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2006-10-31

【ブルガリア】パルバノフ大統領が圧勝し再選

29日に行われたブルガリア大統領の決選投票では、現職のパルバノフ大統領(社会党・BSP、社会主義インター加盟)が極右政党アタッカのシデロフ候補を破り再選を果たした。得票率は75%に達し、第1回投票での64%から大きく伸ばした。なおブルガリア大統領選挙では第1回投票での当選には投票率が過半数を上回ることが必要とされているが、投票率は第1回・決選投票とも4割強にとどまった。シデロフ候補は第1回投票からほとんど票を伸ばすことができなかった。
ブルガリアの大統領は名誉職的な存在だが直接選挙で選出され、その時々の民意を大きく反映する。アタッカの決選投票進出は脅威ともみられたが、決選投票では反共主義的な右派勢力パルバノフ大統領支持に傾き、ブルガリア有権者の堅実さを示すこととなった。またパルバノフ大統領は初めて直接選挙で2回再選された大統領となった。
なおブルガリア議会(1院制)は4%阻止条項付き比例代表制を採用しているが、昨年の議会選挙では参加した7つの政党・政党連合すべてが4%を上回り議会進出を果たしている。現在は第1党となった社会党と、シメオン元国王率いるシメオン2世国民運動(自由主義インターに加盟するリベラル政党)、トルコ系マイノリティに支持される権利と自由運動(自由主義インターに加盟するが社会政策面では左寄り)の3党による連立政権となっており、スタニシェフ首相(社会党)のもとで連立政権を組んでいる。いっぽう野党はアタッカのほか、共産主義体制の崩壊時に民主化運動をリードした民主勢力同盟(UDF)系の諸勢力などとなっている。アタッカ以外の右派勢力は今回、有力候補の擁立に失敗。これがアタッカの決選投票進出と低投票率に結びついたとみられる。

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2006-10-31

【ブラジル】ルーラ大統領、大差で再選

29日に行われたブラジル大統領選挙の決選投票で現職・ルーラ大統領(労働者党・PT)は対立候補のアルクミン・前サンパウロ州知事(ブラジル社会民主党・PSDB)を破り、再選を果たした。ルーラ大統領の得票率は6割に達し、過半数にわずかに及ばなかった第1回投票に1割強を上乗せしての勝利となった。
アルクミン前知事はPTの汚職を徹底的に非難するなどで第1回投票でのルーラ大統領の再選阻止に成功し、一時はその勢いに乗ったともみられたが、ルーラ大統領が汚職阻止を強く公約するなどの反撃に出たためにむしろ支持を後退させ、最終的には及ばなかった。
ルーラ大統領は中南米では穏健左派の雄としても知られ、前回大統領選挙で4度目の挑戦にして当選を果たしたのちは中道寄り左派の路線を打ち出して注目された。今回、PTを除名された急進左派のヘレナ候補も第1回投票で7%を獲得するなど中道化への一定の不満は存在するものの、大枠ではルーラ路線が幅広く支持されていることを証明することとなった。今後は議会上下両院での与党形成、議会運営が注目される。

決選投票の結果は次の通り。
ルーラ大統領  58,294,988票・60.83%(第1回 46,662,365票・48.61%)
アルクミン知事 37,543,083票・39.17%(第1回 39,968,369票・41.64%)

