村野瀬玲奈の秘書課広報室

　　

日本では教育について政治家が「検討」なり「議論」なりする時に、教育そのものについて検討、議論するのではなく、教育を支配、統制する方法について検討、議論することがほとんどだと思います。実際、最近もそのような「議論」（と呼べるなら）が行われています。

教育委員会制度改革案を検討する自公両党の作業チームは、自治体の長が主宰する「総合教育会議」の設置を義務づけ、教育委員長と教育長を兼務する新ポストを設置するという。上からの統制色ばかりで、子どもの置かれた状況と問題が一つも出てこない。 http://t.co/BHcqF6gGKd

— 金子勝 (@masaru_kaneko) March 5, 2014

このような子ども不在、教員不在の教育論議が日本の教育をむしばんでいきますね。

●NHKニュース
総合教育会議で「大綱」策定 自公が一致
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140305/k10015749301000.html
2014年3月5日 23時07分

教育委員会制度の改革案を検討している自民・公明両党の作業チームは、５日の会合で、自治体の長が主宰する「総合教育会議」の設置を義務づけたうえで、この会議で教育行政に関する大きな方向性を示す「大綱」を策定することなどで一致しました。
政府は、今の国会で教育委員会制度の見直しに必要な法律の改正を目指していて、改革案を検討している自民・公明両党の作業チームは、これまでに教育委員会を最終的な意思決定の権限を持つ「執行機関」と位置づけて政治的中立性を確保することや、教育委員長と教育長を兼務する新たなポストを設けて責任の所在を明確にすることなどで合意しています。５日の会合では、自治体の長が主宰する「総合教育会議」について意見が交わされ、自治体に会議の設置を義務づけたうえで、この会議で教育行政に関する大きな方向性を示す「大綱」を策定するほか、教育予算や教育現場で事故などの緊急事態が起きた場合の対応を協議することで一致しました。自民党は、５日の会合で改革案を取りまとめたいとしていましたが、教育委員長と教育長を兼務する新たなポストの任期や、任命と罷免の権限を自治体の長に持たせるかなどを巡って、公明党と意見がまとまらず、引き続き協議することになりました。

（転載ここまで）

自公政権のやる学校教育カイカクについて、教育関係者の多く、たとえば教員や教育学者はフラストレーションを感じていると想像します。「学校教育のプロである教育関係者たちをさしおいて、教育に素人の政治家が教育制度をいじって」おり、「教員や教育学者への敬意も信頼も持っていない」ことが透けて見える論議をしているからです。

学校教育とは政治による統制によって良くなるものでしょうか。そうは思えません。学校教育は教育そのものの営みによって良くなっていくものではないでしょうか。たとえば、教育の専門家ではない人には、こんなツイートの示唆が教育とは何かを考えさせてくれるでしょう。

教育「改革」を語る政治家にお薦めの図書は『十五少年漂流記』。嵐にあって島に漂着した１５人の少年が自らで大統領を選挙で選び、週２回の議会を開き、上級生が教育を行い、ひとつの共和国を作ります。問題の正しい立て方は、いかにして子どもの自主性を伸ばすかです。上からの教育統制はバカを作る。

— 金子勝 (@masaru_kaneko) March 5, 2014

日本の教育は子どもの自主性を伸ばしているでしょうか。そこが自公政権の「教育論議」を評価する一つの軸です。


そして、自公政権の教育論議のもう一つのテーマは「道徳教育」です。自公政権を構成している議員たちに「徳」があるとはとても思えないので、何度も書いたことですが、そんな議員たちに「道徳」を教えられるというのは屈辱そのものです。

徳のない政治家たちが道徳教育を押し進めようとする現状に、胡散臭さと滑稽さを感じないわけにはいかない。 【道徳の教科化「教員の研修が必要」…文部科学相】 : 政治 : YOMIURI ONLINE（読売新聞） http://t.co/WPjklHOO48

— m TAKANO (@mt3678mt) March 5, 2014

●YOMIURI ONLINE（読売新聞）
道徳の教科化「教員の研修が必要」…文科相
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20140305-OYT1T01522.htm
2014年3月5日23時28分

　下村文部科学相が５日、ＢＳ日テレの「深層ＮＥＷＳ」に出演した。
　中央教育審議会に「特別の教科」化を諮問中の小中学校の道徳について、「現行の道徳の授業では指導力不足の教員もいる」と指摘した上で、「指導を充実させるため、（教科化に伴う）教員の研修が必要だと思う」と強調した。
　検討課題の一つである成績評価の方法に関しては、「数値の評価はなじまない。子供のいいところをほめて記述するようになるのでは」と述べた。文科省では早ければ２０１５年度から道徳の教科化を目指している。
（2014年3月5日23時28分 読売新聞）

（転載ここまで）

自民党議員が道徳教育を完璧にできると言うのなら、もし私が教員なら、皮肉を込めて、「子どもたち、自民党議員のようになるようにがんばろう」と教えたくなりますね。笑

まじめに言うなら、自公政権の思想上のお仲間は次のようなことをしているのですから、こんな者たちと親和性のある自公政権に「教育」なんかされたくないです。

呆韓や犯韓のような扇情的なタイトルの嫌韓の本こそ有害図書だと思うが。 RT @mt3678mt: 歴史教科書をつくる会は図書館から良書を追放するもり… 【「はだしのゲン」を有害図書に　新しい歴史教科書をつくる会神奈川県支部が陳情】http://t.co/bBbL5YVith”

— 澄川政雄 (@sumirin2010) March 5, 2014

ということで、今回の記事で読んでいただきたいのはこのツイートでした。もう一度。

教育「改革」を語る政治家にお薦めの図書は『十五少年漂流記』。嵐にあって島に漂着した１５人の少年が自らで大統領を選挙で選び、週２回の議会を開き、上級生が教育を行い、ひとつの共和国を作ります。問題の正しい立て方は、いかにして子どもの自主性を伸ばすかです。上からの教育統制はバカを作る。

— 金子勝 (@masaru_kaneko) March 5, 2014

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