1972年3月に公開された仮面ライダー初の劇場用新作映画「仮面ライダー対ショッカー」。
同年初めにダブルライダーの共演が実現して関東地方での視聴率が30%を突破し、以後も断続的にダブルライダー編が放送されてライダーブーム最高潮の中で、その空気感を結晶化させたような作品です。
画像は講談社たのしい幼稚園4月増刊号ですが、入手困難のため手元にあるのは一部の切り取りページのみです、無念……(T T
旧1号・2号が大好きな自分としては思い入れのある映画ですが、残念ながら公開時には観ることが出来ませんでした。
当時は6歳で、家族が連れて行ってくれなくては映画を観に行くことは不可能でした。
また映画館のある市街地からは離れた地域に引っ越したばかりで、小学校入学の諸準備などもあり強くわがままを言うことはできませんでした…
「~対ショッカー」は自分の知る限り関東でテレビ放送されたことは無く、テレビマガジンや図鑑類に掲載された写真を見て内容を想像しながら「観たいな~」と思うしかありませんでした。
たの幼増刊号には画像のように詳しい写真マンガが掲載されているのですが、ちょうど小学館学年誌への切り替え時期だったためこの増刊号の存在自体知りませんでした。
その後、1983年ころ宇宙船(朝日ソノラマ)にコマ焼きフォトストーリーが掲載されてようやく具体的な内容を知り、ビデオソフト化で本編を初めて観たのは85年ころだったと記憶しています。
以後はLD、DVD、BDとソフト化される度に入手して何度も観ていますが、やはり「いつか大画面で観たい!」という思いは消えませんでした。
そして先月、多摩シネマフォーラムという映画祭で「怪獣とヒーローと多摩の50年」という企画の1本として上映されることを知り、仕事の都合をつけて無理矢理行ってきました。
さすがにフィルムでなくデジタル上映ですが、公開から50年近く待って、やっと大画面で「~対ショッカー」を観ることが出来ました!
画像は会場となった永山公民館(ベルブ永山)、おもしろいデザインの建物です。
上映素材は最近作られた4K版ではないようで、同時期にYoutubeで限定配信されたものと比べるとかなり彩度が高い印象でした。
そのためライダーの赤や緑、空の青などはとても鮮やかで良い感じだった一方、陰になった時の髪などの暗い部分はツブれ気味に見えました…BD素材程度だったのでしょうか?
それでも35ミリフィルムという高画質媒体に記録されたライダーやショッカー怪人は、造形物の素材感までハッキリ伝わってきて見応えがあります。
怪人たちのウレタンにラテックスを塗った質感がよくわかり、特にハエ男の眼やドクガンダー成虫の口吻のようなクリア素材はきれいでした。
旧2号はテレビ本編では全身新調のレザースーツが使用されていたのは制作初期話数だけで、その時期には講談社の写真取材も無く、初期2号のクリアな写真はほとんど残っていません。
写真取材が再開されたころには見栄えよりアクション性を重視した布製スーツが導入されており、マスクの傷みも目立つ状態になっていて、そうした状況が終盤まで続きます。
撮影会などを例外とすれば、スーツコンディションの良いカッコイイ旧2号は実は稀少な存在なのです。
当時のテレビ放送の解像度ではスーツの状態などはあまり問題にならなかったのでしょう。
劇場用新作の本作ではさすがに大画面での見栄えがきちんと考慮されたようで、バイクやトランポリンのアクション以外はすべてレザースーツが使用され、マスクのコンディションも良好です。
いわゆる「アップ仕様」スーツのダブルライダーのアクションが全編にわたって続くのがこの映画最大の魅力です。
レザースーツのダブルライダーがレッツゴー!ライダーキックのメロオケをBGMに、おなじみの効果音とともにバトルを続ける映像は自分にとってまさに至福で、何時間でも観ていられます(^^
また本作のトピックとして旧1号が唯一ポーズをとって変身することが知られていますが、2号の変身もテレビとは異なるパターンになっています。
ポーズの後でベルトのシャッターが開く描写が無く、タイフーンの発光は独自のパターンが新作されています。
この発光パターンはのちに新1号の変身に流用されたためにそちらでの印象が強いですが、本来は2号の映画用スペシャル変身シーンを意図して作られた筈で、そんなところも本作の見どころです。
ほかに大画面で印象が変わった点に、大道寺博士役の伊豆肇氏の演技があります。
ハエ男から逃げる際転倒したり戦闘員に囲まれておびえるあたりは、映像ソフトで観ていて「ちょっとやりすぎでしょ、味があって好きだけど(^^;」なんて思っていましたが、今回の上映ではあまり大袈裟に見えず「小学生向け娯楽映画の演技としてはこのくらいが正解なのでは?」と感じました。
ブルーライトに照らされた死神博士のアップの迫力、ヒロイン?の斎藤浩子さんがおびえて連発する悲鳴などとともに「大画面上映の効果あなどりがたし!」と実感しました。
画像はいずれも天田のカード・ゲームより。
考えてみると大画面で昭和40年代以前の特撮映画を観るのは、20代の初めにオールナイトの特撮特集に通っていたころ以来だったかもしれません。
やはり、本来映画館で観るために作られた作品は映画館で観ないと本質はわからない面があるようです。
現在公開中の4Kモスラも観たくなってきました。
もっとも、4K対応の大画面テレビで見れば家庭でも近い体験ができるのかもしれませんが…
(そんな住環境は望むべくもない(T T)
なお、今回の内容は幼少期にインプリンティングされた世代としての主観に基づいています。
「~対ショッカー」が、万人向けの素晴らしい映像作品だと考えているわけではありませんので、その点はご理解下さい。
この時のスーツって、二人ともレザーのピカピカだったのですね。
東映チャンネル?で一度だけ見た時に、リマスターしてもボケてるTVシリーズと違い、明るくクリアな画面がどこか気恥ずかしかった(←何だそりゃw)のを覚えていますが、
そんな事情があったのですねえ😊
>リマスターしても
各社でいろいろ差があるようですが、やはり35ミリの情報量は圧倒的みたいです。
講談社スチール並み……は言い過ぎですが、それをトリミングした状態と同程度の画面がそのまま動いているわけですからね(^^
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