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もう一つリンク追加
http://www.nhk.or.jp/hearttv-blog/1000/129601.html#more
より
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◆「SARC(サーク)とうきょう」
(性暴力救援センター・東京)
今年6月に開設された性暴力被害のワンストップセンター。
24時間、相談員が電話対応している。
電話:03-5607-0799
http://mobilesaq-en.mymp.jp/
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http://www.asahi.com/national/update/0515/TKY201205150234.htmlに関連記事
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性暴力被害、24時間支援 6月から東京で電話相談開始
性暴力にあった女性と子どもを被害後早くから支えようと、DV(ドメスティックバイオレンス)などの問題にとりくんできた女性たちが「性暴力救援センター・東京」を結成した。6月から24時間の電話相談を受け付け、早期の医療ケアに結びつけていく取り組みを始める。
性被害の場合、早く産婦人科に行って適切な処置を受けられれば妊娠を防げる可能性が高くなり、心身の回復にもつながりやすいとされる。ただ、被害を周囲に話したり、病院に行ったりするのをためらう人が多いのが特徴だ。
こうした課題を解消するため、安心して話せる相談窓口の整備や受け入れる医療体制づくりが各地で進んでいる。大阪では一昨年春に民間の「性暴力救援センター・大阪」が病院内に専用診察室を設けて電話相談を始めた。その夏には、愛知県警などが「ハートフルステーションあいち」をスタート。6月からは佐賀県も始める予定。東京のセンター結成もこうした取り組みの一つだ。
センターの代表は東京都江戸川区のまつしま病院(産科、婦人科、小児科、心療内科)の佐々木静子院長が務める。事務局長の平川和子・東京フェミニストセラピィセンター所長は、被害から何年もたって相談に来る女性たちにカウンセラーとして接してきた。「被害直後からのケアが、どうしても必要。急性期のケアができる場所をつくれば、いろんな支援につながりやすい」と語る。
電話を受けるのは、NPO法人「女性の安全と健康のための支援教育センター」による性暴力被害者支援看護職養成講座(40時間)を修了した看護師ら。必要に応じて、弁護士や精神科医、シェルター(避難所)も紹介する。本人が望めば警察に通報する。
電話相談の番号は03・5607・0799。相談は電話・面接とも無料。活動費は寄付を募っていく。(編集委員・河原理子)
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勇気があるから訴えたわけではない
自分のことを書くのはかなりエネルギーがいるので、とりとめのない文章や誤字脱字があるかもしれないけれど、勢いにまかせて書きたいことを書く。
私は警察→犯人逮捕→起訴→裁判、となったわけで、
殆どの人が警察に行けない、行ったとしても門前払いされたり、うそつき呼ばわりされて屈辱と憤り、重い悲しみを抱えて引き下がるしかなかったり、被害届を受け付けてもらえなかったり、告訴するなと圧力かけられたり、などなどで、みんな大変な思いをしているわけです。
で、なんとかふんばっても、結局は不起訴になることが多いわけです。
あまりの過酷さに被害者が途中で断念して示談するしかなくなったりもします。
最近は警察が被害者の情報を加害者に教えるのは問題外、みたいにニュースにまでなったりするけど、私が被害にあったときは、むしろ警察が積極的に示談のために弁護士とか加害者とか加害者の親族とかに被害者の情報を教えるの普通でした。
弁護士が示談を強要した、ということで被害女性が裁判を起こして勝った事例も最近あり、本当に必要なことだとつくづく思い、裁判を起こしてくれた方に感謝の気持ちがいっぱいになって、自分の悔しさを思って泣いたこともあった。
刑事裁判すると特定されやすいということもあって、なかなか発言するのが難しかったりします。
訴えなければもっといろんな形で話せるのに、と歯がゆく思ったりもします。
正直、訴えなければよかったと何度も思いましたし、今もそう思うときもあります。
私が違和感を覚えるのは「訴えて勇気があったね」というような言葉をかけられたとき。
訴えなかったらずっとあのストーカーの日々が続いてまた同じことされるのに?
