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はてなキーワード: 葡萄とは

2025-12-09

anond:20251206192700

酒はアルコールが入ってる飲み物意味するが、アルコールけが酒の成分ではない。

味ならアミノ酸やらタンニンやら当然糖類もある。

香りはもう多種多様スパイスを加えることだっていくらでもできる(クラフトビールとか)

 

個人的には葡萄酒のラム酒付けをチョコレートでくるんだロッテ菓子ラミーと、

六花亭の冬限定ボンボンがあれば酒はもう一生要らないのだ

ボンボンは中がいちいち違う酒なのがまたよい

2025-12-06

anond:20251206024723

婚活しろ

中年になると難易度

友達を作る>>>恋愛だけする>結婚する

になる

結婚願望についても今までの恋愛経験のなさから尻込みして酸っぱい葡萄してるだけで

付き合えば当然結婚したくなるから

2025-12-03

anond:20251203183813

習い事行ってたら遊ぶ時間全くないみたいなのってキショおじのくっさい葡萄丸出しだよ

なんもなく自由だったお前はいまだにチンポ腐らせてるし

習い事行ってた方が出会い自体は増えるから

2025-11-22

anond:20251122230023

酸っぱい葡萄って言うだけでこの文量?

2025-11-20

「低評価の内容の方が事実に即している」って意見をよく見るけど

違くない?

結構AmazonとかGoogleマップ評価を見ると、低評価の内容の方を参考にしたって解答が多いんだけど、正直なんでなのか全然からない。

100%本当なのであれば、同業他社シェアを奪うには「相手サービスに対して低評価を連投する」のが一番有効になるよね? だって評価なら正しい意見なんでしょ? 

評価にはサクラっぽさを感じるのに、低評価にはサクラっぽさを感じないのはなんで?

あの手の言説って、AmazonなりGoogleマップなりの情報自分お金を支払うサービスから

貧乏人間が「こんなの買わなくてよかった」って酸っぱい葡萄キメてるだけだと思うんだよな

お前は賢いんじゃなくてただ貧乏なだけだぞ、って言いたくなる

2025-11-12

普通になれない」「幸せになれない」と嘆く人は、何が悲しいのか?

これさ

https://dot.asahi.com/articles/-/269221

 

こういう話よくあるけどさ

普通という名の幻想」に対して「君は普通だよ?」っていうの、解決になってないと思うんだよね

(そういえばチェンソーマンでもそういうシーンあったな)

 

たとえば「結婚するのが普通」だと思っている人が「普通になれない」と嘆いていたとして

結婚できるのは特別なことで普通じゃない」という事実を突きつけたとして、その人の「結婚したい」は消えないと思うんだよね

まり普通になりたい」というのは代理欲求だと思うんだよ

本当はモノがほしいのに「お金がほしい」っていうような感じ

ここで「実際にそれが普通かどうか」は意味をなさな

その人のいうところの普通理想像・期待像であって、理想現実(期待と結果)の差に悩んでるわけだ

 

じゃあその理想はどこから来たのか?と言えば、テレビインターネットや、周囲の人、漫画やら雑誌やらだろう

分不相応難易度の高い理想像を持つことは不幸だ

 

もう遅いかもしれないが、本当なら理想像何か知らないほうがよかったし、周りの人の達成度は低い方がいい

まあそれができなくなっているのが今の世の中なんだけど(キラキラSNSを見て鬱になる現象

 

残された方法として「実はその理想像理想じゃなかった」という酸っぱい葡萄理論があるんだけど

これをやりすぎると今度は中国の寝そべり族のように、すべてを察して諦めてしまう人が増えるので難しい

成功者たちの不幸や「そんな良いもんじゃないよ」と現実を知らせるのは、溜飲は下がるが夢も失うので諸刃の剣だと思う

 

最も良いのは、せめてそれを人に話せる環境や繋がりがあったり、夢中になれる趣味があれば良いんだけど

それがないと、何ができていないかばかりに注目してしまってひたすら病んでしま

2025-10-24

伊香保 寺田寅彦

 二三年前の夏、未だ見たことのない伊香保榛名を見物の目的で出掛けたことがある。ところが、上野驛の改札口を這入つてから、ふとチヨツキのかくしへ手をやると、旅費の全部を入れた革財布がなくなつてゐた。改札口の混雜に紛れて何處かの「街の紳士」の手すさみに拔取られたものらしい。もう二度と出直す勇氣がなくなつてそれつきりそのまゝになつてしまつた。財布を取つた方も内容が期待を裏切つて失望したであらうから、結局此の伊香保行の企ては二人の人間失望させるだけの結果に終つた譯である

 此頃少し身體の工合が惡いので二三日保養のために何處か温泉にでも出掛けようといふ、その目的地に此の因縁つきの伊香保が選ばれることになつた。十月十四日土曜午前十一時上野發に乘つたが、今度は掏摸すりの厄介にはならなくて濟んだし、汽車の中は思ひの外に空いて居たし、それに天氣も珍らしい好晴であつたが、慾を云へば武藏野の秋を十二分に觀賞する爲には未だ少し時候が早過ぎて、稻田と桑畑との市松模樣の單調を破るやうな樹林の色彩が乏しかつた。

 途中の淋しい小驛の何處にでも、同じやうな乘合自動車アルミニウムペイントが輝いて居た。昔はかういふ驛には附きものであつたあのヨボ/\の老車夫の後姿にまつはる淡い感傷はもう今では味はゝれないものになつてしまつたのである

 或る小驛で停り合はせた荷物列車の一臺には生きた豚が滿載されて居た。車内が上下二段に仕切られたその上下に、生きてゐる肥つた白い豚がぎつしり詰まつてゐる。中には可愛い眼で此方を覗いてゐるのもある。宅の白猫の顏に少し似てゐるが、あの喇叭のやうな恰好をして、さうして禿頭のやうな色彩を帶びた鼻面はセンシユアルでシユワイニツシである。此等の豚どもはみんな殺されに行く途中なのであらう。

 進行中の汽車から三町位はなれた工場の高い煙突の煙が大體東へ靡いて居るのに、すぐ近くの工場の低い煙突の煙が南へ流れて居るのに氣がついた。汽車が突進して居る爲に其の周圍に逆行氣流が起る、その影響かと思つて見たがそれにしても少し腑に落ちない。此れから行先にまだいくらも同じやうな煙突の一對があるだらうからもう少し詳しく觀察してやらうと思つて注意してゐたが、たうとう見付からずに澁川へ着いてしまつた。いくらでも代はりのありさうなものが實は此の世の中には存外ないのである。さうして、ありさうもないものが時々あるのも此の世の中である

 澁川驛前にはバス電車伊香保行の客を待つてゐる。大多數の客はバスを選ぶやうである電車の運轉手は、しきりにベルを踏み鳴らしながら、併しわり合にのんきさうな顏をしてバスに押し込む遊山客の群を眺めて居たのである。疾とうの昔から敗者の運命に超越してしまつたのであらう。自分も同行Sも結局矢張りバスもつ近代味の誘惑に牽き付けられてバスを選んだ。存外すいて居る車に乘込んだが、すぐあとから小團體がやつて來て完全に車内の空間を充填してしまつた。酒の香がたゞよつて居た。

 道傍の崖に輕石の層が見える。淺間山麓一面を埋めて居るとよく似た豌豆大の粒の集積したものである。淺間のが此邊迄も降つたとは思はれない。何萬年も昔に榛名火山自身の噴出したものかも知れない。それとも隣りの赤城山の噴出物のお裾分けかも知れない。

 前日に伊香保通のM君に聞いたところでは宿屋はKKの別館が靜かでいゝだらうといふことであつた。でも、うつかりいきなり行つたのでは斷られはしないかと聞いたら、そんなことはないといふ話であつた。それで、バスを降りてから二人で一つづゝカバンを提げて、すぐそこの別館の戸口迄歩いて行つた。館内は森閑として玄關には人氣がない。しばらくして内から年取つた番頭らしいのが出て來たが、別に這入れとも云はず突立つたまゝで不思議さうに吾々二人を見下ろしてゐる。此れはいけないと思つたが、何處か部屋はありませうかと聞かない譯にも行かなかつた。すると、多分番頭と思はれる五十恰好のその人は、恰度例へば何處かの役所の極めて親切な門衞のやうな態度で「前からの御申込でなければとてもとても……」と云つて、突然に乘込んで來ることの迂闊さを吾々に教へて呉れるのであつた。向うの階段の下では手拭を冠つて尻端折つて箒を持つた女中が三人、姦の字の形に寄合つて吾々二人の顏を穴のあく程見据えてゐた。

