fc2ブログ

Entries

小話:吹く風は何処に その35

小話:吹く風は何処に その35

ガン太のお母さんは、病に伏せていたのでした。

病院に行って治療を受けることなく、働いてきたのでした。

「母さんはオレの為に苦労し、こんなになってしまった」

ガン太は、お母さんの手を握るのでした。

力のない、か細い手になって、どうしたらいいんだ。

ガン太は悔やみます。

「ガン太、もう・・いいんだよ、このままあの世に行った方が楽になれるからね」

「・・・・オレは・・オレはは、何て大バカだったんだろう」
吹く風は何処に 74
ガン太は、途方にくれます。

どうすればいいのだろうか。

金はないし・・・頼れる人もいないし。

いままで、自分勝手に生きてきたバチが当たったか。

ガン太は、お母さんの手をさすりながら、謝ります。

「ごめんな、母さん」


しばらく、考え込みました。


そうだ、稲田さんに電話をしてみよう。

どんな返事が来るか分からないけど。

ガン太は稲田さんに、電話をしたのでした。

事情を説明すると、稲田さんは、

「それならば、宮戸さんだな・・分かったすぐに行くから」

あの年寄りの仲間達が来てくれる。

母さんが死んだりしたら、葬式だとか何とかも分からないし、

これまでの人生で人との付き合いもなかったから、

何をどうすればいいのか、さっぱり分からない。

ガン太はほんの少し安心するのでした。

稲田さんと宮戸さんがやってきました。

「お母さんが病気だって、それは大変だな」

「送って来た時に寄ればよかったな」

「どれどれ、お母さん、いつからですか・・・」

宮戸さんは、お医者さんだったのです。
吹く風は何処に 75
宮戸さんは、病院の院長でしたが、今は隠居しているのです。

「宮戸さん、すいません・・、オレが悪いんです」

「ふーん、大分無理をしましたね」

宮戸さんは、ガン太を見つめます。

「知り合いに、向井君と言うのがいてね、連絡を取って見よう」

稲田さんも、うなずきます。

宮戸さんは、電話をします。

「ガン太君、お母さんは、花丸病院の向井君とこに預ける事にした、

これから、出発する。 早い方がいいからな」

【続く】


にほんブログ村 地域生活(街) 東北ブログ 岩手県情報へ
にほんブログ村

にほんブログ村

人気ブログランキングへ



コメント

[C8843] 助かってほしいです

ツッチーさん
おはよう御座います。

ガン太は相当反省していますね。
私は同じがん患者の1人としてお母さんには
助かってもらいたいです。
でも状況からするとかなり進行しているみたいですね。

愛新覚羅
  • 2018-03-06 07:35
  • aishinkakura
  • URL
  • 編集

[C8844] Re: 助かってほしいです

> 愛新覚羅 さんへ
ガン太は、ここに至って真人間に替わりつつあります。
しかしながら、そう簡単にはいきません。
悩み苦しみ耐えて道を開いてもらわないとですね。

  • 2018-03-06 23:20
  • 大坊峠のツッチー
  • URL
  • 編集

コメントの投稿

コメント

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://iwatetsuchy.blog.fc2.com/tb.php/2370-971c2b0e
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

Appendix

プロフィール

大坊峠のツッチー

Author:大坊峠のツッチー
岩手県は北緯40°に位置する岩手町から地域の情報を発信します。山里で農業を営み、昭和26年生まれの人生と、方言による創作小話・童話を綴ります。尚、作品は著作権とし、無断使用はお断りします。

カレンダー

12 | 2025/01 | 02
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -

最新記事

月別アーカイブ

お楽しみはこちらで

カテゴリ

検索フォーム

QRコード

QR

ランキング参加してます

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村