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2012-06-25

【エジプト】ムスリム同胞団系のモルシ氏が大統領に当選

16・17日の両日に行われたエジプト大統領選挙の決選投票で、イスラム主義組織・ムスリム同胞団が創設した「自由公正党」のモルシ党首が大統領に当選した。ムバラク前政権末期に首相を務めたシャフィク元空軍司令官は世俗派に支持を広げて猛追したが、「前政権系の候補者」との批判を払拭できず敗れた。イスラム主義系の大統領はエジプトで初めて。

第1回投票でモルシ党首とシャフィク元空軍司令官が残った結果に対して、昨年の「革命」を担った層からは大きな不満が出ていたが、その後「ムバラク政権時代への逆行はできない」としてモルシ党首への支持を決めるグループが相次いでいた。

イスラム主義系の大統領誕生に対しては警戒する声も内外から上がっているが、モルシ党首は勝利演説で団結を訴え、また全国民の大統領になるとしてムスリム同胞団と自由公正党からの脱退・離党を表明した。この結果を受けて新首相にはエルバラダイ国際原子力機関(IAEA)前事務局長らの名前が挙がっている。またシャフィク元空軍司令官にも入閣を求めるとしている。

ただ現在も実権を握る軍最高評議会(議長・タンタウィ元帥)は今回の決選投票を前に最高憲法裁判所の判断に基づいて人民議会(下院)を解散し立法権を掌握しており、新大統領はそうした軍部ほか治安機関などとどう折り合いをつけていくかがカギとなる。

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2012-06-25

【パキスタン】新首相にアシュラフ氏

22日、パキスタン下院は先に最高裁判所の判断を受けて失職したギラニ首相の後任にアシュラフ元水利・電力相を選出した。アシュラフ新首相は自身が所属するパキスタン人民党(PPP、社会主義インター加盟政党)に加え、パキスタン・ムスリム連盟クアイディアザム派(PML-Q、「国父」派の意味)、ムッタヒダ民族運動(MQM、旧「ムハジール民族運動」)、アワミ民族党(ANP)などからなる連立政権を率いることになる。

PPPは当初、シャハブディーン繊維相を首相候補に選出したものの、麻薬取締局から受けていた調査の結果、裁判所から逮捕状が出たことで頓挫。あらかじめ事態を見越して予備候補として選出されていたアシュラフ氏に首相ポストがまわる格好となった。今回の選出を受けての議会演説でアシュラフ新首相は国内の武装勢力に停戦を呼びかけた。

しかしギラニ首相失職の原因となったザルダリ大統領への汚職罪での訴追手続きが終結したわけではなく、またアシュラフ新首相自身も水利・電力相として電力事業に関するリベートを受けた疑いなど複数の疑惑を抱えており、新政権は多難な出発となっている。

パキスタン人民党 公式サイト(英語)
http://www.ppp.org.pk/

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2012-06-24

【パラグアイ】ルゴ大統領が議会の弾劾により失職

22日、南米パラグアイでルゴ大統領の罷免を求める議会上下両院の弾劾が成立し、同大統領は失職することとなった。後任にはフランコ副大統領が昇格した。

ルゴ大統領はカトリック教会の元司教だが、キリスト教社会主義・カトリック左派の「解放の神学」支持者としても知られ、08年4月の大統領選挙では中道・左派が結集した「変革愛国同盟」(自由主義政党・真正急進自由党、元社会主義インター加盟政党・二月革命党、社会主義インター加盟政党・連帯の国党および進歩民主党などで構成)から立候補し当選。61年に及んだ保守政党・国民共和協会(通称・コロラド党。61年のうち35年はストロエスネル大統領による事実上の軍事独裁政権だった)の長期政権を打ち破り、パラグアイにも中南米の時流に乗った反米左派政権樹立ともてはやされた。

しかしその後、大統領は司教時代に隠し子をもうけていたことが発覚して倫理的な支持を失い、さらにこの15日に発生した土地なし農民による農地占拠運動(コロラド党政治家が地主として所有する農地に対する攻勢だった)が警官隊と衝突し17名が死亡した事件の責任追求を受けて罷免の動きが急速に拡大。この動きに変革愛国同盟のうち真正急進自由党も賛同にまわり21日に下院で、続けて翌日に上院で、ともに圧倒多数の賛成によって弾劾が成立し、失職に追い込まれた。なお昇格したフランコ新大統領は真正急進自由党に所属している。また憲法の再選禁止規定によりルゴ氏は来年に行われる大統領選挙に出馬できない。

