2017年に#MeToo運動が始まる一年前の2016年、FOXニュースで上層部のセクハラが明るみに出ました。
その顛末を描いた映画「スキャンダル」が日本で公開されました。
映画は、告発後FOXから巨額賠償を得ることで和解したキャスターのグレッチェン・カールソンが秘密保持契約を締結し、事件の詳細を語れないため、現実に起きたスキャンダルに着想を得たフィクションとして製作されています。
それでも、グレッチェン・カールソンやメーガン・ケリーがその名のままで主役として登場、非常にリアルな展開で、このスキャンダルの真相に迫ろうとしています。
華やかな仕事の舞台裏でひそかに起こる長年のセクハラや度重なる侮辱に女性たちはどうリベンジしたのか?
日本でも使えるヒント満載です。
米国でも最も「ものを言える女性」であるはずのニュースキャスター。
しかし、実はセクハラ被害にあい、その被害を沈黙せざるを得ない状況が描かれています。
加害者はFOXのCEOであり、TV業界の帝王と呼ばれたロジャー・エイルズでした。
ニコール・キッドマン演じるグレッチェン・カールソンは、人気キャスターとして活躍しましたが、次第に閑職に追いやられ、ついに解雇。映画では「更年期の女なんて」とカールソンがエイルズから罵倒される屈辱的なシーンも描かれています。侮辱され、否定され、それでも働き続けないといけない。辛いですね。
カールソンは解雇を告げられると、CEOの性的要求を拒絶したためにスポットライトのあたる場から追われたと主張、セクハラでCEOを提訴します。
カールソンの言い分に「でっちあげだ」何故なら、
FOXニュースにはハラスメントのホットラインが設置され、誰でも通報できる。これまで通報は一件もない
という会社側の言い分が当然予想されます。
映画の中のカールソンは、反論します。
ホットラインはCEOにコントロールされ、情報が寄せられてもCEOに筒抜けで、誰も怖くて声を上げられないと訴えます。日本でも、ありがちな話ですね。
機能しないホットラインを設置している日本の大企業にもよくよく考えてほしいところです。
映画は、野心溢れるキャスター志望の女性と、シャリーズ・セロン演じるメーガン・ケリーが、CEOのセクハラ被害にあったことを明らかにします。
なぜ拒絶できずに性的要求に応じざるを得なかったのか?
ある日CEOに呼ばれ、大きなチャンスを期待して部屋に入ると、暗に、しかし威嚇的に、性的関係を強要される。
彼にとっては何度も獲物をしとめてきた手慣れたやり方。でも不意を突かれた彼女たちには万事休すです。
自分から見たら性的対象でありえないおじいさん。しかし相手はそう思っていない、虎視眈々と狙われていたのです。
拒絶してその場を立ち去る自由はありますが、それはこれまで長年築いてきた夢とキャリアの終焉を意味します。
家族やローンのことを思うかもしれません。計り知れない恐怖です。
不意の出来事で熟考する思考能力もその時間も奪われ、従うしかない。
罠にはめられる瞬間がどんなものであり、それがどれほど女性に選択肢を奪い、卑怯な加害なのかを映画はよく描いています。
被害者の訴えは容易に理解されないので、彼女たちは責められることを恐れ、沈黙します。
女性たちは競争相手で、弱みを見せられず、連帯もないのです。
日本の報道現場や、多くの職場も同じではないでしょうか?
映画ではこうしたセクハラのカルチャーを覆すには何が必要かも教えています。
まず、
1)外部メディアがこのことを報道し、社会問題とすること。
2)内部の顧問弁護士ではなく外部の第三者(法律事務所ですが)に調査委員会を作らせ、安心して話せる環境をつくること、
3)被害者たちがみんなで名乗り出ること。
しかし、決定打は
4)'''カールソンがセクハラを迫る会話の一部始終を録音していたこと''(エイルズの弁護士談)
でした。
2)は会社側のあるべき対応として非常に参考になります。
顧問弁護士や社内調査ではだめ、第三者調査が必要です(ちなみに、米国では今や、企業セクハラの第三者調査についてしっかりしたマニュアルが確立されています)。
一方、1)、4)は(映画の)カールソンの戦略ですが、非常に有効でした。
特に、録音のような物的証拠は何より重要です。それが、2018年に日本で明るみに出た財務省セクハラ事件でも一つの決め手になりました。
弁護士のところにセクハラ相談に来られても、録音のあるとなしでは、全然違います。
働く女性には「危ないな」と思う対象に近づく前に、自衛と権利行使のために、録音をお勧めします。
そして、危なさに関する感度を上げること。自分から見て無害なおじいさんや善良に見える取材対象・取引先でも、安心せずに防衛することをお勧めします。
映画のカールソンは、録音をずっととっておき、ついに解雇を言い渡されたときに、録音を使ってリベンジしたようです。
まず、録音をもとに訴状を提出し、それをエイルズが全面否認したところで、動かぬ証拠として録音を提出する。これでエイルズは詰んでしまい、勝ち目はありません。
用意周到な戦略ですね。日本でもセクハラの企業に対する賠償責任の時効は10年。悔しい思いをしても働き続けなければならないことだってあるでしょう。それでもリベンジできる時があるはずです。
今後は日本でもそうなるといいし、そんなリベンジを恐れて、誰もが気安くセクハラをすることができない、そんな状況に追い込みたいものです。
(でも録音できなかったからといって自分を責めないでください。できる人からやっていけばいいのです)。
メーガンは、トランプの女性蔑視を大統領選の討論番組で指摘した結果、トランプ本人から執拗にツイッターで攻撃され、会社は彼女を助けません。
映画の終わりに、エイルズは会社を追われ、カールソンは巨額の賠償を勝ち取りますが、トランプは大統領選に当選します。
権力は巨大で、対応は表面的、セクハラや差別の告発には大きなリスクが付きまとい、戦いの終わりは見えません。
声を上げた人に対する仕返しのリスクは決して過小評価できません。トランプのツイッターでの攻撃たるやひどいものでしたし、それにあおられる人たちもいます。
こうした公共空間でのバッシングは女性を傷つけ、追い詰めます。周囲のサポートや連帯がもっと必要です。
セクハラの文化に立ち向かうために、「スキャンダル」は女性だけでなく男性にもみてもらいたい映画です。
さて、日本ではなぜこうした告発を聞かないのか?被害がないのではなく、沈黙が続いているのです。
セクハラの告発があっても、「スキャンダル」というほどの盛り上がりは見せません。
しかし、セクハラ上司の被害者がたった一人だけ等、考えられるでしょうか?被害者はもっといるはずです。
会社単位で声をあげられるようにするためにも、FOXの例は参考になるでしょう。
より深刻なのは、誰かが必死に声を上げても誰も聞こうとしない、関心を待たない、という現状ではないでしょうか?