正直、また犯人の顔を見ることを考えたら耐えられなかった。助けてほしかった。もうずっといつ殺されるかわからないと思っていたから。
ううん、理屈じゃなく、もう恐怖でいっぱいで、あんなやつが私の周囲を今後もうろつくなんて、耐えられなかった。恐怖で、頭で考えてのことじゃなくて、ほんとに理屈じゃなくて、ひどい恐怖でなんとかしてくれと思った。
いろんな小さな幸運(かどうかはわからない、例えば加害者にたくさん前科があったこととか)が重なってなんとか起訴されたわけですが、
保釈申請するだの、加害者の親からは呪い殺すだの、弁護士はアポなし訪問してびびらせて精神的に追いつめて示談に持ち込もうと何度もやってくるし、本当に地獄の日々でした。
加害者を監督する立場の人間に突然呼び出され(こっちの身元を知られてるのがまずものすごく嫌です)、謝りたいという名目で呼び出され、その割に謝罪の言葉は一切なく、
加害者にはほとほと迷惑していたが合法的に?追い出せないので困っていた。示談とかせずに最後まで頑張ってほしいとかわけのわからないことを言われたり。ってかお前らも傷害やら器物破損とかで訴えろよって今なら言うけど、こんなに腐った奴らばかり世の中にいっぱいいるということを知らなかった私。
罰してほしい、と冷静で、相手を許せないと憎んで訴えていたらもっと気持ち的に楽だったかもしれないと思う。闘志があれば。
私の場合はもちろん許せないし激しい憤りから憎悪を感じもしたけれど、それも本当に苦しかったけど、主な動機は恐怖だったから。
ちょっとのむこうの攻撃でダメージを受けた。実際、ダメージ食らったけど。プライバシーなんて壊されたも同然。それでも出てきたら殺される、報復される、という恐怖が新たに加わりあとにひけなくなった。
ふつうに考えたらもう何もしないよ、したら加害者は終わりなんだから、と、何人もの人に言われたけれど、なにしろ加害者は異常すぎて、普通の人の理屈なんて通用しないのだ。それを一番わかってるのは付きまとわれていた間にいろんな暴力行為、破壊行為を目にしてきた私。
恐怖心で、もう私に危害を加えないでほしい、という一心で、助けを求めた結果が警察に行ったことだから、勇気があるとかそういうのじゃなくて、逆だと思う。
勇気があったら、逆に訴えないで、どうやってヤツを弱体化させるか戦略を練ったと思う。頼りにならない司法システムなんか使わないで。そのときはこんなにも警察も検察も裁判もこんなにもダメで、被害者ってこんなにもひどく扱われるものなんだ、という知識がなかったからできたこと。勇気があったなんてとんでもない。全くなかったんじゃないだろうか逆に。
今は少しはましになってはいるけれど、やっぱりだめだ。
証拠がない、だの、信頼性にかける、だの、なんだかんだいって警察は性犯罪に動かない。
全国の警察で、性犯罪課をつくればいいのに。刑事課の頭の悪い刑事たちはもうほんとに嫌だ。殺人事件とかで所轄の刑事は下働きで、本部からやってきたエリート警察官が仕切る、っていうのに反発するのがドラマとか映画とかで描かれてるけど、だって警察って組織、ドラマと違って、あまりにおばかで、頭を使って考える、ってことできなくて、ただ手順どおりに無理やりにでもことをすすめる人たちがやってるんだから、自分たちでものごとを解決するなんてできるわけないだろうと私は思う。悪いけどね。
性犯罪被害者とちがって、殺人事件の遺族は最終的には「警察には感謝している」という結果になるのもさもありなん。私たちとは扱う人たちも重要度も違うのだから。
だからいっそ殺されていればよかったとも何度も思ったし今も思う。
ここまであの大事な時期に人生を破壊されて、なんどがんばってもうまくいかないという思いをさんざんしたあとには。
警察とか検察が勝手に決めた罪名は「強姦罪」だったけど(今なら「致傷」がつくと思う。当時は全然「致傷」なんて付かなかった)
私にとっては殺人未遂以外のなんでもなかった。
殺されると思ったし、加害者に殺意があったかどうかとか、加害者なんて正直に言うわけないんだから、重い刑罰の殺人未遂で訴えろよと思うけど、なんせ有罪率99%を維持するために、勝てる罪名でしか起訴しない。
私がもっと首を絞められ続けて、脳に重度の障害とか負ったりしたら殺人未遂と強姦になっただろう。
脳に重度の障害負って、植物人間になった方がよかったよ私にとっては。あまりに生きていくのはつらかった。
ふつうに見えるけれど重い障害おってるわけで、それで日常生活を、被害に遭っていない人と同じようにこなしていくのはつらすぎたし無理だった。
そもそもPTSDは立派な脳の障害だ。加害者は殺人未遂と同じだけ、もしかしたらそれ以上の傷を負わせたのだ。
性暴力救援センター のリンク追加
運営母体もさまざまですが、
大阪に一か所、民間のSACHICOができてから、
警察庁のモデル事業として愛知に一か所、
東京にも民間のTSUBOMIができ、
先月7月から、佐賀県でも性暴力救援センターができたそうです。
このブログ右サイドバーに、リンク追加しました。
佐賀のはHPがまだないようなので、一番わかりやすいだろうと思われる佐賀県の説明してあるページにリンク貼りました。
まだまだ足りない。
一か所もなかった頃にくらべたら、ようやくここまできた、とうれしい思いもありますが、
気になる点も。
愛知のは警察庁のモデル事業で、佐賀のは行政が主体となってやってるわけで、民間より断然断然お金は持っている、のに、なんだこの昼間だけ事業は。と色々不満はあります。
正直、24時間ではない、という点で、かなり不備があると思います。佐賀なんて行政主体でお金あるのにHPすらまだですよ。
特に警察庁なんて、把握しているデータだけで、性犯罪が起こる時間が一番多いのは夜だとわかっているはずなのに。モデル事業でこれっておい、みたいな。
被害者としての私自身の経験から言うと、被害直後に警察に行ったら(まず病院に連れて行かれますが、病院内部に設置してあるのが上記四つのセンターのようなのでパトカーで刑事さんに連れられて病院に行くということはしなくていいと思われるし仮にそうなっても配慮がある程度はあるのではと思うしもしなければ自分の嫌なことは嫌と言っていいのです)
