安倍内閣が最高裁を牛耳る?! |
最高裁人事、崩れた「慣例」 その意味するところは 藤原慎一、南彰2017年3月2日08時43分
最高裁裁判官15人の構成
■平成の楼閣
第2次安倍政権発足後、しばらくした頃。首相官邸で、杉田和 博・内閣官房副長官が、最高裁の人事担当者に向き合って言った。
「1枚ではなくて、2枚持ってきてほしい」
退官する最高裁裁判官の後任人事案。最高裁担当者が示したの が候補者1人だけだったことについて、杉田氏がその示し方に注 文を付けた。杉田氏は事務の副長官で、こうした調整を行う官僚 のトップだ。
このとき、退官が決まっていたのは、地裁や高裁の裁判官を務 めた職業裁判官。最高裁は出身別に枠があり、「職業裁判官枠」 の判事の後任は、最高裁が推薦した1人を内閣がそのまま認める ことがそれまでの「慣例」だった。これを覆す杉田氏の判断につ いて、官邸幹部は「1人だけ出してきたものを内閣の決定として 『ハイ』と認める従来がおかしかった。内閣が決める制度になっ ているんだから」と解説する。
憲法79条は、最高裁判事について、「内閣でこれを任命する」 と定める。裁判所法で定めた任命資格をクリアしている候補であ れば、憲法上、内閣は誰でも選ぶことができるが、2002年に 公表した「最高裁裁判官の任命について」というペーパーでは、 最高裁に最適任候補の意見を聞くことを慣例としていた。
このような最高裁判事をめぐる「慣例」が、安倍政権が長期化 するにつれて徐々に変わりつつあることを示す出来事もあった。
今年1月13日、内閣は弁護士出身の大橋正春判事の事実上の 後任に、同じく弁護士出身の山口厚氏を任命した。「弁護士枠」 を維持した形ではあるが、山口氏は日本弁護士連合会が最高裁を 通じて示した推薦リスト7人には入っていなかった。
その6日後。日弁連の理事会で、この人事が話題に上った。中 本和洋会長は「政府からこれまでより広く候補者を募りたいとの 意向が示された」「長い間の慣例が破られたことは残念だ」と語 った。
それまで最高裁判事の「弁護士枠」は、日弁連が示した5人程 度のリストから選ばれており、最高裁で人事を担当していた経験 者も今回の人事について「明らかに異例だ」と語る。一方、別の 官邸幹部は「責任を取るのは内閣。内閣が多くの人から選ぶのは 自然だ」と意に介していないようだ。
最高裁人事を巡っては、かつて佐藤栄作首相の意向で、本命と 目される候補を選ばなかったことを佐藤氏自身が日記に記してい る。労働訴訟などの最高裁判断に自民党が不満を募らせていた1 969年のことだ。
「政治介入」がその後もあったかどうかは判然としない。米国 のように大統領が指名した判事が保守派、リベラル派と色分けさ れるわけでもない。
しかし、「日本の最高裁判所」の編著書がある市川正人・立命 館大法科大学院教授(憲法学)は、今回の弁護士枠の人事の経緯 に驚きを隠さない。「慣例は、政治権力による露骨な人事介入に 対する防波堤の役割を果たしてきた面がある。今後、最高裁が過 度にすり寄ってしまわないかが心配だ」。慣例にとらわれず、憲 法上認められた権限で人事権を行使する安倍政権の姿勢に対する 戸惑いだ。
日弁連は安倍政権が進めた特定秘密保護法や安全保障関連法へ の反対声明を出してきた。元最高裁判事の一人は「日弁連が今後、 安保法に反対する人を判事に推薦しにくくなるのではないか」と 指摘する。
自民党総裁の任期延長で安倍晋三首相が3選されることになれ ば、19年3月までに、最高裁裁判官15人全てを安倍内閣が任 命することになる。(藤原慎一、南彰) 朝日新聞
すぐ上の最後の段落ですが、 >自民党総裁の任期延長で安倍晋三首相が3選されることになれ >ば、19年3月までに、最高裁裁判官15人全てを安倍内閣が >任命することになる ということですよねぇ。
日本経済新聞のこちらの記事↓によると、 自民総裁任期「3期9年」決着 安倍首相3選に道 >党則改正により、18年9月末に任期満了を迎える安倍晋三首相 >(党総裁)が次の総裁選に勝てば、21年9月までの長期政権に >道が開かれることになる だそうですから、「最高裁裁判官15人全てを安倍内閣が任命す る」というのは、現実のこととなりそうですよねぇ~。(@_@)