罷免に先んじて衝突事件の責任を取り辞任していたフィリツオーラ前内相は今回の事態を「制度的なクーデター」として非難しており、ルゴ前大統領も同様の見解を示している。議会前では今回の失職に抗議する農民が警官隊と小競り合いを起こし一時混乱した。ただ議会ではいまだに上下両院でコロラド党が第1党、コロラド党分派で軍部の実力者・オヴィエド元将軍が率いる倫理市民全国同盟が第3党であるうえ、与党連合である変革愛国同盟の内部でも真正急進自由党が多数を占めるなど、大地主を基盤とする保守派がいまだ勢力を誇るパラグアイにおいて政権の基盤が弱かったことは否めない。

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2012-06-21

【パキスタン】ギラニ首相、最高裁の判断で失職

19日、パキスタン最高裁判所(チョードリー長官)は法廷侮辱罪で有罪となったギラニ首相(PPP・パキスタン人民党…社会主義インター加盟政党…所属)に対して「判決の確定を受けて議員資格を失い、これにともなって(国会議員であることが要件とされる)首相としても失職した」との判断を下した。これを受けてザルダリ大統領は後任首相の人選に入り、同じPPPのシャハブディーン繊維相を後任に決めた。しかし同繊維相の立候補資格も認められない可能性があり、その場合の予備候補としてアシュラフ元水利・電力相をあらかじめ選出するなど、不安定な情勢となっている。
ギラニ首相は汚職罪に問われているザルダリ大統領への訴追再開手続きを最高裁が決めていたことに対し「大統領には在任中の免責特権がある」として応じず、これが法廷侮辱罪に問われていた。
しかし誰を次の首相に人選しても、今回の問題の根幹にあるザルダリ大統領への訴追が終わるわけではなく、いずれにしても次期首相も訴追を認めるか、さもなくば再び訴追を拒否して法廷侮辱罪に問われ失職するかの二択となる。ザルダリ大統領・PPPはこれを見越して、来春までに予定される総選挙までの時間稼ぎとして首相を替え続けるのではないかとの観測もある。
またPPP筋を中心に、今回の失職判断を「司法クーデター」と捉えるむきもある。だがチョードリー最高裁長官はムシャラフ前大統領、ザルダリ現大統領の政権を通じて政府との対決姿勢を採ってきたため、政治家ではないにもかかわらずパキスタンにおける民主化のカリスマとみなされており、今回の判断も多くの国民が支持する模様だ。ただ司法府を通じた民意の盛り上がりは選挙を通じていないだけに行き先を見失う可能性も大きく、アフガニスタン戦争での対米協力に不満を持つ軍部や軍情報部(ISI)、そして世論の動向も含めて、政局の不安要素となっている。

パキスタン人民党 公式サイト(英語。パキスタンの国語はウルドゥー語だが、実際は公用語の英語が広く使われている)
http://www.ppp.org.pk/

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2012-06-18

【フランス】下院選決選投票で社会党が大勝

17日、フランスで国民議会(下院)選挙(定数577、小選挙区2回投票制)の決選投票が行われた。その結果、オランド大統領とエロー首相を支える与党・社会党(PS、社会主義インター加盟政党)が過半数に迫る議席を獲得し、友党も含めて下院の過半数を確保した。

社会党は第1回投票で優勢だった勢いをそのまま決選投票に持ち込み、各選挙区で次々と当選を決めた。下院選に出馬したエロー内閣の閣僚も全員が当選となった。社会党のオブリ第一書記(党首)は「ヒューマニズムと民主主義の勝利」と位置づけた。ただ一部報道で「単独過半数」と報じられているが、これは緊密な連携を組む左翼急進党(PRG)および左派系諸派を含む数字であり、社会党としては単独過半数に届いていない。ほかに連立与党では欧州エコロジー緑の党(EELV)が議席を4倍以上とする躍進を果たした。
いっぽう前サルコジ右派与党の民衆運動連合(UMP)は100議席以上を失い、フィヨン前首相は当選を果たしたもののアリマヨリ元外相らが落選。2002年の党結成以来初めて過半数を下回ることとなった。
今回の選挙結果により、オランド政権・エロー内閣は積極財政策への転換や富裕層課税の強化など経済・税制改革を推進するための安定した政局運営が可能となる。