立件に必要な証拠もとれるし、
被害直後に駆け込めるところが必要なのに、という思いが強いわけです。
とはいえ、あちこちにできてきたのは、歓迎すべきことです。
ほんとうは各都道府県に一か所でも足りないくらいなのだから。
自分のことを語ることのむずかしさ
ぼかしたりフェイクをいれたりせず、自分にあったこと、自分がそのときどういう状態だったか、
どうしてそういう対応をせざるをえなかったのか、
今にして思うとこういうことだったのだ、と、「私のストーリー』を紡ぎたいときもある。
書きたい、誰かに聞いてほしい、と思うこともあるけれど(主にセラピー目的)、
なにより特定されるのが怖くて書けない。
加害者や加害者親族、二次というより三次加害者が怖い。
それもあるし、当時の私におきたことを、今の私が語ることによって、
もちろん被害者ではなく加害者に暴力の責任はあるのだけれど、
完全にそうは思うことができていない時期というのが結構私は長かったので、今そういう思いがある他の被害者の方にどう思われるか、強い不安がわきおこり、書けない、となる。
傷つけるつもりはなくても、聞いたら傷ついたり反発したくなる気持ちがわきあがるんじゃないかって思ったりする。
少なくとも以前の私ならそうだった。
相手の気持ちの責任までとらなくていいとは思う。
そんなことしてたら何も語れない。
思うけれど。
頭ではわかっているつもりでも。
過去の自分のことを考えるとなかなかそこまでできない。
私がなぜあの頭のおかしいサイコパスのターゲットになったのかとか、自分を責めることなく今は理解できるけれど、それを語っていくには私の性格形成や生い立ちなどにもふれることになる。そしてそれはあくまで「過去の私に起きたことを、今の私の視点から見て、こう思う」ということなのだけれど、
性格とかその言葉自体で拒否反応がおきることだってあるだろう。
私がそういうことを考えているのは、性被害だけでなく、自分の生育環境や性格、価値観がどうだったか、を考えざるを得ない状況に今あるからだ。
性被害だけが私の人生ではないのであり、私の人生を私は見きわめ総括しないと前に進めないことだってもちろんある。
被害者だけでなく加害者もいろいろで、
あくまでも、私に危害を加えた加害者がどうして私にあれだけ執着したのかとか、考えて考えて、いろいろ調べたりもして(頭痛と震えを感じながら)私なりにある程度考えはまとまってはいる。
けれど、だからといって当時の私にはどうしようもなかった。
あのときああしていればとか、こうしていればとか、そういうふうにあれこれ考えたりはしない。
被害者はあのときああしていれば、こうしなければ、と、とてもささいなことでも自分を責めることが多い。実際に私もよく聞く。
私の場合、突然被害にあったわけではないためか、ずっといつ殺されるかわからないという恐怖で過ごしていて、事件(私にとっては殺人未遂だが)が起きた、というか加害者が犯罪をおこしたわけで、ある意味、加害者から逃げる、あるいは加害者が自発的に去るべく、できる限りのことをした結果だったから、ああしていればこうしていれば、とはあまり思わない。逆にどういうふうにしていても結局はああいう結果になるしかなかった、と思う。
恐怖と混乱の中、できる限りのことはやった。そう思う。誰でも同じ状況に置かれたらそうすると思う。
結局、狙われたら最後、なのだ。
だからなぜあんなにも異常な人がうろちょろと世の中にふつうにいるわけ?犯罪いっぱいやってるのに、と、加害者のことを知るにつけ恐ろしさも感じめまいどころでない倒れるほどのショックを何度も経験し、よりいっそうの恐怖を感じた。
そんな加害者が当たり前に私たちまともな人間と同じ社会で生活している、そのこと自体が、そもそも異常すぎる現実だった。私にとっては。
私の場合、加害者の「異常度」が突出していたように思う。そりゃそうだ、サイコパスなんだから。
もちろん性暴力の加害者は全員、正常だなんて全く思えない。全員異常だとは思うが、なんというか、わかりやすい異常性、といえばいいだろうか。前科もたくさんあり、闇の世界とつながっていてーという。
あのときの私にはどうしようもなかった。
あんなに異常な人が存在するということさえ知らなかったし、異常だからどう対応しても結局はむこうが自発的に納得するしかなくて、要するに「あきらめてもらう」のを待つしかなかった。
なんで「もらう」なんて屈辱的な言葉を使わないといけないのか、苛立たしいが、現実はそうだった。
どんな人間関係でも、どちらかが距離を置こうとしたり、接触をたとうとしたりする、というのは当たり前にありうることで、それを普通の人は受け入れるのだ。やり方や形はさまざまであっても。
それが、加害者は違う。何が何でも受け入れない、自分の思うとおりにしか行動しない、自分以外のことも自分に決める権利がありそれに従うのが他の人間だと本気で思っている。話し合いなんて成立するわけなかったのだ。穏便な解決法なんて存在しなかった。
当時のことを思い返してみると、
普通の人のようにいくら誠意をつくして気持ちを伝えて丁重にお断り申し上げても、逆にきつくはねつけても、思い切って無視しても、
加害者は自分の思うとおりにしないと気が済まないのだから、つきまとい続けるし暴れるし、私の関係者を脅迫したりと、今度は他の人に迷惑がかかる。
私のたとえば職場とか実家とかも何もかも知られてしまっていて、身動きがとれなかった。
もちろん最初は正常な人であるかのようにふるまうのだから、つきまとわれ続けている間に何も知られないようにするというのは無理だ。仮に私一人がそうしたとしても、他の人をおどしたりもしくは何らかの不正な手段をつかって情報を手に入れるなど簡単なことだ。なんのハードルもない。捕まったら困るとか追及されたら困るとか考えないのだから。異常者なのだから。犯罪のプロでもあるのだから。
いったいどうすればよかったのか?
