クローバーABSガンダム 復活編


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クローバーが1979年に発売した強力プラスチックABSガンダム。
入手したジャンク品をいろいろ調整して、それなりの状態に復活させました。
完全な製品状態を復元したわけではなく自分なりに楽しむための「雰囲気再現」です。



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箱(上フタ)は剥がれ・切れがあったので木工用ボンドで修復しました。
ガンダム水平滑走・ガンファイター合体分解など、クローバー独自のワードが飛び交っています(^^


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欠品していたパーツは自作して補い、トレイの収納状態はそれらしくなりました。


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ガンダム本体の三面。
形状は準備稿や玩具用図面をもとにしているようで、肩の付け根に角度が付いているのが独特です。

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サイズは23㎝弱でスケール換算では1/80くらいのようです。
1/100のガンプラ(MG1.0メッキver.)と並べると、かなり大きい。


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頭部は眼が大きく、露出した鼻が突き出て、アゴはさらに前に突き出ています。

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Vアンテナは大きく、眉間にかかるように配置されてザンボット・ダイターンの頭部飾りの流れが感じられる印象です。


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両膝と左腕の関節部は破損していたので可動軸を複製して復元しました。
ただし私の複製技術はポンコツなので、形状はかなりガタガタです。
あまり精密に複製すると偽造品みたいになってしまうから、ひと目で自作パーツとわかることにも意味があるかもしれません(負け惜しみ)。


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パンチは発射ギミックあり、これが「ガンダムパンチ」です。


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ビームサーベルとビームライフルは欠品だったので、テキトーにそれっぽく自作しました。

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背中にランドセルは無く、ビームサーベルを付ける穴と車輪があります。
この車輪とかかとの車輪で、仰向け状態でコロ走行するのが「ガンダム水平滑走」です。
クローバー玩具でザンボットから延々続くこのギミックですが、子供が喜ぶものだったのかは疑問です。
そんなことより、劇中通りの変形・合体や必殺技のポーズを取れることの方がずっと重要なのですが…


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ハイパーバズーカと脚に装備するミサイルは流用パーツで見た目だけ再現しました。


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シールドの形状やシールはダイカストDXガンダムに似た感じです。


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ガンダムハンマーはチェーンが無くなっていたので似たものを探して再現しました。
パンチ発射スイッチに取り付けます。


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画像の個体は腰に貼られたシールが逆さになっていますが、出荷状態なのか子供が貼り替えたのか判断できず、そのままにしています。
胸部にはクラックがあり、やはり青いプラは破損しやすいようです。


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可動は肩・肘・膝のみで、頭部は動きません。



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合体ギミック。
Bパーツは設定通り分離しますが…

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Aパーツとコアブロック?は画像のように分離します。

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このパーツにコアブロックを思わせるようなディテールは無く、ただの「ガンダム腹部」です。

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これをジョイントとして機首と機体を合体すると…

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コアファイターらしきものが完成、これが「ガンファイター」です。

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なお腹部パーツを介さないでコアファイターにすることはできません。
中途半端…

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上半身を取り付ければ「Gファイター後部を装備したガンダム」みたいにはなります(^^;


現物入手前はABSガンダムの特徴は「コアブロックギミックの簡易再現」だと思っていたのですが、実際は設定とはかなり異なるヘンテコギミックです。
このギミックでは、劇中のガンダムの合体を再現した気分は生まれないと思います。
なぜクローバーは、頑なにコアブロックギミックの再現を忌避しているのか……謎です。

クローバーの当初予定していたラインナップではコンビネーションジュニアだけが簡易的にコアブロックギミックを再現していましたが、ロボット本体はプラ製のチープトイみたいなものでした。
ガンダムDXは妙な円盤発射ギミックしか無いし、この商品ラインナップでザンボット・ダイターンと同等以上の販売成績を見込めると本気で考えていたのでしょうか。
販売不振の原因は作品そのものだけでなく、玩具自体の魅力の弱さもあったように思われます。




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ABSガンダムを手に入れたので、未入手のガンダム玩具はダイカストホワイトベース、各種ソフト人形、オリオンのゼンマイコアファイターが残りました。
これらは無理をしてまで入手しようと思えないので、自分のガンダム玩具はこれで終わりになりそうです……まあいいか(^^;


[ 2025/03/09 19:35 ] 合金 クローバー | TB(-) | CM(4)

