ひとつ前の記事、『
労働者派遣法の改悪のための強行採決に強く反対します。 (関連記事のメモ)』で取り上げた労働者派遣法の改悪の件。
派遣業界のバックアップを受けた自民党政府によるこの労働者派遣法の改悪を押し通す時に使われる、「多様な働き方の推進」といううたい文句が詐欺的である件を特に批判したいと思います。たとえば次の日本経済新聞の社説なんか典型的なものです。評価できるところがほんの少しと評価できないところがたくさん混在していて、全体としては全く評価できない詐欺的な文章になっています。
●日本経済新聞
多様な働き方を受け入れる派遣法に
http://www.nikkei.com/article/DGXKZO87184520T20C15A5EA1000/
2015/5/23 3:30
続けたい仕事なのに、3年たつと変わらなくてはならない――。国会審議が始まった労働者派遣法の改正案では、派遣労働者が困る例が相次ぐ恐れがある。問題はまだあり、期間が30日以内の短期の派遣で働くことは原則禁止のままになっている。
改正案は派遣で働きたい人の身になって十分考えてはいない。政府・与党に法案修正を求めたい。
改正案で評価できる点はある。派遣会社に派遣労働者への計画的な教育訓練や、希望があれば能力開発の相談に乗るなどのキャリア形成支援を義務づけたことだ。派遣で働く人の職業能力の向上を促せれば待遇改善につながろう。
一方で改悪と思える点がある。ソフト開発や広告デザインなど期限を切らずに派遣で働ける専門26業務という区分がなくなり、これらの業務に就いていた人は、派遣会社に無期雇用されないと同じ職場で働けるのが3年までになる。
同じ仕事を続ける中で技能や専門性を磨きたい人もいるだろう。それを妨げていいのか。短期の派遣の禁止も、家計の足しにと1週間でもいいから働きたいといった主婦らから、その機会を奪う。
こうした問題を生んでいるのは派遣法が、派遣労働を例外的な働き方と位置づけているためだ。
改正案では「派遣就業は臨時的かつ一時的なものであることを原則とする」との文言を法律に盛り込む。期間を区切った働き方は不安定で望ましくないという考え方を明確にするということだろう。
しかし、どんな仕事を選び、どんな働き方をするかは本来、個人の自由だ。より多くの人に就業してもらい、労働力不足を乗り越えるためにも、働き方の選択肢は広げるべきだ。
自らの意に反して仕方なく派遣で働いている人もいる。正社員になりたい人は希望がかないやすくなるよう、職業訓練を充実させるなど、派遣労働者の雇用の安定化に力を入れることはもちろん重要だ。だが派遣という労働形態に否定的な立場をとり、これを制限することは、働き方の多様化の流れに逆行する。
安倍内閣は労働時間ではなく成果に対して賃金を払う「脱時間給」制度の導入をめざしている。働く時間が長いほど生産量が増える工場労働が主流でなくなってきたことに対応したものだ。労働者派遣も、時代の変化に合った制度を整える必要がある。
(転載ここまで)
まず、「多様な働き方」というのなら、そして、「派遣で働きたいという人がある程度の数いる」としても、正社員で働くことを希望したら正社員で働くことも容易な制度であるべきでしょう。ところが、労働者派遣法の「改正」では、派遣労働を固定することには熱心ですが、正社員で働くことを希望したら正社員になれるようにはなっていません。これを「多様な働き方」というのは詐欺です。事実上「派遣労働」という選択肢ばかりが増えるだけなのですから。
そして、社説冒頭で「続けたい仕事なのに、3年たつと変わらなくてはならない――。国会審議が始まった労働者派遣法の改正案では、派遣労働者が困る例が相次ぐ恐れがある」と派遣労働者の味方のような書き方を日経社説はしているのですが、「派遣労働」という働き方には派遣元や派遣先の一方的な都合で変わらなくてはならないという制約が避けがたく組み込まれているのではないでしょうか。派遣労働者の多くは正社員になって仕事を続けたいという希望を持って働いていますから、そういう人を正社員にすることを企業側にうながす制度でなければならないはずです。派遣労働者を困らせないためには正社員になりたい人を正社員にする機会を拡大することが最も重要なはずです。
ところが、この社説では派遣労働を使い勝手の良い雇用の調整弁として使いたいから、そして、労働者をいつでも使い捨てにできるようにしておきたいから、ちぐはぐな主張となっています。
その点をはっきりと言ったうえで一つ一つ見ていきましょう。
「改正案で評価できる点はある。派遣会社に派遣労働者への計画的な教育訓練や、希望があれば能力開発の相談に乗るなどのキャリア形成支援を義務づけたことだ。派遣で働く人の職業能力の向上を促せれば待遇改善につながろう」とありますが、教育訓練や能力開発の相談などはあまり実質的な改善点ではありません。なぜなら、何度も繰り返しになりますが、企業側に正社員を増やす意思がなければ教育訓練を受けても意味がないからです。正社員と同等以上の責任を持たされて派遣や非正規で働いている人が正社員になることを希望してもかなわない例がたくさんあるのが実情であり、そのような派遣労働者を正社員にすることこそ重要です。教育訓練や能力開発の相談に乗るというのは「派遣労働者のことも考えましたよ」というポーズをとるだけのための条文ではないでしょうか。「派遣で働く人の職業能力の向上を促せれば待遇改善につながろう」と希望的観測になっていて実効性を感じさせない文章になっていますし。