そんな中で被害にあった人は孤立させられ、追い詰められ、沈黙したまま時を経ても深い傷を抱え続けます。
日本のメディアの女性たちが最近出版した書籍「マスコミ・セクハラ白書」は、あまりにひどい日本のメディアでのセクハラの被害を告発しています。
FOXの女性たちだけでなく、声を上げた日本のメディアの女性たちにもエールを送り、一人ひとりができることを考える機会にしてほしいと思います。
特に未来を担う世代のために!
※ 映画館で鑑賞される方は、ウイルス感染にくれぐれもご注意ください。
内戦下のシリアで約3年4カ月拘束され、2018年10月に解放されたフリージャーナリストの安田純平さん(45)が、外務省から旅券(パスポート)の発給を拒否されたのは「外国への移動の自由を保障する憲法に違反する」として、国に発給などを求めて東京地裁に提訴したことが12日、分かった。安田さんの代理人弁護士が明らかにした。提訴は9日付。安田さんはシリアでの拘束中にパスポートを奪われ、帰国後の19年1月に再発行を申請。外務省は19年7月10日付でパスポートを発給しないと通知していた。
志葉玲さんが
感情論で安田さんを罵倒するのはやめましょう。
で始まるコメントを書いていたので、本当に愕然とした。私も急ぎ、コメント書いた。
伊藤和子 - 『「旅券発給拒否は憲法違反」 安田純平さんが国を提訴(共同通信)』へのコメント
憲法22条は居住、移転、職業選択の自由の保障を明記し、海外渡航の自由も保障しています。武装勢力に拘束された被害者である安田純平さんに対し、海外渡航の権利を無期限かつ包括的に剥奪するのは、憲法が保障する基本的人権に対する著しく過度な制約ではないでしょうか。いかなる海外旅行も禁止する人権制約の合理性は示されていません。本件では海外をフィールドとするジャーナリストとして生きてきた安田さんの職業選択・職業の自由、活動の自由を奪い、アイデンティティの根幹を侵す結果となっています。合憲性が争われるのは当然であり、憲法判断が期待されます。しかし、訴訟を待つまでもなく、自由の剥奪への速やかな対応が求められるところで、国会でも取り上げられるべきです。報道の自由を奪う事態へのメディアの意識が低いのはなぜでしょうか。海外メディアにお株を奪われる前に、日本の報道機関はもっとしっかり取り上げるべきでしょう。
しかし、自分で言うのもどうかとは思うが、これは私でなくても、法学部大学二年生くらいが言える話。憲法は高校で勉強するから、高校生でも十分言える話のはずだ。
Yahooでオーサーを始めてずっと思っていることは、難しい話はなかなか記事にできないこと。
受け入れられるように、わかりやすい話にまとめる必要があり、誰も言わないなら書くようにしている。このような作業を続けていると、自分自身が迎合的になっていないか、知的に退廃、低下していないかなど、心配になることもあるが、そのようにして書いても、残念ながら普通の人権の議論が受け入れられない場合もある。
まっとうな議論が日本で通用しなくなったのはいつからだろう?
ゴーンの件や伊藤詩織さんの件で、日本の人権の異常さが世界に知れ渡っている。安田さんの件はその上をいく異常さだと思う。これが国際ニュースになればゴーン事件どころじゃなく、みんな開いた口がふさがらないだろう。
これでは日本から逃げ出したくなるが、パスポートがなければ逃げ出すことすらできない。
文化革命当時、「大きな監獄」と言われた(ワイルドスワンより。今も変わってませんが)中国のようだ。
志葉さんはこう解説している。
国側は発給拒否の理由として「安田さんがトルコから入国制限を受けた」こと、つまり旅券法13条の1を根拠にしていますが、これについて明確な事実を国は示していません。また、仮に事実だとしても、トルコ一国への入国制限ならば、その旨をパスポートに記載すればよいこと(実際の事例アリ。それが適切かは別の話ですが)。それにもかかわらず、パスポート自体を発給しないということは、「居住移転の自由」(憲法22条)、「報道/取材の自由」(憲法21条が根拠)の保護という観点から、法の運用として、あまりに乱暴すぎます。
アンチのコメントには、「楽器箱に入って日本から出れば?」というのもあったが、もし安田さんがこのようなかたちで日本から逃げて国際メディアが取り上げたら、日本の名誉は本当に確実に失墜する。このことの異常性に気づけない人が増えてしまったのか?