 カバンをぶら下げて、悄々しをしをともとのバスの待合所へ歸つて來たら、どういふものか急に東京へそのまゝ引き返したくなつた。此の坂だらけの町を、あるかないか當てにならない宿を求めて歩き※(「えんにょう+囘」、第4水準2-12-11)はるのでは第一折角保養に來た本來の目的に合はない、それよりか寧ろ東京の宅の縁側で咲殘りのカンナでも眺めて欠伸をする方が遙かに有效であらうと思つたのである。併し、歸ることは歸るとしても兎も角も其處らを少し歩いてから歸つても遲くはないだらうとSがいふので、厄介な荷物を一時バスの待合所へ預けておいてぶら/\と坂道を上つて行つた。

 宿屋が滿員の場合には入口に「滿員」の札でも出しておいたら便利であらう。又兎も角も折角其家を目指して遙々遠方から尋ねて來た客を、どうしても收容し切れない場合なら、せめて電話温泉旅館組合の中の心當りを聞いてやる位の便宜をはかつてやつてはどうか。頼りにして來た客を、假令それがどんな人體であるにしても、尋ねてくるのが始めから間違つてゐるかのやうに取扱ふのは少し可哀相であらう。さうする位ならば「旅行案内」などの廣告にちやんと其旨を明記しておく方が親切であらう。

 こんな敗者の繰言を少し貧血を起しかけた頭の中で繰返しながら狹い坂町を歩いてゐるうちに、思ひの外感じのいゝ新らしいM旅館別館の三階に、思ひもかけなかつた程に見晴らしの好い一室があいてゐるのを搜しあてゝ、それで漸く、暗くなりかゝつた機嫌を取直すことが出來たと同時に馴れぬ旅行疲れた神經と肉體とをゆつくり休めることが出來たのは仕合せであつた。

 此室の窓から眼下に見える同じ宿の本館には團體客が續々入込んでゐるやうである。其の本館から下方の山腹にはもう人家が少く、色々の樹林に蔽はれた山腹の斜面が午後の日に照らされて中々美しい。遠く裾野には稻田の黄色い斑の縞模樣が擴がり、其の遙かな向うには名を知らぬ山脈が盛上がつて、其の山腹に刻まれた褶襞の影日向が深い色調で鮮かに畫き出されて居る。反對側の、山の方へ向いた廊下へ出て見ると、此の山腹一面に築き上げ築き重ねた温泉旅館ばかりの集落は世にも不思議な標本的の光景である。昔、ローマ近くのアルバ地方遊んだ時に、「即興詩人」で名を知られたゲンツアノ湖畔を通つたことがある。其の湖の一方から見た同じ名の市街の眺めと、此處の眺めとは何處か似た所がある。併し、古い伊太利の彼の田舍町は油繪になり易いが此處のは版畫に適しさうである。數年前に此地に大火があつたさうであるが、成程火災の傳播には可也都合よく出來てゐる。餘程特別防火設備必要であらうと思はれる。

 一と休みしてから湯元を見に出かけた。此の小市街横町は水平であるが、本通りは急坂で、それが極めて不規則階段のメロデイーの二重奏を奏してゐる。宿屋お土産を賣る店の外には實に何もない町である。山腹温泉街の一つの標本として人文地理學者の研究に値ひするであらう。

 階段の上ぼりつめに伊香保神社があつて、そこを右へ曲ると溪流に臨んだ崖道に出る。此の道路にも土産物を賣る店の連鎖が延長して溪流の眺めを杜絶してゐるのである。湯の流れに湯の花がつくやうに、かういふ處の人の流れの道筋にはきまつて此のやうな賣店の行列がきたなく付くのである。一寸珍らしいと思ふのは此道の兩側の色々の樹木に木札がぶら下げてあつて、それに樹の名前が書いてあることである。併し、流石にラテン語の學名は略してある。

 崖崩れを石垣で喰ひ止める爲に、金のかゝつた工事がしてある。此れ位の細工で防がれる程度の崩れ方もあるであらうが、此の十倍百倍の大工事でも綺麗に押し流すやうな崩壞が明日にも起らないといふ保證は易者にも學者にも誰にも出來ない。さういふ未來の可能性を考へない間が現世の極樂である自然可能性に盲目な點では人間も蟻も大してちがはない。

 此邊迄來ると紅葉がもうところ斑に色付いて居る。細い溪流の橋の兩側と云つたやうな處のが特に紅葉が早いらしい。夜中にかうした澤を吹下ろす寒風の影響であらうか。寫眞師がアルバムをひろげながらうるさく撮影をすゝめる。「心中ぢやないから」と云つて斷わる。

 湯元迄行つた頃にはもう日が峯の彼方にかくれて、夕空の殘光に照らし出されて雜木林の色彩が實にこまやかに美しい諧調を見せて居た。樹木の幹の色彩がかういふ時には實に美しく見えるものであるが、どういふもの特に樹幹の色を讚美する人は少ないやうである

 此處の湯元から湧き出す湯の量は中々豐富らしい。澤山の旅館の浴槽を充たしてなほ餘りがあると見えて、惜氣もなく道端の小溝に溢れ流れ下つて溪流に注いで居る。或る他の國の或る小温泉では、僅かにつの浴槽にやつと間に合ふ位の湯が生温るくて、それを熱くする爲に一生涯骨を折つて、やつと死ぬ一年前に成功した人がある。其人が此處を見たときにどんな氣がしたか。有る處にはあり餘つて無い處にはないといふのは、智慧黄金に限らず、勝景や温泉に限らぬ自然の大法則であるらしい。生きてゐ自然界には平等存在せず、平等は即ち宇宙の死を意味する。いくら革命を起して人間の首を切つても、金持と天才との種を絶やすことは六かしい。ましてや少しでも自己觸媒作用オートカタリテイツク・アクシヨンのある所には、ものの片寄るのが寧ろ普遍現象からである。さうして方則に順應するのは榮え、反逆するものは亡びるのも亦普遍現象である

 宿へ歸つて見ると自分等の泊つてゐる新館にも二三の團體客が到着して賑やかである。○○銀行○○課の一團は物靜かでモーニングを着た官吏風の人が多い。○○百貨店○○支店の一行は和服が多く、此方は藝者を揚げて三絃の音を響かせて居るが、肝心の本職の藝者の歌謠の節※(「えんにょう+囘」、第4水準2-12-11)はしが大分危なつかしく、寧ろ御客の中に一人いゝ聲を出すのが居て、それがやゝもすると外れかゝる調子を引戻して居るのは面白い。ずつと下の方の座敷には足踏み轟かして東京音頭を踊つて居るらしい一團がある。人數は少いが此組が壓倒的優勢を占めて居るやうである

 今度は自分などのやうに、うるさく騷がしい都を離れて、しばらく疲れた頭を休める爲にかういふ山中自然を索たづねて來るものゝある一方では又、東京では斷ち切れない色々の窮屈を束縛をふりちぎつて、一日だけ、はめを外づして暴れ※(「えんにょう+囘」、第4水準2-12-11)はる爲にわざ/\かういふ土地を選んで來る人もあるのである。此れも人間界の現象である。此の二種類の人間相撲になれば明白に前者の敗である後者の方は、宿の中でも出來るだけ濃厚なる存在を強調する爲か、廊下を歩くにも必要以上に足音を高く轟かし、三尺はなれた仲間に話をするのでも、宿屋中に響くやうに大きな聲を出すのであるが、前者の部類の客はあてがはれた室の圍ひの中に小さくなつて、其の騷ぎを聞きつゝ眠られぬ臥床ふしどの上に輾轉するより外に途がないのである。床の間を見ると贋物の不折の軸が懸かつて居る、その五言の漢詩の結句が「枕を拂つて長夜に憐む」といふのであつたのは偶然である。やつと團體の靜まる頃には隣室へ子供づれの客が着いた。單調な東京音頭は嵐か波の音と思つて聽き流すことが出來ると假定しても、可愛い子供の片言は身につまされてどうにも耳朶の外側に走らせることの出來ぬものである。電燈の光が弱いから讀書で紛らすことも出來ない。

 やつと宿の物音があらかた靜まつた後は、門前のカフエーから蓄音機の奏する流行小唄の甘酸つぱい旋律が流れ出して居た。併し、かうした山腹の湯の町の夜の雰圍氣を通して響いて來る此の民衆音樂の調べには、何處か昔の按摩の笛や、辻占賣の聲などのもつて居た情調を想ひ出させるやうな或るものが無いとは云はれない。

 蓄音機と云へば、宿へ着いた時につい隣りの見晴らしの縁側に旅行蓄音機を据ゑて、色々な一粒選りの洋樂のレコードをかけてゐ家族連の客があつた。此れも存在の鮮明な點に於て前述の東京音頭の連中と同種類に屬する人達であらう。

