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2012-09-27

【ベラルーシ】議会選でルカシェンコ与党全議席確保、社民派ほか野党は議席獲得できず

23日、旧ソ連のベラルーシ(旧白ロシア)で議会選挙(定数110、小選挙区制)が行われ、「欧州最後の独裁者」といわれるルカシェンコ大統領を支える与党系無所属が圧倒多数の得票および議席を獲得した。

選挙は民主派の主要野党であるベラルーシ人民戦線党(ペレストロイカ以来の人民戦線の後継政党)および市民統一党がボイコットするなか行われた。野党でも社会民主党(集会派)などは選挙戦を続行したが、議席を獲得できなかった。ルカシェンコ大統領を支える与党では労働正義共和党、農業党などが主張のうえでは民主社会主義的な路線を掲げているが、各1議席にとどまり大きな影響力は持ち得ない模様。ほかに共産党が3議席を獲得したが、残る104議席(1議席は選挙延期)はすべて与党系無所属が占めた。なお投票率は74%だった。

今回の選挙は欧州安全保障協力機構(OSCE)はじめ欧米諸国から野党勢力への圧力を理由に「自由でも公正でもない」と批判を浴びている。しかしルカシェンコ大統領に対抗する野党勢力が力を持てずにいることも事実であり、同大統領による権威主義的な統治が当面は続くものとみられる。

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2012-09-13

【オランダ】下院総選挙で労働党が躍進

12日、オランダで第二院(下院、定数150・比例代表制)の解散にともなう繰上げ総選挙が行われ、中道右派リベラルの与党第1党・自由民主人民党(VVD、自由民主国民党と訳される場合もある)と野党第1党・労働党(PvdA、社会主義インター加盟政党)が議席を大幅に伸ばす結果となった。

今回の総選挙はVVDとキリスト教民主アピール(CDA、キリスト教民主主義)の中道右派2党への閣外協力をイスラム移民排斥を訴える極右・自由への党(PVV、自由党と訳されることが多い)が政策対立から解消し、VVD党首のルッテ首相が率いる保守連立政権が崩壊したことを受けて行われた。このため緊縮財政やEUへの対応が主な焦点となったが、EUに拒絶的なPVVはあらゆる事前予想を下回る惨敗となり、同じくEUに懐疑的な左翼の社会党(SP)も一部には第1党をうかがうとする躍進の予想もあったが、これに反して伸び悩んだ。またこれまで大政党の一角を占めてきたCDAや、環境左派のグリーンレフト(GL)も惨敗となった。中道左派リベラル・社会自由主義の民主66は親EU路線を掲げて伸ばした。

比例代表制を採用するオランダでは連立政権が組まれることが恒例となっているため連立をめぐるコンセンサス形成に関する習慣も発達しており、新政権樹立に際してはまず国王(ベアトリクス女王)がインフォルマトゥール(情報交換役、連立形成に関する政党間の枠組みを組閣前に事前調整する)を指名して組閣準備作業にあたり、その上でフォルマトゥール(内閣形成役、多くの場合そのまま首相となる)を指名して組閣にあたるという手順を踏む(ただし今回選挙からインフォルマトゥールの選任に第1党が大きく関与できる制度となった)。このため連立政権の成立までは政党間の細かい政策調整を積み重ねて数ヶ月がかかることもしばしばである。
今回の選挙結果からは、労働党を僅差で振り切って第1党となったVVDのルッテ首相が留任した上で労働党とのみ2党で連立を組む可能性(最小勝利連合)が報じられているが、両党は世俗主義的で寛容な社会政策では一致するものの、経済・財政・労働・福祉政策に隔たりがあるため、その他に両党の調整役として中間派の1党を加える「過大規模連合」が形成される可能性もある。その場合は与党経験の長いCDAか、もしくは世俗主義派ながら政策的にVVDと労働党の中間に位置するD66が加わるとみられるが、得票および議席が伸びた政党を有権者の支持が集まって勝利した政党とみなし与党に加える傾向が強いオランダでは後者、D66の連立入りに現実味がある。またここで積極財政や労働・福祉政策を重視する政策合意が成立する場合は、労働党のサムソン党首(「グリーンピース」の活動家としても知られる)に首相ポストが回ることも考えられる。ただしこれらの連立形成で合意ができなかった場合には労働党とCDA、社会党を軸とする左右の福祉派が連立する可能性や、VVDとPVV、CDAなどが提携を復活させる保守政権の可能性もわずかながら残るなど、様々なパターンの連立が考えられるものの、これらの多党連立(VVDと労働党が提携しない場合は最低でも4党の連立が必要となる)の場合は過去10年で5回も下院の総選挙が実施されたことに象徴される不安定な政局の継続につながるため、EUに距離をとる左右両翼が伸び悩んだ今回の選挙結果を「有権者はEU内におけるオランダの役割を重視する穏健な道を選んだ」と捉えた上で連立政権に参加する政党間の枠組みが判断される可能性が高い。