#沖縄タイムス社 #阿部岳 記者は安田さんをめぐってこういう。
シリアの人々はかつて、秘密警察の監視下で一見平和に暮らしていた。民主化運動が泥沼の内戦に拡大した後、ジャーナリストの安田純平さん(45)は昔の方が良かったのでは、と尋ねてこう返されたという。「飯が食えて安全だったけど、俺たちは家畜じゃない」▼シリアで3年4カ月間拘束された安田さんが無事解放され、もうすぐ1年になる。「拘束は自己責任。なのに助けてくれた政府を批判している」などと今も中傷がやまない
▼事実は違う。全ての証拠は政府が救出を放棄し、無策だったことを示している。当事者である安田さんはそのことを批判しないし、自己責任も否定していない▼自己責任を突き詰めれば、戦地取材も自由ということになる。ところが、被害を受けるわけでもない人が「迷惑だ」と止める。「俺も空気を読んでおとなしくしている。お前も」と言うようなもので、まさに家畜の論理である。自己も責任もない▼家畜同士が忠誠を競い、足を引っ張り合い、足元を掘り崩していくのはご主人様には好都合だ。放っておいても統制され、厳罰を受け入れるようになる
まさに家畜の論理「俺も空気を読んでおとなしくしている。お前も」自己も責任もない
気が付けば、声を上げているのはフリーと沖縄のメディアだとわかる。在京の主要メディアの反応は驚くほど弱い。自分たちのこととして、もっと怒るべきではないのか?問題提起すべきではないのか?
戦地に誰も派遣せず、国際情勢分析は海外メディア頼み、戦場ジャーナリストが危機にさらされ、批判にさらされ、パスポートを取り上げられるという異常な状態になっても、何ら行動しないのだろうか。
この社会のこうした状況は、異様で危うい。
年始早々「第三次世界大戦か?」と世界を緊張させた米国とイランの緊張関係は、戦争にまで行かずに済みました。
しかし、めでたしで終わっていいのでしょうか?
なぜ司令官は殺害されたか、武力行使は国際法上容認されるものだったのか?検証が残されています。
高まる米・イラン緊張とトランプ政権の国際法違反。最悪の結果を回避するためにという記事でも指摘したとおり、この攻撃は予想される攻撃の前に先制攻撃する、先制的自衛権行使(Preemptive self defense) でした。
ポンぺオ国務長官は司令官殺害は、予想される「差し迫った脅威」から自国民を守るための行動だったとしていました。
しかし今、このポンぺオ氏の説明-「差し迫った脅威」(Imminent Threat)から自国民を守るための行動だったとする説明は根拠のないものではないか、という疑惑が浮かび上がっています。
例えば、14日東京新聞は「米軍がイランのソレイマニ司令官を殺害した根拠として、「四つの米大使館が狙われていた」とするトランプ米大統領の説明をエスパー国防長官が否定し、政権内で食い違いが出ている。」と報じました。
「差し迫った」と言いながら、具体的にどんな攻撃が計画されていたのか、政権内で統一した説明すらないのです。「差し迫った」と主張していた当の国務長官が、「攻撃の正確な時期や場所は分からない」とはあまりにひどいと思いませんか?
一方、CNNは14日、イラン司令官殺害「差し迫った攻撃」から「抑止戦略」へ説明が変化と報道しています。
司法長官が、「差し迫った攻撃」という筋立ては人々の注意を引き付けるおとりのようなものだった、と公然と言うのは驚くべきことではないでしょうか。
国民をレトリック、プロパガンダで惑わせて、おとりを使って、誤った戦争に導くことは、特に隠す必要もない政治の現実だとでもいうことでしょうか?
合衆国憲法上、「差し迫った脅威」があれば議会の承認なしに軍事行動を起こせることから、「差し迫った脅威」がないのに、それがあると言い張り、説明を求められても国家機密だと言い張れば、詳細な説明や証拠がなくとも、議会の承認なしに戦争につき進むことができる、そんなことだって可能にしてしまえる、非常に悪しき前例をつくりました。
そして、10日もたたないうちに、「差し迫った攻撃」ではないなどと、主張を翻して平然としているのです。
とても恐ろしいことです。仮にこれで核戦争になっていたらと思うと、背筋が凍ります。
ちなみに、単に「抑止戦略」を理由とする武力行使は国際法上違法です。
14日には以下のような報道まで出ました。
これが大統領のTwitterです。確かに、司令官の過去の悪事を考えれば差し迫った脅威の有無などどうでもいいと言っていますね。
私は司令官殺害について、直後に以下のように問題を指摘していました。
しかし、この間改めて、先制自衛権の危うさを思い知りました。
そもそも国連憲章は2条4項で、武力の行使を原則として違法とし、その例外として憲章51条は「自衛権行使」を認めています。
この「自衛権行使」は、先に攻撃を受けた場合の反撃と理解されてきました。
しかし、米国と英国では、「差し迫った脅威」がある場合も自衛権行使をしてもよい、という危うい立場をしばしば採用し、合衆国憲法では差し迫った脅威がある場合は事前の議会承認も不要とされています。
それでも国際法では「差し迫った脅威」は相手が今まさに核弾頭発射準備をしている、ような非常に差し迫った緊急の場合に限られると解釈されてきました。
ところが米国では、イラク戦争の際に、サダムが大量破壊兵器を持っている、というレベルで、脅威に対処する「先制的自衛権行使」を容認しました。大幅に先制自衛権行使を拡大したのです。イラク戦争では議会承認も得ましたが、結局、大量破壊兵器があるという情報は根拠のないものでした。誤った事実をもとに誤った戦争が行われたのです。
一方、今回は、「差し迫った脅威」というマジックワードが使われ、議会の事前承認すらなく、差し迫った脅威に関する情報が国民に提示されず、議会にすら事前の情報提供もなく、議会承認もないまま武力行使に突き進んでしまいました。
事後的な議会報告でも、CIAから「機密だ」として具体的な「差し迫った脅威」が何だったのかすら説明されなかったといいます。
政権のやり方に怒りを表明する共和党議員
敵だけでなく国民にも嘘をついて「差し迫った脅威」をでっち上げ、破滅的な戦争に突き進むことすら可能になってしまう。
改めて、先制自衛権行使を容認するリスクを感じます。
今回の事態を受けて、米国と国際社会は先制自衛権を果たして、どこまで許容していいのか、真剣な議論をする必要があります。
議会民主党は威信にかけてこの問題を追及してほしいと思います。
日本もこうしたトランプ政権のドタバタを面白おかしく見ている場合ではありません。日本は決して無関係ではありません。
2015年に成立したいわゆる安保法制は限定的な集団的自衛権行使を容認する法制度です。
「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」(存立危機事態)には自衛隊の防衛出動ができる、とされていますが、限定はあいまいであり、どんな場合に発動されるのか、非常に憂慮されます。
さらにもし日本がNATO同様全面的な集団的自衛権を行使する立場になったらどんなことになるでしょう。
・米国が「先制自衛権」を行使した場合も日本は参戦するのか?
