仮面ライダー2号 撮影会の整理
A 1971年4月から放送を開始した仮面ライダーは、当初関東地方での視聴率が一桁台で、帰ってきたウルトラマンやスペクトルマンの人気に押されて地味な存在でした。
雑誌連載権を持つ講談社は第1話の途中から写真取材を始めたようですが、原作漫画掲載誌「ぼくらマガジン」の休刊に伴い第10話までで取材を打ち切っています。
その後ライダーの視聴率はじわじわと上昇していき、6月後半以降はおおむね10パーセント台後半をキープするようになり、7月公開の東映まんがまつりで上映された第13話はプログラム中トップの人気になったそうです。
こうした状況下、講談社は仮面ライダーを核とする少年向け月刊誌(テレビマガジン)の創刊を決める一方、ぼくらマガジンから「たのしい幼稚園」に異動した編集者の写真記事制作の意向もあって、第26話(7月ころ)から写真取材を再開しています。
講談社が撮影を中断していた第11話~25話の写真については毎日放送による番宣写真くらいしか存在していないようです。
また朝日ソノラマ関係者によれば東映の版権課には当初からずっと写真素材はなかったそうで、この時期には石森プロも写真撮影はしていなかったようです。
ライダー人気の高まりを受けて関連商品の展開を企画しても、写真の不足が問題となりました。
こうした状況の改善のため、石森プロが中心となって仮面ライダーと複数の怪人によるキャラクター撮影会が行われるようになります。
これには出版社や玩具メーカー、レコード会社など多くの関連企業が参加して自社商品で使用するための写真を撮影し、同時に石森プロも版元として自社で管理する写真素材を確保したようです。
特に8月と9月には大規模な撮影会が行われており、その写真が書籍やカード・ブロマイド類などに大量に使用されたため、当時のファンには印象深いものになっています。
その後は大ブームを起こした人気番組として注目されたため、第4クール分の作品以降は本編制作時に大量の写真が撮影されるようになって、大規模な撮影会はなくなったようです。
仮面ライダーのファンとしては、ライダーや怪人の写真を見た時にそれがいつ撮影されたのか(本編撮影時なのか、撮影会なのか、あるいは単発の取材によるものなのか、など)を考え、判別するのが楽しみでもあります。
ライダーと複数の怪人の撮影会については講談社オフィシャルファイルマガジン仮面ライダーVol,2(2004)で詳述されています。
ただし事実誤認と思われる部分もあり、またその後関係者の談話で判明した事実なども考え合わせると、撮影会の概要は以下のようなものだったようです。
第1回撮影会(1971年5月)
朝日ソノラマ「仮面ライダー怪人大画報」制作のために行われ、石森プロも参加。
登場キャラクターはライダー2号、サラセニアン、死神カメレオン。
B
コブラ男、ゲバコンドル、黒戦闘員(キノコモルグのマーク有)。
C
コウモリ男は基地セットだけでなく屋外でもライダーとの絡みを撮影。
B
第2回撮影会(71年8月)
人気上昇を受けての初の大規模撮影会。
ライダーを含め29キャラクターが登場しました。
まず、ドクダリアン基地のセットで2号、ゾル大佐、ドクダリアン、黒・赤戦闘員を撮影。
B
スタジオ近くの住宅街に移動してカマキリ男、アマゾニア、モグラング、クラゲダール、赤戦闘員。
C
さらに造成地に移動して、サソリ男、サボテグロン、ガマギラー、アルマジロング、地獄サンダー。
A
ちょっと見にくいですがコウモリ男、ムササビードル、ゲバコンドル、ムカデラス、アリガバリ。
Cムカデラスはボディパーツの前後が逆になっています。
死神カメレオン、コブラ男、ヤモゲラス、ピラザウルス、カニバブラー。
B
ザンブロンゾ、ドクガンダー幼虫、アリキメデス、サラセニアン、キノコモルグ。
C
第3回撮影会(71年9月)
クモ男からエイキングまでのほとんどの怪人が登場した、造成地での2度目の大規模撮影会。
ハチ女とドクガンダー幼虫のみ欠席です。
クモ男、コウモリ男、サソリ男、サラセニアン(ベルト有)。
C
カマキリ男、死神カメレオン、コブラ男、ゲバコンドル。
D
ヤモゲラス、トカゲロン、サボテグロン、ピラザウルス。
トカゲロンの背びれが破損しています。
C
カニバブラー、ドクガンダー、ヒトデンジャー、アマゾニア。
Cヒトデンジャーのボディは崩壊しかけているように見えます。
キノコモルグ、クラゲダール、地獄サンダー、ムカデラス。クラゲダールはなぜか赤い手袋をしています。
E
ガマギラー、モグラング、ムササビードル、アリガバリ。この画像はオフィシャルファイルVol,2より。
モグラングは本編とは異なる専用らしきブーツを使用しています(
参照)。
ドクダリアン、ザンブロンゾ、アルマジロング、トリカブト。
EオフィシャルファイルVol,2ではザンブロンゾは欠席とされていますが、画像の通り登場しています。アルマジロングはなぜか左手のみ白い手袋。
エジプタス、アリキメデス、エイキング。アリキメデスはクラゲダールと同じ赤手袋を使用。
E
ラテックスマスクの2号による走行も行われています。
D
なお画像の実験用オオカミ男も、この撮影会と同日か極めて近い時期に撮影されているように思えます。
F場所は造成地ではなくスタジオ近くのようですが、第3回撮影会と同じタイプのブーツが使用されており、同撮影会の写真を使用した書籍や駄菓子屋向け玩具にいっしょに掲載されています。
第4回撮影会(72年6月)
新1号が主役になってから行われた朝日ソノラマ単独撮影会。新1号とベアーコンガー、ジャガーマン、毒トカゲ男、ハリネズラス、カブトロング、海ヘビ男、ギリーラ、ゴキブリ男、ミミズ男、ドクモンドが登場。
仮面ライダー怪人大画報(ホビージャパン2007)に詳細あり。
なお新1号時期には、第4回撮影会の数週間前にエルム単独の撮影会も行われています。
第4クール時期の怪人を中心に第4回撮影会と同程度の規模だったようで、本来ならこちらが第4回撮影会とされるべきだと思いますが、オフィシャルファイルVol,2ではなぜか撮影会にカウントしておらず、判断の恣意性が気になります。
第2回と第3回の撮影会は登場キャラクターの多くが重複していますが、次のような相違点があります。
第2回撮影会の仮面ライダー2号。本編イメージと同じ印象です。
C
第3回の2号。グラブの延長カバーが無く、コンバーターラングが青みがかっています。
Bベルトの飾りボタンは金メッキされているタイプのようです。
第3回撮影会のブーツは、一見長靴に見えるようなタイプが使用されています。
F足首から上が締まっていないのが特徴です。
他にも各怪人のコスチュームの状態や装備の違いなどに細かな相違点があり、撮影時期判断のポイントになります。
画像の出典は以下の通りです。
A 山勝5円ブロマイド
B 天田カード・ゲーム
C アマダトレーディングカード
D 黒崎出版仮面ライダー図鑑
E マルミヅ新しいシール及びミニブック
F エルム仮面ライダー怪人きりぬき画報
ながながと書きましたが、ここまでが前提です(^^;
次回は仮面ライダー2号について気付いたことを書きます。