注目の選挙区としては、極右・国民戦線(FN)のマリーヌ・ル=ペン党首が立候補した北部パ=ド=カレー県11区では同党首が社会党候補にわずか120票足らず及ばず僅差での敗退となった。しかしル=ペン党首が大統領選で国民戦線候補として過去最多の得票をあげて3位となった勢いは継続しており、同党首以外の2名の国民戦線候補(マリーヌ党首の姪、マリオン・ル=ペン氏を含む)が接戦を制して当選。ほかに協力する極右候補1名も当選した。極右が国民議会に議席を得るのは15年ぶりで(ただし、このときは内紛での離党により唯一の議席を失っている)、複数議席を得るのは26年ぶり。
また西部シャラント=マリティーム県1区では前回大統領選挙の社会党候補でオランド大統領と事実婚パートナーを解消したロワイヤル元環境相が社会党を離党した左派系諸派候補との左派どうしの決選投票に敗れ、当選した場合に有力視されていた国民議会議長就任が果たせなかった(この選挙ではオランド現大統領の現在の事実婚パートナーであるヴァレリー・トリールヴァイレールさんがロワイヤル氏の対立候補を支援して当選に結びつけたため、因縁の選挙区としてメディアの注目を集めた)。ほかに東部ヴォージュ県2区に選挙区を移した社会党のラング元文化相が落選の憂き目をみた。中道派・民主運動(MoDem)のバイル議長も南部ピレネー・アトランティック県2区で社会党、民衆運動連合候補との三つ巴の接戦に敗れ、1988年以来維持してきた議席を失った。今回選挙から設けられた在外フランス人選挙区では多くが社会党など与党によって占められたが、日本・中国・インド・ロシア・オーストラリアを含む海外11区では民衆運動連合候補が当選した。

各党の詳しい獲得議席は次の通り(カッコ内は前回比)。

社会党系「大統領多数派」計314
・社会党(PS) 280(+94)
・左翼急進党(PRG) 12(+5)
・左派系諸派 22
民衆運動連合系 計229
・民衆運動連合(UMP) 194(-119)
・新中道(NC) 12(-10)
・急進党(PR) 6(前回はUMPの公認として立候補)
・中道同盟(AC) 2(新党)
・右派系諸派 15
国民戦線系 計3
・国民戦線(FN) 2(+2)
・極右系諸派 1
その他
・欧州エコロジー緑の党(EELV) 17(+13、前回は「緑の党」。連立与党)
・左翼戦線(FDG) 10(-5、前回は共産党のみ、今回は共産党、左翼党など。閣外協力的な存在)
・民主運動(MoDem) 2(-1)
・地域主義者諸派 2

社会党 公式サイト(フランス語)
http://www.parti-socialiste.fr/

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2012-06-18

【ギリシャ】再度の総選挙で親EU・緊縮財政派が勝利

17日、ギリシャで5月に行われた総選挙でどの政党も連立政権の組閣に失敗したことを受けた総選挙(定数300、第1党ボーナスおよび3%阻止条項つき比例代表制)が行われた。その結果、欧州連合(EU)が求める緊縮財政策を受け入れる立場の新民主主義党(ND、中道右派)および全ギリシャ社会主義運動(PASOK、社会主義インター加盟政党)が合計で過半数を確保し、緊縮財政策を容認するNDのサマラス党首を首相とする政権が樹立される見通しとなった。

選挙戦ではEUとの緊縮財政策の再交渉を主張する急進左翼連合(SYRIZA)が前回選挙に引き続いて勢いを維持し、NDとのあいだで両党が5月の選挙から10%以上支持を伸ばすデッドヒートを展開したが、最終的にNDから分かれた中道派新党・民主同盟(DISY)との再統合を果たすなど支持を広げたNDが逃げ切った。ギリシャ有権者には生活を直撃しかねない緊縮財政策をめぐって厳しい選択が迫られたが、政治混乱がユーロ離脱などのさらなる経済社会混乱に結びつくことを恐れる声がわずかながら上回ったものとみられる。ただしNDの第1党は50議席のボーナス議席による部分が大きく、得票ベースではND、PASOK両党の合計得票は約42%にとどまっており、またNDとSYRIZAの票差は3%未満となっている。PASOKは欧州統合推進派・国際派の社会主義者の支援によって得票を微減にとどめた。これを受け、PASOKはSYRIZAおよび穏健左派の民主左翼(DIMAR)も加えた大連立的な新政権の樹立を主張している。このため最終的にはサマラス政権の成立は確実と思われるものの、政権樹立までには曲折が生じる可能性もある。