・「差し迫った脅威」という国家機密はどのようにして米国から日本に伝達されるのか?
・政権内でも議会にもまともに説明できない「差し迫った脅威」を日本に説明するのか?
・説明が十分でない、証拠が十分でないと思った場合、日本の政府はどこまで強く説明を求めるのか?
・政府は日本の国会に対し、事前に「差し迫った脅威」に関する情報提供を行うのか?その情報はどの程度国民に開示されるのか?
などの疑問があります。
また、米国の武力行使が国際法違反である場合に、独自に国際法に基づき事態を分析し、違反であるからとして戦争協力を拒む可能性があるでしょうか?
実は、「血を分けた同盟」とすら言われる英国さえ、過去にイランに関連した軍事行動は国際法に反するとして米軍による基地使用を拒絶したことがあります。議会は独自に国際法を議論し、司法長官は国際法上許される自衛権の範囲について見解を示し、許される自衛権の範囲を米国が超えた場合、それは違法な武力行使であるから、協力を拒絶すべきだとの結論になりました。
同じ立場に立って、国際法に基づいて日本は対等な議論ができるでしょうか?
イラン司令官殺害で、根拠なき国際法上違法な大戦争を始めかねない米国のリスクが露呈したと言えます。それに対し、日本はあまりに無防備です。
先制自衛権を正当化し、拡大解釈し、濫用する米国にNOといえないまま、ありもしない「差し迫った脅威」のために、何の根拠も大義もなく日本の若者が他国に出兵して人を殺し殺されるようなことがないように、歯止めをかけることの重要性を改めて痛感します。
映画「 主戦場」を見てきました。
ナショナリストと慰安婦問題に取り組む人々のインタビューからなり、論点がクリアにテンポよく整理されて圧巻。
教科書がわりに教育現場で上映してほしい。
日本人がこうした映画を作れなかったことが情けない気持ちもしました(悲)。
監督の事実認識に私はかなり近いものを持っていたので、自分の立ち位置を再確認する意味でも意義がありました。
いろんな見方や着眼点のある映画だと思いますが、私からはネタバレにならない程度に、少しだけ。
歴史修正主義者の話をじっくり聞き、人間として本当に許せないと思ったところは
・マローノ氏の慰安婦の方と慰安婦像を侮辱する聞くに堪えない発言、
・日本会議の加瀬氏が慰安婦問題をSillyと言ったこと
・韓国・中国の人は平気でうそをつくかのような差別的偏見 など。
イデオロギー以前に、人間としていかがなものなのか、とさすがに怒りを強く感じました。
また、元慰安婦の方の発言の変遷を「嘘をついている」かのように指摘する日系人の姿勢に、米市議会議員が怒りを露わにするシーンにはどきっとしました。現代日本に通底しているからです。
セカンドレイプが横行し、麻痺しそうな日本社会の現状を考えさせられました。
それと、とても気になったのは、日本の若い女性がインタビューに答え「慰安婦?わからない」 というような反応をするシーン。韓国のロケでも東京のロケでも違う若い女性たちが出てきて、とても似たような反応をするのです。
本当に習っていないのでしょうか。私は、バカなふりをするのを社会が彼女たちに強要しているように思えて悲しかったです。
この、日本の若い人、特に女性が政治的・ジェンダー関連でセンシティブな問題について、(本当に知らないのかもしれませんが)バカなふりを装わないと生きて生きづらい社会、というのが未来を考えて実に残念なところです。 しかし植村さんバッシングのような面前DV、性暴力についても伊藤詩織さんへのバッシングのようなことがある社会では、若い女性も怖くて言いたいことをいえないでしょう そうやって若い人たちを委縮させ、日本の若者、特に女性はセンシティブな問題を考えたりリスクをとって発言することを避ける文化が定着し、国際的にみても顕著な、人材の地盤沈下が起きそうで本当に残念です。(気のせいかもしれませんが、インタビューに答えた韓国の若者のほうが委縮がなく格段にのびのびして、自分の考えを持っていそうに見えました)。
かくいう私も慰安婦問題についてちょっと発言しただけで、AV強要問題まで「反日の動き」などと杉田議員に国会で攻撃される被害にあいました こういう積み重ねが若い世代にボディブローのように効いてしまう影響は甚大 一日も早くこうした、歴史修正主義者による面前DVみたいな現状を変えないと日本の未来に希望はないと感じます。
そのようなわけで、非常に暗澹たる思いがしたのですが、
この社会の現実をしっかり認識するために、多くの人が見るべき映画であると思いました。
3月28日、名古屋地裁岡崎支部は、娘に中学2年の頃から性虐待を続け、19歳になった娘と性交した父親に対する準強制性交等罪の事件で、父親に無罪判決を言い渡しました。
実の娘と性交をしても無罪放免という結論には多くの疑問が表明され、「これで無罪なら、どんなケースが性犯罪となりうるのか」と、司法に対する強い不信感が表明されています。
このたび、この事件の判決文に接することができましたので、判決の問題点、判決からうかがえる問題点を述べたいと思います。
■ 判決は、性虐待、父親から娘への暴行を認めている。