防ぎようがなかった、としかやはり言いようがない。
加害者が刑務所にいればもちろん私はストーカーされることもなかった。加害者に目をつけられることがないのだから。
当時はストーカー防止法もなく、まあ仮にあったとしても、警告されたところで逆上するだけで、全く警察の介入なんて加害者は意に介さなかっただろう。ただ私が思い通りでないことをしたという、思い通りに支配できるはず、支配していいもの、自分の所有物と思いたい(もしくはすでにそう思っていたか)「オンナ」が、ささやかな反抗をしたから、逆らっていいはずはない、絶対君主である自分の力を思い知らせてやる、という感じで暴力はエスカレートして、決して終わらなかっただろう。
やはり同じ結末でないと終わらなかった。
そして被害者は私だけでなく、たくさん―ほんとうにたくさんいた。
なぜなら加害者は自分の行動を決めるのは自分だと思っている。そしてほかの人間にもそうする権利があることは理解していない。全く。
だから自分を恐れ嫌う相手のことは生意気な虫けら、としか思えなかっただろうし、
ましてや自分が気に入った「オンナ」が自分の思い通りにならないなんてそんな現実に生きることはできない。だから、暴力という手段に訴える。言うことを聞かせようとする。
そしてそのまま監禁したり、あるいは自分に逆らう「生意気なオンナ」を成敗してやった、と自分を納得させ、「他の人間にも意思がありそれは尊重されるべきである」という当たり前の現実なんて存在しないかのように、決めるのは何もかも自分一人だということを確認するために、犯罪をつぎつぎ重ねていく。
※加害者にとって女性は「モノ」でしかないから「オンナ」と表記した
誰も、どんな権力もとめることはできない。
できるとしたら、刑務所に入れておくことが唯一の方法。
被害者を出さない方法。
裁判の傍聴などで、やたらと「働く」ことが更生、とでもいうような風潮が当たり前に存在しているように感じるのが気にかかる。刑務所の中でも刑務所の外でも、働きさえすれば更生、と本気で弁護士も裁判官も思っているのではないか。
いやむしろ社会と関わらないでほしいんですけど。
遊んでていいので、懲役とか別にしなくていいので、とにかく隔離しておいてください、というのが私の本音だ。頼むから一般社会に出てこないでくれ。できれば死ぬまで。
性暴力加害者の治療プログラムは必要だとは思う――が、加害者のようなサイコパスが一人いると、治療プログラムそのものをめちゃくちゃにすることも多いようだ。少なくともアメリカでは実際にサイコパス研究者によってそう報告されている。
さもありなん、と加害者を(知りたくもないのに)知っている私は妙に納得してしまう。
他のもしかしたら治療可能な(本人たちが治したい、加害行為をやめたいと思わなければ意味がないし、よい印象を与えるために自分が変わるつもりなんて全くないのに取り組んでいるフリをしたりするやつだって多い)
加害者にさえも悪影響を及ぼすなんて、本当にもう、刑務所でさえ悪をまきちらしているわけだ。
考えると脱力感と無力感におちいる。そして頭痛がし、胃が痛くなり吐き気がする。
まあ日本の場合、刑務所内の加害者の治療だけ進めてても意味がないと私は思う。
ないよりまし、みたいな。
裁判所命令でずっと通うようなシステムがなければならないし、やっぱりGPSで追跡してほしい。
なにより保護観察が日本の場合、ボランティアにやらせていて、行方をくらませても保護観察違反とかにはならず放置されるだけなので(どうやら少しずつは変わってきているがボランティアというのは変わってないし変わるつもりもないように思える)
どうしようもない。
雇用の創出のためにも、保護観察官を、訓練をうけた職業として確立してほしい。保護観察を仕事とする人間がいるかいないかでは大きな違いが出る。
ボランティアの方には申し訳ないが、善意では対処できない犯罪者がいるのが現実なのだ。素人理論の説教なんてなんにもならない。専門家でさえサイコパスには全く歯が立たないといっていいくらいだ。
今ここで書いたようなことがずっと懸案事項として、加害者への恐怖として、私には現実でありとても身近で逼迫した問題なのだけれど、
もちろん世間はそうじゃないから、
自分がひとり世間の感覚からずれているような気持がして、自分がとてもダメな人間のように感じることさえもある。
性犯罪は警察にいけないのが殆どで、行ったとしても殆ど不起訴になるので、起訴されただけよかったじゃないと言われればなんとなく居心地悪く感じるが、なんとなくやっぱり、刑事裁判をしていないからわかってもらえない、と感じることも被害者どうしでもある。
警察でひどい対応をされたとか、不起訴になったとか、そういう人はある程度現実を身をもって知っているからわかってもらえることも多い。
起訴された人が殆どいないからそもそも人数が少ないし、
なんとか起訴され刑事裁判になったにしても自由に何かを言ったり書いたりすることはむずかしい。こういったブログとかも、裁判に影響するからとストップかけられたりするし、被害者はかなりの制限をかけられる。裁判になり裁かれたぶん、報復も怖い。
なにより、刑事裁判になったということは、特定されやすいということでもあるのだから、それがなにより怖い。
というわけで私と同じような立場で情報発信するというのはかなりハードルが高い。
このブログを始めたときもものすごく怖かったし今もこわい。
刑事裁判しても、むしろ裁判後とかは普通にくらしたい、以前の生活に戻りたい、と、性被害に関することから遠ざかりたい、と思うことが多いのではないだろうか。かつて私もそうだった。結局はなかったことにはもちろんできなかった。普通の日常が送れなかった。どんなにもがいても。