クローバーABSガンダム 接触編


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ガンダム本放送当時、クローバーが発売した強力プラスチックABSガンダム。

いまや雲上世界で取り引きされているので、ずっと入手機会がありませんでしたが…

先日、某所でジャンク品を見かけました。


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いろいろ欠品はあるものの、本体パーツはひと通り揃っているようなのでこのあたりで妥協することにしました。
ジャンク状態でも、たいへんフトコロが痛みました…(T_T


一見本体は大丈夫そうですが……

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実際は両膝と左肘の関節部が破損しています。

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可動軸となるパーツは共通で、破損したものが幸い一組だけ残っていました。
これを複製して復元することにします。


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左のロケットパンチは不調で、やたら暴発してうまく固定できません。
分解しても原因がよくわからないので前腕のバネを抜いてしまい、パンチの軸を一時的にテープで太らせて渋みで固定するようにしました。
この方が快適に扱えます。


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ガンダムハンマーはチェーンが無くなっていました。
アクセサリー用のチェーンからそれらしいものを見繕って再現します。


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コアファイターの尾翼は、なぜかボンドで接着されていました。
分解して慎重にボンドを剥がして可動を再現しました。


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ビームサーベルは欠品。
どうしようかと考えていたら、近所のスーパーでもらった割り箸がそれっぽい形だったのでプラパイプと組み合わせて画像のようにデッチ上げました。
おかしな出っぱりは背中に装着するための5ミリジョイントです。
これをレジンに置き換えてみます。

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トレイにも収まるように調整。
本当はスジ彫りなどのディテールが入っているようですが、そこまではやれないので雰囲気再現程度にします。


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ビームライフルも欠品。
どうやら準備稿を参考に作られていたようです。

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これもきちんと形状再現するのはハードルが高いので、旧キット1/100ガンダムのライフルを基本にジャンクパーツなどで改造しました。
それっぽくトレイに収まれば、まあいいか(^^;


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ミサイル類も欠品。
バズーカから発射するものとふくらはぎに装備するものの2種があります。

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サーベルと同様に割り箸で原型を作ろうかとも考えましたが、型取り・複製はいろいろたいへんなので流用パーツで妥協することにしました。
アオシマの合体ロボットザンボット3付属のミサイルがそれらしい形状だったので少し手を加えました。
本物よりひとまわり小さいし、バズーカからの発射は再現できませんが…



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というわけで、いろいろ手を入れて復元計画を実行中です。

完成したら、また取り上げます(^^


[ 2025/03/01 18:20 ] 合金 クローバー | TB(-) | CM(6)

クローバーのガンダム 物証編



ジークアクス効果でこのところファーストガンダムが再注目され、クローバーのガンダム玩具についてもSNSなどで話題にされることがあるようです。


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ただし「Gファイター無しのガンダム合体セットは放送当初から発売されていた」とか「合体セットのテレビCMは第1話から放送されていた」などの事実誤認も流布されているようです。
リアルタイム世代からすれば「いい加減なこと言ってるな~(呆」という程度の風説ですが(^^;


ファースト本放送当時にある程度周辺状況を理解・記憶できたのはおおむね中学生以上くらいの年代でしょうか。
現在では還暦前後以上の世代になっているので、SNS上の流言にいちいち反駁しようとする人は少ないかもしれません。
とはいえ今やガンダムファンのほとんどがファースト本放送を体験していない世代なので、誤情報でも無邪気に信じてしまう可能性があり、なかなか厄介です。

自分もリアルタイム世代のひとりですので、Gファイター無しのガンダム合体セットはGファイター付きのガンダムDX合体セット同時期の発売だったことは当然記憶しています。
今回はそれを示す物証をふたつ挙げておきます。





まず当時のクローバーのカタログを見てみます。
私はカタログの現物を所有していないのでこちらのサイト(*)から画像をお借りしました。


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放送開始前の1979年3月ころ配布されたと思われる前期カタログの画像。
初期発売された各玩具の試作品のほか、存在が確認されていない「パワーモーターガンタンクセット」も紹介されています。
ガンダム合体セットが当初から発売されていて1話からCMが流れていたのだとすれば、ここでまったく触れられていないのは不自然です。



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一方こちらは年末商戦に向けて作られた後期カタログより。
Gファイター付きのガンダムDX合体セットには新発売を示すNEWの表示があります(黄色の丸部分)。

