村野瀬玲奈の秘書課広報室

　

今度の参議院選挙で、「みんなの党」が各都道府県・全国にほぼくまなく候補を立てることを「AKB48作戦」と言っています。マスメディアではこんな感じの報道。

●下野新聞「ＳＯＯＮ」
参院選で「ＡＫＢ48作戦」　40人以上擁立に自信　みんなの党・渡辺代表
2010年6月4日 05:00
http://www.shimotsuke.co.jp/news/tochigi/top/news/20100603/331386

　みんなの党の渡辺喜美代表は３日、県庁記者クラブで会見し、夏の参院選の同党公認候補擁立について、「40は間違いなく超える。（公示）直前まで努力するので47はいけると思う」と述べ、選挙区・比例代表で計50人以上とする目標に向け、順調に作業が進んでいることを明らかにした。これまでは「四十七士作戦」と称してきたが、人気女性アイドルグループにあやかって「ＡＫＢ48作戦に変えていこうかと思う」とも述べ、党の支持率上昇を背景に自信をのぞかせた。

　この日は栃木選挙区に荒木大樹氏（39）＝宇都宮市＝が立候補を表明。記者会見に同席した渡辺氏は「34人目の公認候補だ。明日も準備が整えば複数発表する」と述べた。

　渡辺氏は選挙戦略として、47都道府県に何らかのかかわりのある候補者を立てる「四十七士作戦」を展開。当初は選挙区・比例合わせて約30人の擁立が目標だったが、４月末に上方修正している。

　渡辺氏は「せっかくだから47都道府県プラスワンで、ＡＫＢ48作戦に変えていこうかと思う」とした上で、ＡＫＢ48が「総選挙」と称してメンバーの人気投票を行っていることを挙げ「われわれも選挙に堪える候補の擁立を図る」と述べた。

　一方、来春の統一地方選に向けては「参院選はホップ、統一選はステップ、衆院選がジャンプだ。参院選で党や荒木さんを応援してくれた地方議員は無条件で同志。栃木だけでなく、オールジャパンで党公認、推薦候補を大量に擁立したい」と、地方での党勢拡大に意欲を示した。

（引用ここまで）

まず、たいへんに野暮な説明をします。笑

AKB48とは、芸能プロデューサーである秋元康氏による、10代・20代の女性タレントのグループです。前田敦子、大島優子、篠田麻里子、板野友美、渡辺麻友、高橋みなみあたりが代表的なメンバー。数十人いるメンバーについてファンを対象に行われる人気投票を「総選挙」と名付け、グループのCDシングルに付けられた応募券を使った投票システムをはじめ、関連商品を買うことでメンバーとの交流会に参加する権利を与えるシステムで、「AKB商法」とも呼ばれています。

ウィキペディアではこちらにAKB48の項目があります。そこから引用すると、「AKB48（エーケービー フォーティーエイト）は、秋元康の全面プロデュースにより、2005年に誕生した、日本の女性アイドルグループである。秋葉原に専用劇場であるAKB48劇場を持ち、チームごとに日替わりでほぼ毎日公演を行ってい」ます。ちなみに、フランス語のページはこちら。爆

これは、プロデューサー側から見たらなかなか良くできたシステムです。なぜなら、個性が確立していないけど「タレント」になりたい大勢の若い素人からまとめて効率よく「金のなる木」を発掘して、少ない投資で利益をあげる「ビジネスモデル」、あるいはファンから先行投資をつのって「タレント」の育成のできる美味しい仕組みといえるからです。（んげ。）このビジネスモデルによって、いずれ忘れられる多くのメンバーと、芸能界で特別な人気を保ってある程度長く活躍することになる少数のメンバーに分かれることになるでしょう。つまり、少数の人気者を選び出すために多くの人を捨てる結果を生むシステムです。あとは「人気」を得たメンバーを歌手に使ったりテレビタレントに使ったりグラビアアイドルに使ったりすれば自動的に利益があがります。実際、秋元康氏にはかつて「おニャン子クラブ」という実績がありますし、ライバル関係と位置付けることのできるつんく氏には「モーニング娘。」という実績もありますから、この手法は日本の芸能界で確立しているといえるでしょう。（ただ、この手法は日本独特のものかと言うとそういうことはなく、世界各国でテレビなどを通じて試みられていて、国ごとにいろいろなバリエーションがあります。芸能プロデューサーはどこも同じようなことを考えますね。）

さて、野暮な説明の後は、アイドルから政治に話を戻します。笑

「みんなの党」は、今まで「四十七士作戦」と称してきた、地元ゆかりの人を全国の都道府県にくまなく選挙候補者として立てる作戦を「AKB48作戦」と名前を変えると。

「四十七士作戦」というネーミングでは投票する気にならない有権者が多いけど、「AKB48作戦」と名前を変えたとたんにAKB48のファン層の票が入るだろうというコンタンなのでしょうか？「AKB48のファン層」って、みんなの党に投票したくなるような層なんでしょうか。「みんなの党」と「AKB48」、どうも結びつきません。プロデューサーの秋元康は、勝手にAKB48の名を使って選挙運動をすることを差し止める訴訟を起こしたらどうなるかな、とも考えました。