そして、「一方で改悪と思える点がある。ソフト開発や広告デザインなど期限を切らずに派遣で働ける専門26業務という区分がなくなり、これらの業務に就いていた人は、派遣会社に無期雇用されないと同じ職場で働けるのが3年までになる。同じ仕事を続ける中で技能や専門性を磨きたい人もいるだろう。それを妨げていいのか」ともありますが、ならばそういう人を正社員にして同じ仕事を同じ職場で続けてもらえばいいでしょう。
そして、ありがちな派遣労働推進のうたい文句がその次に書かれています。「短期の派遣の禁止も、家計の足しにと1週間でもいいから働きたいといった主婦らから、その機会を奪う」というのがそれです。家計の足しに一週間だけ働きたい人がいたとして、そういう人は派遣会社に登録してもいいかもしれませんが、それよりも家の近くで自分で短期のアルバイトでも探すということだってできます。そんな例のために、何百万人単位でいる「仕方なく派遣労働をしているけれど本当は正社員として安定した仕事につきたい」という人のことを考えないのが派遣労働の趣旨です。多数実在するのかどうかわからないそういう「主婦」をダシにして不安定雇用を正当化するという主張は詐欺的ですのでやめていただきたいと願います。「家計の足しにと1週間でもいいから働きたい」という希望(?)を「多様な働き方」と呼ぶなら、「生活不安がないように正社員として働きたい」という希望もかなえられる制度にしなければならないはずです。そうでなければ、「多様な働き方」という文句は嘘になります。安定した職を求める希望をかなえないのなら、「働き方の選択肢は広げるべきだ」という日経社説自身で使っている表現が泣きます。
「派遣就業は臨時的かつ一時的なものであることを原則とする」との文言を法律に盛り込むのは結構なことです。ならば、派遣就業を安定した就業にして、「派遣切り」におびえなくてもよいものにすることが必要です。
それから、「正社員になりたい人は希望がかないやすくなるよう、職業訓練を充実させるなど、派遣労働者の雇用の安定化に力を入れることはもちろん重要だ」という一文ですが、「正社員になりたい人は希望がかないやすくなるよう」という部分は正しいですが、職業訓練を受けても能力を高めても企業側が雇用の安定化をめざす気がなければ意味がないということを強く言いたいです。
さらに、「だが派遣という労働形態に否定的な立場をとり、これを制限することは、働き方の多様化の流れに逆行する」という部分は、派遣労働者のためにやっているようなふりをしながら労働者派遣業界の利益のために主張していることがまるわかりでみっともない詐欺的な主張だと見抜かれると日経は思っていないのでしょうか。
最後の「脱時間給」の部分は、過去記事で何度も批判しました。
■「高度プロフェッショナル制度」は、「定額働かせ放題法」とでもいうべき。
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-6348.html2015/04/02 13:00
■「残業代ゼロ法制」推進の社説と、「残業代ゼロ法制」批判の社説を読み比べてわかること
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-6302.html2015/02/19 09:00
■「残業代ゼロ」はいずれ全労働者に拡大されると思っていい。日本政府が日本全体をブラック企業化する。
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-6297.html2015/02/17 14:00
■「残業代ゼロ」という労働条件苛酷化に向けて進む日本
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-6242.html2015/01/20 18:00
日本では、詐欺師に囲まれて生きているようなものです。生活の基盤を切り崩す詐欺的な政治ばかりが行なわれる、心休まる日のない日本です。労働者派遣法の改悪に強く反対します。
なお、労働問題について私から特に推薦したいブログ記事のひとつは、国公労連の井上伸さんのものです。ここで読めます。
●井上伸の記事 - 個人 - Yahoo!ニュースhttp://bylines.news.yahoo.co.jp/inoueshin/
●国会議員への投書のための「議員一覧ポータルサイト」 (1)→
http://taro-yamamoto.jp/お知らせ/【反tpp・反秘密保護法!】全国街宣キャラバンス/ ; (2)→
http://publistella.jp/●マスメディアへの投書のための「News for the people in Japan」マスメディア問い合わせ用リンク集→
http://www.news-pj.net/link/media.html●他の社会系ブログに行くにはうちの「私的リンク集 (適宜更新)」経由で→
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-136.html
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