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2006-10-22

【エクアドル】大統領選は左右両派による決選投票へ

15日に行われた南米エクアドルの大統領選挙は、左右両極の候補者が11月の決選投票に進むことが確実となった。
第1回投票開票の途中経過では同国随一の大富豪として知られるノボア候補(右派・国民行動制度的刷新党=PRIAN)が25%を獲得して1位。急進左派「同盟・もうひとつの主権祖国」(PAIS)が推し、ベネズエラのチャベス大統領と近い関係でも知られるコレア元経済相が22%で続き、両者で決選投票が行われる見通しとなっている。なお第3位には先住民出身ながら最高裁判事の入れ替え企図など強権的手法により昨年、失脚・追放されたルシオ・グティエレス前大統領(陸軍大佐)を当初は推しながら決別した左派民族主義・1月21日愛国社会党(PSP)のギルマル・グティエレス候補が16%、第4位には中道左派で社会主義インターに加盟する民主左翼党(ID)のロルドス候補が15%、第5位に中道右派・キリスト教社会党(PSC)のヴィテリ候補が9%で入った。他の候補は2%台未満に留まった。
決選投票では1月21日愛国社会党はコレア候補を支持するとみられるため、4位5位の中道左右両派各党がノボア、コレア両候補のいずれを支持するかがカギとなる。グティエレス前大統領の失脚に伴い副大統領から昇格したパラシオ現大統領はコレア候補を経済相に登用しながら、彼の反IMF(国際通貨基金)姿勢から解任した経緯もある。またノボア候補は今回3度目の立候補で、大富豪の実業家ながら過去2回破れ自らの右派ポピュリスト政党を創設した異端児的存在だ。
なお同時に国会選挙(定数100、比例代表制)も行われているが、コレア陣営はチャベス大統領やモラレス・ボリビア大統領の手法にならって現国会とは別の「憲法制定議会」の召集を主張しているため、国会には立候補していない(エクアドルでは98年にも憲法制定議会が召集された)。したがってノボア氏が勝利した場合、コレア陣営は議会上に勢力を残せないこととなる。こうした「憲法制定議会」手法の是非も決選投票では問われることになりそうだ。いずれにせよ過去10年でグティエレス大佐(前大統領)による政変も含め10名以上の大統領を輩出したエクアドル政局の混迷収集が望まれる。

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2006-10-09

【ボスニア・ヘルツェゴヴィナ】総選挙で民主社会主義政党が前進

1日に投票が行なわれたボスニア・ヘルツェゴヴィナ(以下BiH)総選挙で民主社会主義派の勢力が伸び、ボスニア内戦を担った各勢力のナショナリズム派が後退した。
同国の政治制度は90年代の民族紛争の後遺症で複雑だが、ボスニア系(ムスリム人)、セルビア系、クロアチア系の各民族から1名を選出し8ヶ月ごとに大統領を担う「幹部会」(大統領会とも。一種の集団大統領)が民族ごとの直接公選で選ばれる。今回選挙ではセルビア系からは独立社会民主主義同盟(SNSD)のラドマノビッチ候補がセルビア系民主党(SDS、内戦のいっぽうの主役)候補を破って当選。またクロアチア系からはBiH社会民主党(SDP-BiH)のコムシッチ候補がクロアチア民主同盟(HDZ)候補を破って当選した。加えてボスニア系からもリベラル政党ボスニア・ヘルツェゴヴィナ党(SBiH)のシラジッチ元BiH首相が民族主義政党・民主行動党(SDA)候補を破って当選。3名の幹部会員がいずれも多民族主義政党によって占められることとなった。

独立社会民主主義同盟は隣国セルビアの故ミロシェビッチ大統領の影響下にあり民族主義色が強かった「セルビア系共和国社会党」から離脱したグループによる社会民主主義政党で、社会主義インターに諮問政党として加盟している。またSDP-BiHは旧ユーゴ共産主義者同盟のBiH共和国内組織を源流とし多民族共存を掲げる政党で、社会主義インターの正式メンバー。

同国総選挙ではこの幹部会選挙のほか下院選挙(上院は間接選挙)、ボスニア系とクロアチア系による「ボスニア連合」正副大統領と上下両院、セルビア系共和国の正副大統領と一院制議会が公選される。いっぽう行政権はBiH、ボスニア連合、セルビア系共和国とも首相を置く議院内閣制が採用されており、結果的に目立たないが「ボスニア連合」とセルビア系共和国の各首相が内政を中心に大きな実権を有している。

ボスニア・ヘルツェゴヴィナ社会民主党(SDP-BiH、#注)
http://www.sdp-bih.org.ba/start.asp
#ボスニア語かクロアチア語か分かりません。
独立社会民主主義同盟(SNSD、多言語)
http://www.snsd.org/