おっソロシイことですよー。(>_<) ここのブログでは、たびたび安倍っち(安倍晋三・首相)が最高裁の 人事にまで手を出すようになったら、大変だー!と書いてきまし たが、実現ですか~。
安倍っちが最高裁を牛耳る手口は、上の記事にありますから、そ ちらで理解していただくとして(^_-)。 >第2次安倍政権発足後、しばらくした頃 ということで、「日本を取り戻す!」と言って政権に復帰して、しば らくした頃から始まってたんですねぇ~。
まぁ、そのときは、「判事枠(職業裁判官枠)」の最高裁判事が一人 辞めるのに伴って、 >最高裁が推薦した1人を内閣がそのまま認めることがそれまでの >「慣例」だった というのを、 >「1枚ではなくて、2枚持ってきてほしい」 となったそうで。
>「1人だけ出してきたものを内閣の決定として『ハイ』と認める >従来がおかしかった。内閣が決める制度になっているんだから」 という理由からだそうですが。
ここでもう、安倍っちのあの手口、NHK会長に「政府が右というも のをわれわれが左とはいえない」という人物を就任させるために、 NHK経営委員に自分の考えに近い保守の人物を入れていったり、 憲法解釈を変更するために、内閣法制局長官に慣例を破って、自 分の憲法解釈変更論を支持してくれる人物を任命したりと。
そんな手口がすでに始まってたということですか、、、。 朝日新聞は、なんでその時に報じなかったんですかねぇ、最高裁のこと? その時は、そんなに重要なこととは思ってなかったんでしょうか? でも、それを許してたせいで、「最高裁裁判官15人全てを安倍内 閣が任命する」ことになるんでしょう? その判断は、どうだったんでしょうねぇ?
あれっ、朝日新聞は報じてたけど、私が見てなかっただけなのかな? まっ、それは置いといて。 今年の1月になると、安倍っちの手口があからさまになる出来事があ ったようですよ。
>日本弁護士連合会が最高裁を通じて示した推薦リスト7人には入っ >ていなかった という弁護士を「弁護士枠」の後任に任命したとか。
まぁ~、こんなことをされたら、弁護士会としては、いい気はしな いですよねぇ~。 >「長い間の慣例が破られたことは残念だ」 というくらいで、弁護士会の人は、人がいいんですかねぇ、表立っ た抗議とかはしてないんでしょうか。
下から3段落目には、 >慣例にとらわれず、憲法上認められた権限で人事権を行使する安倍 >政権の姿勢に対する戸惑い というのを、市川正人・立命館大法科大学院教授(憲法学)は、 >「慣例は、政治権力による露骨な人事介入に対する防波堤の役割を >果たしてきた面がある。今後、最高裁が過度にすり寄ってしまわな >いかが心配だ」 と語ってるようで。
まぁ、司法の場に、政治色が入ってくるとなると、これまでは、し なくて済んでいた争いをしなくちゃならなくなりますよねぇ。 その政権にとって都合がいい人物が最高裁判事に任命されるとなる と、「自分は政権にとって役に立ちますよ~!」とアピールする人物 も出てくるのでは、、、。(T_T)
まっ、そういうアピールがうまくて最高裁判事に任命された人物が、 ホントに日本のためを考えて仕事をしてくれればいいのですが、ひ たすら、自分を任命してくれた政権に奉仕するような仕事をするよ うになると、市川正人教授が心配する通りになるのでは。
え~と、ちょっと戻りますが、下から4段落目 >米国のように大統領が指名した判事が保守派、リベラル派と色分け >されるわけでもない。 とありますが。
これは! 私の想像ですが、アメリカの裁判所は時にリベラルな判 決を出すからじゃないですかねぇ。 1973年に >中絶を憲法により保障された権利として堕胎禁止を原則違憲とした >ロー判決はアメリカ合衆国の法律および政治・社会に多大な影響を >及ぼした と言われる「ロー対ウェイド判決」とか。 (ウィキペディアですよ↑)
一昨年の同性婚を認める判決は記憶に新しいですよねぇ。 同性婚、全米で合法 最高裁「禁止の州法は違憲」 ↑日本経済新聞 オーバーグフェル対ホッジス裁判 ↑ウィキペディア
