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- » 2025 . 06
Category : ミリタリー
住重が機関銃でデータ改ざんしたという話※ だが。拳銃や小銃ならともかく、最も重要な火器である機関銃が対象で、しかも耐久性となると困った話だ。
陸戦で一番重要なのは機関銃である。機関銃がなければ防御も攻勢も威力を大きく欠く。同じように連射ができるからといって、自動小銃で代用できるものではない。極端な話をすれば、小銃は機関銃を援護する役割のようなものだ。
そのため、機関銃には耐久性と互換性が必要になる。まずは1万発でも2万発でも発射できる堅牢さと、過熱や故障に備えての銃身を始めとする交換部品との互換性が求められる。
今回は、その耐久性が問題になる。極端な話、発射速度は多少遅速があってもいい、だが、銃身の耐久性については、次第によっては重篤な問題である。銃身そのものの寿命はともかく、機関銃と銃身の接続部が絡むと、作り直しが必要になるだろう。
銃身接続部は耐久性と精密性の両立が求められる。設計はともかくとして、製造段階で最も高度な精密加工が要求されるのは、銃身と接続部である。機関銃の場合、銃身はその場交換しても集弾性※※ は損なわれないことになっている。その取付も、いまでは更なる精度が求められている。A4の昔は銃身取付時にゲージを使ったギャップ(締付距離)調整があったが、ここ50年の機銃(海自ではまずない)では、ギャップ調整も精密加工で一発交換できるようにしているためだ。
銃身取付部が絡むと、機関銃への不信になるだろう。もともと住重機関銃への評判は良くない。62式は割と早期に悪評が出た。当初、海軍5式30mm機銃の流れを汲む先進性という話であったが、5式なんてまともに実用されていない。その後、MINIMI、M2QCBと世界ブランドのベルギーFN社設計となったが、やはり製造技術に問題があったのだろう。
住重については、結構監督官や検査官をやった。住重浦賀と保谷両方やったが、保谷は機関銃ラインを持つ工場だ。あそこは潜水艦の二酸化炭素吸収装置を作っている会社で、そのつながりで口を濁すがホニャララも作っている。(これは入札の公告で出ている) そこから技術者がこっちに来て、作業待ちの時、風邪か何かで休んだ代理人(アミン専門家だったひと)の代理さんが機関銃ラインと言う話で、なんともなしに「将来の機関銃はどうするのですかね」と聞いたら「ウチの機関銃は全く問題はない、完全無欠」みたいに言っていたのが印象的だった。
住重は、三菱よりもしっかりしているという印象だった。だが、防衛調達は構造自体がアレなんで、前回はどっちも架空請求でとっ捕まっている。実際のところ、検品も数しかみないのだからこういうこともあるのだろう。機関銃も、ロット抜いて3万発射撃とかやったほうがいいのかもしれない。
※ 「自衛隊の機関銃データ 改ざんして納入か」『NHK NEWSWEB』(NHK,2013.12.15)http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131214/k10013833571000.html
※※ ただし、命中精度はそれほどではない。軍用銃全体が命中精度は甘いが、機関銃のそれは更に甘い。60年代に62式機関銃について書かれた記事を読んだ記憶があるが、50m先で10cm四方だかと、軍用弾薬を使うにしても相当に甘かった。
陸戦で一番重要なのは機関銃である。機関銃がなければ防御も攻勢も威力を大きく欠く。同じように連射ができるからといって、自動小銃で代用できるものではない。極端な話をすれば、小銃は機関銃を援護する役割のようなものだ。
そのため、機関銃には耐久性と互換性が必要になる。まずは1万発でも2万発でも発射できる堅牢さと、過熱や故障に備えての銃身を始めとする交換部品との互換性が求められる。
今回は、その耐久性が問題になる。極端な話、発射速度は多少遅速があってもいい、だが、銃身の耐久性については、次第によっては重篤な問題である。銃身そのものの寿命はともかく、機関銃と銃身の接続部が絡むと、作り直しが必要になるだろう。
銃身接続部は耐久性と精密性の両立が求められる。設計はともかくとして、製造段階で最も高度な精密加工が要求されるのは、銃身と接続部である。機関銃の場合、銃身はその場交換しても集弾性※※ は損なわれないことになっている。その取付も、いまでは更なる精度が求められている。A4の昔は銃身取付時にゲージを使ったギャップ(締付距離)調整があったが、ここ50年の機銃(海自ではまずない)では、ギャップ調整も精密加工で一発交換できるようにしているためだ。
銃身取付部が絡むと、機関銃への不信になるだろう。もともと住重機関銃への評判は良くない。62式は割と早期に悪評が出た。当初、海軍5式30mm機銃の流れを汲む先進性という話であったが、5式なんてまともに実用されていない。その後、MINIMI、M2QCBと世界ブランドのベルギーFN社設計となったが、やはり製造技術に問題があったのだろう。
住重については、結構監督官や検査官をやった。住重浦賀と保谷両方やったが、保谷は機関銃ラインを持つ工場だ。あそこは潜水艦の二酸化炭素吸収装置を作っている会社で、そのつながりで口を濁すがホニャララも作っている。(これは入札の公告で出ている) そこから技術者がこっちに来て、作業待ちの時、風邪か何かで休んだ代理人(アミン専門家だったひと)の代理さんが機関銃ラインと言う話で、なんともなしに「将来の機関銃はどうするのですかね」と聞いたら「ウチの機関銃は全く問題はない、完全無欠」みたいに言っていたのが印象的だった。
住重は、三菱よりもしっかりしているという印象だった。だが、防衛調達は構造自体がアレなんで、前回はどっちも架空請求でとっ捕まっている。実際のところ、検品も数しかみないのだからこういうこともあるのだろう。機関銃も、ロット抜いて3万発射撃とかやったほうがいいのかもしれない。
※ 「自衛隊の機関銃データ 改ざんして納入か」『NHK NEWSWEB』(NHK,2013.12.15)http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131214/k10013833571000.html
※※ ただし、命中精度はそれほどではない。軍用銃全体が命中精度は甘いが、機関銃のそれは更に甘い。60年代に62式機関銃について書かれた記事を読んだ記憶があるが、50m先で10cm四方だかと、軍用弾薬を使うにしても相当に甘かった。
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Comment
No title
14:41
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陸自を全滅させるつもりかね。
代替メーカーを作らないといけないな。
抜き取り検査
18:09
おひさま
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製造ラインならどこでも普通にやるでしょ?