なおCDAはこれまで連立与党に参加することがほとんどで、戦後に下野したのは1994年から2002年までの第一次・第二次コック内閣(労働党首班政権。「赤」をシンボルカラーとする民主社会主義と「青」の自由主義(リベラル)の中間ということで「紫(パープル)連立」と呼ばれ、それぞれ4年・計8年続いた)のみだが、そのCDAが惨敗した今回の結果からみる限り「紫連立」が再現する可能性が高いことになる(ただし労働党首班でなくリベラル首班になる可能性が大きい)。

現時点での暫定的な選挙結果は次のとおり(カッコ内は前回比)。

自由民主人民党(VVD) 41(+10)#中道右派自由主義、市場経済、緊縮財政
労働党(PvdA) 39(+9)#民主社会主義、積極財政・経済成長重視
自由への党(PVV) 15(-9)#移民排斥、EU反対
社会党(SP) 15(±0)#強硬派の社会主義、EU懐疑派
キリスト教民主アピール(CDA) 13(-8)#カトリック・プロテスタント連合
民主66(D66) 12(+2)#社会自由主義
キリスト教連合(CU) 5(±0)#プロテスタント。福祉面で左派、人権道徳面で保守
グリーンレフト(GL) 3(-7)#環境政党。かつての急進党、共産党などが合同
政治改革党(SGP) 3(+1)#聖書主義のプロテスタント右派政党
動物のための党(PvdD) 2(±0)#動物愛護政党
50プラス(50+) 2(+2)#年金受給者政党

労働党 公式サイト(オランダ語)
http://www.pvda.nl/

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2012-09-11

【中国香港】立法会選で民主派が3分の1を確保

9日、中国の香港特別行政区で立法会(議会)の選挙(定数70、半数は比例代表制、半数は職能代表制)が行われた。その結果、梁振英・行政長官の事実上の与党となっている親・中国共産党(保守派の政党が中心)勢力が過半数を確保したが、中国共産党に批判的な民主派も重要法案の採決を否決できる3分の1以上の議席を確保し、両勢力の拮抗が続くこととなった。

各政党別では親・中国共産党の最大政党で、しばしば権威主義・社会主義・経済発展を融合させたシンガポールの人民行動党をモデルにしているとされる民主建港協進連盟(DAB)が第1党となり、これに穏健民主派で福祉を重視する公民党と、これまで民主派の中心勢力だった民主党、親・中国共産党で労働権を重視する香港工会連合会(HKFTU)が続いた。また民主派内で民主社会主義的な傾向を代表する新党・労働党(工党)が議席を獲得し、類似する主張を掲げる近隣労働者サービスセンター(街坊工友服務処)や香港民主民生協進会も議席を確保した。分裂した急進民主派の社会民主連戦(トロツキストとみなされることが多い)は党を維持したグループと人民の力(人民力量)を結成したグループがそれぞれ議席を確保した。選挙戦においては経済政策のほか、中国人としての愛国心を教える「国民教育(愛国教育)」義務化の是非が焦点となり、反対運動の盛り上がりが終盤になって民主派に有利に働いた。しかし民主派の中でも民主党は議席を落とし、同党の何俊仁主席(党首)は責任を取って党首辞任を表明した。 