 夜中に驟雨があつた。朝はもう降り止んではゐたが、空は低く曇つてゐた。兎も角も榛名湖畔迄上ぼつて見ようといふので、ケーブルカー停車場のある谷底下りて行つた。此の谷底停車場風景は一寸面白い。見ると、改札口へ登つて行く階段だか斜面だかには夥しい人の群が押しかてゐる。それがなんだか若芽についたあぶら蟲か、腫物につけた蛭の群のやうに、ぎつしり詰まつて身動きも出來さうにない。それだのにあとから/\此處を目指して町の方から坂を下りて來る人の群は段々に増すばかりである。此の有樣を見て居たら急に胃の工合が變になつて來て待合室の腰掛に一時の避難所を求めなければならなかつた。「おぢいさんが人癲癇を起こした」と云つてSが笑出したが、兎も角も榛名行は中止、その代りつい近所だと云ふ七重の瀧へ行つて見ることにした。此の道筋の林間の小徑は往來の人通りも稀れで、安價なる人癲癇は忽ち解消した。前夜の雨に洗はれた道の上には黄褐紫色樣々の厚朴の落葉などが美しくちらばつてゐた。

 七重の瀧の茶店で「燒饅頭」と貼札したものを試みに注文したら、丸いパンのやうなもの味噌※(「滔」の「さんずい」に代えて「しょくへん」、第4水準2-92-68)を塗つたものであつた。東京下町若旦那らしい一團が銘々にカメラを持つてゐて、思ひ思ひに三脚を立てゝ御誂向の瀧を撮影する。ピントを覗く爲に皆申合せたやうに羽織の裾をまくつて頭に冠ると、銘々の羽織の裏の鹽瀬の美しい模樣が茶店に休んでゐる女學生達の面前にずらりと陳列される趣向になつてゐた。

 溪を下りて行くと別莊だか茶店だかゞあつて其前の養魚池の岸にかはせみが一羽止まつて居たが、下の方から青年團の服を着た男が長い杖をふりまはして上がつて來たので其のフアシズムの前に氣の弱い小鳥は驚いて茂みに飛び込んでしまつた。

 大杉公園といふのはどんな處かと思つたら、とある神社杉並木のことであつた。併し杉並木は美しい。太古の苔の匂ひがする。ボロ洋服を着た小學生が三人、一匹の眞白な野羊を荒繩の手綱で曳いて驅け※(「えんにょう+囘」、第4水準2-12-11)つてゐたが、どう思つたか自分が寫眞をとつて居る傍へ來て帽子を取つてお辭儀をした。學校の先生と間違へたのかどうだか分らない。昔郷里の田舍を歩いて居て、よく知らぬ小學生に禮をされた事を想ひ出して、時代が急に明治に逆戻りするやうな氣がした。此邊では未だイデオロギー階級鬪爭意識が普及して居ないのであらう。社前の茶店葡萄棚がある。一つの棚は普通のぶだうだが、もう一つのは山葡萄紅葉てゐる。店の婆さんに聞くと、山葡萄は棚にしたら一向に實がならぬさうである。山葡萄は矢張り人家にはそぐはないと見える。

 茶店の周圍に花畑がある。花を切つて高崎へでも賣りに出すのかと聞くと、唯々お客さんに自由に進呈するためだといふ。此の山懷の一隅には非常時の嵐が未だ屆いて居ないのか、妙にのんびりした閑寂の別天地である。薄雲を透した日光が暫く此の靜かな村里を照らして、ダリアコスモスが光り輝くやうに見えた。

 宿へ歸つて晝飯を食つてゐる頃から、宿が又昨日に増して賑やかになつた。日本橋邊の或る金融機關の團體客百二十人が到着したのである。其爲に階上階下の部屋といふ部屋は一杯で廊下の籐椅子に迄もはみ出してゐる。吾々は、此處へ來たときから約束暫時帳場の横へ移轉することになつた。

 部屋に籠つて寐轉んで居ると、すぐ近くの階段廊下を往來する人々の足音が間斷なく聞こえ、それが丁度御會式の太鼓のやうに響き渡り、音ばかりでなく家屋全體が其の色々な固有振動の週期で連續的に振動して居る。さういふ状態が一時間時間[#「二時間」は底本では「二間時」]三時間と經過しても一向に變りがない。

 一體どうして、かういふ風に連續的に足音や地響きが持續するかといふ理由を考へて見た。百數十人の人間が二人三人づつ交る/″\階下の浴室へ出掛けて行き、又歸つて來る。その際に一人が五つの階段の一段々々を踏み鳴らす。其外に平坦な縁側や廊下をあるく音も加はる。假に、一人宛て百囘の音を寄與コントリビユートするとして、百五十で一萬五千囘、此れを假に午後二時から五時迄の三時間、即ち一萬八百秒に割當てると毎一秒間に平均一囘よりは少し多くなる勘定である。此外に浴室通ひ以外の室と室との交通、又女中下男の忙はしい反復往來をも考慮に加へると、一秒間に三囘や四囘に達するのは雜作もないことである。即ち丁度太鼓を相當急速に連打するのと似た程度のテンポになり、それが三時間位持續するのは何でもないことになるのである。唯々面白いのは、此の何萬囘の足音が一度にかたまつて發しないで、實にうまく一樣に時間的に配分されて、勿論多少の自然的偏倚は示しながらも統計的に一樣な毎秒平均足音數を示してゐることである。容器の中の瓦斯體の分子が、その熱擾動サーマルアヂテーシヨンのために器壁に反覆衝突するのが、いくらか此れに似た状況であらうと思はれた。かうなると人間も矢張り一つの分子」になつてしまふのである

 室に寐ころんだ切り、ぼんやり此んなことを考へてゐる内に四時になつた。すると階下の大廣間の演藝場と思はれる見當で東京音頭の大會が始まつた。さうして此れが約三十分續いた。それが終つても、未だその陶醉的歡喜の惰性を階上迄持込[#「持込」は底本では「持迄」]んで客室前の廊下を踏鳴らしながら濁聲高く唄ひ踊る小集團もあつた。

バス切符を御忘れにならないやうに」と大聲で何遍となく繰返して居るのが聞こえた。それからしばらくすると、急に家中がしんとして、大風の後のやうな靜穩が此の山腹全體を支配するやうに感ぜられた。一時間前の伊香保とは丸で別な伊香保が出現したやうに思はれた。三階の廊下から見上げた山腹の各旅館の、明るく灯のともつた室々の障子の列が上へ上へと暗い夜空の上に累積してゐ光景は、龍宮城のやうに、蜃氣樓のやうに、又ニユーヨークの摩天樓街のやうにも思はれた。晝間は出入の織るやうに忙がしかつた各旅館の玄關にも今は殆ど人氣が見えず、野良犬がそこらをうろ/\して居るのが見えた。

 團體の爲に一時小さな室に追ひやられた埋合せに、今度はがらあきになつた三階の一番廣く見晴らしのいゝ上等の室に移され、地面迄數へると五階の窓下を、淙々として流れる溪流の水音と、窓外の高杉の梢にしみ入る山雨の音を聞きながら此處へ來てはじめての安らかな眠りに落ちて行つた。

 翌日も雨は止んだが空は晴れさうもなかつた。霧が湧いたり消えたりして、山腹から山麓へかけての景色を取換へ取換へ迅速に樣々に變化させる。世にも美しい天工の紙芝居である。一寸青空が顏を出したと思ふと又降出す。

 とある宿屋の前の崖にコンクリート道路と同平面のテラスを造り其の下の空間を物置にして居るのがあるのは思ひ付きである。此の近代設備の脚下の道傍に古い石地藏が赤い涎掛けをして、さうして雨曝しになつて小さく鎭座して居るのが奇觀である。此處らに未だ家も何もなかつた昔から此の地藏尊は此の山腹の小道の傍に立つて居て、さうして次第に開ける此の町の發展を見守つて來たであらうが、物を云はぬから聞いて見る譯にも行かない。

 晝飯をすませて、そろ/\歸る支度にかゝる頃から空が次第に明るくなつて來て、やがて雲が破れ、東の谷間に虹の橋が懸つた。

 歸りのバスが澁川に近づく頃、同乘の兎も角も知識階級らしい四人連の紳士が「耳がガーンとした」とか「欠伸をしたらやつと直つた」とか云つたやうな話をして居る。山を下つて氣壓が變る爲に鼓膜の壓迫されたことを云つて居るらしい。唾を飮み込めば直るといふことを知らないと見える。小學校や中學校でこのやうな科學的常識を教はらなかつたものと思はれる。學校の教育でも時には要らぬ事を教へて要ることを教へるのを忘れて居る場合があるのかも知れない。尤も教へても教へ方が惡いか、教はる方の心掛けが惡ければ教へないのも同じになる譯ではある。

 上野へついて地下室の大阪料理で夕食を食つた。土瓶むしの土瓶のつるを持ち上げると土瓶が横に傾いて汁がこぼれた。土瓶の耳の幅が廣過ぎるのである。此處にも簡單な物理學が考慮の外に置かれてゐるのであつた。どうして、かう「科學」といふものが我が文化日本で嫌はれ敬遠されるかゞ不思議である

 雨の爲に榛名湖は見られなかつたが、併し雨のおかげでからだの休養が出來た。讀まず、書かず、電話が掛からず、手紙が來ず、人に會はずの三日間で頭の疲れが直り、從つて胃の苦情もいくらか減つたやうである。その上に、宿屋階段の連續的足音の奇現象を觀察することの出來たのは思はぬ拾ひものであつた。

 温泉には三度しかはひらなかつた。湯は黄色く濁つてゐて、それに少しぬるくて餘り氣持がよくなかつた。その上に階段を五つも下りて又上がらなければならなかつた。温泉場と階段はとかくつきものである温泉場へ來たからには義理にも度々温泉に浴しなければならないといふ譯もないが、すこしすまなかつたやうな氣がする。

 他の温泉でもさうであるが、浴槽に浸つて居ると、槽外の流しでからだを洗つて居る浴客がざあつと溜め桶の水を肩からあびる。そのしぶきが散つて此方の頭上に降りかゝるのはそれ程潔癖でないつもりの自分にも餘り愉快でない。此れも矢張り宿屋蓄音機を持ち込み、宿屋東京音頭を踊る Permalink | 記事への反応(0) | 18:19

2025-10-21

anond:20251021190636

どうしてそうまでしてアイデンティティ喪失させたいの?