そんなこんなで、今私はこうして、つらつらと書いているわけだ。そしてこれからも。願わくば。
ブログについて
ご連絡いただいたみなさま、対応できていなくて申し訳ありません。
お返事も全部はできませんが、お気持ちはしっかりと受けとめさせていただきます。
また、コメントの中で、承認して公開するとプライバシー面が心配、というものは、そのままにさせていただいています。
鍵コメでご連絡いただいた方もありがとうございました。
暑い夏ですがみなさまもくれぐれもお体ご自愛くださいませ。
http://twitter.com/#!/t_manysided
twitterのつぶやきをまとめられるtwilogを今日はじめました。
http://twilog.org/t_manysided
コメントやメールにじゅうぶん対応できてなくて申し訳ありません。
特にメールは、愛猫の看病でいっぱいいっぱいだったこともあり、どなたにお返事できていないのか把握できていないという最悪な状況です。せっかくメールくださった方々、ほんとうに申し訳ありません・・・。すべて読ませていただいています。
最近、まとまった文を書くのがちょっと困難なので、できればtwitterでからんでくださるとうれしいです。
現在、トラウマ治療をすすめていることもあり、心身の調子に以前より波があります。少し最近安定してきたかなとは思いますが・・・。
いずれ、トラウマ治療についても書いていきたいと思いますが、まだまだ先のことになりそうです。
皆様も、くれぐれも、おこころもおからだも、ご自愛くださいませ。
私事いろいろあり、なかなか落ち着いてブログを書くことができません。
最近はtwitterでつぶやいてることが多いです。
アカウント→ http://twitter.com/#!/t_manysided
震災で被災された方々、そのご家族ご友人の方々に心からお見舞い申し上げます。
私はなんとか元気です。
心配なお友達は沢山いますが・・・。
震災が起きる前に、世界で一番愛していた、最愛の存在を失いました。
タイミングをみはからっていたのかなとも思います。
彼のものをまだ片付けられなくて、彼の骨つぼからなかなかはなれられなくて、
「遺骨ペンダント買いーや」と言われてたりもします。
たくさんの決心がつかなくて、もうしばらくこのままで、と、今現在そういった自由がきく生活なのをいいことに、そのままです。
どんなに会いたくてももういない。
彼と過ごした時間は幸せでした。
彼がいたから、あのこがいたから、私は生きてこれた。
感情を失った私に、愛すること、愛されることを教えてくれました。
人間ではないからといっても、人間以上の存在でした。
どんなに彼を愛していたか。
かなわなくても、ずっと一緒にいたかった。
いろんな気持ちが未整理のまま、春が来ました。
4月。沢山の人が、沢山のことにスタートしていく季節ですね。
お星様になったあのこが、虹の橋で元気にかけまわっていることを信じて、
心配かけないよう、私は私で、幸せになるとあのこに誓ったことを忘れないようにしようと思います。
とても、会いたいけれど、もう会えない。
いつも一緒にいたい。
どうか、私が寿命を全うするまで見守って待っていてね。
世界で一番愛してた。今もずっと、これからもずっと、愛してる。
ブログほったらかしてました
- ジャンル : 心と身体
- テーマ : 心と身体のケアを大切に!
私生活でいろんなことがあって、ブログお休みしてました。
今過去記事検索したら、コメント欄しか表示されないということに気付きました。
使いづらかったと思います。
たどり着いてくださった方、ごめんなさい。
ぼちぼちマイペースですが更新していこうと思います。
こちらは性暴力に理解がある方、管理人と友好関係にある方に限定させていただいています。※※
海外では、緊急避妊専用のピル、ノルレボ錠がありますが、日本では承認さえされていません。
二種類の中用量、高用量ピルで代用するしかないのです。身体への負担が大きく、副作用もあります。
しかも、性暴力被害にあった場合、レイプクライシスセンターもなく(ようやく数ヶ月前に大阪に民間のSACHIKOが、愛知県に警察の試験的運用としてワンストップセンターがつくられましたが)、必要なケアを受けることができません。
交通事故や犯罪被害などで、怪我をしている場合は、病院で医療を受けることを優先するのに、
警察は、性犯罪となると、告訴するということを決めていない状態では、病院に連れて行くことさえしません。
緊急避妊は当然の医療ケアとして扱われていないのです。
親告罪だとか告訴だとか、ふつうはなじみのない生活を送っていてわからないことだらけですし、被害直後の混乱した状態で威圧的に言われても逃げ出したくなるのが普通だと思います。ひどい話を沢山聞きます。
警察を経由せずに病院に直接行った場合なども、ひどい対応をされたという話もたくさん聞きます。
こうした現状を変えるためには、
緊急避妊がもっと当たり前のこととして、当然のこととして認められる必要があります。
また、性犯罪被害がどれほど多いのかも認知されていないために、すぐに承認にされないのだと思います。
他国のようにいつかドラッグストアなどでも処方箋なしでも入手できるようになるためには、まず今の段階で承認させなくてなりません。
パブリックコメントは数がものを言います。
数で、承認してほしい、承認反対、が決まるようなものです。
簡単な一言でいいですので、ご協力お願いいたします。