民主派はこれまでの基盤だった比例代表選挙においては得票を落としたが、親・中国共産党勢力が強いとされてきた職能代表制選挙において議席を伸ばし、引き続き3分の1以上の議席を確保することとなった。このことで今後の行政長官への直接選挙制導入や立法会の選挙制度改革において親・中国共産党勢力が主導権を握りつつ、民主派も一定の発言権を確保することとなった。

各党の獲得議席は次のとおり(●は親中国共産党、○は民主派)。

●民主建港協進連盟 13(比例9・職能4)
○公民党 6(比例5・職能1)
○民主党 6(比例4・職能2) 
●香港工会連合会 6(比例3・職能3)
●自由党 5(比例1・職能4)
○労働党 4(比例3・職能1)
○人民の力 3(比例3のみ)
●経済動力 3(職能3のみ)
●新民党 2(比例2のみ)
○社会民主連戦 1(比例1のみ)
○近隣労働者サービスセンター 1(比例1のみ)
●九龍西新動力 1(比例1のみ)
○香港民主民生協進会 1(職能1のみ)
○新民主同盟 1(比例1のみ)
●港九労工社団連会 1(職能1のみ)
●新世紀フォーラム 1(職能1のみ)
○香港教育專業人員協会 1(職能1のみ)
●親中国共産党派無所属 11(比例1・職能10)
○民主派無所属 3(職能3)

労働党(工党) 公式サイト(中国語)
http://www.labour.org.hk/

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2012-09-09

【アンゴラ】総選挙で与党MPLAが大勝

8月31日、アフリカ南西部のアンゴラで議会選挙(定数220、比例代表制)が行われた。開票結果が確定するまでに約1週間を要したが、中間集計時点でも優勢だったドスサントス大統領が率いる与党・アンゴラ解放人民運動=労働党(MPLA-PT)が前回より後退させたものの、7割以上の得票で圧勝を飾った。この結果を受けて同大統領が新しい議会で再選されることが確実となった。
アンゴラは1975年にポルトガルから独立したものの、直後から東西冷戦の代理戦争としての内戦に突入。独立派左派のゲリラ組織だったMPLAは親ソ政権を握る共産主義政党としてキューバ軍の支援を受け、アパルトヘイト体制下の南アフリカ白人政権や西側諸国などが支援する右派ゲリラのアンゴラ全面独立民族同盟(UNITA)との長期戦となった。しかし冷戦終結後に複数政党制を導入した1992年の大統領選挙でUNITAが敗れて以来その勢力は衰退し、ダイヤモンド鉱山を資金源にゲリラ闘争を続けたものの、2002年に反政府強硬路線を率いてきたサヴィンビUNITA議長が戦死してから和平ムードとなり内戦は終結、その後ドスサントスMPLA政権は国土の再建に乗り出している。なおMPLAは冷戦終結後にマルクス・レーニン主義を放棄し、1996年に社会主義インターナショナルに加盟した。
79年にネト初代大統領から引き継いで以来の33年にわたるドスサントス大統領の長期政権には批判も根強いが、UNITAやアンゴラ民族解放戦線(FNLA、ザイールや西側諸国、中国とつながりがあった)が衰退し万年野党化するに従って一党優位政党制化しており、一部の州では9割を得票するなど、MPLA政権は当面揺るがないとみられる。ただUNITAおよびその分派は首都ルアンダおよび石油産地の飛び地カビンダでは合計して約4割を得票し、UNITAが議席を倍増する原動力となった。また社会刷新党は後退したものの、ダイヤモンドを産出する南北ルンダ両州で比較的高い得票となった。

詳しい選挙結果は次のとおり(カッコ内は前回比)。

アンゴラ解放人民運動=労働党 175(-16)
アンゴラ全面独立民族同盟 32(+16)
アンゴラ救済のための広範な統合 8(新党、UNITA分派)
社会刷新党 3(-5)
アンゴラ民族解放戦線 2(-1)