匿名が至高みたいな価値観なんだろうけど押し付けるなよ。

名乗るというじぶんにはどうしても抵抗があることを臆面のなくしてる人がうらやましくて、この葡萄はすっぱいみたいなこと言ってるって感じ?

匿名ダイアリーは名乗るのを禁じてはいないぞ。

dorawiiより

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-----END PGP SIGNATURE-----

2025-10-19

anond:20251019012133

酸っぱい葡萄しか聞こえないし、男同士で遊んで楽しいならディズニーもおしゃれなカフェも男同士の客で溢れてるはずでは?

それはどっちもおしゃれな女子が行きたがるところじゃないの?

男同士でそういうところは来づらいし、そういうおしゃれ女子感覚がある男性同士でしか行かないのでは?

しろ、おじさんが集まって行きそうなところの方が男同士で集まっていくのも行きやすいだろうなと思う。

ディズニーよりボウリングとかゲームセンターとかバッティングセンターとかの方が多そうじゃない?

おしゃれなカフェよりチェーンの居酒屋だろうね。

何で気を遣わないでいい男同士なのにそういうくれくれ女子が行きたがるようなこじゃれたところに行かないといけないんだよ。

anond:20251019012133

酸っぱい葡萄しか聞こえない

女には価値があって男は誰でも女と付き合いたがる(だから、女がほんの少し選り好みしただけで理想の男と巡り合えなくなるのは絶対おかしい)と確信してなければ吐けない言葉やな

anond:20251018231722

男同士で遊んで本当に楽しい

酸っぱい葡萄しか聞こえないし、男同士で遊んで楽しいならディズニーもおしゃれなカフェも男同士の客で溢れてるはずでは?

2025-10-09

anond:20251009102151

典型的な「勝手類推マン」だな

「〇〇をしてるんだから□□するのが当然」

「〇〇なんだから□□してないとおかしい」

「〇〇だったら□□になっていてあたりまえ」

前提がいくらあっても同じ

前提が問題じゃないんだよ

「なぜそうしたか」を逆算していけば起因になる事柄が拾えるけど

その拾った事柄再現したところで結果は再現されないよ

だいたい

「〇〇なんだから□□してないなんておかしい」

とその論建てが失敗したところから始まってるんだから

失敗がどうして失敗したかって、逆算しはじめたところからなんだから

最初から失敗しているのに失敗のなかから失敗じゃない点をみつけようとしても

全部が失敗の経路から失敗しか拾えないにきまってるじゃん

たとえばね

交通事故が起きたとして

交通事故に至らない結果になるためには」

ってそのための手段を講じてないか事故になったわけで

「次に起きる事故を阻止するために前提条件として失敗の例を考察する」には意味があるけど

起きた交通事故は何回反芻しても無くならない

「なんで〇〇なのに□□しないんだ」

ってしないからしてないだけ

してないからならないし、してないものはならない

そうなるように流れを先につくっておかないと、結果はとつぜん降ってきたりしない

失敗にしても成功にしても、その条件を考察してできるのは

その事例以降に

「〇〇なんだから□□してしまう」

人を生み出すプロセス形成することだけだよ

今ちょうどその

TCG転売みたいなもんだから転売反対ならそれやめちまえよ」

にもっていこうと頑張って

いかTCGが、というか人間社会人生世界のすべてが取引だとして

取引してるんだから転売してるんだから楽しい人生には転売必要だ」

みたいな話をしてるけどさ

どの取引にも違う名前がついていて条件が違っていて、転売もその一つ

それだと

悪徳業者が無理な取引を誤解させて行って損をさせる」のも取引だと思う?

なんでも取引という名前に集約させて、その「取引」という名称の革袋から出たもの

「みんな正当なもの」という古い革袋に新鮮なワインを入れたらでてくるのはみんな飲用可能ワインみたいにしてる

TCG転売みたいなもので、恋愛金融もみんな転売転売は正しくてみんな転売生活してる

それは古い革袋から出したなにかわからないドロドロの液体で埋め尽くしてるだけでなんにも正しくない

正しいというのは「いつどこでだれがなにの目的でそれを使うか」ということで

畑にまくならドロドロの腐敗した葡萄酒でもいいし、飲むならつめたくて新鮮なものがいい

昆虫採集とか動物の餌にとかいったものもあるかもしれない、それぞれ全然別で「ぜんぶえきたい」といっていいものではない

転売問題点は

「いつどこで、という競争においてどこでだれが、という優位性をもって」

これが取引の前提だけど

「なにの目的で」

というのが、末端利用であるはずのものが「再販売」を目的にしているところ

商店街みかじめ料をとったり、配達物を手渡す配達員チップ要求したりするようなもの

払う分には「そのくらい」と思うかもしれないけど、人質にとられている「払わないと受け取れない取引物」が

購入したい商品なわけで、たとえ100円上乗せしただけだとしても「人質商品単価全額が乗せられている」という取引

果たしてトレードみたいな言い方で片付くものなのか

そこにいろんな問題があるから、いろんな問題をはじめから発生させないようにするには

転売はよくない」

としているシンプルな話

この話を例にたとえるといくらでも話をつくれるけど

いくらでもある話から逆算して類推して結果を作り出すのは無理

類推マンはたったひとつの事例から抜け道を探すのが得意みたいだけど

再現性」が抜けてる

それがないからたった一例の希少な発想を

「〇〇をしてるんだから□□するのが当然」

「当然」という強い押しの単語を加えることによって一般化したい気持ちを具現化してるけど

挙げてる例がなおさら無理筋で魅力に欠けるから全然まらない

実際「人勢全部転売だ」なんて考えになる人いないでしょ

人生のもの転売だって人も、転売プロならそう言うと思う

転売に魅力を感じて実益を得たからでしょう

そうじゃない人になんの得もないのに、迷惑しかかかってないのに

人生取引だ、だから転売だ」なんて言われても

なんの得もしないし、魅力もないし、そう考えたところでなんの楽しみもない

から受けないんだよ

トレーディングって名前のことをしてる人が転売をきらってるストーリーを練って

転売」の株があがるとおもった?

anond:20251009091420

それはそれで酸っぱい葡萄理論的な成功者への妬みと性格が歪んだやつに見えるが

2025-09-30

彼女同棲して変わったこ

四季を感じるようになった

先週から花瓶に桔梗が生けてある

少し前はタッパーの冷蔵庫葡萄が入っていたのが昨日は梨が入っていた

今日はどこからもらってきたのか小さなカボチャがローテーブルに置いてあった、飾りらしい

2025-09-29

自分を変えると死ぬ

anond:20250928210720

ここのトラバとかブコメ見てても思うけど自分のことを変えるのをめちゃくちゃ嫌う人いるな〜

全身ドルガバしろとか全身整形しろとか骨延長手術しろとか年収2000万にしろとか悟りを開けとか不動産鑑定士取れとか東大行けとか1日100善しろとかそんな言ってなくない?

今よりちょっと頑張らない?優しくなってみない?って話ばっかじゃない?

それが無理ならもちろんしなくていいけどそれで他人バカにされてる(気がする)とか選んでもらえなかったとか喚くのもわからんし嘘認定するのも酸っぱい葡萄すぎる

相手でも女相手でもブスとバカと不潔を嫌うやついるよそりゃ(そんなん悲しいし行き過ぎは良くないのはわかるけどな!)