このような選挙の盛り上げ方は、「作戦」の名前や内容はいろいろありますが、今までも存在し、年々選挙ごとにエスカレートしてきた方法です。

そうです。タレントを使った集票です。

何十年も前には、個別の「タレント出身の候補」が政界生え抜きの人々の中に少し混ざるところから始まりました。それが年月を経て、ここ数年の間で、たとえば小泉純一郎氏や小沢一郎氏が選挙を仕掛けるときに、話題性のありそうな候補を芸能界やスポーツ界やマスコミや有名人などから発掘して広くいろいろな選挙区に立てるというやり方にまで「進化」するに至りました。（んげ。）

その結果、選挙運動期間には「姫の虎退治」とか「エリのクマ退治」とか面白おかしく報道され、実際にそのようなタレント系の候補が多数当選すると、それはマスメディアによって「小泉チルドレン」や「小沢ガールズ」などと呼ばれ、それがまた選挙を芸能人の人気投票のように仕立て上げる傾向をさらに強めています。

選挙の仕掛け人から見たら、「AKB48作戦」は「選挙」を盛り上げるのに効率的そうなネーミングです。「みんなの党」は「AKB48作戦」というキャッチーなネーミングでそれと同じような集票を期待しているわけです。でも、これが言葉の高貴な意味の「政治」の質を高めるかどうかは疑問だと思います。なぜなら、人気投票のような選挙で熱狂の中で大量当選した議員たちがこぞって言葉本来の意味の民主的な方向に政治を高めた過去の実績が思い浮かばないからです。過去にそういう実績がなければ今後もそういう実績はないだろうと予想します。

実際に、小泉チルドレンは政治をより充実させたかといえば、やはりそんなことはありませんでした。小泉チルドレンで水ぶくれしたジミントーは数々の民主政治破壊法を強行採決で成立させたことがなによりの証拠です。「小沢ガールズ」でも、あまり実績を思い出せません。

「AKB48」など、お金を吸い上げることのできる人気タレント集団を形成する「ビジネスモデル」によって芸能界で特定の人が人気者になっても人気者になれなくても、それが日本社会全体に影響を及ぼすわけではありません。しかし、数の限られた政治家の中に、政治的に見識があるわけではなくいずれ消えてゆく人を必然的を混ぜ込む結果をもたらす「タレント人気投票選挙」は日本の政治の質を低めこそすれ、高めることはないことが予想されるのです。

もう一つ注意したいのは、国会議員の中には「国会議員数を減らせ」という人がけっこういるという事実です。日本の国会議員の数は決して多くないし、議員数を減らすことは間違いであることを当ブログでは何度も説明してきました。

そのうえで指摘したいのですが、議員数が多すぎると考えている側が、限られた数の議員の中に政治的に見識があるわけではなくいずれ消えてゆく人を必然的を混ぜ込む選挙を展開することは、政治を破壊する大きな矛盾です。有権者を舐めているということです。なぜなら、一方では「議員数が多すぎるから減らせ」と言い、他方では政治的に見識があるわけではなくいずれ消えてゆく人を必然的を混ぜ込む選挙をしたがるのですから。

今まで説明したように、政治での「タレント人気投票選挙」は最初から矛盾しているし、政治の質を低めこそすれ高めることはないので、私はきびしく批判しますが、この手法が日本の政治文化に残念ながら定着してしまったことも事実です。だから、「AKB48作戦」なんてものが出てくるのだと思います。日本の有権者は芸能人の人気投票のような選挙に参加することによって、日本の政治を質量ともに貧しくすることに道を開いているというのが私の結論です。

タレント候補の氾濫と、世襲政治と、政治家階級による政治の独占を通じて、日本の民主主義はますます空洞化します。私一人でこんなことを書いても仕方ない...なんてあきらめずに、私は言い続けまーす。

AKB48についてはもう少し書きたいことがあるので、それは次の記事で。

築地市場の豊洲移転に反対して食の安全を守りたい。
●Like a rolling bean (new) 出来事録
■2010-06-12
イシハラ都政による「土壌汚染除去実験」の目茶苦茶さ＜７＞（新たな都議開示資料は全面墨塗り！）
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10560994806.html

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そこに存在する美しい人生と生命と生活を守る切実な要望を民主党に聞かせるために、アブナイ日本が壊れる前にとりあえず生まれてきて良かったと感じられる社会にしたいけどどうしたらいいかkimeraれない人の役にたちたくて、イル・サンジェルマンの散歩道の午後のカフェの窓辺でお茶しながら虹の日記やフランス語の練習帳や「ユニオン」と「労働ニュース」のアーカイブや世界の片隅で税制についてのニュースを読んで、消費税と社会保障と国家予算についての『知られざる真実』を大脇道場と言ノ葉工房とスーパー小論文ハイスクールとアジア連帯講座で1947年教育基本法の理念に賛同して超左翼おじさんやカナダの日本語の先生から学んだ後で、労働組合ってなにするところだろうとか、どうしたら戸倉多香子さんや保坂展人さんのためにみんななかよくスクラム組んで多文化・多民族・多国籍社会で「人として」情報流通を促進できるかとか、雪裏の梅花や古い寺を多く見て日常で思った事、感じた事をつらつら好き勝手に書く、国会議員定数削減・比例削減に反対してきまぐれな日々を転がるひよこ豆のように過ごすサイバー政治団体秘書のおしごと日誌。
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