まず判決は、以下のような事実を認めています(以下、女性はA、父親は被告人とされています)。
なんとひどいことでしょうか。
これに対し、被告人である父親は、性交には娘の同意があったと主張していました。しかし判決文は、
と判断したのです。
父親は中学二年の時から娘を性虐待し続け、父親が未成年の娘の意に反する性行為をした、判決はそのことを認めているのです。
本件で起訴された事案は、2017年8月と9月にこの女性が父親から車に乗せられて、それぞれ閉鎖的な空間に連れていかれて性交をされたという件です。これらの件では、女性は物理的な抵抗が認定されていません。
この性交の直前(7月後半から、8月の性交の前日までの間)の出来事として、判決文は以下のように、父親からの強い暴行があったことを認定しています。
判決は、この暴力により、女性のふくらはぎなどに大きなアザができたとしています。
また、裁判では、精神科医が女性の心理状態について鑑定意見を提出しています。判決によれば、鑑定人は
被告人による性的虐待等が積み重なった結果、Aにおいて被告人には抵抗ができないのではないか、抵抗しても無理ではないかという気持ちになっていき、被告人に対して心理的に抵抗できない状況が作出された
と証言しているとのことであり、裁判所はこの鑑定について「高い信用性が認められる。」と認めています。
さらに、まだ19歳の女性は経済的に実父に依存して生活しており、NOとは言いにくい状況に置かれていたとされています。
判決は以下のように認定しているのです。
こうした事情があるのに、なぜ、判決は無罪を言い渡したのでしょうか。
判決は、以下のように説明します。
確かに日本の刑法178条の2項、準強制性交等罪は、
人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等をした者は、前条の例による。
という条文で、「心神喪失」または「抗拒不能」がないと成立しません。抗拒不能、というのは抵抗が困難、という意味です。
判決はこの条文を本件にどうあてはめたのでしょうか。まず、直前にあった暴行の影響はどうでしょうか。
次に、精神科医から、女性は抗拒不能な心理状態だった、という鑑定意見が出ていることについてはどうでしょうか。判決は
として、鑑定意見などによって裁判所の判断は左右されないんだぞ、という姿勢を示したうえで、
と判断しました。
さらに、女性が被告人に依存していた関係についてはどう判断したでしょうか。
としています。
そして最後のまとめとして、判決は以下のようにダメ押しをして、無罪としたのです。
つまり、女性が被告人に対して抵抗しがたい心理状態にあったとしてもそれだけでは十分でない、
●「解離」という精神状態に至った
●生命・身体などに重大な危害を加えられる恐れがあった
●性交に応じるほかには選択肢が一切ないと思い込まされていた場合
という極めて高いハードルを課して、これをクリアしない限り、いかに性虐待があっても、親から無理やり性交されても、レイプにはならない、父親は何らの刑事責任を問われない、というのがこの判決の結論なのです。
■ 諸外国では「不同意性交は犯罪」が趨勢になりつつある。
このような判断、日本でも愕然とする方が多いことでしょうが、国際的にも仰天されることは間違いないでしょう。
いま、諸外国では同意なき性行為は犯罪、という法改正が進んでいるのです。
最近実施した10か国の性犯罪に関する法制度の比較調査の結果、例えば、スウェーデン、イギリス、カナダ、ドイツ、米国の一部の州(ニューヨーク州等)では、既に同意なき性行為をすべて犯罪とする法制度が実現していることが明らかになりました(ヒューマンライツ・ナウ調査報告)。
#MeTooの影響もあり、この流れはどんどん進んでおり、さらに法改正を進める国も増えていくでしょう。
また、不同意以外の何らかの要件を課す国の中でも、日本のように、暴行・脅迫、心神喪失・抗拒不能、というほどの厳しい要件を課すのでなく、もう少し緩やかな要件で性暴力を認めています。
日本は性犯罪が成立しにくい法規定となっているのです。
もし、この女性と父親がスウェーデン、イギリス、カナダ、ドイツ等に住んでいたなら、同じ事実認定のもとで無罪など到底ありえなかったでしょう。
欧米だけではありません。隣の韓国にも
未成年者又は心神微弱者に対し、偽計又は威力により、姦淫又はわいせつな行為をした者は、5年以下の懲役に処する
という条文があり、未成年は19歳以下とされています。
台湾にも
「性交するために、家族、後見人、家庭教師、教育者、指導者、後援者、公務員、職業的関係、その他同種の性質の関係にあることが理由で、自身の監督、支援、保護の対象になっている者に対する権威を利用した者は、6ヶ月以上5年以下の有期懲役刑に処する。
という規定があるのです。
この女性と父親が韓国や台湾に住んでいたとしても、同じ事実認定のもとで無罪にはならなかったと考えられます。
日本は改めて性暴力に寛大な国、性暴力のうち広範な範囲が犯罪と認められないことが法律で定められている国、として、他国とはかなり異質になりつつあるといえるでしょう。