パブリックコメントでは、性犯罪被害にあったということは特に言う必要はありません。
自分の大切な人が被害にあったが、ということでもかまいません。パブリックコメントは誰が書いてもいいのです。被害当事者でなくてももちろん大丈夫です。
被害のことを言った上で伝えたいというお気持ちの方もいらっしゃるとも思います。
どういった場合も、どうぞお気持ちを大切にされてください。
ご自分の心身の余裕と、お気持ちに無理のない範囲でご協力をお願いいたします。
パブコメはこちらから出してください。
https://www-secure.mhlw.go.jp/cgi-bin/getmail/[email protected]
件名に、「ノルレボ錠0.75mgの医薬品製造販売承認に関する意見」と書いてください。
JFPA(日本家族計画協会)の、北村邦夫先生に、下記の文章について、転送転載の許可をいただきました。
ぜひ皆様、広めて、緊急避妊ピル、ノルレボを承認してもらいましょう。
JFPAには以前から、緊急避妊のできる病院が全国どこにあるのか等問い合わせに応じるなど、積極的に取り組んでいらっしゃいます。
緊急避妊Q&A
http://www.jfpa.or.jp/cat5/index06.html で、電話で緊急避妊をしてくれる病院を教えてくれます。
********************************以下、転送・転載歓迎です。************************************
北村邦夫@日本家族計画協会です。
レイプされた、避妊できなかった、避妊に失敗したなどに際して72時間以内に服用することで最後の避妊を可能にする緊急避妊ピル。承認に向けた一歩手前で国はパプリックコメントを求めています。「え?」と首を傾げたのは言うまでもありません。
緊急避妊ピル(ノルレボ錠)も低用量ピルと同じ運命を辿ろうとしているのです。できましたら、このメールを他のメーリングリストなどにもご紹介ください。ご質問などございましたら、北村宛([email protected]) 遠慮なくお問い合わせ下
さい。
以下、サイトにお入りください。(PDFは添付)
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495100233&Mode=0
低用量ピルの時もそうでしたが、承認反対派などが、このパプリックコメントに驚くほど多数の意見を寄せ、承認審議を先送りせざるを得なくなったという忌まわしい過去があります。僕としては、どうしても、そのような動きを阻止したいのです。
できるだけ簡単な意見(例、「○○です。緊急避妊を早急に承認してください」、「○○です。レイプ被害に遭った女性を苦しめたくない」など)で結構です。下記宛お送りいただけないでしょうか。サイレント・マジョリティの汚名を返上して、今こそ行動をおこしませんか?
(1)インターネットの場合には「厚生労働省・パプリックコメント」からお入り下さい。
*入力フォームの「※件名」欄に「ノルレボ錠0.75mgの医薬品製造販売承認に関する意見」と入力してください。
(2)郵送する場合
〒100-8916 東京都千代田区霞が関1-2-2 厚生労働省医薬食品局審査管理課あて
(3)FAXの場合
FAX番号:03-3597-9535
ご意見は、日本語で、個人の場合は氏名、住所、職業、連絡先(電話番号及びFAX番号)を記載して下さい。(連絡先等は、提出意見の内容に不明な点があった場合等の連絡・確認のために利用します)。なお、寄せられた御意見は、個人を特定することのできる情報を除き、公開されることにつき、あらかじめ御了解願います。
なぜ、今、緊急避妊ピル(ノルレボ錠)が必要なのか?
1.日本では、医師が一切の責任を負って、中用量ピル(プラノバールあるいはドオルトン)を処方し続けてきました。
2.現在「犯罪被害者への医療支援」が47都道府県で実施されており、レイプ被害に遭った女性に対して、緊急避妊ピル(中用量ピル)を無料で提供しています。公に承認された緊急避妊ピルがないにもかかわらずです。
3.多発性骨髄腫の治療薬としてサリドマイドが使われていますが、この女性患者に対しては、必要に応じて緊急避妊ピル(中用量ピル)の提供が義務づけられています。公に承認された緊急避妊ピルがないにもかかわらずです。
4.従来、医師の責任で処方している中用量ピルと、今回承認を待望している緊急避妊ピル(ノルレボ錠)の比較研究を北村が実施しておりますが、その出現頻度をみますと、「副作用なし」(41.4%:94.7%)、「悪心」(55.2%:2.8%)、「嘔吐」(13.3%:0%)などとなっており、ノルレボ錠の安全性は明らかです。レイプ被害に遭った女性に対して、それでも中用量ピルを処方し続けますか?
5.層化二段無作為抽出法によって15歳から49歳の国民男女3000人に対して行った「男女の生活と意識に関する調査」(北村)によれば、直近の調査(2010年10月)でも、既に緊急避妊ピルを使用したことのある女性は46万人を数えています。副作用の強い中用量ピルを服用させていることを残念に思います。
6.そして何よりも、ノルレボ錠を含むレボノルゲストレル(黄体ホルモン製剤)単剤の未承認国は、チリ、ペルー、イラン、アルジェリア、アフガニスタン、北朝鮮、日本の7カ国が残されているだけです。日本は最後の承認国になるのですか?
7.薬剤でのパプリックコメントが求められたのは最近では多発骨髄腫治療剤「サリドマイド」以来です。同じ扱いですか?
