10, 2017

客のニーズを正確に見極めることが商売の出発点。日本に来る観光客の目的ではないカジノを成長産業だと思い込んでカネ（税金含む）をつぎ込んでも失敗するでしょうね。自民党や維新の議員が私財を投じてカジノをつくって失敗する分には止めませんが。

カジノは観光客のニーズに合っていないことに加えて、カジノはギャンブル依存症になる人を増やし、ギャンブル耐性のない人をさらに貧困にし、その家族や周囲の人々にも悪影響を及ぼすという問題もあります。

そもそも、カジノなんてなくても、日本には証券取引市場があり、パチンコもあります。賭け事が好きな人が賭け事をしたければ、日本にはカジノは必要ありません。どうしてもカジノをしたい日本人は海外のカジノに行けばいいのです。

来日観光客を本当にもてなしたいのなら、海外にもあって害が大きすぎるカジノではなくて、日本にしかない食と景観と温泉の振興こそが必要です。

カジノ業界やそれに連なる政界は利権を得るとしても、一般の日本人にとってカジノには害しかないと私は断言します。カジノを推進するすべての政党に選挙で鉄槌をくだしたいです。

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●国会議員への投書のための「議員一覧ポータルサイト」 (1)→国会議員いちらんリスト - 政治家（衆議院議員475名 & 参議院議員242名）に声を届けたい人のためのサイト ; (2)→http://publistella.jp/
●メディア一覧 - 私たちの声を国会へ→http://rpj-action.jimdo.com/%E3%83%A1%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%A2%E4%B8%80%E8%A6%A7/
●他の社会系ブログに行くにはうちの「私的リンク集　（適宜更新）」経由で→http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-136.html

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