日本も何も変わっていないわけではなく、2017年に日本では、110年ぶりの刑法・性犯罪規定の改正がありました。
その際にもこの「抗拒不能」という要件は「暴行脅迫」要件とともに問題にされ、『不同意性交はすべて犯罪』にしてほしいとの被害者の切なる意見が届けられました。
しかし、これに先立つ法務省・法制審議会の議論では、この論点は見送りにされました。
法務省の法制審議会の議論にあたって法務省が委員のために配布した資料のなかに、抗拒不能に関する裁判例の紹介があります。
この裁判例をみると、かなり緩やかに抗拒不能を認定している事例が少なくありません。
テレビ局への就職を志望する女子学生が、局の人事担当者と名乗る者から性的関係を迫られ、「断ればここには就職できない」と認識した場合等も「抗拒不能」と認定されている、などの例が紹介されています。
このような判例のみをピックアップされて見ていると、「ま、実務でも常識的な判断をしているのだから、このままでよいのではないでしょうか」という意見に傾くのも理解できます。事実、法制審議会ではそうだったのです。
ところが、このような判例に励まされて、被害者の代理人として刑事裁判に臨むと、現実に横行しているのは、あまりにも高い壁です。
今回の岡崎支部の判例はあまりに極端だと思いますが、それでもしばしば同様の高いハードルが課されているのです。
そこで、2017年法改正に際しては、衆議院で以下のような付帯決議が採択されました。
参議院でも同様な付帯決議が採択されています。
ところが、今回、精神科医の鑑定になど左右されない、裁判官の専権事項として抗拒不能を決めてよい、という判決が出されたのです。
裁判官・裁判所は付帯決議など全く意に介していないのではないか、と疑われます。
今回の判決を受けて検察庁は控訴をしました。これだけ疑問がある中、控訴審が原審の判断を維持するのか、注目されます。
しかし、もし逆転判決が出ればそれで一件落着なのでしょうか。
ここで問題にしたいこととして、法制審議会に提出された判例上の「抗拒不能」の判断と、岡崎支部の判決の「抗拒不能」の判断であまりにも「抗拒不能」の範囲に違いがありすぎる、ということがあります。
これだけ裁判官によって解釈に幅があり、こちらでは被害者が絶望の淵に落とされ、あちらでは行為者が有罪になる、ということで、果たして日本は法治国家として適正に平等に正義を実現しているといえるのか、犯罪と非犯罪の境界線が明確にされているのか、予測可能性があるのか、という点で、深刻な疑問があります。
そしてひとたびこのように、著しく「抗拒不能」を限定する判決が出てしまうと、その影響は大きく、検察官は起訴するか否かの判断に慎重になり、多くの性犯罪事例で不起訴が相次ぐという効果に跳ね返ります。判決であればこうやって検討することもできますが、検察官が不起訴にしてしまうとまさにブラックボックス、どんなに不当でも社会ではほとんど問題視すらされません。
私は性暴力にあったのに加害者が起訴されずに悔し涙を飲んでいる女性たちをたくさん見て、相談に乗ってきました。もうこれ以上苦しむ女性は見たくないのですが、現行法がこのままの運用で放置されれば、そうした女性は今後とも後を絶たないでしょう。
性虐待を今も受けて苦しんでいる女性たち、少女たちが日本国内にはどれだけいることでしょう。彼女たち、彼らにとって、この判決やそれを可能としている法制度は絶望しかもたらさないのではないでしょうか。
2017年の刑法改正から2年もたたないうちに、本件に限らず、多くの人が驚くような性犯罪の無罪事例が立て続けに報道されています。 今回は判決文が入手でき、コメントができましたが、他の事例も、裁判官の解釈への疑問から、そのような解釈を可能としている現行法制度の問題が浮き彫りになってくるような事案かもしれません。
法務省では性犯罪被害の実態調査を実施するとのことですが、あわせて判例や不起訴事例なども参考にして、不同意性交なのに処罰されない事例としてどのような事例があるのか、それが実体的正義に合致するのか否かについて真剣な検討を進めるべきです。
そして、暴行・脅迫、心神喪失・抗拒不能の要件を改正することを焦点とする、刑法の再改正について速やかに、真剣に検討を進めるべきだと考えます。(了)
後注: 2017年の日本の刑法改正の際に『監護者性交等罪』という犯罪が新たに導入され、この法改正後は18歳未満の者に対して、親などの監護者がその影響力に乗じて性交等をする行為は処罰の対象となりました。
しかし、今回のように19歳の女性が被害者の場合は適用されません。
また、判決によれば女性は中学2年生の時から性虐待を受けていましたが、日本の性交同意年齢は13歳とされ、14歳以上で繰り返し性交されていたとしても、「抗拒不能」「暴行脅迫」が証拠により立証されなければ、罪に問えなかったものと考えられます。ちなみに、性交同意年齢は諸外国に比較して極めて低年齢に設定され、この点も広く疑問視されています。
追記について: 性交の直前の暴力について、「直前とは?」とのご質問をいただきましたので、本文に追記しました。
今週よりいよいよ国連女性の地位委員会CSWが開幕いたします。
これに併せて、私もニューヨークに入ります!!