本件については、以下のサイトも役立ちます。
http://www.watarase.ne.jp/aponet/blog/101111.html
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北村邦夫 (Kunio Kitamura)
社団法人日本家族計画協会 家族計画研究センター・クリニック
Research Center/Clinic of Japan Family Planning Association,Inc.
tel 81-3-3235-2694 fax 81-3-3269-6294
中央公論新社(婦人公論編集)から新刊発売
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『Dr北村のJFPAクリニック』http://www.jfpa-clinic.org/ ブログ更新中
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<追記>
別館のコメント欄にて、ご摘のあった点等について、北村先生からご教授いただきました。
重要な点について喚起いただき、ありがとうございました。
ご親切にお教えいただいた北村先生にも深く感謝いたします。
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緊急避妊ピルについてですが、実は、日本では既に使われているものです。僕自身も緊急避妊ネットワークを組織しており、北海道から沖縄まで実に1500余の産婦人科医が加入しています。緊急避妊が必要になった場合には、03-3235-2638(月から金、10時から16時、祝祭日はお休み)にお電話をいただければ、処方施設の紹介を無料で行っており、昨年度だけでも2千件を超える紹介がなされています。
このように、緊急避妊ピルが承認されていないわが国で、既に緊急避妊ピルが処方されている不思議さ。既存の承認薬を医師の判断と責任で転用することは法に触れないことになっているからです。そのために、ご指摘のように、トリキュラー、アンジュ、トライディオール、マーベロンのような低用量ピルでも、プラノバール、トライディオールなど中用量ピルでも転用してきたのです。でも医師の好意に甘え続けるには限界があります。しかも、通常1錠で済むはずのピルを、2錠(中用量)、6錠(マーベロン)、8錠(トリキュラーなど)も飲まなければならないのですから、吐く、気持ち悪くなるなどの副作用が強く現れてしまいます。ノルレボ錠に比べて、避妊効果も低い。そのために、堂々と、公に使用できる、安全性、有効性が証明されているノルレボ錠を早期に承認してもらう必要があるのです。
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こちらも資料として置いておきます。
同じものを別館にもあげておきます。別館の記事はこちら→http://d.hatena.ne.jp/manysided/20101031/1288505451
※管理人と友好関係にない人、性暴力に理解のない人は、別館へどうぞ。
秋田セクシュアルハラスメント 二審にて提出され、裁判所の判決に採用された、
フェミニストカウンセラー河野貴代美氏の鑑定意見書
「セクハラ神話はもういらない 秋田セクシュアルハラスメント裁判 」p189~192より引用
3 性暴力被害者の行動及び心理状態について
(1) 日本では、性暴力被害者の行動及び心理状態に関して、これまで全く知られておらず、関心も払われてきませんでした。最近になってようやく被害者が自らを開示し、現実に何が行われたか、またどのような心理状態にいたかを少しずつ話し始めました。このような実態は、ほとんど当事者にしかわからず、体験そのものの特殊性を考えた時、これは当然のことと思えます。前記1で、被害者の回復にフェミニズムの視点が必要だと述べたのは、自分を責める傾向を持つ被害者に、フェミニズムの視点に立つことによって「あなたが悪いのではない」というメッセージを送ることができるからです。それゆえ、彼女等もフェミニストカウンセラーに対して自らを語り始めたのでした。通底する共通性(後述)はあるものの、行動や心理状態は、事件の内容、その時の状況、個人性によってかなりの違いを見せます。にもかかわらず、被害者の反応(たとえば本判決にいうところの「大声を上げて逃げる」)等については、きわめて通俗的なワンパターンの考え方が形成され、それらがあたかも普遍的な真実のように流通しております。これはまさしく非当事者が作り上げた「神話」です。
(2) まず、被害にあった時の反応は、一言で言えば「何が起きているかわからない」という言葉に集約されます。カウンセラーとして私が聞いてきた被害者の多くもこのように述べています。本件の控訴人Aは「もし、『これからセクハラしますよ。』と前もって言われたなら、NOと言ったでしょう。でも、」いきなり全く予期しない事をしかけられるわけだから、どう反応していいかわからない」と述べています。この非常に単純な言説に、あまりにも単純であるがゆえの見落とされがちな真実が含まれています。その他被害者は、「びっくりする」「オロオロドキドキする」「血が逆流する」「金縛りにあったような」「頭が真っ白になり何がなんだかわからない」などと述べております。このような心理は予期せぬ事態にあった時の一般的な反応として十分に説得力を持っています。
「何が起きているかわからない」時、人はすぐに次の行動には移れないのです。パッと反応する(例えば「ノー」といったり、相手を押し戻したりする)ことができるという予測は、人が驚愕した時の反応としてまことに不適切だと言わざるをえません。もちろんなかには、反抗や反発ないしは何とか止めさせるためのあらゆる行為をする女性もいるでしょう。しかし、このような反抗や反発をする女性がいるという現実をすべての女性の現実に普遍化するのは誤りで、ましてやこれをもって性暴力(セクシュアル・ハラスメント)の存在そのものを否定するのは、女性の現実を全く無視するものです。