なお選挙ではユーロ即時離脱を訴えるギリシャ共産党(KKE)、移民排斥を唱える極右ファシスト的な「黄金の夜明け」(XA)も前回選挙に引き続き議席を確保し、緊縮財政策に反対する急進的な左右両派の根強い不満を示すことともなった。ただKKEはSYRIZAに左派反緊縮財政派の支持が集中したこともあり、得票を後退させた。

詳しい選挙結果は次の通り(カッコ内は5月の前回選挙比)。

新民主主義党(ND) 129(+21)
急進左翼連合(SYRIZA) 71(+19)
全ギリシャ社会主義運動(PASOK) 33(-8)
独立ギリシャ人(ANEL) 20(-13)#ND右派出自のポピュリスト・反緊縮財政派
黄金の夜明け(XA) 18(-3)
民主左翼(DIMAR) 17(-2)
ギリシャ共産党(KKE) 12(-14)

全ギリシャ社会主義運動 公式サイト(ギリシャ語)
http://www.pasok.gr/

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2012-06-16

【エジプト】大統領選決選投票を前に憲法裁判所が人民議会を解散

14日、エジプトの最高憲法裁判所は昨年から今年はじめにかけて行われた人民議会(下院)選挙を憲法違反と裁定し、人民議会は解散された。
報道によると、小選挙区比例代表制並立制で行われた人民議会選挙のうち、小選挙区部分は無所属での立候補が義務づけられているにもかかわらず、政党所属候補の立候補を認めた選挙法じたいが憲法違反と裁定された。これによって3分の1の小選挙区議席が当選無効となり、さらにこれによって定足数を満たさなくなるため、人民議会全体も解散となる。
人民議会選挙ではムスリム同胞団系の「自由公正党」などイスラム主義勢力が大きく躍進していたが、今回の判決で振り出しに戻ることになる。また上院にあたる諮問評議会も同様の選挙法・選挙制度のもとで行われたため、選挙無効となる見通し。

いっぽう最高憲法裁判所は16・17日の両日に決選投票が行われる大統領選挙においてムバラク元大統領に近いとされるシャフィク元首相(元空軍司令官、空軍大将)の出馬を禁止する旧体制要人の公民権を制約する法律についても判断を下し、法律を違憲とした。これによりシャフィク元首相の出馬が最終的に認められ、そのまま自由公正党のモルシ党首との決選投票に臨むこととなった。ただ新憲法が施行されていないため、大統領権限そのものが不明確となっている。

双方の判断とも旧体制派に有利、ムスリム同胞団には不利な判決とされるが、大統領選決選投票直前のタイミングでの今回の判断は判決への抗議の広がりを防ぐ政治的な狙いがあるとの観測もある。また同胞団を中心に今回の事態を「司法クーデター」とする論調も見られる。人民議会の解散にともない、立法権はエジプトを暫定統治する軍最高評議会(議長・タンタウィ元帥)に移行した。

今後は大統領選でどちらの候補が勝っても抗議の広がりや混乱が予想される。また上下両院選が今後、再実施される際に前回選挙で大敗した世俗派・民主社会主義派の巻き返しがなるかどうかも注目される。

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2012-06-11

【フランス】下院選第1回投票で社会党が優勢

フランスで10日、国民議会(下院。定数577・小選挙区2回投票制)選挙の第1回投票が行われ、オランド大統領を誕生させたばかりの社会党(PS、社会主義インター加盟政党)が優勢に立っている。

選挙は2回投票制で行われるため今回の第1回投票で当選が決まる選挙区は少なく、大半の候補者の当落は1週間後の17日に行われる決選投票にまで持ち越されているが、それでも36の選挙区で1位候補者が過半数の票を獲得し当選を決めた。内訳は社会党22、民衆運動連合(UMP、「国民運動連合」とも。前サルコジ右派与党)9、欧州エコロジー緑の党(EELV)、左翼急進党(PRG)、新中道(NC、中道右派)、左派系諸派、右派系諸派が各1となっており、合計でオランド与党25、野党11と与党の優勢がうかがえる。社会党のオブリ第一書記(党首)は同党が優勢として事実上の勝利宣言を行った。
選挙にはエロー首相率いる内閣閣僚の多くも立候補しているが、全員安全圏とみられている。エロー首相、ファビウス外相(元首相)も第1回投票で当選を果たした。ただしフランスでは閣僚と議員の兼任はできないため、当選した閣僚はすぐ議員を辞任(当選を辞退)し、予め届け出られている補充議員が繰り上げ当選することになる。この兼職禁止規定があるにもかかわらず閣僚が下院に立候補するのは、閣僚にも民意の審判が必要とする考えが最近になって出てきたためで、5年前の前回下院選挙では当時野党だった社会党の巻き返しによりサルコジ政権・フィヨン内閣の重要閣僚だったジュペ元首相が落選し閣僚辞任を余儀なくされる波乱も起きている。なおオブリ社会党第一書記は北部リール市の市長であることもあり立候補していない。

