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2005-12-21

【ボリビア】反米・急進左派の大統領誕生へ

18日に実施された南米ボリビアの大統領選挙で、急進左派的な傾向を持つ「社会主義運動(MAS)」のエボ・モラレス党首(46)が第1回投票で過半数の得票により、親米保守派「社会民主勢力(PODEMOS)」が推すキロガ元大統領の返り咲きを阻止し当選を確実にした。ボリビア史上初の先住民系大統領の誕生となる。また名門中道政党「民族革命運動」から出馬した日系新人のナガタニ氏は4位に留まったものの下院議員に当選し、次回大統領選への地歩を築いた。
モラレス氏はコカ栽培農民指導者として著名。下院議員として先住民の抗議行動を指導するなどの強硬路線により下院から除名されたこともあるが、直後の下院選挙で復帰している。主な政策はコカ栽培の合法化と天然ガス産業の再国有化で、ベネズエラのチャベス政権をモデルに天然資源を背景とする反グローバリゼーション路線を歩むとみられている。また過去に「米国は帝国主義」と再三発言してきたほか、選挙中は控えていたが選挙後はさっそくアルジャジーラのインタビューに「ブッシュ政権はテロリスト」と発言したと報道される(本人は「誤訳では」と否定)など反米強硬路線を打ち出しつつある。
またコカの葉はコカインの原料であるためアメリカ主導の麻薬取締作戦の主要目標となっていたが、ペルーやボリビアなど高地アンデス地方では厳しい気候の中で強壮作用のあるハーブティーとして愛飲されてきた伝統があるため、この点でも反米の世論が高まる要因となっている。

MASは社会主義インター加盟政党ではなく、ボリビアからの加盟政党は「革命左翼運動-新多数」だが、同党もモラレス氏に協力するとみられる。なおスペイン語では「社会民主」と日本語に訳される単語は保守主義を意味することが多い(ブラジルの旧軍政系右派政党も「社会民主党(PDS)」である)。

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2005-12-13

【チリ】大統領選、バシェレ氏大幅リードも決選投票へ

11日に行われたチリ大統領選挙の結果、中道左派与党連合が推す女性候補、ミシェル・バシェレ元国防相(54)が約46%を獲得。2位に約20%もの大差をつけたものの当選要件である過半数には及ばず、年明けの決選投票に臨むことになった。
2位には穏健右派・国民革新党のセバスティアン・ピニェラ前党首(56)が約26%で続いた。同氏は3位(得票率約23%)にとどまり敗北を認めた右派・独立民主連合のホアキン・ラビン前サンティアゴ市長(52)から早くも支持を取り付け「右派全体の票では上回る」と強気の構えだが、前回大統領選と違って右派系の候補者を最初から一本化できず有力候補2名に分裂して争ってきた点が懸念材料で、実際に3位・ラビン氏の支持者の一部にバシェレ氏を支持する動きがあるとも報じられている。なお前回大統領選挙では、決選投票でラゴス現大統領(社会党)が50%をわずかに上回る僅差で当選を決めた。

バシェレ氏が当選した場合はチリ初の女性大統領となる。その場合は中南米に多い「男性優位」のマッチョイズモが根強い同国に、劇的な政治社会文化の変化が訪れるという指摘もある。

また国会上下両院選も同時に行われている。チリの選挙制度は原則として2名区制(上院の一部のみ1名区…小選挙区)だが、中道左派連合はすべての選挙区に定数いっぱいの候補を擁立している。
同国の選挙制度は各党または政党連合がそれぞれ2名の候補者を名簿に載せて立候補させたうえで候補者個人に投票し、1位と2位の政党または政党連合の上位の候補が当選する仕組み。ただし1位の名簿が2位の名簿に2倍以上の得票差をつけた場合は1位の名簿が2議席を独占する。民政移管の初期に劣勢とみられていた旧軍政派ができるだけ少数派としての当選者を増やすために導入した制度といわれている。
今回、中道左派連合はこの制度を逆用し、全選挙区で異なる政党から1人ずつ候補者を立てることで、中道左派連合全体の底上げを狙っている。なお中道左派連合を構成するのは社会党、キリスト教民主党のほか、急進社会民主党(社会主義インター加盟の中道左派)、民主主義への党(中道・左派を幅広く結集した市民政党)、その他無所属など。国会議員選挙の行方も大統領選挙決選投票に影響を及ぼしそうだ。

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2005-12-09

【チリ】大統領選挙で社会党女性候補が優勢

11日、南米チリで大統領選挙が行われる。90年にピノチェト軍事政権から民政移管を果たしたのち、一貫して与党の座にいる中道・左派の与党連合が推す社会党の女性候補、ミシェル・バシェレ前国防相(54)が優勢だ。これを旧軍政に近い右派・独立民主連合のホアキン・ラビン前サンティアゴ市長(52)と軍政からやや距離を置いた穏健右派・国民革新党のセバスティアン・ピニェラ前党首(56)が追う。どの候補も得票が過半数に及ばなければ、来年1月15日に決選投票となる予定で、ここに持ち込まれるかが争点となる。

民政移管後、中道左派政権はピノチェト政権が施行した憲法の改正と民主化を推進するいっぽう、経済面では軍政期からの自由化・開放路線を引継ぎ、自由貿易協定(FTA)を積極的に各国と締結するなど堅実な経済運営のもと成長を実現してきたものの、経済グローバリゼーションとリンクした国内での貧富の格差拡大も同時にもたらしてきた。中道左派の政権として福祉の立場から、こうした不満の解消が求められる。また老齢のピノチェト将軍への裁判の評価や、国内で拘束された隣国ペルーのフジモリ前大統領の扱いも焦点。

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プロフィール

西形公一

Author:西形公一
もと「民社ゆーす」(旧民社党全国青年部系)事務局長。昔は漫画と法律のことなどをやっていましたが、その後にインド・ネパール・タイなど熱帯アジアの国ぐにとパシュミナを軸とする小口貿易やNPO、研究活動など人とのつながりなどの縁ができて、今に至っています。写真は夕刻のゴア(インド)にて。

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