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2015-02-24

【ドイツ】ハンブルク市議選で社民党が圧勝も過半数に及ばず

15日、ドイツ北部ハンブルク特別市(州と同格)で市議会議員選挙(定数121、5%阻止条項付き比例代表制…または中選挙区比例代表併用制とも評価できる)が行われた。その結果、社会民主党(SPD、社会主義インター加盟・進歩同盟中核政党)が圧倒的な第1党を維持したものの過半数をわずかに失い、新しい市(州)政権の枠組みは連立交渉にゆだねられることとなった。

今回の市議選ではバス路線と環境問題など交通、コンサートホール「エルプフィルハーモニー・ハンブルク」の建設費高騰、市債、オリンピック誘致、大麻の非犯罪化など多様な争点で争われたが、大きくはショルツ市長(州首相、元連邦労働社会保障相)の市政の評価を問う色彩が濃厚だった。

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ショルツ市長からの市議選勝利への謝意

この市議選の結果、ショルツ市長の続投は確実だと思われるが、連立相手としては緑の党(Grüne)が最も有力で実際に連立交渉に入っているものの、キリスト教民主同盟(CDU)との大連立の可能性もわずかに残る。新党「ドイツのための選択肢」(AfD)との提携は考慮されておらず、左翼党(Linke)との提携も旧東独部と違って政策に溝があるため考慮されていない。また選挙終盤に自由民主党(FDP)との提携もSPD側から断っている。

いずれにせよメルケル大連立政権にとっては特にメルケル首相自身とキリスト教民主同盟側にとして痛手となる結果となったことは確かで(キリスト教民主同盟のハンブルクでの得票率は戦後最低を記録した)、それ以外にも二大政党の議席減や左翼党の議席増、AfDの初進出など連邦レベルの大連立政権そのものへの異議申し立てがなされた結果といえなくもない。

詳しい選挙結果は次のとおり(カッコ内は前回比)。

社会民主党(SPD) 58(-4)
キリスト教民主同盟(CDU) 20(-8)
緑の党(Grüne) 15(+1)
左翼党(LINKE) 11(+3)
自由民主党(FDP) 9(±0)
ドイツのための選択肢(AfD) 8(新党)

社会民主党ハンブルク 公式サイト(ドイツ語)
http://www.spd-hamburg.de/

#多忙のためレポートが遅れたことをお詫びします。
2015-02-12

【インド】デリー都議選で反汚職政党圧勝、国民会議派完敗

7日、インドの首都であるデリー都(首都デリーの訳には何種かありますが、このブログでは「デリー都」を採用します)で都議会議員選挙(定数70、単純小選挙区制)の投票が行われ、10日に開票が行われた。その結果、前回都議選で初参戦ながら躍進を遂げた反汚職政党・アームアードミ党(AAP、庶民党)がさらなる大飛躍を遂げ、70議席のうち67議席を獲得する圧勝となった。モディ連邦首相率いるインド人民党(BJP)は3議席にとどまり、国民会議派(社会主義インター・進歩同盟加盟政党)はゼロ議席に終わった。

アームアードミ党は反汚職社会活動家アンナ・ハザレ氏の運動の一部が政党化したもので、一昨年末の前回都議選で初参戦ながらいきなり第2党となり、国民会議派の閣外協力を得てケジリワル党首がデリー都首相に就任していた。しかし都独自の反汚職法案が通らないとみるや2ヶ月もたたずに都首相を辞任、国政転出を図ってケジリワル党首がヴァラナシ選挙区でBJPのモディ現連邦首相と直接対決するなどしていたが、昨年初夏(インドでは酷暑期)のBJPの総選挙での圧勝ののち、勢いを失ったとみられていた(デリー都の連邦下院小選挙区でも1議席も獲得できなかった)。しかし今回のインド政治の中枢・デリー都でのAAPの再度の圧勝によって息を吹き返すこととなった。

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デリー都の新都首相に再度就任するケジリワル・アームアードミ党党首