ヒューマンライツ・ナウでは、3月11日夕刻に以下のイベントを開催いたします。
「#WeTooとオリンピック:
スポーツ界の差別と性暴力に対して声をあげよう」
http://hrn.or.jp/news/15393/
急なご案内ではございますが、アフターファイブのイベントですので、
是非、お時間のあう方はご参加いただけますと幸いです。
CSW期間中にニューヨークにいらっしゃる皆様も心よりお待ち申し上げています。
また、併せて、ニューヨーク日系人会(JAA)ビジネスウーマンの会主催で、
3月11日夜に「ニューヨークで働く女性たち」シリーズ企画・第3弾日本を騒がせる人権問題総ざらいーーーここがおかしい!ハラスメントの実態と解決への道
http://jwb-ny.org/meetings/
を開催いたします。こちらも是非ご参加いただけると嬉しいです。
ニューヨークで多くの方々にお目にかかれますことを心より楽しみにしております。
「#WeTooとオリンピック:
スポーツ界の差別と性暴力に対して声をあげよう」
来る3月12日、NY市内でヒューマンライツ・ナウ主催の女性の権利に関するトークイベントが行われます。(原題:#WeToo & Olympics: Collective Voice Against Discrimination and Sexual Violence in Sport)
女性の地位委員会(Commission on the Status of Women, CSW)と平行して開催されるNGO CSWでは、女性の権利や地位向上のために活動する世界中の市民団体が、様々なテーマのパラレル・イベントを行います。
今年もヒューマンライツ・ナウは、以下のゲスト・スピーカー2名と伊藤和子事務局長による女性や少女の権利についての討論を予定しています。Eメールによる参加申し込み受付中です。
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日程:2019年3月12日(火)
時間:6:15pm-7:45pm
入場開始:6:00pm
場所:The Armenian Convention Center (Vartan Hall)
住所:630 2nd Ave New York, NY 10016
入場:一般公開&無料(寄付歓迎)
使用言語:英語
参加申し込み:[email protected]
ゲスト・スピーカー
• ナンシー・ホグスヘッド・マカー氏(Ms. Nancy Hogshead Makar)
オリンピック水泳金メダリスト。公民権弁護士。スポーツ界の少女・女性に法的アドボカシーを施す非営利団体ChampionWomenの取締役。共著に、性別による差別を禁止する連邦法と社会変革を書いたEqual Play, Title IX and Social Changeがある。
• ジェニファー・セイ氏(Ms. Jennifer Sey)
アメリカのオリンピック・ナショナル体操チームメンバーに7回選抜される。1986年のナショナル・チャンピオン。リーバイス(Levi Strauss & Co.)のシニア副会長&チーフ・マーケティング・オフィサー。エリート体操選手としての体験を基にした著書Chalked Upは、ニューヨーク・タイムズEブックのベストセラーにもなっている。
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2020年の東京オリンピック開催まで残りあと1年半足らずとなりました。オリンピックは世界中の注目を浴びる国際イベントです。主催国内ならびに国際社会で、少女や女性に対する差別や性的暴力、さらには人権一般に対する意識を高める絶好の機会でもあります。
今回のイベントでは、アメリカのスポーツ界における差別や性的暴力の実態、それらが許されてしまう社会的あるいは文化的背景、被害をなくすための取り組みなどを紹介するとともに、スポーツ界、そして社会一般における女性に対する差別や暴力をなくす必要性を討論します。また、声を上げた被害者を大勢でサポートすることによって社会変革を可能にする#MeTooや#WeTooの重要性と可能性についても討論します。
下記からイベント案内ページがご覧になれます。
http://hrn.or.jp/news/15393/
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JAAビジネスウーマンの会
2019年3月講演会&交流会:NYで働く女性たちシリーズ第3弾、伊藤和子 日本を騒がせる人権問題総ざらい「ここがおかしい!ハラスメントの実態と解決への道」
講師:伊藤 和子さん(弁護士、国際人権NGO・Human Rights Now事務局長、ミモザの森法律事務所代表)
モデレーター:津山 恵子(国際ジャーナリスト)
♦ 日時:3月11日(月) 受付開始 6:30pm /開演 7:00pm
♦ 場所: 日系人会ホール 49 West 45th Street 11階
♦ 参加費(軽食付) ゲスト $30/JAAメンバー $25 /学生 $20(現金 or チェック=宛先 JAA)
♦ お申し込み・ご質問 [email protected] (自動返信応答あり)
· 講演会後は、軽食と共に、参加された皆さんとの交流会となります。
· 参加費は、食事等の経費を差し引いた全額は、日系人会への寄付となります。
· 当会主催の講演会は、すべてボランティアで運営 しています。
講演会の内容:
女性であることで理不尽に差別されずに、やりがいのある仕事を求めて弁護士になった伊藤和子さん。弁護士活動と共に、国際人権団体・Human Rights Nowの事務局長として精力的に世界の人権侵害に取り組む活動を続けておられます。3月の国連本部での国連女性の地位向上委員会イベントに参加のためにニューヨーク入りされるのに合わせて、昨年3月に続いてお話いただきます。
今回は、その後も日本を騒がせている人権問題や女性を取り巻く事件や問題などについてその実態や本質的問題の解説や解決策について、時間の許す限りお話を伺いたいと思います。
昨今、日本でニュースとなった話題を挙げてみますとーー
<女子学生の医学部不当受験問題><ヤレる女子大生><NGT48山口さん><技能実習生・外国人労働者問題><熊本県子連れ議員><慶応のレイプ犯不起訴><就活中のセクハラ被害
東南アジア、タイとカンボジアへの出張に出ています。
千葉県野田市で、小学校四年生の女の子が自宅浴室で死亡した事件。女の子は学校で取られたアンケートに
「お父さんにぼう力を受けています」「先生、どうにかできませんか」
とSOSを送ったのに、公的機関は適切な対応ができず、教育委員会に至ってはアンケートのコピーを父親に見せる等したことが明らかになっています。
さらに衝撃を与えたのは、逮捕された母親も、父親からのDVを訴えていたと報じられていたことです。
夫の暴力とその恐怖によって家庭が支配され、夫婦間の暴力と子どもへの虐待がコインの両面のような関係になり、最も弱い子どもが犠牲になる。