結局金か!!!とか実家!!!とか見た目か!!!!とか性別!!!とかワンワン吠えられたらこりゃしばらく無理だなーと思っちゃう

心の持ち方ってだけなんかもしれんけどもさ

2025-09-23

門をくぐれば楽しい世界が待っているのに、多くの人が中に入らず外からのぞいた感想を口々に述べる。そんな一つがワインかもしれない。といって、すべての人がゴルフをするべきだと言っているのではない。球体恐怖症の人もいるはず。お金時間を別のことに費やした方が賢明かもしれない。ただ、詐欺泥棒犯罪であるが、そのやり方を知っておくのは大切だ。

また、筆者はソムリエなどではないので、その経験にはひどいバイアスがかかり、その知識は浅く粗く、古い(禁酒中なので)ことをお断りする。

でも、個人が探索する人生フィールドは面積にして僅かなものから、その知見を共有することは🐜にとって無意味でないと思う。

ブルゴーニュのある程度良いワインは、開栓すると、心地よい香りが一面に漂うので、飲めない人は、24時間部屋の芳香剤にしたあと料理酒にするか、バーで連れのグラスに内緒で鼻を突っ込むのも、冥土土産にいいかもしれない。

赤ワイン、それ以上は金持ちと愛好家向けなので国内市価4桁ほどまでのもの限定輸入ワインは通常、輸送により国内小売店で現地の2倍、レストラン(たいていボトル4000円〜)やバーではさらに2-3倍の値段に。なので、ここではこの値段帯前後をあつかう。楽天などで買えるが、送料はどの値段のワインでも一緒。

ワイン(〜1,000円/L?)と瓶詰めワイン。南仏ローヌワイン生産者組合による箱ワインなどおいしいのもあり。

産地は、旧世界ヨーロッパ)、新世界オセアニア南アフリカアメリカ南米中国日本など)。ほとんどの地域で格付けがなされていて、ラベルに書いてある。味を予想する、重要情報

ぶどう品種は、国際品種カベルネソーヴィニョン、メルローシラーピノノワールなど)と土着品種品種ブレンドワインが多い。カベルネは渋く若いピーマン香りで年数を経ると複雑に、メルローはしなやかな味わいが出る。

ヴィンテージ。4000円を超えるワインについては、年によるぶどうの出来具合を調べるのが賢明

https://www.robertparker.com/vintage-chart?country=france?region=bordeaux:%20st.%20emilion?vintage=all

サーブする温度。推奨14-18°C。セラーに入れないなら、日本では多くの場合無視するしかない。ボトル直射日光晒すのはNGボジョレーの軽いワインについては、夏場は軽く冷やすといいという人もいる。

ブルゴーニュ場合は閉じるのが早いかもしれないが、筆者は通常、開栓して二夜にわたって飲み、味のピークを逃さないようにしている。また、新しいビンテージボトル日中に開栓している。

できるだけ大きなグラスに少し注ぎ、色を白いテーブルクロスにかざして見て(液の中央の濃さ、グラデーション、縁の色合い)、一度香りを嗅ぎ(これで実は嗅覚麻痺する)、一回グラスを回してまた嗅ぎ、最後に反対周りに激しめに回して嗅ぐ。香りの留まる秒数を数える。口に含んで、クチュクチュし、後鼻道経由で立ち上る香りを捉える(吐いてよし)。

イタリアのBarbera d’Albaバルベーラダルバが、渋すぎず果実味あり、スタート地点としてはおすすめ、2-3,000円くらいから。

あとはオーストラリア(Sileniなどは2千円前後からシラー品種など)やニュージーランドピノノワール品種、軽快だけど酸っぱいかも、2千円台から)がフランスより地雷は少ないかもしれない。

【#フランス#】

ボルドーブルゴーニュボジョレー南北ローヌ、ロワール、カオールプロヴァンス地方など。

多くの人は、コンビニ量販店の金賞ボルドーワインを飲んで、その渋さと頭痛リピートを諦めた経験があるかもしれない。

ボルドー

タンニン含有量が多く、翌朝トイレに駆け込むことになるので、筆者は便秘時の下剤として愛用している。2000円未満は地雷多数、コスパがいいのもあり、店員おすすめを聞くのがいいかも。わりと値段に比例する味。細身の怒肩の瓶。

雑にいうと、安い順から格付けは、Bordeaux、Bordeaux supérieurスぺリュール、地区名、地区名かつ級付き(ブルジョワ、3, 2, 1, 特級)。

看板ワインと、それより樹齢の若い区画の実を使ったセカンドワイン(ラベルには書いていない)はお手頃。

Châteauと名前についていても、それは畑付きの醸造所(蔵)のことだから、ぜんぜんありがたくない。ついてないと、セカンドワイン等のこと。

地区でいうと、Haut-Medocオーメドックが1番広く、味は並。

満遍なく試したわけでは決してないが、おすすめは、

Esprit de Valandraudまたは 3 de Valandraud(地区Saint-Emilionサンテミリオン

Château d’Issan(地区名Margauxマルゴー)

地区ごとに味見したいなら、Mouton Cadet Reserveシリーズが4千円くらいであった。ただ、同じ地区でもシャトーごとの品種ブレンド比率もずいぶん違うので、ここの粘土質土壌が、とテロワールの違いを言いはじめる人は、マニアだと思う。

ブルゴーニュピノノワール品種)、ボジョレー(ガメイ品種)】

ブルゴーニュワイン催淫剤だという人もいるので、倦怠期の人は試してみてはいかがだろう。太めの撫で肩の瓶。

から順に、コート・ド・ニュイ、コート・ド・ボーヌ、コート・シャロネーズ、(ブルゴーニュではないが)ボジョレー地方。南に行くほど安くなる。

安い順に、広域(Bourgogneなどと表示)、地域(Hautes Côtes de Beauneなど、Hautes Côtesがつく)、○○村の村名(Fixinなど)、一級、特級。一級で1.x万円から地区による)なので、おおかた頭上を通り過ぎる。

初めて飲んだ時の印象は、ひたすら酸っぱい。なので、飲み始めるワインとしては不適。筆者ら庶民は、醸造後5年以内で飲み切る用のワインを飲むことになる。

熟成すると美味しいが、一級は高い(1.x万円から)。もし手軽に熟成ブルゴーニュを試したければ、カルフールに行くか、楽天ならオーデュモンのレアセレクションなどが安い(ただしBourgogneか村名クラス)。ただ、枯れた味と熟成香は好き好きなので、文句を言わないでほしい。

コートシャロネーズの村名ワイン、たとえばMercureyメルキュレ、Givreyジブリなどは手頃な値段だが、味は落ちる。

ワイン商たとえばLouis Jadotルイジャド、Louis Latourルイラトゥール、Domaine Feivreyフェブレ、などや、蔵詰めのDomaine ○○など、格付けブルゴーニュであれば3,000円くらいから。ピンキリ

ガメイとピノノワールを混ぜた、Bourgogne Passe Tout Grainsパストゥグランは軽快で飲みやすい。

ボジョレーは、新酒のヌーボーと寝かせたものがあり、後者は、Moulin-á-Vinムーランバン:(熟成する)、Morgonモルゴン(やや熟成も。ふくよかな味)、Flurieフルーリー(軽い、早飲み)など。渋みが少ないので飲みやすい。

南北ローヌ(主にシラー、少々グルナッシュブレンド)】

南は、Côtes du Rhoneコートデュローヌ, Côtes du Rhone Village, この二つは素朴で味はある。コスパはいいと思う。1.x千円。それから、高いがChâteauneuf-du-Papeシャトーヌフデュパプ、野生味ある男性的な味。

北は、Crozes-Hermitage(3,000円台から), Hermitageエルミタージュ(銘酒、男性的、高い)、Côte Rotieコートティ(銘酒、優美女性的、個人的には一推し太陽に焦げた味がするという人も。フランスでは€35くらいからあるが、日本では残念ながら1万円前後くらいから)、Gigondasなど。

ローヌワインは、ワイン商Michel Chaptierシャプティエとラベルに書いてあるのが、いろんな地区の、1.x円くらいかピンキリあって便利で美味しい。

コートプロヴァンス

南仏地中海Pic-saint-loupピクサンルーという地区のが美味しい。

【#イタリア#】

イタリアは固有品種が豊かで、割安なので、ぜひおすすめしたい。

トスカーナピエモンテ地方が二大産地で、あとは筆者の好みになるが、Etnaエトナ火山のエトナ(優美、3千円台からおすすめ)、タウラージ(南の銘酒)、Amaroneアマローネ(銘酒、高い)と同地域で手頃なValpolicello Ripassoバルポリチェッロリパッソ(3千円前後から)など。アリアニコ品種ワインはあまり飲んだことがないのでわからない。

トスカーナ】はサンジョベーゼ品種が多く、Chiantiキャンティ(ただし、コンビニで1,000円で買えるのと違い、Chianti ClassicoChianti Rufinoが高品質。3,4千円から)、Brunello di Montalcinoブルネッロディモンタルチーノイタリアワイン女王おすすめ、5千円台から)かそれより手頃なRosso di Montalcino、それにBolgheriボルゲリ(4,000円前後から、数万円まで。国際品種ブレンドも。パワフルなので、熟成すると美味しい)。

