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2011-10-30

【アイルランド】新大統領に労働党のヒギンズ氏

27日、英国に隣接する島国アイルランドでマカリース大統領の任期満了に伴う大統領選挙が行われた。開票は複雑な移譲式投票のため時間を要したが、最終的に与党第2党・労働党(社会主義インター加盟政党)のヒギンズ元文化相(70)が約60%の得票を集め、勝利する結果となった。任期は11月からで7年。
選挙は中道保守リベラルで共和主義の野党第1党・共和党(フィアナ・フォイル党)に近い実業家のギャラハー氏が優位とされ、ほかにアイルランド共和軍(IRA)元司令官で英領側北アイルランド自治政府のマクギネス副首相(シン・フェイン党)らが出馬していた。しかし詩人として、また人権活動家として著名なヒギンズ氏が与党第1党・統一アイルランド党(フィナ・ゲール党、キリスト教民主主義系)のミッチェル候補からの移譲票などを受けて、終盤で逆転することとなった。
議院内閣制を採用するアイルランドでは憲法上は大統領の権限は大きいものの実質的には首相の権限が伝統的に大きく、大統領の役割は儀礼的・名誉職的なものに限られる。しかし今回の選挙の結果、首相ポスト(ケニー首相)を与党第1党の統一アイルランド党、大統領ポストを与党第2党の労働党と、両連立与党で住み分けることとなった。なお同時に憲法改正のための国民投票(アイルランドでは日本と同様、憲法改正には国民投票が必須)が行われ、裁判所判事の減給を可能とする改正案は圧倒多数で可決されたが、議会の調査権を拡大する改正案は言論の自由などとの関連で法曹界からの慎重論があり、主要政党が軒並み推進したにもかかわらず否決された。また投票率は約56%だった。

ヒギンズ候補 公式サイト(英語)
http://www.michaeldhiggins.ie/
労働党(アイルランド)公式サイト(英語)
http://www.labour.ie/

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2011-10-26

【チュニジア】制憲議会選でイスラム主義穏健派が優勢、世俗派・民主社会主義派も伸ばす

「アラブの春」の火付け役となった北アフリカのチュニジアで23日、ベンアリ前大統領追放後の国の将来像を決める憲法制定議会の選挙(定数217、比例代表制)が行われた。開票結果の発表は遅れているが、ベンアリ政権下では禁止されていた穏健イスラム右派・アンナハダ(復興党とも)が優勢となっており、「労働と自由のための民主フォーラム」(FDTL、エタカトルとも。社会主義インター加盟政党)や「共和国のための会議」(CPR)の双方の民主社会主義政党も一定の議席を確保しつつある。ほかに新党「自由・正義・発展のための人民請願」(PPLJD)が予測より支持を集めたいっぽう、リベラルな世俗主義派で実業界に支持される進歩民主党(PDP)は伸びず、敗北を認めた。旧ベンアリ派で解党前は支配政党だった立憲民主連合(RCD、社会主義インター加盟政党だった)の系列を引く政党はほとんど支持を得られなかった。ただアンナハダが過半数を獲得できるかは微妙な情勢。

新憲法の制定においては、アンナハダが強権的だったベンアリ前政権に反発する立場から議会のコントロールを強めたドイツ型の議院内閣制共和国を主張しているのに対し、世俗主義諸派は大統領の権限の強いフランス型の半大統領制を主張している。憲法制定議会は今後1年をめどに新憲法の制定をめざし、その後に改めて選挙が行われる。

今後、内政的には民主社会主義・世俗主義諸派の提携がなるかどうかが焦点となるが、アンナハダはエタカトル、CPRとの連立を模索し始めているとも伝えられる。対外的には隣国リビアでカダフィ大佐が殺害され、シリアやイエメンでデモが続くなど「アラブの春」が未だ終結していないなかで、革命がおきた諸国のうちで最初に民主選挙を行ったチュニジアが「アラブの春」および今後、選挙が続く地域大国エジプトをはじめアラブ世界の民主化全般のモデルとなるかが注目される。

労働と自由のための民主フォーラム(エタカトル)公式サイト(アラビア語・フランス語)
http://www.ettakatol.org/
共和国のための会議 公式サイト(アラビア語)
http://www.cpr.tn/

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2011-10-26

【ブルガリア】大統領選挙で社会党候補が劣勢

23日、東欧ブルガリアでパルヴァノフ大統領(社会党=旧共産党。社会主義インター加盟政党)の任期満了に伴う大統領選挙の第1回投票が行われた。その結果、最大野党である社会党のカルフィン元外相が29%弱を獲得したものの2位にとどまり、09年の国民議会選挙で勝利し与党となった中道右派「ヨーロッパ発展のためのブルガリア市民」(GERB)のプレベネリーエフ元地域開発・公共事業相(40%強を獲得)に対して劣勢となっている。3位は約14%を獲得したクネワ元欧州委員(無所属だが元国王シメオン2世のサクスコブルゴツキ元首相に近い)だった。これを受けて決選投票が1週間後の30日に行われるが、同時に行われた地方選挙の形勢をみても社会党およびカルフィン元外相の劣勢は否めず、社会党が政権に続き大統領ポストも失う可能性が高くなった。
ブルガリアでは大統領は直接公選によって選ばれる国家元首だが、実権は国民議会によって選出される首相の率いる政権が握っており、名誉職的なポスト。