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2006-10-02

【ブラジル】ルーラ大統領、決選投票へ

1日に行なわれたブラジル大統領選挙では左派・労働者党(PT)の現職ルーラ大統領の得票は事前予想ほど伸びず、中道保守系とみられるブラジル社会民主党(PSDB)のアルクミン前サンパウロ州知事に猛追を許し、4週間後の29日に設定されている決選投票に持ち込まれることが確実となった。
報道ではルーラ大統領の得票は開票率90%の段階で49%弱と過半数にわずかに及ばず、いっぽうアルクミン候補は42%近くまで伸ばし、ブラジル有権者の2極化が鮮明に現れた。ルーラ大統領は貧しいアマゾンなどの地方で支持を伸ばしたものの、アルクミン候補の個人的地盤である大州・サンパウロ州(日系人の呼び名では「聖州」)などで伸び悩んだ。選挙前の労働者党(PT)による選挙向け個人データ買収疑惑は大きな影響を与えないとみられていたが、都市部には一定の効果があったようだ。なおアルクミン候補が伸びたあおりで他の左右両陣営の候補は伸び悩んだ。
ブラジル社会民主党は社会民主主義を自称するものの国際的な民主社会主義運動との関係は非常に薄く、むしろキリスト教民主主義政党と若干の関係がある。ただもともと軍政期の御用野党だったブラジル民主運動党(PMDB、現在は文民系保守政党とみなされている)の左派が離脱して結成した政党という経緯もあり、同党のカルドーゾ前大統領が選挙戦で「私は保守ではない」と称したこともあるなど、党内には中道性へのこだわりは強く「中道・第三の道」政党という評価もある(第三の道に配慮するネオリベラリズム、という考え方)。一部報道にある「中道左派」というのは誤解だが、福祉に配慮する中道派の側面は強いようで、その位置づけが今回のアルクミン候補の善戦につながったとも評価できる。
とはいえ決選投票でも約1%の上乗せで当選に足りるルーラ大統領の優勢は、よほど大きな事態の急変などない限りは動かない情勢だ。

なお今回のブラジル選挙では大統領のほか代議院(下院)の総数、連邦元老院(上院)の3分の1、州知事・州議会選挙なども同時に行なわれる大型選挙となっている。これら各種選挙での各党の勢力消長も注目される。

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2006-10-02

【オーストリア】社民党が予想に反し第1党を奪還

1日に行われたオーストリア下院総選挙(定数183、4%阻止条項つき比例代表制)はシュッセル首相率いる保守・国民党が大方の事前予想を覆して34%の得票にとどまり後退。代わってグーゼンバオアー党首の率いる社民党が36%を獲得し、ひさびさに第1党に返り咲いた。
右派の自由党は11%に得票を増やして第3党を維持。また同党の極右的党首で言動が物議をかもしていたハイダー氏は自由党の内紛によって新右派政党「未来同盟」を率いて今回選挙に臨み4%強とギリギリながら議席を確保し、旧自由党勢力は合計で議席を伸ばすこととなった。ほかに緑の党が約10%で第4党を確保したが、第3党争いでは僅差で自由党に遅れをとった。
社民党は単独過半数を確保しておらず、緑の党との連立でも及ばないため、社民党首班の上で国民党との大連立の可能性が高いと報道されている。過去には社民党は中道だった自由党と連立したこともあるが、その後に自由党が右傾化を急激に強めたため、この連立が成立する可能性は低いと見られる。

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プロフィール

西形公一

Author:西形公一
もと「民社ゆーす」(旧民社党全国青年部系)事務局長。昔は漫画と法律のことなどをやっていましたが、その後にインド・ネパール・タイなど熱帯アジアの国ぐにとパシュミナを軸とする小口貿易やNPO、研究活動など人とのつながりなどの縁ができて、今に至っています。写真は夕刻のゴア(インド)にて。

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