(3) 性暴力の被害にあった女性がどのように行動するか、アメリカの研究を紹介しましょう。
以下では、強姦の被害者の対処行動について述べることとします。
アメリカの研究者(A.W.Bugess, L.L.Holmstrom, Coping Behavior of the Rape Victim, Am J Psychiatry 133:4)は、強姦被害者の対処行動を、Ⅰ強姦の脅迫期、Ⅱ強姦期、Ⅲ強姦直後期、の三期に分け、92人の強姦の被害者の対処行動を分析しています。
Ⅰ期に関する被害者の対処行動は、何の戦略も用いなかった被害者34人、何らかの戦略を用いた被害者58人でした。
戦略を用いなかった被害者のうち二人は身体的麻痺状態、12人は心理的麻痺状態でした。
戦略を用いた被害者の戦略を分析すると(複数回答)、認識的戦略にとどまった人18人、言語的戦略を用いた人57人、身体的抵抗をした人21人でした。
認識的戦略とは、その状況に対してとることの可能な選択肢について頭の中で考えをめぐらせ、決定することです。例えば、どうやって攻撃者の手中から、あるいは車や部屋の中から、安全に逃れることができるかについて、考えをめぐらせたり、パニック状態になった男がさらに加害を加えてくることを恐れて、どうやって落ち着かせようかと考えることです。
言語的戦略とは、その状況から逃れるために、加害者と「どこの学校に行っているの?」等、会話を続けようとしたり、加害者の気持ちを変えるための説得として、「私は結婚しているのよ」と言ってみたり、「主人がじき戻って来るわ」と、加害者を脅そうとしたり、お世辞を使って「あなたは素敵な男だわ、あなたならセックスのためにこんなことをする必要なんてないと思う」と言ったり、言語上攻撃的に「触らないで」と言ったりする等です。
身体的抵抗とは、その状況から逃れると、あるいは攻撃者を脅かすことによって、強姦を防ごうと直接的な行動をすること(たとえば、ガラスの破片で男を刺そうとする、アパートの外かへ男を押し出そうとする等)です。
Ⅱ期には認識的戦略28人、感情的反応25人(泣く17人、怒り8人)、言語的戦略23人(金切り声を上げる14人、話をする9人)、身体的行動23人、心理的防衛17人、生理的反応(失神、嘔吐など)10人、戦略なし1人、不明8人(総数90人)でした。
認識的戦略では被害者はしばしば現実の出来事から精神を切り離し、事態に関係のない別な考えに精神的注意を集中させることによって対処し、生き延びることだけに焦点をあてます。加害者の暴力をエスカレートさせないために、被害者が特に精神的に自制して平静さを保つことは一つの戦略であった、とこの研究者は解説しています。
言語的戦略には、金切り声を上げるというものと、加害者と話をするというものがあります。
身体的防衛は、格闘する等ですが、被害者が抗い抵抗することがまさに加害者の望むところであり、それによって加害者がいっそう、興奮する場合のあることを知る必要があります。心理的防衛とは、耐え難い感情を遮断するために、認知領野を閉ざすことです。たとえば、ある女性は「こんなことが私に起こっているはずがない」と強姦されていることを否認し、ある女性は「私は本物の自分ではない」と分裂感情を経験しています。
以上は、強姦の場合についての分析ですが、強制猥褻等、同じ性的侵害行為を受けた被害者の対処行動も、程度の差こそあれ、同様に考えることができます。
(4) ところで、なぜ、被害の実態に反するにもかかわらず、前述のようなワンパターンの「神話的」反応が流通してしまっているのでしょうか。それは、女性の存在が男性によって規定されてきたという事実に尽きると思います。ボーボワールは、『第二の性』(決定版『第二の性』新潮社)で、「女とは何か」という根源的な問いをたてそれに明確に「女とは他者にされたもの」と答えています。つまり、男たちから、社会から女は「こうだ」と言われ、女性もそれを受け入れてきた長い歴史があります。しかし、これが、本来の自己=女性の現実や実感から遠いイデオロギーになってしまっていることに女性たちが気づき「自分とは誰?何者?」と問い始めたのが1960年代後半のフェミニズムの運動です。女性たちは、他者に規定されない、異なった欲求、感情、行動パターンを持つ種々の女性の存在を主張しております。
女性を規定するなかでも精神分析の創始者フロイトの影響は大きいと言わざるをえません。彼はギリシャ語の子宮を意味する「ヒステリー」という症状概念を作り、困難な事態に直面すると突然失神する女性を研究対象にしてきました。フロイトは(と共に社会も)「ヒステリー発作」に関して二重のメッセージを送っています。一つは、状態像は「病気である」というもの。もう一つは、にもかかわらず、ヒステリーや心気症(ヒコポンデリー)は「女らしさ」というパーソナリティに十分に組み込まれていて、場合や事情によって、突然倒れるのは、より「女らしい」とされるという事実です。まことに女性イメージは勝手な憶測や定義のなかで浮遊し、たくさんの「神話」がまかり通ってきました。
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<2011.7.18追記>
平成9年10月~10年1月末までに全国の警察署で取り扱った強姦及び強制わいせつ事件について、科学警察研究所の防犯少年部付主任研究員の内山絢子が行った調査
被害者の被害時の対処行動では、「大声で助けを求めた」41.7%、「付近の民家や店に駆け込む」6.4%「やめてくれと加害者に頼む」51.5%、「何もできなかった」25.5%
(「性犯罪の被害者の被害実態と加害者の社会的背景」内山絢子 『警察時報』No.11、2000 年)