何度いたたまれない、悲しいことでしょうか。
しかし、これは決して極端な話ではありません。私が手掛けてきたDV事件も一歩間違えたらこうなっていただろう、と思い、背筋が凍る思いがしました。
こうした悲劇の萌芽は実は多くの家庭が抱えている。だからこそ、この事件が突き付けた課題は重いと言えます。
DV、その被害は日本では深刻です。
内閣府の調査によれば、配偶者から「身体的暴行」「心理的攻撃」「経済的圧迫」「性的強要」のいずれかの被害にあった女性は30%を越え、そのうち身体的暴行を受けた女性は約20%とされています。男性が配偶者からの暴力にあうケースも無視できません。
「なぜDVから逃げ出さないの?」と疑問に思う人もいるかもしれません。
しかしDVが始まると多くの女性は驚きや恐怖から身動きが取れなくなりがちです。人格を否定する暴言を浴びて、自分を価値のない人間だと思いこまされ、この人といるしか道がない、絶対に離婚はできないと信じ込まされます。
DVにも波があり、嵐が収まれば優しい時も多いので、翻弄され、
「共依存」
という関係に陥ることがしばしばです。
やがて、被害者自身が、暴力を周囲にもひた隠しにして、人間関係の殻に閉じこもり、益々支配されるようになります。
私が手掛けるDV事件のなかには半年間足らずで完全に洗脳されてしまった女性もいるほど、DVの猛威は深刻です。
そしてDV=力で家庭を支配する者が暴力の矛先を子どもに向けることは自然なことであり、被害者である女性は共犯者になってしまうのです。DVのストレスから母親が虐待を止められなくなるケースもあります。
そして、 「虐待の連鎖」
というように、暴力を間近に見て育った子どもは自分の家族に暴力をふるうようになる。その影響の大きさを考えると、家庭内のDVは決して放置できない深刻な問題です。
DVや虐待の悲劇をどうしたら防げるか、国は明確な対策に乗り出すべきです。
まず、周囲が手遅れにならないうちに介入し、DVをする配偶者から引き離すことが大切です。
DVはなかなか治りませんし「我慢しろ」と言うのは最悪の結果を生みます。
特に、最初の子が生まれる前後でDVは深刻化しますので、周囲がよく注意して話を聞いてほしいと願います。
DVは離婚の原因として認められ、最近は「保護命令」という制度で被害者が守られます。
一日も早く暴力に支配される家庭から「逃げる」ことを促してほしいです。
逃げるは恥だが役に立つ、といいますが、恥ですらありません。
困難を乗り越えようとする我慢強い女性、「彼を幸せにしたい」と思い優しい女性に限って深入りして、逃げられなくなりますので、本当に注意してあげてほしいです。
若い人たちの教育も大切です。
DVの危険な性質を理解して、交際相手による暴力や暴言を決して許さないし見過ごさない、DVの兆候があれば交際しない、早めに別れるべきだとしっかり教える必要があります。
そして、親しい人~家族に決して暴力をふるってはならないという非暴力の教育を小学校から大学まで、徹底する。
児童虐待の悲劇をなくすためには、「今ここにある危機」への対応とともに、芽のうちから摘み取る努力が何よりも必要です。
寒い毎日が続きますね。一月の新年ってとても輝かしいですけれど、急にインフルエンザとか風邪、寒いから急に体調悪くなったりしがち。いかがお過ごしでしょうか。
でも、もうすぐ2月になり春が近づきます。
私の最近の近況としては、あと1ヶ月後に迫った
2月12日のチャリティ・ディナーパーティー
ヒューマンライツ・ナウ
Love and Human Rights
バレンタイン・チャリティーディナーパーティー
の準備でいろんな方々にお誘いをしております(^^)
https://hrn.or.jp/charityparty_2019/
なんと、ヒューマンライツ・ナウが初めて開催するチャリティパー
これまでもネットワーキングパーティーは時々開催させていただいていたのですが、
正式なチャリティ・パーティーは初めてです。
これまでのイベントと違って少し高めの価格設定なのですが、、皆様にご協力いただいて、是非、成功させたいと思ってます。
これまでは「あまり高額のお支払をいただくパーティーって、ちょっと申し訳ないなあ」と思ってきました。
でも、今回開催することになったのは、より多くの方に支援をしていただきたい、理解をしていただきたい、そして、団体をもっと成長させたい、と思うからなのです。
日本の市民社会はどうしても資金力が足りなくて影響力が
特に人権団体にはお金が集まりにくいです。
でも、そんな中で人権団体があまり活動をできないと、人権意識も高まらなくてみんなが苦
例えば、お金を使うのでも、教育や貧困、途上国の現場の支援、そんなところにカンパを送られる方もいるかもしれません。でも人権侵害の構図の一番末端で起きてしまっていることを何とかするためにも、そうした問題を生み出している、構造そのものや仕組みを変える、そうした構造だったりカルチャーを許してしまっている、その部分を変える努力をしていく必要がある、と私は思うんです。
みなさんがちょっとお金の使い先に民間
そしてそれを若い世代にバトンタッチしていきたい。ヒューマンライツ・ナウには、それこそ毎日毎日、すごいたくさんの人権の相談が来て、まるでオフィスは社会の縮図、「みんな私たちのことを公的な機関(Institution)と思っているかな」と思ったりします(^^)
ご要望にお応えするために、毎日がんばっていますが、でも私も生身の人間だし、持続可能にやっていくためには個人の努力だけではだめで、団体が大きくなって、若い人たちを育てて、次世代にバトンタッチしたいなあ、と思います。
チケット18, 000円(1月申し込みの場合)って、一日にすると50円なので、数ある支援先の中から一部だけ、ヒューマンライツ・ナウもお金の使い道に含めていただけたら、もっと大きな変化を作れるんじゃないかな、と思います。
そして、パーティー
バレンタインデーは愛の一日ですが、こんなパーティーに出て愛を感じる素敵なバレンタインデーを過ごすのもいいのではないかな、と思います。
みなさんのご参加お
呼びかけ人
久保利英明 濱田邦夫 菊間千乃 国広正 寺尾のぞみ 伊藤真 道あゆみ 大西基文 ほか
株式会社フジテレビジョン / 報道局員 阿部 知代 氏
株式会社マネーフォーワード / 取締役 瀧 俊雄 氏
株式会社メルカリ / ビジネスリーガルチームマネージャー 上村 篤 氏
LINE株式会社 / 公共政策室社会連携チーム 松根 未和 氏
下記のボタンからお申し込みください。(外部サイトへ移動します)
https://2018hrn-charityvalentine.peatix.com/
上記方法が困難な方につきましては以下の方法でお願いいたします。
日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
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