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同じカタログではガンダム合体セットにもNEWの表記が付いています。
既発売のガンダムDXやホワイトベース、コアファイターにはそうした表示は無いことから、ガンダム合体セットの発売はDX合体セットと同時期だったことがわかります。
装備面でも、Gアーマーを前提としなければシールドを両腕に付ける仕様にはならないはずです。


(*)このサイトには放送当時のガンダム商品リストも掲載されています。
当時作られた同人誌の内容をそのまま転記しているとのことで、信憑性は高いと思われます。






次にCM映像について。

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Gファイター無しのガンダム合体セットのCMを見ると、ラストの商品カットの前になぜかソードジャベリンのアップが1秒くらい挟まります。
このカットの背景は青ですが次のカットは白っぽい背景に変わっていて映像につながりが無く、ちょっと不思議な印象です。


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一方Gファイター付きDX合体セットのCMにも同じような画面があります。
メッキパーツへの光の反射などを見ると、同じライティング状況で同時に撮影されているように見えます。

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こちらのCMではこのあとカメラが引いていきます。

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ジャベリンを持つガンダムはGファイターに乗っており…

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ラストの止め画面になります。

つまりアップのソードジャベリンを持っていたのはGファイターに乗ったガンダムです。
ガンダム合体セットのCMが1話から放送されていたなら、Gファイターのデザインはおろか玩具までが放送開始前に完成していたことになってしまいます。

こうした状況から合理的に判断すれば、Gファイター無しのガンダム合体セットが当初から発売されていたとする言説には無理があると理解できると思います。





なお、70年代当時の玩具発売は現在ほど厳密には放送とリンクしていませんでした。
例えばボルテスVの1話では前番組のコンバトラーVの玩具CMが流れたし、ダンガードAではグレンダイザーのCMが流れました。
実際にその番組キャラクターの玩具CMに切り替わるのは放送開始後1ヶ月ちかく経ってからの場合が多かった印象です。

ガンダムの場合も当初はダイターン3の玩具CMが流れていた確率は低くないと思います。
仮にガンダムのCMだったとしても、それは合体ギミック無しのダイカストガンダムDXとダイカストガンタンクのCMだったはずです。
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ふたつの合体セット登場以前はこの2種のCMしか流れていませんでした。


ガンダムの後番組トライダーG7では、かなり早い段階(2話か3話?)でトライダーの玩具CMが流れました。
ただし玩具の発売自体がまだだったので問い合わせがあったのか、翌週から「○月○日発売」という告知が追加されたのを憶えています。
「ガンダムと違ってトライダーには子供が食いついているんだろうな」と感じました。


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これはザブングル初期のクローバー玩具CM。
2月初めに放送が開始されて同月末に発売されたことがわかります。

ガンダムの場合は4月放送開始ですが、当時の玩具業界誌によるとゴールデンウィーク商戦に間に合うよう4月後半には玩具が発売されたようです。



クローバーのガンダム玩具について、当ブログでは過去に情報を整理していますので興味のある方はどうぞ(^^



[ 2025/02/15 19:50 ] 合金 クローバー | TB(-) | CM(4)

小ネタ 三題


最近ちょっと気付いたことを三点書いておきます。



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徳間書店のアニメプラモマニュアルⅡ(1982)。
当時、1冊目は購入しましたが2冊目はスルーしていました。

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あらためて入手してみると当時各社から発売されていたロボットプラモの箱絵が特集されており、作者が明記されているのがイイです。

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アオシマのイデオンは岡崎甫雄・渡辺正美・根本アートセンターの三氏が区別できて参考になります。
渡辺氏は1/2000重機動メカセットや1/240ザンボットは判別出来ましたが、光るイデオンや波動ガンはまったくわかりませんでした。
根本氏が手を入れて画調を統一していたためでしょうか。
ダグラムの尾上正則氏は初めて知りました。





次は1972年春期のコイズミ・ライダーデスクについて。

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ピンク基調の女児向けが存在したことを53年目にして初めて知りました!
う~む、売れたのかな~?