北部ピエモンテ】はトリノから小一時間、Barbera d’Astiアスティ村のバルベラ品種(2千円前後から)、Barbera d’Albaアルバ村のバルベラ(果実味豊かで渋くなく、飲みやすい)、Lange Rossoランゲ(ネッビオーロ品種)、の順に安い。イタリアで王のワインはBaroloバローロネッビオーロ品種熟成タイプから早飲みタイプまで、力強い、おすすめ、4千円台からあったかな?)、Barbarescoバルバレスコ(ネッビオーロ品種バローロ村の隣だが、より女性的な味わい、4千円台から)。バローロの造り手はBologognoボロゴーニョさんが良いそうだが、同姓のワイナリーが村に3軒あるので、試飲に行くときはくれぐれも間違えないようにしよう。また、一人で試飲に行くと、車の運転のため、味見の後すべて壺に吐き出すことになる。ミラノにそのあと行く人は気をつけよう。

バローロについては、回し者ではないが、一本あたり4千円弱のこのセットが良い。

https://item.rakuten.co.jp/wine-naotaka/w607/

それと筆者の好みだが、アルプスに近いAlto Adigeアルトディジェピノネロピノノワール品種)銘醸地で、造り手でいえば、たとえばColterenzioなどがおすすめだ。

イタリアワイン楽天ショップであればたとえばトスカニーが良いと思う。

【#スペイン#】

少々面倒になってきたので簡単に書く。Riojaリオハ(テンプラニーニョ品種)は最も有名で、riservaがつくとより熟成期間が長くて美味しい。瓶熟成する品種だ。他に二、三、名産地があったが最近飲んでないので忘れてしまった。あと、なんとかという有名なブランドがある。

ヨーロッパはもちろん他にもあるが、サンプル数が少ないので書かない。ドイツ赤ワインも美味しいのはあるが(主にピノノワール品種)、多くは現地消費だと思う。

【#アメリカ#】

カリフォルニアピノノワールカベルネなど国際品種)とオレゴンピノノワールブルゴーニュ気候が似ているらしい)が有名だが、筆者はどうしてもオレゴン推したい。4千円前後からあったと思う。薄旨系の味。

【#南米#】

チリアルゼンチンなど。チリのコノスルシリーズは、レゼルバがいいと思う。

以上、竜頭蛇尾に終わったが、そういうことです。単なる「一酒飲みの意見・一葡萄酒愛好家の意見」なので、ぜひ盲信しないでいただきたい。

イラスト専門学校に行ってた

イラスト専門学校に行ってたときのことを書く。

いまはイラスト仕事はほんのちょっと、違う仕事しつつやってる。

自分うまい勘違いしたまま専門行ってチョモランマになった鼻を根本からへし折られ、歪みまくった脳みそ毎日フルスイングで叩き潰されて再構築してもらいました!

行って良かったと心から思ってます

.

イラスト系の専門がどこもそうなのかは知らないけど自分adobe製品の使い方をみっちり教えてもらったことも今の仕事につながっている。

あとは後述する「おまけデッサン」の授業のおかげ。

とはいえ、ただの痛いオタクちょっと絵が描けるだけでイラストレーターになれると息巻いていた自分入学早々、仲良くなった友人のイラストを見て撃沈して鼻は根本から折れた。

場違い存在であることを感じて足元ふらつくってほんとにあるんだと思ったね。

.

ありがたいことに友人には恵まれたおかげで、変に捻くれすぎずに努力してうまくなろうと思えた。

いまある程度イラスト仕事もできているのは、ある授業のおかげだったと言っても過言ではない。

私のいかれた脳みそフルスイングでたたき潰してくれた授業だった。

デッサンをメインにしている先生で、その先生が空き時間にも違う課題を出して講評する授業というか授業っぽいサークルと言うか、

みたいなのがあるという話を先輩に聞き、友人数名と参加させてもらった。

自分たちはこの授業的なのを「おまけデッサン」て呼んでた。授業のおまけのデッサン

.

ハチャメチャうまくて時代に乗れれば好きなものを描いてるだけで金入って生きていけるけどそんなのは一握りどころかひとつまみ以下。

から求められているもの理解して、短い期間(短納期)で仕上げること、それから描けるものの幅を広げることが大事で、先生はそこに焦点をあててやってた。

.

おまけデッサンでの最初課題

先生タウンワークかなにかから持ってきた求人広告の切り抜きのコピーで、この内容をイラストポスターにして大々的に求人募集するならどんな人を描くか?だった。

ポスターをつくる必要はなくて、ポスターにする場合にどんな人物イラストがあると良いか、男女一人ずつ全身を描いてくる。

先生がいくつか求人持ってきてて、1求人に対して3人くらい充てがわれた。

自分のはどこかの電気工事やる会社求人だったと思う。

.

で、このとき自分チョモランマの鼻をへし折られただけのただの「痛いオタク

作業着っぽい服(女性の方は可愛い色の作業着にしてたと思う…)にドリルかなにかそれっぽい器具を持って片足上げてかわいいポーズとる女の子決めポーズしてる男子を描いた。

ラノベの表紙のようなね・・・。友だちにもかわいい~とか言ってもらって浮かれてたよ。へし折られた鼻からちょっと芽出てたと思う。

で、ボロカス言われて脳みそ破壊された。

.

先生増田さんはこのイラストポーズを実際に取りましたか?やってない?じゃあみんなの前でやってみてください。増田さん、普段こんなポーズしますか?しませんね?じゃあきっと仕事をするときにもしないポーズですね?なんで描いたんですか?でも男性の方のポーズは取ることもありそうなポーズですね?この違いはなんですか?なんでこのポーズ求人効果があると思ったんですか?」

何も言えなかった。

なぜなら求められてるもの一切理解してなかったし、なんか見たことあるポーズラノベの表紙にありそうな)を描いてるだけだから

デッサンの授業のはずがさ、その手前で終わってんの。デッサンが狂ってるんじゃなくてこっちの頭が狂ってたってわけ。

.

おなじ広告イラストを描いてきてた先輩は30~40代くらいの女性20~30代くらいのもう少し若そうな男性の全身作業着姿に加えて、実際に作業をしている様子のイラストをいくつか描いてきていた。

先輩はまず、この広告会社ホームページを見て、仕事の内容と作業着確認求人欄に「女性活躍中!」とか「未経験者歓迎!」って描いてあるから女性や若手の転職する人を集めたいのだろうと考えて年齢を設定。ホームページ写真とか事業内容からどういうポーズを取るか調べて雰囲気掴んで実際に自分ポーズ取ったり誰かに取ってもらってデッサンしてイラストを仕上げていた。

先輩はなぜそのポーズ、年齢でイラストを仕上げたかをすべて説明できていた。

ここでまたへし折られた鼻から少し芽が出ていた部分も摘み取られて脳みそ破壊

最初自分の絵をコテンパンにぶっ叩かれて僻んだっていうか、酸っぱい葡萄的な愚痴も出たけど、先生は毎回毎回こういう

現実で人に見てもらう絵の作り方」っていうのを徹底的に叩き込んでくれて、「なぜですか?」「どうしてですか?」を必ず聞かれるので自分も常になぜこの色?このポーズ?を自然と考えるようになった。

実際仕事で受けることになるイラストってそういうものなんだよな。

.

いま働いてんのは一般企業広報関係中小からそれ以外の仕事もするけど)。

ゾーニングとか手癖でなんとなくそれっぽく済ませるとか、そういう視点にはすごい敏感になったし、

広告アニメ演出炎上見ると、「あ~何も考えてなくてなんかウケそうみたいな手癖で描いてて、先生に怒られるやつや」って思うことが多い。

その感覚はいまの仕事に生きてるし、会社許可もらって副業イラスト仕事を少し受けてるけどクライアントとやり取りするときにめちゃ役立ってる。

.

先週、副業の方と、本業の方とで褒めてもらえることがあって、それがどれも先生に教わったことだったかちょっと書きたくなった。

先生ありがとう~

2025-09-21

32歳喪女からの昔の自分

32歳喪女である

過去に戻れるなら自分をぶん殴りたい。

現時点をアウトプットする。

顔がまあ、土砂崩れしている。左右の目の高さがはっきり違うので必要なのは詐欺メイクではなく大規模な外科手術か転生。あと眼球が小さいのはなんだ?目って交換出来るのか?コンタクトのBC8.4ってなんだよ。

顔に石を投げられたことはないが、それはたぶん日本治安のおかげ。体型は胸が完全に無い。ジム行っててやや筋肉めの足だが太っては無いかダイエットからの大逆転もない。

ブスだ。手の施しようがない。

高校生大学生くらいの時に「きちんと収入を得て職場が良好な環境であれば趣味でも楽しんでひとりで楽しく生きていける」そう思った自分に言いたい。

違う。人間の軸はそこではない。

少なくとも私は。

しかにきちんと生活してきちんと仕事もしている。人事評価も平均より上だ。資産形成だってし始めてる。生きては行ける。せいぜい老後の心配だが、そのためのお金をせっせと貯めてる。安定した専門性のある職につき、年収男性の50代前半平均は超えていてこれからも微増していく。

でもブスだ。

仕事もきちんとこなすコミュニケーション普通雑談だってする。仕事仲間には「当たりの同僚、部下、先輩」と思っていただいてる。本当に有難い限りだ。これ以上望むのがおかしいのかもしれない。分不相応なんだ。でも辛い。

