師走に衝撃の二冊
今年も残すところあとわずかですが、ウルトラマンと仮面ライダーという二大ヒーローの興味深い書籍が発売されています。
以前発売情報に触れていたので、すこし感想を書いておきます。
小学館の『ウルトラマンの現場』は、スタッフ・キャストのプライベートスナップを中心にまとめられた写真集です。
その性質上画質は高くないし多くは白黒写真ですが、それでも充分衝撃的な一冊です。
とにかくページをめくるたびに、見たこともない写真がこれでもかと出てきます。
また過去の書籍で小さく掲載されていて気になっていたものが大きなサイズでクリアに見られたりもします。
(例えばゴメスのアップでは、透明カバーと目玉で構成された眼の構造がはっきりわかります)
個々の写真の解説は関係者の談話で興味深いものになっており、レイアウトも写真をきちんと見せることに留意した適切なもので好印象です。
巻頭にはTBS側プロデューサー栫井巍氏によるウルトラQの成立からウルトラマンスタートまでの事実関係をまとめた文章が寄稿されています。
最重要人物のお一人だった栫井氏ご本人による回顧は、ライターなどの勝手な考察とは次元の異なる貴重な内容になっています。
ご高齢にも関わらず文章が明晰・簡潔なのもすばらしいです。
ただし写真の無い話数についてはまったく取り上げていないので、作品全体の資料を求めるようなライトなファンには向きません。
一方少しでもめずらしい写真を見たくてムックをチェックしてきたようなマニアにとっては、このうえない良書だと思います。
個人的には特撮関係の本でこれほどの衝撃を受けたのは1977年のファンタスティックTVコレクションウルトラマン、1983年の成田亨画集ウルトラ怪獣デザイン編(ともに朝日ソノラマ)以来の、人生三度目の経験になりました。
ひさしぶりにマニア心が発動して、見たおし用の他に保存用も購入してしまいました(^^
私の場合は
一枚目のジュランの特撮風景を見て「おおっ!」となり、
マスコミ向け発表会でのペギラ対パゴスの連写で「うおおおおっっ!!」となって、
ウルトラマン対ネロンガの特撮現場のページで「うわわわあああああアアアアアッッッ!!!!!」
という感じでした(アタマの悪い表現で恐縮ですが)。
秋田書店の『仮面ライダー冒険王』は放送当時に同社が撮影した写真がようやく発見され、ライダー新1号~ZXまでをまとめたものです。
旧1号・2号のファンとしては強い思い入れはありませんが、ほぼすべてが目新しい写真なので充実した内容だと思います。
被写体であるライダーが光量不足で薄暗く見える写真が多いようですが、これは当時の撮影条件のためでしょうか。
ライダー関連の過去の書籍で「講談社は本編と同じ撮影条件だが、徳間の番になるとレフ板を当ててくれなくなり、秋田が撮影するころには撤収作業が始まっている」というような証言を読んだ記憶があります。
キャラクターの写り具合にはこうした環境の影響もありそうです。
また、ページ数が少なくて個々の写真が小さすぎるのが残念です。
構成担当者はかつて講談社の大全集シリーズも担当していて、当時「構成が古臭くてつまらない」などの批判があったそうです。
それに発奮してか最後の『変身ヒーロー大全集』では断ち切りや見開きを効果的に多用したレイアウトになっていて感心したのですが、今回の『~冒険王』は初期の大全集のようなページ構成に退化してしまっていて理解に苦しみます。
すべての写真を四角くトリミングして並べているだけなので、デッドスペースのせいで小さい写真がさらに圧迫されています。
冒険王の過去誌面の再録や子役だった斉藤浩子さんの特集も、それぞれうれしいものではありますが、少ないページ数のなかで適切なバランスなのかは微妙な印象です。
あとがきのページには今回発見された写真ファイルが積まれた画像が掲載されており、よく見ると流星人間ゾーン、レインボーマン、電人ザボーガー、白獅子仮面などと書かれたファイルもあります。
以前の記事で想像した通り、ライダー以外の実写ヒーローの写真も発見されていました。
これらを活用した続刊を出版する意向もあるそうですが、出版自体が右肩下がりの苦しい状況なので高額化は避けられないようです。
なんとか、往時の変身ヒーローたちの貴重スチールを集めた写真集を実現してほしいですが…
とりあえず『仮面ライダー冒険王』が実績を作らないと事態は動かないでしょうから、ブログをお読みのみなさまも、ぜひ。