アンゴラ解放人民運動=労働党 公式サイト(ポルトガル語)
http://www.mpla2012.ao/

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2012-09-05

【カナダ】ケベック州議選で独立派が勝利

4日、フランス系住民が多数を占めるカナダ東部ケベック州で州議会議員選挙(定数125、小選挙区制)が行われ、ケベックのカナダからの独立をめざすケベック党(PQ)が勝利し第1党となった。ただ、その獲得議席は54にとどまり、過半数の獲得はならなかった。
ケベック党は独立以外では民主社会主義的な福祉重視政策を掲げる政党で(ただし国際組織には加盟していない)、今回は前回に引き続き女性のモーロワ党首を先頭に選挙戦を闘った。なお同党はカナダ連邦レベルの選挙には立候補しておらず、代わりに事実上提携する政党としてケベック連合(ブロック・ケベコワ、BQ)が存在する。ケベック党が第1党になったため、慣例に従い同党首がケベック自由党党首で自らも落選したシャレー州首相から替わり州首相に就任する見通し。また過半数を獲得できなかったため、最重要目標で党のアイデンティティともいえるケベック独立をめざす住民投票は第3党となったフランス系住民の中道右派を代表する新党・ケベック未来連合(CAQ)の支持を得られず実現できない見通しで、ケベック党内で穏健派とされるモーロワ党首も住民投票の実施を公約に掲げなかった(このことが党内急進派の不満を呼んだ側面もあった)。ほかにフランス系住民の左翼を代表するケベック連帯(QS)が複数議席を得た。
またモーロワ党首が勝利演説をしている最中、会場で州内少数派の英国系とみられる男が発砲して1名が死亡。ケベック党に対する英国系住民の根強い反発がカナダでは珍しい政治的暴力の形で示され、選挙結果に暗い影を落とすこととなった。

詳しい選挙結果は次のとおり(カッコ内は前回比)。
ケベック党 54(+7)
自由党 50(-14)
ケベック未来連合 19(新党)
ケベック連帯 2(+1)

ケベック党 公式サイト(フランス語)
http://pq.org/

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2012-09-03

【社会主義インター】第14回世界大会が南ア・ケープタウンで開催

8月30日から9月1日にかけて、南アフリカのケープタウンで社会主義インターナショナルの世界大会が、130の政党・組織の参加によりアフリカ民族会議(ANC)のホストで開催された。スローガンとしては「人びとと国ぐにのあいだの新しい国際主義と新しい連帯の文化」で、雇用・成長・社会的保護のある経済、財政危機に対する社会民主主義の回答、諸権利と自由のための闘い、世界における代議制民主主義の強化と新しい民主主義の獲得、平和・持続可能性・協力へのロードマップ、多国間主義を保障する必要、などがうたわれた。

またインター議長にはパパンドレウ元ギリシャ首相(全ギリシャ社会主義運動)が再選され、アラヤ事務総長も再選となった。

新規加盟政党はエジプト社会民主党、ベラルーシ労働党などだが、ボスニアの独立社会民主同盟が過激派を党内に含むなどナショナリスト傾向を強めたため除名(脱退)された。また既に除名されているコートジボワール人民戦線、エジプト国民民主党(解党)、チュニジア立憲民主集会(解党)も承認された。
なお加盟政党以外では、中国共産党、インド国民会議派などがゲスト参加した。

社会主義インター第14回世界大会(英語)
http://www.socialistinternational.org/congresses.cfm

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プロフィール

西形公一

Author:西形公一
もと「民社ゆーす」(旧民社党全国青年部系)事務局長。昔は漫画と法律のことなどをやっていましたが、その後にインド・ネパール・タイなど熱帯アジアの国ぐにとパシュミナを軸とする小口貿易やNPO、研究活動など人とのつながりなどの縁ができて、今に至っています。写真は夕刻のゴア(インド)にて。

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