恋愛市場においてはカウントされない。呼ばれてもいない。好きになってなっても、今後の関係を気遣ってくれる良い人たちを対処に困らせるだけだ。

祖母認知症が進んでいる。まだ、孫の私の顔は覚えていてくれる。だからその間は整形は考えてない。

挙句の果てに付き合えるなら誰でもいいとは思ってない。分不相応相手を好きになる。(大概の相手分不相応になるのでそもそも詰んでいる)

このままでは地下アイドルかにドハマリして破産する中年男性と同じルートに乗ってしまわないか怖い。ハマってる間はさぞ浮かれてて楽しいだろうと思う。

から学生の時の私へ

思った以上に将来、君は恋愛価値を置いてしまやすい。これは恋愛経験がなくて美化してるのも大いにあると思う。さっさと処女だけ捨てといたらマシだったかもしれない。いずれにせよ、職場人達がまともすぎてほとんど結婚してる空気にあてられてしまう。これは計算外だった。

あと、ブスのくせにアイデンティティやら自己肯定感を異性から愛してもらえることに置いてしまってるのが間違いなんだ。すっぱい葡萄なんて百も承知で「恋愛なんて興味ない」って言い続けろ。言い続けて墓場まで持っていけ、頼むから

それから、夢をあきらめないでくれ。本当に進みたい道に進んでたら、きっとそれだけで生きていけた。そこは自信がある。文系のそこそこの安定なんてかなぐり捨てて、やりたかった理系研究の道に進め。

そりゃ旧帝の大学院生ですら就職難とか理系研究職が低所得に甘んじてるとかそういう新聞記事を読んでしまったせいで怖かった。ましてやあの時なんて女性研究者の展望なんて分からなかっただろうけど。でも、やれるだけやった方が良かったよ。それがないからこんな、異性から愛されることを軸にしてしまった。心の底から後悔してる。

最後まで読んでくれた奇特な方へ

お目汚しして失礼しました。

男女問わず外見の悩みはあるかもしれないけど、私が下にいるので、どうぞ見下して、ちょっとだけ心穏やかに生きてくれ。

2025-09-17

クリエイター推し友達、全員「バズり」に寝取られて病む

 長年創作活動趣味にしているが、「バズりたい」という感覚マジでからない。

 

 まず、俺が誰からも注目されず相手にされず流行りについていけないのは前提なので、落ち込む理由にはならない。誰からも期待されず好きなときに好きなように作品を作り、たまたま通りかかった中にときどき、作品メッセージ真剣に読み取ろうとしてくれる人や、楽しんでくれる人がいる。

 十分ハッピーだ。これ以上の幸せはないと思う。

 

 それに、酸っぱい葡萄と言われればそれまでだが、「バズった」ところで金以外に何か得があるか?

 アンチが沸き、ゾンビが沸き、よく知りもしない奴から急に馴れ馴れしく話しかけられ批評され消費され、フリー素材のオモチャ扱い。自称知識人からはただ「流行り物」というだけで唾を吐かれ、ほとんどの人間作品が何を伝えたいのか真剣に考えすらしない……。

 ちょっと想像しただけでも幸せになれそうなビジョンほとんど浮かんでこない。全く羨ましくならない。

 

 もちろんこれは俺の考え方が著しく歪んでいるだけで、「バズること」を目標に日々活動しているクリエイター否定するつもりも、貶めるつもりも全くない。むしろ俺は彼らを尊敬している。

 たとえ承認欲求を満たす為だとしても、ひとりよがりになりがちな創作活動において、自分客観視し、他人のための努力ができるというのは素晴らしいことだ。アートだって突き詰めればコミュニケーションだし、より多くの人に伝え届けるために上を目指して試行錯誤した者こそが報われて大成すべきだと思う。

 そもそもどんなモチベーション創作していようが出来上がる作品とは無関係なので、「バズりたい」という願望があなたの力になっているなら、ぜひ胸を張って堂々と「バズること」を夢見て頑張ってほしい。

 

 話が逸れた。

 バズりたい、もっと人気になりたい、それ自体別にいいんだ。ピンとはこないが理解したいと思う。敬愛するクリエイター達には夢を叶えて幸せになってほしいから。

 

 ただ、それで病んだ奴の言い分が気に入らない。

 

 今いるのが創作界隈の中でも週2くらいで揉め事炎上が起こる限界部落な上、俺自身がこんな性格なので、変な言い方だが、俺は付き合う奴はかなり慎重に選ぶようにしている(大勢とうまくやっていけるほど器用じゃないという方がでかいが……)。

 おかげさまで鍵垢で繋がっている相互は皆、炎上騒ぎに動じることのない思慮深さと分別を持ち、ストイックに界隈のトレンド創作活動と向き合い、素晴らしい作品を生み出す、クリエイターとしても友人としても尊敬できる人達ばかりだ。

 そんな人達でも病む。

 そして決まってこういうことを言う。

 

「誰にも見てもらえない」

「どんなに頑張っても報われない」

自分作品必要とされていない」

 

 ふざけんじゃねえよ。

 この俺が好きだっつってんだろうが。

 お前の作品は最高で、お前は天才だって何回言えばわかるんだクソッタレ

 

 順番が前後したが、そんなことになる随分前から、俺は相互に「作品が好きだ」ということは欠かさず伝えてきたつもりだ。本当に、本当に手を替え品を変え再三伝えた。いいね拡散コメントファンアート二次創作、俺も自分作品生活があるので24時間365日とはいかないが、ファンとして友人として、やれることは全てやったと断言できる。作品ハッシュタグを賑わせ、オリジナルグッズを出し、コラボ作品でそこそこ権威のある賞も取った。お前らあとほかに何が足りないんだ?

 そういうことじゃないんだろうなとは重々承知の上だが、思わずはいられない。「誰にも」って何だ? 俺のことは見えていないのか?

 

 お前らや世間の皆様がどうなのか知らないが、俺はな、お情けや社交辞令二次創作ができるほど暇でもお人好しでもないんだ。本当に心からお前らの作品が良いと思ったか自主的にやってんだよ。お前らの作品世界観理解深めて二次創作に活かすために、俺新しく習い事始めたんだぞ。お前らの作品は人ひとりの人生を変えてるんだ。めちゃくちゃ凄いことだろうが。堂々としててくれよ、俺が惚れ込んだクリエイターなんだから

 そもそも俺がこんな治安の悪い界隈に来たのだって、お前らの作品に憧れたからなんだよ。どうしてくれるんだよ俺だけ残っちゃって。

 

 無論、俺の感情人生や尽くした労力がどうかなんて、悩める彼らには何の関係もない。彼らが足りないと言うなら足りないし、報われていないと思うなら報われていないし、不幸だと感じているなら彼らは不幸なのだ

 可哀想だ。助けてやれるもんなら助けてやりたい。

 信じてもらえないかもしれないが、これでも俺は相互の良きファン、良きライバル、良き友人でありたいと思っている。彼らの求めているもの、大切にしている価値観理解尊重したい。

 だが正直なところ、俺に共感できない問題相互が次々と病んで消えていく現状にかなり参っている。少しでも気を抜いたら「お前の価値理解しない有象無象クズどもとこの俺とどっちが大事なんだ」と、一昔前のめんどくさい彼女みたいな台詞叫びながら胸ぐらを掴みそうだ。

 

 どうしてやればいいんだ? 俺は。

 俺がもっと数字を持っている有名インフルエンサーになればいいのか。

 あるいは俺の行動や存在自体が彼らのプレッシャーになっていて、俺は今すぐ全てのファン活動を辞めて彼らの前を去るべきなのか。

 どちらも根本的な解決にはならない気がする。いや、まず他人の抱えている悩みを俺一人がなんとかしよう、できるという考え自体傲慢なのは間違いないのだが。

 

 俺はたぶん、側から見れば、世間の「バズりたい」クリエイター達が「そうできたらいいだろうが、そんなもの綺麗事理想論だ!」と声高に叫んでいる「綺麗事理想論」にそこそこ近いメンタリティ創作をやっているんだと思う。この増田共感されないだろう。(実際相互創作趣味の人と話していても、「純粋創作を楽しんでいる俺さんと違って周りを気にする惨めな自分…」みたいな自己陶酔のダシにされているのを露骨に感じることがある。正直けっこう不快だ。俺を鬱シコのズリネタにするんじゃねえよと思う)

 ただ、そこは仕方がない。創作活動モチベーションというテーマにおいて、マイノリティは俺だ。

 

 だからこそ教えてほしい。承認欲求を拗らせているクリエイターに対して、無名個人ができることは何なんだろうか?


