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2015-01-27

【ギリシャ】総選挙で急進左翼連合が勝利、保守派と「反緊縮」連立へ

25日、ギリシャで総選挙(定数300、3%条項および第1党プレミアムつき比例代表制)が行われ、反緊縮政策を掲げる急進左翼連合(SYRIZA)が大きく伸ばして第1党となった。社会主義インター加盟政党の全ギリシャ社会主義運動(PASOK)は第7党と沈んだうえ、社会主義インター議長のパパンドレウ元首相がPASOKを離党して結成した民主社会主義運動(KIDISO)は議席をぎりぎりで獲得できず、パパンドレウ議長はギリシャでの議席を失った。

今回の総選挙は大統領の選出失敗により議会が憲法規定によって自動的に解散されたことによるもの。第2党だったSYRIZAは情勢的に有利とみて第1党・新民主主義党(ND、中道右派)のサマラス首相が主導する大統領選出に協力せず、非妥協的に振る舞って解散総選挙に持ち込んだ。その結果、有権者のEU主導の「反緊縮」政策で生活が脅かされているとの怒りがNDのサマラス首相に向き、SYRIZAの大躍進を招いた。

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新首相が確実な急進左翼同盟(SYRIZA)のツィプラス党首

そして翌日にはSYRIZAのツィプラス党首は保守派ながら反緊縮財政の「独立ギリシャ人」(ANEL)との連立に合意、政権の樹立を確実なものとした。
SYRIZAは欧州レベルでは欧州左翼党に加わっており、民主社会主義政党ではない。文字通り「急進左翼」の政党である。今後、EU当局とどう交渉するかが注目される。またPASOKを中心とする民主社会主義勢力の再建の先行きも険しそうだ。

詳しい議席は次のとおり(カッコ内は前回比)

急進左翼連合 149(+78)
新民主主義党 76(-53)
黄金の夜明け 17(-1,ファシスト)
「河」 17(新党、中道左派・反汚職政党)
ギリシャ共産党 15(+3)
独立ギリシャ人 13(-7、ND離党者による反緊縮派の保守政党)
全ギリシャ社会主義運動 13(-20)

全ギリシャ社会主義運動 公式サイト(ギリシャ語)
http://www.pasok.gr/
2015-01-26

【ザンビア】大統領選で与党・愛国戦線候補が僅差で勝利

20日と21日の両日、アフリカ南部のザンビアでサタ大統領の死去にともなう大統領選が行われ、与党・愛国戦線(社会主義インター加盟政党)のルング法相(国防相兼務)が中道野党・国民発展統一党のヒチレマ党首を僅差で破って当選した。かつての与党、複数政党制民主主義運動のムンダ党首は1%にも及ばず惨敗した。

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ルング新大統領

ザンビアの愛国戦線はカウンダ初代大統領の統一民族独立党の一党独裁政権を91年に選挙で打倒したチルバ大統領(複数政党制民主主義運動)が自らも独裁化したため、それに不満を持った者が複数政党制民主主義運動を離脱して結成した政党。長らく野党だったが、前回2011年の大統領選挙でサタ大統領を就任させ、与党となった。その後、愛国戦線は社会主義インターへの加盟が認められた。
ザンビアはむろん黒人国家であるが、旧支配層であった白人とも融和する国づくりをしており、サタ大統領の死去によって暫定大統領に一時的に就いたスコット前副大統領は白人である(同氏は両親がザンビア国民でないため出馬できない)。

また投票率は豪雨の影響などもあり、約32%と低迷した。このことや僅差もありヒチレマ陣営は不正選挙を主張する構えでいる。

愛国戦線 公式サイト(英語)
http://www.pf.org.zm/
2015-01-12

【クロアチア】大統領選で社民系現職が逆転敗北

11日、南東欧のクロアチアで大統領選挙の決選投票が行われた。その結果、現職で社会民主党(SDP、社会主義インター・進歩同盟加盟政党)などの与党連合が推すヨシポビッチ大統領が、約1%の僅差で保守系野党・クロアチア民主同盟(HDZ)が推すグラバルキタロビッチ元外相に敗れた。グラバルキタロビッチ氏はクロアチア初の女性大統領になる。

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グラバルキタロビッチ新大統領(クロアチア民主同盟)

先月28日の第1回投票ではヨシポビッチ大統領は僅差でトップだったが、ミラノビッチ首相率いる社会民主党政権の経済路線の不振を批判され、逆転負けすることとなった。

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僅差で敗北したヨシポビッチ大統領

クロアチアは議院内閣制を採用しているため大統領は名誉職的な色彩が強いが、今回の大統領選は今年中に行われる議会総選挙の前哨戦としての色合いが強く、僅差の結果とはいえ保守系野党・クロアチア民主同盟(HDZ)が優勢になったとの観測があり、ミラノビッチ首相の社会民主党主導の連立政権には黄信号がともった格好になる。

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ミラノビッチ首相(社会民主党)

クロアチア社会民主党 公式サイト(クロアチア語)
http://www.sdp.hr/
2015-01-10

【スリランカ】大統領選でラジャパクサ大統領が敗北

8日、インド洋の島国で世界で唯一国号に「民主社会主義」を掲げるスリランカで大統領選挙が行われた。その結果、憲法を改正して大統領の任期制限を撤廃し長期政権をめざした現職のラジャパクサ大統領(民主社会主義政党・スリランカ自由党所属)が、野党統一候補として立候補したシリセナ前保健相に僅差で敗れ、政権の座を失うこととなった。

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ラジャパクサ大統領

今回の選挙はラジャパクサ大統領が任期の延長を狙って選挙を前倒しして行ったもの。しかしラジャパクサ大統領の側近だったシリセナ前保健相(スリランカ自由党書記長も務めていた)が昨年11月と選挙直前に造反、タミル系やイスラム系など、国内主要民族であるシンハリ系以外の各党の支援や、クマラトゥンガ前大統領や前回大統領選でラジャパクサ大統領と選挙戦を演じたフォンセカ前軍参謀長の支持も得て猛追を図った。ラジャパクサ大統領はタミル・イーラム解放のトラ(LTTE、タミル・タイガー)との内戦を勝利の内に終結させた実績や経済発展の功績を掲げたが、シリセナ前保健相はラジャパクサ大統領の独裁体質や縁故主義を批判、接戦に持ち込んだ。結果として、地域別ではラジャパクサ大統領が勝利した地域が多かったものの、シリセナ前保健相が首都コロンボおよびタミル人集住地域で大量得票したため、シリセナ前保健相が僅差でラジャパクサ大統領を破ることとなった。

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シリセナ前保健相(新大統領)

今後、シリセナ新大統領は再選をめざさない考えを明らかにしているほか、ラジャパクサ大統領が進めてきた中国との関係強化についても、全方位的な外交方針へ見直す考えを示している。ただ内政の福祉政策面などについては直前まで与党の閣僚(保健相)だった経緯もあり、大きな見直しはないとみられる。

なおスリランカ自由党は明確な民主社会主義政党であるが、社会主義インターには加盟していない。

スリランカ自由党 公式サイト(シンハリ語・タミル語・英語)
http://www.slfp.lk/
プロフィール

西形公一

Author:西形公一
もと「民社ゆーす」(旧民社党全国青年部系)事務局長。昔は漫画と法律のことなどをやっていましたが、その後にインド・ネパール・タイなど熱帯アジアの国ぐにとパシュミナを軸とする小口貿易やNPO、研究活動など人とのつながりなどの縁ができて、今に至っています。写真は夕刻のゴア(インド)にて。

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