村野瀬玲奈の秘書課広報室

　宗教研究の武田崇元さんが「７・８元首相銃撃事件　何が終わり，何が始まったのか」（河出書房新社）の中でおもしろいことを書いていましたので，一部引用して紹介します。

　統一教会は，韓国はアダム国で日本はエバ国であると，韓国を迫害した罪により神の怒りで滅ぼされるべきところ，文鮮明尊師が神にとりなしてアダム国に尽くすエバ国という使命を与え給うた，だから日本人は過去の贖罪を含めて夫である韓国に尽くす義務があると，そういう歪んだ血債主義で洗脳して献金させ，さらに合同結婚で多くの日本人女性を韓国の田舎に送り込んだわけです。そして略奪した資金で統一教会は世界的な反共謀略を行い，韓国の軍事政権を支え，日本で改憲やスパイ防止法制定運動を展開したわけです。その原資はすべて日本の純朴な民衆から略奪したものです。これは反共のために行われたとてつもない醜悪な構図です。従軍慰安婦の少女像に抗議し，徴用工判決に抗議し，ひたすら反韓感情を煽ってきた自民党が，「反日」的教義で日本の民衆を騙して略奪経済をやってきた統一教会を野放しにして癒着してきたわけです。しかし，リベラルは統一教会の「反日」性についてはあまり突っ込まない。統一教会の記者会見で，従軍慰安婦や徴用工問題，竹島の帰属，日韓併合についての意見を求めればいいのになぜかやらない。統一教会の二枚舌が自己破綻する根幹をなぜか攻めない。こういう個々の問題を突きつければ，どう答えても自民党支持層の反感を買うか，韓国で袋叩きにあうかというところまで追い込めるのにやらない。自民党に対してどうとかではなく，統一教会の「反日」性については突っ込まない。
　しかし，リベラルは統一教会の「反日」性についてはあまり突っこまない。・・どうもリベラルの間では，そこはあまり問わないという暗黙の了解があるらしい。・・その理由は，いまやリベラル自体が歴史認識の問題から逃亡しているからなんですね。だからこそ，多くの知識人が朴裕河『帝国の慰安婦』に飛びついて絶賛し，「朴裕河氏の起訴に対する抗議声明」まで出した。上野千鶴子だとか島田雅彦だとかどうしようもない連中が大半ですが，大江健三郎まで賛同人になっているのにはさすがに驚いた。そもそもあれは慰安婦が名誉毀損で民事とあわせて刑事告発したのであって，学術論文だろうが小説だろうが関係ないのに，あたかも韓国の司法が「学問の自由」に干渉したかのような抗議文にも唖然としました。
　そんなていたらくだからだめなんだと思う。自民党による戦前の朝鮮支配の居直り，賠償拒否によって，逆に求心力を得た統一教会の「反日的」教義。リベラルは歴史認識の問題から逃亡しているために，歴史修正主義を背景に逆説的に力を持った統一教会の「反日的」教義への言及を避け，なぜ日本が主な資金源になったのかを含め，構造的な問題を指摘できずにいるわけです。

　以上で引用を終わります。

　宗教学者の島薗進さんが「７・８元首相銃撃事件　何が終わり，何が始まったのか」（河出書房新社）の中でこのように書いています。

　1984年当時，統一教会の批判はキリスト教の牧師たちと少数のジャーナリスト，そして共産党しかやっていなかったのです。大手メディアで批判的な報道をしたのは筑紫哲也が編集長だった『朝日ジャーナル』だけです。1984年から87年に継続的に取り上げ批判していたのですが，やがてこれも静かになります。樋口毅『記者襲撃』（岩波書店，2018年）では，赤報隊が関与していたのではないかと推測されています。1987年に朝日新聞阪神支局の記者が散弾銃で殺されました。朝日新聞には統一教会関連の脅迫メッセージも届いていました。『朝日ジャーナル』が統一教会を報道しているので，その大元である朝日新聞社を罰するというものです。
　これは未だに犯人がわかっていません。副島襲撃事件（「世界日報」の副島義和編集局長と井上博明経理部長が教団から独立して一般読者を獲得しようとし，統一教会は両者を追い出した。追い出された両者は「文藝春秋」に内部告発記事を書き，1984年6月2日に副島氏が滅多刺しにされた）も赤報隊事件も統一教会が関係したということを示す証拠は出ていないのですが，副島事件は統一教会が疑われて然るべきです。あまり報道もされず，警察も動かなかった。犯人が明らかになるまで徹底した捜査をしたかどうかを疑う余地があります。
　1984年に岸信介元首相は脱税で収監されていた文鮮明の釈放を求める歎願書をレーガン大統領に送っています。政治的に非常に支持されている人物に関わるような捜査を警察がしたのかどうか疑いの余地はある。そういうことがまた恐怖心を生み，メディアを抑制する。『記者襲撃』では「朝日新聞」と「世界日報」つまり統一教会と手打ちをしたと書かれています。これ以上の批判をしないから攻撃を控えてもらいたい，という話し合いではなかったかと疑われているのです。1992年は大々的に合同結婚式が行われ，桜田淳子や山崎浩子も出たことで大きく報道されました。その頃からオウム真理教が問題になっていて，幸福の科学が講談社とトラブルを起こしました。ところがこの年に入管法上では入国できない文鮮明が入国しています。これは金丸信が招いていて，中曽根康弘などに会っています。ここでも批判的な行動や警察の取締りができんなくさせる圧力があり得たと私は考えています。

　以上で引用を終わります。私は赤報隊事件は統一教会が起こした事件の疑いが強いということは知りませんでした。

私が良心を感じる判断をした裁判官の名前を此処に記録していこうと思います。 随時更新していきます。 樋口英明さん 大飯原発運転差止請求事件判決要旨全文 2014年5月21日 ・・・・・ 被告は本件原発の稼動が電力供給の安定性、コストの低減につながると主張するが、当裁判所は、極めて多数の人の生存そのものに関わる権利と電気代の高い低いの問題等とを並べて論じるような議論に加わったり、その議論の当否...