「アンソニー・ケネディ」最高裁判事←こちらのウィキペディアの「同 性婚に関する判決」に、判決の一部というか主要部分というのか、有 名なところが出てますが。
あれ~、これって、最近見た記憶が、、、。 あっ、トランプ大統領が保守派の最高裁判事を指名したというので、 アメリカの最高裁の事情を見てたときでしたか。
で、 >米国のように大統領が指名した判事が保守派、リベラル派と色分け >されるわけでもない。 の話ですが。
これは別にアメリカの裁判官が自分が保守だ、リベラルだと名乗っ てるわけではなく、マスコミなどが色分けしてるわけでしょ? (法律の関係者は関わるでしょうけど。大学教授やら弁護士やら)
日本で、色分けがなかったのは、これまであったような「慣例」のお かげで、ある政権によって恣意的に保守が多く任命されたとか、逆 に保守が減らされたということがなかった。 という前提で見られてきたからでは。
たとえば、去年12月じゃないですね、一昨年の12月の選択的夫婦別 姓の最高裁判決。 時論公論 「"夫婦同姓は合憲" 最高裁判決」 橋本淳・解説委員 2015年12月17日 (木) 午前0:00~ ↑こちらに詳しくありますが。↓中ほどですが、
最高裁の大法廷は、「女性が不利益を受ける場合が多いものの、家 族の呼称として社会に定着してきた夫婦同姓には合理性がある」と 述べて合憲としました。しかし15人の裁判官のうち、女性の裁判 官全員を含む5人が憲法違反の意見を示し、悩ましい判断だったこ とがわかります。
とありますが。 まぁ、アメリカだったら、5人の最高裁判事の名前を上げて、この リベラルな判事が違憲とし、残りの中道と保守の判事が合憲と した、と解説するのでは、、、?
まっ、この選択的夫婦別姓については、あと15年か20年もすれば、 違憲判決がでると思いますけど、その前に政権交代が起こって野 党の政権ができれば、もう少し早く実現するのでは。
というのは、「婚外子相続差別は違憲 最高裁大法廷」と、2013年に 違憲判決が出た婚外子差別についても、1995年には合憲判決でした よねぇ。こちら、↓。 【法律情報】婚外子の法定相続分違憲判決について ↑おおすみ法律事務所ですが。
2 これまでの判例の立場 この問題に対し、最高裁平成7年7月5日大法廷決定は、本件規定 は、法律婚の尊重と婚外子の保護の調整を図ったものであり、著し く不合理とはいえず、立法府の裁量判断の限界を超えたものとはい えないとして、合憲としました。 しかし、平成7年決定は、15人の裁判官のうち5人は反対意見 (最高裁判所において、多数意見とは反対の結論を表明する裁判官 の意見。ここでは、本件規定を違憲とする立場のこと)を述べてい ました。
1995年合憲→2013年違憲 ですから、18年後ですか。 まぁ、選択的夫婦別姓も、そのくらい待てば、違憲判決がでるの では?!(*^^*)
そうそう、ちょっと上の日本の保守とリベラルの話で書きませんで したが、上のおおすみ法律事務所の >立法府の裁量判断の限界を超えたものとはいえないとして、合憲 >としました とあるように、日本の場合は、これはもうどう見ても合憲とはいえ ない!となるまでは合憲と言い続けるのでは。(@_@) 国会を尊重してというか国会に遠慮して、、、。
で、10年20年経つうちに、時代も変わっていくと、「もはや合憲と は言えない」となって初めて、違憲判決を出してくれると。 そういう意味では、日本の最高裁は(全体としてみれば)保守的な のでは。
アメリカのように、国論を二分するような問題は、「まだまだ合憲で いける」と違憲判決を出さず、学者も国民の多くが「これはおかし いなぁ~」と思うようになって初めて、違憲判決となると、、、。
それで、上の記事の最後に、15人の最高裁判事の全員を安倍っちが 選ぶことになる、ということは、現在保守の最高裁が、より保守に ウルトラ保守になるということでは?!
もう、20年もしないうちに選択的夫婦別姓に違憲判決がでる!とい う私の予想も、実現不可能となりますよねぇ~。(T_T)
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