実戦で使わないから数さえ揃えればOKなんですかね。
キャリバー50もか…
22:34
しやもじ
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22:42
エンリステッド
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No title
12:16
陣羽笛
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No title
17:44
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派遣や下請けに厳しく、官庁にべったり
とにかくあの傲慢な企業風土をなんとかしない限り何度も同じミスを起こす
MINIMIは完全輸入したほうがいい
住重はいい機会だから切るべきだ
Re: タイトルなし
23:19
文谷数重
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根幹のパーツは銃身と薬室とボルト作る器材程度で、あとは東京マルイで作っても大差ないですし
特に小銃については、民生用でペイしているホーワやミロクに、補助金突っ込んで戦時増産ラインだけ持っていて貰えばいいと思うのですよ。なんせ精度は民生用の方が高いですから。
ただ、もっとも重要な小火器の機関銃だけは、国内で普段から作らせて、使えるものにしとかないと怖いなあと。そのメーカーはどこでもいいのですけど。
> 少火器類にかんしてですが、製造ラインはオール国有化で良いんじゃ?
Re: 抜き取り検査
23:32
文谷数重
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ああいった耐久性といった問題については、データシートしか見るしかないわけで
品質検査証明が偽造されたら、まあどうしようもないですね
今年や来年は、50丁のうち3丁づつを潰す覚悟で、完成後の抜き取り検査するしかないんじゃないですかね
それぞれ3万発程度発射するとしたら、弾代だけで300万以上ですけど、原因があって結果があるのだから
住重に泣かせればいいんじゃないでしょうか
> してないってのが衝撃的。
> 製造ラインならどこでも普通にやるでしょ?
> 実戦で使わないから数さえ揃えればOKなんですかね。
No title
13:20
Gongon
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確かに火器類の金属加工はそれなりの経験と技術の積み重ねが要求される。しかし、昨日今日製鉄を始めたばかりの国じゃあるまいし、他国が開発した技術とはいえ、日本の技術力をどう控え目に勘案しても達成できないスペックではないはず。それなのにこの騒動。
どう考えても技術云々以前の、防衛省や防衛産業自体の構造的な問題が大きいと言わざるを得ない。
陸自の通常訓練で行なう射撃訓練にしても、あたかも「射撃道」でも行うかのような仰々しい様を見るにつけ、実戦に果たしてどれだけの寄与があるのか、疑問を持つことがある。
現場の隊員が自信を持って戦闘に赴けるようにしてあげるには、なんといっても武器への信頼と、自身がそれまでに積み重ねた十分な訓練ではないだろうか。
重機にしろ軽機、そしてライフルなどを、一発一発慈しむように撃つのも大事なのかもしれないが、与えられた武器の限界を知るようなハードな射撃訓練も必要なのでは。
米海兵隊は基本的には、休日以外の毎日の射撃訓練を全隊員に課していると聞く。それも下は事務職から基地の司令官に至るまでという。その射撃訓練も多い時で立射、座射、伏射のそれぞれで60発から90発を撃つという。もちろん例外もあるだろうが、そのあまりの彼我の違いに暗澹とするのは私だけだろうか。
軍事的な訓練は、ただ事故もなく無事にやり過ごすだけが目的ではないはず。肉体的な限界や機械的な限界、そしてあらゆる武器の性能的な限界を知ることを恐れてはいけない。
今回の住友重機械工業の問題は、もしかしたら前述のような訓練を広く行っていれば、もっと早くに顕在化していた可能性がある。もちろんこれまでにも時々様々な問題が発生していただろうが、全国的に多発という形で起きていれば、もっと早くに問題提起されていたかもしれない。そしてそれは陸上自衛隊の所有する凡ゆる火器類への見直しに繋がっていたかもしれない。
巨額の金を払って、華々しい正面装備を調達することも必用だが、個々人の技倆上達のための金を惜しんで欲しくない。
防衛省や防衛産業に携わる企業はこれを大きな教訓として、コップの中での派閥争いや出世争い、さらには目先の利益だけを追いかけるような姿勢を恥じて欲しい。
あなた方がいい加減な気持ちで決定し製造した武器を携えて戦地へ赴くのは、それぞれに愛する家族や友人を持つ、普通の人間なのです。