ブルガリア社会党 公式サイト(ブルガリア語)
http://www.bsp.bg/

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2011-10-24

【アルゼンチン】フェルナンデス大統領が圧勝し再選

23日、南米アルゼンチンで大統領選挙および議会上下両院選挙が行われた。大統領選挙では現職女性のフェルナンデス大統領(正義党=勝利のための戦線。正義党の左派派閥)が圧倒的な強さで過半数の票を獲得、決選投票を待たずに第1回投票で再選を果たした。南米で女性大統領が再選されるのは初めて。
今回の大統領選挙はフェルナンデス氏、社会党(社会主義インター加盟政党)のビネル・サンタフェ州知事、急進市民同盟(急進党、社会主義インター加盟政党)のアルフォンシン下院議員(アルフォンシン元大統領の息子)と民主社会主義的な候補者同士の争いとなったが、8月の公式予備選挙ではフェルナンデス大統領が過半数の得票を獲得して他候補を圧倒しており、再選は動かないものと見られていた。ペロン党とも呼ばれる正義党は前回に引き続き左右両派閥の分裂選挙となったが、ドゥアルデ元大統領を擁立した反主流右派は及ばなかった。
またフェルナンデス大統領は昨年10月に急死した夫のキルチネル前大統領の弔い合戦と位置づけて選挙戦を喪服で通すなど、一時は低下していた支持率を急上昇させることに成功していた。フェルナンデス政権は財政規律には一定の配慮をし主要産品である穀物の国際価格高騰などを背景に高成長路線を採っているものの、生活重視の路線から電力料金ほか公共料金を据え置くなどしていることで電力インフラなど社会基盤整備に立ち遅れが見られ、またインフレ率も高く物価上昇が問題化するなど、今後は経済重視の路線を徐々に打ち出さざるを得ないともみられている。

なお議会選挙のほうも下院(257議席・半数改選、比例代表制)、上院(定数72・3分の1改選、3人区制)とも正義党=勝利のための戦線が、特に下院を中心に優勢となっており、提携する政党との合計で過半数を制するものと見られている。上院では第1勢力は確保するものの、比較多数にとどまる見通し。
なお23日には各地で地方選挙も同時実施され、首都を囲むブエノスアイレス州では正義党=勝利のための戦線のシオリ知事が勝利するなど、フェルナンデス派が優勢となった。

大統領府 公式サイト(スペイン語)
http://www.casarosada.gov.ar/
正義党=勝利のための戦線 公式サイト(スペイン語)
http://www.frenteparalavictoria.org/
急進市民同盟 公式サイト(スペイン語)
http://www.ucr.org.ar/
社会党 公式サイト(スペイン語)
http://www.partidosocialista.com.ar/

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2011-10-24

【スイス】連邦議会選で社民党が第2党を維持

23日、スイスで連邦議会上下両院の総選挙が行われた。うち下院(国民院・定数200、比例代表制)ではスイス社会民主党(フランス語党名は「スイス社会党」、社会主義インター加盟政党)が第2党となった。第1党は国民保守主義で外国人排斥につながる政策を掲げる右派ポピュリズムのスイス国民党(フランス語では「中央民主連合」)、第3党は企業や経済界とつながりが強い自由民主党(フランス語では「急進自由党」)、第4党は家族政策と自然保護に力点を置くスイスキリスト教民主党(ドイツ語では「スイスキリスト教民主国民党」)、第5党は環境政党の緑の党(フランス語では「環境党」)となった。しかしどの既存政党も軒並み得票率を減らした(社民党は得票率は減らしたが、議席は伸ばした)。いっぽう脱原発を掲げた中道の2新党、自由緑の党(緑の党の現実派分派)と市民民主党(国民党から分派)がそれぞれ第6党、第7党を確保し躍進した。全体として中道の新勢力が既存勢力から議席を奪う結果となった。
上院(全州院・定数46、各州2名選出)では2回投票制に基づく選挙が行われているため、まだ全議席は確定していない。現時点では社会民主党、自由民主党、キリスト教民主党が7議席ずつ、国民党が4議席を確保しているが、残りの議席は11月27日に行われる第2回投票まで当選が持ち越される。なおスイスの上院は下院と比べて中道の勢力が多く代表される傾向がある。
この結果、「マジック・フォーミュラ」(魔法の方程式)と呼ばれる上位4党による連立政権が維持される見通し。