 ……蛇足ながら最後愚痴らせてほしいんだが、俺だって別に承認欲求がないわけではない。不特定多数に期待しない分、「たまたま好きになってくれた最初の数人」に死ぬほど依存しているだけだ。

 つまり相互が病んで活動していない今、メチャクチャモチベーションが下がっている。 困る。

 誰だよ「みんな」って……

 思い通りの反応してくれない奴らのことなんか放っとけよ、俺がいるんだから俺で良いじゃん……

 前みたいに俺と遊んでくれよ……

2025-09-16

クリエイター推し友達、全員「バズり」に寝取られて病む

 長年創作活動趣味にしているが、「バズりたい」という感覚マジでからない。

 まず、俺が誰からも注目されず相手にされず流行りについていけないのは前提なので、落ち込む理由にはならない。誰からも期待されず好きなときに好きなように作品を作り、たまたま通りかかった中にときどき、作品メッセージ真剣に読み取ろうとしてくれる人や、楽しんでくれる人がいる。

 十分ハッピーだ。これ以上の幸せはないと思う。

 それに、酸っぱい葡萄と言われればそれまでだが、「バズった」ところで金以外に何か得があるか?

 アンチが沸き、ゾンビが沸き、よく知りもしない奴から急に馴れ馴れしく話しかけられ批評され消費され、フリー素材のオモチャ扱い。自称知識人からはただ「流行り物」というだけで唾を吐かれ、ほとんどの人間作品が何を伝えたいのか真剣に考えすらしない……。

 ちょっと想像しただけでも幸せになれそうなビジョンほとんど浮かんでこない。全く羨ましくならない。

 もちろんこれは俺の考え方が著しく歪んでいるだけで、「バズること」を目標に日々活動しているクリエイター否定するつもりも、貶めるつもりも全くない。むしろ俺は彼らを尊敬している。

 たとえ承認欲求を満たす為だとしても、ひとりよがりになりがちな創作活動において、自分客観視し、他人のための努力ができるというのは素晴らしいことだ。アートだって突き詰めればコミュニケーションだし、より多くの人に伝え届けるために上を目指して試行錯誤した者こそが報われて大成すべきだと思う。

 そもそもどんなモチベーション創作していようが出来上がる作品とは無関係なので、「バズりたい」という願望があなたの力になっているなら、ぜひ胸を張って堂々と「バズること」を夢見て頑張ってほしい。

 バズりたい、もっと人気になりたい、それ自体別にいいんだ。ピンとはこないが理解したいと思う。敬愛するクリエイター達には夢を叶えて幸せになってほしいから。

 ただ、それで病んだ奴の言い分が気に入らない。

 今いるのが創作界隈の中でも週2くらいで揉め事炎上が起こる限界部落な上、俺自身がこんな性格なので、変な言い方だが、俺は付き合う奴はかなり慎重に選ぶようにしている(大勢とうまくやっていけるほど器用じゃないという方がでかいが……)。

 おかげさまで鍵垢で繋がっている相互は皆、炎上騒ぎに動じることのない思慮深さと分別を持ち、ストイックに界隈のトレンド創作活動と向き合い、素晴らしい作品を生み出す、クリエイターとしても友人としても尊敬できる人達ばかりだ。

 そんな人達でも病む。

 そして決まってこういうことを言う。

「誰にも見てもらえない」

「どんなに頑張っても報われない」

自分作品必要とされていない」

 ふざけんじゃねえよ。

 この俺が好きだっつってんだろうが。

 お前の作品は最高で、お前は天才だって何回言えばわかるんだクソッタレ

 順番が前後したが、そんなことになる随分前から、俺は相互に「作品が好きだ」ということは欠かさず伝えてきたつもりだ。本当に、本当に手を替え品を変え再三伝えた。いいね拡散コメントファンアート二次創作、俺も自分作品生活があるので24時間365日とはいかないが、ファンとして友人として、やれることは全てやったと断言できる。作品ハッシュタグを賑わせ、オリジナルグッズを出し、コラボ作品でそこそこ権威のある賞も取った。お前らあとほかに何が足りないんだ?

 そういうことじゃないんだろうなとは重々承知の上だが、思わずはいられない。「誰にも」って何だ? 俺のことは見えていないのか?

 お前らや世間の皆様がどうなのか知らないが、俺はな、お情けや社交辞令二次創作ができるほど暇でもお人好しでもないんだ。本当に心からお前らの作品が良いと思ったか自主的にやってんだよ。お前らの作品世界観理解深めて二次創作に活かすために、俺新しく習い事始めたんだぞ。お前らの作品は人ひとりの人生を変えてるんだ。めちゃくちゃ凄いことだろうが。堂々としててくれよ、俺が惚れ込んだクリエイターなんだから

 そもそも俺がこんな治安の悪い界隈に来たのだって、お前らの作品に憧れたからなんだよ。どうしてくれるんだよ俺だけ残っちゃって。

 無論、俺の感情人生や尽くした労力がどうかなんて、悩める彼らには何の関係もない。彼らが足りないと言うなら足りないし、報われていないと思うなら報われていないし、不幸だと感じているなら彼らは不幸なのだ

 可哀想だ。助けてやれるもんなら助けてやりたい。

 信じてもらえないかもしれないが、これでも俺は相互の良きファン、良きライバル、良き友人でありたいと思っている。彼らの求めているもの、大切にしている価値観理解尊重したい。

 だが正直なところ、俺に共感できない問題相互が次々と病んで消えていく現状にかなり参っている。少しでも気を抜いたら「お前の価値理解しない有象無象クズどもとこの俺とどっちが大事なんだ」と、一昔前のめんどくさい彼女みたいな台詞叫びながら胸ぐらを掴みそうだ。

 どうしてやればいいんだ? 俺は。

 俺がもっと数字を持っている有名インフルエンサーになればいいのか。

 あるいは俺の行動や存在自体が彼らのプレッシャーになっていて、俺は今すぐ全てのファン活動を辞めて彼らの前を去るべきなのか。

 どちらも根本的な解決にはならない気がする。いや、まず他人の抱えている悩みを俺一人がなんとかしよう、できるという考え自体傲慢なのは間違いないのだが。

 俺はたぶん、側から見れば、世間の「バズりたい」クリエイター達が「そうできたらいいだろうが、そんなもの綺麗事理想論だ!」と声高に叫んでいる「綺麗事理想論」にそこそこ近いメンタリティ創作をやっているんだと思う。この増田共感されないだろう。(実際相互創作趣味の人と話していても、「純粋創作を楽しんでいる俺さんと違って周りを気にする惨めな自分…」みたいな自己陶酔のダシにされているのを露骨に感じることがある。正直けっこう不快だ。俺を鬱シコのズリネタにするんじゃねえよと思う)

 ただ、そこは仕方がない。創作活動モチベーションというテーマにおいて、マイノリティは俺だ。

 だからこそ教えてほしい。承認欲求を拗らせているクリエイターに対して、無名個人ができることは何なんだろうか?


 ……蛇足ながら最後愚痴らせてほしいんだが、俺だって別に承認欲求がないわけではない。不特定多数に期待しない分、「たまたま好きになってくれた最初の数人」に死ぬほど依存しているだけだ。

 つまり相互が病んで活動していない今、メチャクチャモチベーションが下がっている。 困る。

 誰だよ「みんな」って……

 思い通りの反応してくれない奴らのことなんか放っとけよ、俺がいるんだから俺で良いじゃん……

 前みたいに俺と遊んでくれよ……

2025-09-10

葡萄

ひとつの粒が言った。

わたしはまだ熟したい。

陽を浴び、夜を削り、

より濃く甘くなりたい」

別の粒が答えた。

「いや、陽はもう充分だ。

これ以上浴びれば皮は裂け、

実はただ腐れるだけだ」

また別の粒が囁いた。

わたしたちは房でつながり、

同じ蔓に支えられている。

だが熟す速さはそれぞれで、

遅れるものにも時がある」

ひとつの粒は反発した。

「怠けるな。

先に満ちるわたしの甘さを、

他の舌が讃えるのだ」

すると房の影から声がした。

「讃えも嘲りも

いずれ口に溶けて消える。

残るのは

ひと房としての重みだけだ」

そのとき風が過ぎ、

粒たちは揺れた。

だが答えを出すことなく、

ただ陽に透けて輝いた。

2025-09-08

anond:20250827011521

 今日CoCについて物申したい気持ちは分かるのよ。昔の俺もCoCばかりやっているユーザーが他のTRPGシステムをやってくれなくてもぞかしい気持ちを抱いていたし。

 でも、今思えばそういうなりちゃをやりたいユーザーって昔馬場理論流行っていた頃からいたようなものだし、CoCからあぶれてそれでもTRPGやりたい勢が他システムに流れ着いてやり始めるケースもそれなりにあるので、そういう人に戸口を開いて待った方がええんじゃないかなー……って最近思うようになった。

 個人的には最近流行りのCoCシナリオをやってみたい気持ちをやる機会がないから酸っぱい葡萄扱いしてはいけないかな……と思い始めているこの頃。まぁやるにしても、俺も(CoC以外のTRPGシステムの)キャンペーン複数掛け持ちしている卓修羅みたいな状態なので、落ち着いたらやりたいと思っている。

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