2014-09-15
【スウェーデン】総選挙で社民党8年ぶり政権復帰、極右も急伸
14日、スウェーデンで国会(リクスターグ。一院制議会)総選挙(定数349、比例代表制)が行われた。その結果、社会民主労働者党(SAP、社会主義インター・進歩同盟加盟政党。以下「社民党」と表記)をはじめとする中道・左派3党が158議席を獲得、ラインフェルト首相率いる中道右派連立与党合計の142議席を上回り、政権交代を確実にした。同首相はこの結果を受けて辞意を表明し、社民党のロベーン党首が新首相となる見通し。いっぽう極右で(特に)イスラム移民排斥を掲げるスウェーデン民主党が倍増以上となる49議席を獲得して第4党以下に大差をつける第3党に躍進、有権者の移民問題に対する苛立ちが示される結果ともなった。
ロベーン社民党党首(次期首相)
穏健統一党(保守党)のラインフェルト首相率いる中道右派4党はこれまで主に減税による経済の成長および活性化と「中福祉・中負担」路線を掲げてきたが、社民党はこれまでの減税策による赤字財政の拡大を鋭く非難して増税を通じた均衡財政の実現による解決を正面から掲げ、また党首も前回、女性党首として惨敗したサーリン元党首に代えて元溶接工で庶民派のイメージが強いロベーン新党首(これまで非議員で、金属産別労組トップからいきなり社民党党首となった。このため社民党は国会に党首を擁していない状態だった)の下で教育はじめ「格差社会」の拡大や失業率の増加、福祉・教育の民間委託による水準低下を鋭く批判、ラインフェルト政権与党側も小幅増税に言及せざるを得なくなるなど追い込まれていた。その社民党を中心とする中道・左派3党の勝利によって「大きな政府」的な「高福祉・高負担」への復帰が図られるが、社民党とまず連立を組むとみられる環境党・緑(緑の党)は原子力発電所2基の閉鎖を要求しており、困難な連立交渉が予想される。
またスウェーデン民主党躍進のため中道・左派3党は過半数に及ばず、中道右派4党のうち農民政党として原子力発電所も含めた環境問題に熱心な中央党や福祉問題に熱心なキリスト教民主党、リベラル政党で現在は国防費の増額を主張している国民党・自由(社民党もウクライナ情勢への対処およびロシアへの警戒感や「大きな政府」の一環として国防費増額の意向を示している)が連立に加わるか、閣外協力に回る可能性もある。加えて中道・左派3党でも左翼党(旧共産党)は閣外協力にとどまる見通し。
いっぽう躍進したスウェーデン民主党への対策として移民問題への対処も迫られることになり、実際に他党の得票・議席があまり異動のないなか、保守・穏健統一党の票を食い漁る形で急伸した同党のオーケソン党首は「もはや誰も我われを無視することはむずかしくなった」と不気味なコメントをしている。環境党・緑も第2党に躍進した欧州議会選の勢いは喪失した。欧州議会選で1議席を獲得して注目されたフェミニスト・イニシアティヴ(社民系)は議席獲得の予想も一部にあったが、結果として3%強で4%阻止条項に拒まれ議会入りはならなかった。これらを総合して「寛容な環境・福祉社会」の新しいヴィジョンが求められているといえそうだ。また投票率は83%強に及び、スウェーデン有権者の政治への高い関心がうかがえる結果となった。
なお同時に首都ストックホルムをはじめとする県レベル自治体、および基礎自治体の選挙もいっせいに行われ、同様の方向性が出ている模様。特にストックホルムでは環境党・緑が都市型環境政党として強みをみせた。
国会総選挙の詳しい結果は次のとおり(カッコ内は前回比。開票率100%だが暫定集計による)。
社会民主労働者党 113(+1)
穏健統一党 84(-23)
スウェーデン民主党 49(+29)
環境党・緑 24(-1)
中央党 22(-1)
左翼党 21(+2)
国民党・自由 19(-5)
キリスト教民主党 17(-2)
スウェーデン社会民主労働者党 公式サイト
http://www.socialdemokraterna.se/
#社民党の正式名称は日本の報道では「社会民主労働党」とされることがほとんどですが、このサイトでは原語訳を尊重し「社会民主労働者党」とします。
ロベーン社民党党首(次期首相)
穏健統一党(保守党)のラインフェルト首相率いる中道右派4党はこれまで主に減税による経済の成長および活性化と「中福祉・中負担」路線を掲げてきたが、社民党はこれまでの減税策による赤字財政の拡大を鋭く非難して増税を通じた均衡財政の実現による解決を正面から掲げ、また党首も前回、女性党首として惨敗したサーリン元党首に代えて元溶接工で庶民派のイメージが強いロベーン新党首(これまで非議員で、金属産別労組トップからいきなり社民党党首となった。このため社民党は国会に党首を擁していない状態だった)の下で教育はじめ「格差社会」の拡大や失業率の増加、福祉・教育の民間委託による水準低下を鋭く批判、ラインフェルト政権与党側も小幅増税に言及せざるを得なくなるなど追い込まれていた。その社民党を中心とする中道・左派3党の勝利によって「大きな政府」的な「高福祉・高負担」への復帰が図られるが、社民党とまず連立を組むとみられる環境党・緑(緑の党)は原子力発電所2基の閉鎖を要求しており、困難な連立交渉が予想される。
またスウェーデン民主党躍進のため中道・左派3党は過半数に及ばず、中道右派4党のうち農民政党として原子力発電所も含めた環境問題に熱心な中央党や福祉問題に熱心なキリスト教民主党、リベラル政党で現在は国防費の増額を主張している国民党・自由(社民党もウクライナ情勢への対処およびロシアへの警戒感や「大きな政府」の一環として国防費増額の意向を示している)が連立に加わるか、閣外協力に回る可能性もある。加えて中道・左派3党でも左翼党(旧共産党)は閣外協力にとどまる見通し。
いっぽう躍進したスウェーデン民主党への対策として移民問題への対処も迫られることになり、実際に他党の得票・議席があまり異動のないなか、保守・穏健統一党の票を食い漁る形で急伸した同党のオーケソン党首は「もはや誰も我われを無視することはむずかしくなった」と不気味なコメントをしている。環境党・緑も第2党に躍進した欧州議会選の勢いは喪失した。欧州議会選で1議席を獲得して注目されたフェミニスト・イニシアティヴ(社民系)は議席獲得の予想も一部にあったが、結果として3%強で4%阻止条項に拒まれ議会入りはならなかった。これらを総合して「寛容な環境・福祉社会」の新しいヴィジョンが求められているといえそうだ。また投票率は83%強に及び、スウェーデン有権者の政治への高い関心がうかがえる結果となった。
なお同時に首都ストックホルムをはじめとする県レベル自治体、および基礎自治体の選挙もいっせいに行われ、同様の方向性が出ている模様。特にストックホルムでは環境党・緑が都市型環境政党として強みをみせた。
国会総選挙の詳しい結果は次のとおり(カッコ内は前回比。開票率100%だが暫定集計による)。
社会民主労働者党 113(+1)
穏健統一党 84(-23)
スウェーデン民主党 49(+29)
環境党・緑 24(-1)
中央党 22(-1)
左翼党 21(+2)
国民党・自由 19(-5)
キリスト教民主党 17(-2)
スウェーデン社会民主労働者党 公式サイト
http://www.socialdemokraterna.se/
#社民党の正式名称は日本の報道では「社会民主労働党」とされることがほとんどですが、このサイトでは原語訳を尊重し「社会民主労働者党」とします。
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