75年春期には男子はアマゾン、女子はリカちゃんデスクになっていたのを憶えています。
73年と74年がどうだったのか、気になるところです。
そういえばブリジストンの自転車「ドレミ」にも女児向けがあったと以前コメントをいただきました(ドレミまりちゃんとかでなく、サイクロンを模したタイプだったとのこと)。


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当時のコイズミのカタログに掲載された特写の旧2号、ピカピカですばらしくカッコイイ!!
テレビCMではこの2号がデスクの機能を紹介していました。
アームカバーが未装着なのだけが惜しい…





最後はジョイントモデル関連です。

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以前から画像の記事をウェブでよく目にしていて、掲載された本を探していました。
アップされているのは断片的な画像ばかりで、どうやらバンダイ系らしいのでB-CLUBなどを探索していたのですが見つからず。

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正解はMJ(旧模型情報)91年9月号でした。
ウェーブがマテリアルとしてボールジョイントを発売したのに合わせてジョイントモデルの紹介をしています。
ただし全6種とされていてダンガードとワンセブン、ガイキング・コンバトラーのデラックスについては触れられていません。

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記事中のガイキングの箱画像が注目されます。
単体売りのガイキングは箱中にクリーム色のパーツトレイが使用されている個体が多いのですが、これは黄色のトレイになっています。
角の塗装も黄土色っぽい濃い色でなく明るい黄色で、F1マシンとセットのデラックス版に同梱されたものと同じになっています。
こうした特徴から、画像の個体は76年の年末商戦向け以降の時期に生産されたと考えられます。

このタイプの多くはデラックスセットに同梱されたはずですが、単品売りに回されたものも存在したのでしょう。
単品の箱にデラックスのガイキングを入れ替えた可能性も考えられますが、ジョイント・グレンダイザーにも黄色トレイの存在が確認されていることから、真性品である確率が高いと思われます。


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これはセット版のガイキングを単品の箱に入れてみた再現画像。
当初からこの状態の個体が、少数でも存在していたと考えられます。
同様に、コンバトラー単品にもセット版と同仕様(アンテナの塗装が明るい黄色)の個体が存在している可能性があります。

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こちらはグレンダイザーのトレイを81年再版の黄色に入れ替えた再現画像。
ただし本物はジョイントパーツ収納部分が一体化されているので明らかな違いがあります。



[ 2025/02/10 00:15 ] 暫定 | TB(-) | CM(5)

クローバーのダンバイン初期展開


今回は、クローバーのダンバインについて最近確認したことを取り上げます。


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クローバーの主要ダンバイン玩具について以前投稿した際、当初からスケール玩具として開発されたわけではなく、スケール表示は流行りに乗った後付けなのではないかと考えていたのですが…


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クローバーのダンバイン初期展開について、タカラ発行のデュアルマガジン第4号に詳しい記事が掲載されていると最近知りました。
クローバーのサンライズロボ玩具はタカラ工業が担当していたので、そうした関係からデュアルマガジンで紹介されたようです。

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記事には1/58・1/86シリーズ試作品とのちの1/60の木型が掲載されています。
この時点ではダイカストものを「スタンダード」と呼称し、プラトイを「プラスケール」としてスケール表記する予定だったようです。

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掲載された発売予定、「発売中」とされているのはあくまで取材時点での予定と思われます。
シリーズ名がとてもわかりにくいので、赤字で実際に発売された商品を追記しました。

合金ものは当初はスケール玩具として開発されていなかったのがわかります。
また1/60の通称ジョイントダンバインは1/58として開発されており、1/58ダイカストモデルとほぼ同じ大きさになっていたのも納得されます。
クローバーとしてはやはりダイカストが主力なので、ジョイント版は差別化のためにスケール表記を変更したのでしょうか。
ジョイントシリーズは全4種が予定されており、ダンバインだけで終わってしまったのは残念です。


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さらに、ダンバインとフォウの合体セットが「デラックス」として当初から予定されているのが注目されます。
フォウはGファイターのような途中登場メカではないのだから、はじめからダンバインとフォウの合体セットをメイン商品として押し出せばよかったのに、なぜ合体セットを秋以降の発売としたのか、謎です。
合体ギミック開発に時間がかかったのでしょうか。


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トミーのイデオンも奇跡合体とサウンドフラッシャーの発売が年末商戦時期までずれ込んだようで、このあたりは当初からフルギミックのメイン商品を押し出すポピーとの差が感じられます。
合金の元祖として、ポピーの開発力はやはり他社とは違っていたのでしょうね。



[ 2025/02/08 17:42 ] 合金 クローバー | TB(-) | CM(2)