今回の下院選に100名以上の候補者を立てた政党は、社会党系(一部は左翼急進党、EU懐疑派左派の「共和国と市民の運動」および左派系諸派)、民衆運動連合系(一部は新中道、急進党および右派系諸派)、極右・国民戦線(FN)を軸とする「マリーヌ青の集まり」、共産党や左翼党などからなる左翼戦線(FDG)、欧州エコロジー緑の党、バイル派の中道・民主運動(MoDem)を軸とする「フランスのための中道」、極左トロツキスト政党・労働者の闘争(LO)、同じく極左・反資本主義新党(NPA)、中道的な環境派連合の独立環境同盟(AEI)、EU懐疑派右派の「立ち上がれ!共和国」(DLR)、極左トロツキストの労働者党が改組した独立労働者党(POI)、インターネットの自由を訴える海賊党など。ほかに国民戦線以外の極右派、キリスト教民主主義者、動物愛護運動派、地域主義者、王党派なども立候補しており、候補者の顔ぶれは多彩である。ただ選挙区で8分の1以上の得票によって決選投票に勝ち残る候補者は、ほぼ主要政党に限られる見通し。
なおパリテ法により各政党には擁立する候補者を男女半々にすることが義務づけられているが、罰金を払っても男性候補者を多く擁立する政党や、自党の当選が難しい選挙区に女性候補者を立てる小選挙区制ならではの抜け道もあり、行政府であるエロー内閣が閣僚を男女半々とすることで積極的姿勢をみせているにもかかわらず、立法府である下院の当選者が男女半々になるとは限らない。

今回の選挙の焦点はオランド政権およびエロー内閣を支える社会党はじめ与党の獲得議席だが、社会党の単独過半数確保は微妙とみられており、連立与党としての過半数到達が有力視されている。一部には左翼戦線または民主運動(あるいはその双方。議会勢力分野が決まる前に決選投票時点で両党との駆け引きが必要となる局面もあり得る)の支持協力が必要な議席に留まるとの予想もある。一時は不評だったサルコジ大統領が去ることにより右派が巻き返す機運もあったものの、民衆運動連合が勝利しコアビタシオン(保革共存状態)になるとの予測は少なくなっている。オランド政権はすでに元老院(上院)では左派全体で過半数を得ているため、下院で連立与党が勝利すればエロー内閣の安定した政局運営や積極財政策を含む政策転換が可能となる。

注目の選挙区としては北部のパ=ド=カレー県11区が挙げられる。ここは社会党の地盤選挙区だが、大統領選で3位となったマリーヌ・ル=ペン国民戦線党首(選挙区内で市議会議員を務めている)と4位となったメランション左翼戦線代表(左翼党共同党首)がともに立候補し、社会党候補および民衆運動連合が支援する民主運動党員(右派系諸派として立候補)のあいだで四つ巴の激戦となった。その結果、ル=ペン党首は残って決選投票に望みを託しているが、メランション代表は第1回投票で敗退となった。

なお今回の選挙を前に選挙区の区割り変更が行われ、各党の候補者擁立に影響を及ぼした。またフランス国民議会として初めて在外フランス人にも選挙権が与えられ、フランス領を除く全世界が11の小選挙区に区割りされて本国や海外県・海外領土と同等の選挙が行われた。投票率は約57%にとどまり、5年前の約63%から低下した。

社会党 公式サイト(フランス語)
http://www.parti-socialiste.fr/

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プロフィール

西形公一

Author:西形公一
もと「民社ゆーす」(旧民社党全国青年部系)事務局長。昔は漫画と法律のことなどをやっていましたが、その後にインド・ネパール・タイなど熱帯アジアの国ぐにとパシュミナを軸とする小口貿易やNPO、研究活動など人とのつながりなどの縁ができて、今に至っています。写真は夕刻のゴア(インド)にて。

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