下院(定数200・比例代表制)の暫定的な選挙結果は次のとおり(一部州で集計が遅れている)。

スイス国民党 55(-7)
スイス社会民主党 44(+1)
自由民主党 31(-4)
キリスト教民主党 28(-3)
緑の党 13(-7)
自由緑の党 12(+9)
市民民主党 9(新党)
福音国民党 2(±0)
ティチーノ同盟 2(+1)
キリスト教社会党 1(±0)
ジュネーヴ市民運動 1(+1)
未定 2

スイス社会民主党/スイス社会党 公式サイト(ドイツ語・フランス語・イタリア語)
http://www.sp-ps.ch/

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2011-10-19

【フランス】社会党がオランド前第一書記を大統領候補に選出

フランスの野党第1党・社会党(PS、社会主義インター加盟政党)は16日、来年の大統領候補を選ぶ予備選挙の決選投票を行い、オランド前第一書記を党公認候補に選出した。

今回の予備選挙は社会党員だけでなく、一般の党支持者も加えたアメリカ方式に近い公開予備選挙(フランスでは「市民予備選挙」と呼ぶ)として行われた。また、小政党・左翼急進党との合同予備選挙でもあった。その結果、9日に行われた第1回投票ではオランド氏が約39%を獲得して1位となったものの過半数には及ばず、約30%を獲得したオブリ現第一書記とのあいだで決選投票となり、最終的にはオランド前第一書記が約57%で予備選を制した。オランド氏は社会党内では中道寄りの右派に属し、経済や原子力政策などでは現実的な主張をするとみられている。社会党はオランド氏を先頭に来年の大統領選挙で現職のサルコジ大統領に挑むこととなり、世論調査ではサルコジ氏を下すとの予想も出ている。

なお第1回投票では反グローバリゼーション活動家のモンテブール下院議員が17%強を獲得して善戦、注目された。いっぽう前回大統領選挙での公認候補だったロワイヤル・ポワトゥー=シャラント地域圏知事(オランド氏の事実婚の元相手)は第1回投票で7%を下回り、惨敗した。

社会党 公式サイト(フランス語)
http://www.parti-socialiste.fr/

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2011-10-12

【ポーランド】総選挙で保守与党勝利、民主左翼連合が後退

9日、ポーランドで上下両院の総選挙が行われた。政権・首相の帰趨を決める下院(定数460、5%阻止条項つき比例代表制)ではトゥスク首相の率いる旧「連帯」系で穏健な中道保守主義・ビジネス寄りの市民プラットフォーム(PO)が半数に迫る議席を獲得して第1党となり、同じく旧「連帯」系で保守強硬タカ派・大きな政府論の「法と正義」(PiS)を大きく上回って、政権の続投を確実にした。POは第4党となったポーランド農民党(PSL)と連立政権を組む見通し。他にはPOを離党したパリコット前議員率いる社会自由主義的かつリバタリアン的でカトリック教会を批判する新党・パリコット運動(RP)が初登場で第3党に躍進、社会主義インター加盟政党で旧共産党の流れをくむ民主左翼連合(SLD)は議席をほぼ半減させ後退した。また今回から小選挙区制が導入された上院(定数100)においてもPOが3分の2近い議席を占めた。
今回の選挙ではPOがポーランド北部・西部および都市部で得票を重ねたのに対し、PiSは主に東部の農村部を中心に支持を集め、地域によって支持が二分される状態となった。そのなかでSLDはリヴィン・ゲート事件以来失った非保守の政権批判票を今回も取り戻せず、その票を新党・パリコット運動に奪われ沈むこととなり、全体としてポーランドに旧「連帯」系の保守二大政党制が定着した印象が強まった。
なお投票率は49%弱と、あまり高いとはいえなかった。特に都市部以外での低投票率が目立った。

詳細な選挙結果は次のとおり(カッコ内は前回比)。
市民プラットフォーム(PO)下院207(-2)、上院63(+3)
法と正義(PiS)下院157(-9)、上院31(-8)
パリコット運動(RP)下院40(新党)、上院0
ポーランド農民党(PSL)下院28(-3)、上院2(+2)
民主左翼連合(SLD)下院27(-26)、上院0
ドイツ系少数民族(MN)下院1(±0)#少数民族政党は阻止条項の対象外
その他 上院4

民主左翼連合 公式サイト(ポーランド語)
http://www.sld.org.pl/

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プロフィール

西形公一

Author:西形公一
もと「民社ゆーす」(旧民社党全国青年部系)事務局長。昔は漫画と法律のことなどをやっていましたが、その後にインド・ネパール・タイなど熱帯アジアの国ぐにとパシュミナを軸とする小口貿易やNPO、研究活動など人とのつながりなどの縁ができて、今に至っています。写真は夕刻のゴア(インド)にて。

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