アームアードミ党にはイタリアの「五つ星運動」など反汚職政党に世界的に共通することだが大衆迎合的な政策が目立ち(その政策の基本はガンジーのスタイルに近く、いわば「汚職なき国民会議派」ともいえる)、モディBJP政権の経済改革に悪影響を与えるとして一時、経済指数にも影響が出た。しかし昨年初夏以来の州議選でのBJPの連戦連勝が首都であるデリー都で止まったことには、有権者のバランス感覚を反映していると一定の評価も出ている。実際、制度上もインドの上院は州議会(デリーの場合は都議会)による間接選挙であり、昨年初夏に下院で圧勝したBJPも上院では過半数を大きく割り込んでおり、州(都)議会選挙の結果は連邦政治にも直接影響するため、直近では保険分野での外資参入に対する影響が言われている。

なお惨敗した国民会議派だが、昨年末に社会主義インターに加わっている。とはいえ連邦下院で1割以下、今回の都議会議員選挙では全滅と、勢いを失ったままである。

国民会議派 公式サイト(英語ほか)
http://www.inc.in/
アームアードミ党 公式サイト(英語、ヒンディー語)
http://aamaadmiparty.org/
2015-02-12

【オーストラリア】クイーンズランド州議選で労働党復調

1月31日、オーストラリアのクイーンズランド州で州議会議員選挙(定数89、小選挙区移譲式)が行われた。票の数え直しを頻繁に行う移譲式制度のため接戦区での結果が決まらず開票に時間がかかったが、前回ひとケタ議席と惨敗したオーストラリア労働党(進歩同盟加盟政党)が保守・自由国民党を上回る44議席を獲得。無所属議員の閣外協力・支持も得て、政権奪還が濃厚となった。この結果、労働党から女性のパラスチュク新州首相が誕生する見通し。自由国民党のニューマン州首相は州公務員の大量解雇などをしながら自らは昇級するなど疑問符のつく政治姿勢が目立ち、州首相自身の議席も失う大敗となった。いっぽう労働党は第一選択票では自由国民党を下回ったが、移譲された第二選択以降の票で緑の党(議席獲得はならず)などから広く集票し、勝利につなげた。

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新州首相への就任が濃厚なパラスチュク州労働党党首

なおクイーンズランド州では連邦レベルで保守連合を組みながら別政党となっている自由党と国民党が、州レベルではひとつの政党となっている。また労働党は昨年12月に社会主義インターから脱退、国際組織を進歩同盟だけに絞っている。

詳しい選挙結果は次のとおり(カッコ内は前回比)。

労働党 44(+35)
自由国民党 42(-31)
カッターのオーストラリア党 2(-1)#右派ポピュリスト
無所属 1

クイーンズランド州労働党 公式サイト(英語)
http://www.queenslandlabor.org/
2015-02-02

【イタリア】新大統領にマッタレッラ元副首相

31日、イタリアで高齢(89歳)のナポリターノ大統領の辞任にともなう大統領選(上下両院議員および地方代表による間接選挙)の第4回投票が行われ、レンツィ首相与党の民主党(PD、進歩同盟中核政党)が推すマッタレッラ憲法裁判事が当選を決めた。
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マッタレッラ新大統領

マッタレッラ新大統領は73歳。かつてはキリスト教民主党(DC)に所属していたが、現在はオリーブの木を通じて民主党に所属している。マフィアとの戦いをきっかけに政界入りし、これまで副首相、国防相などを務めたベテラン政治家で、近年は政治色の強い機関である憲法裁判所判事に回っていた。
イタリアの大統領選挙は第1回投票から第3回投票までは3分の2の賛成が必要だが、第4回投票からは過半数に引き下げられる。民主党は第3回投票までは棄権に回っていたが、第4回投票でマッタレッラ氏を擁立して「新中道右派」「左翼・環境・自由」など他の与党の支持も集め過半数を獲得し、マッタレッラ新大統領の誕生に結びつけた。いっぽう「五つ星運動」はほとんど脱落者もなく独自候補に票を集中させ、ベルルスコーニ派「フォルツァ・イタリア」は棄権に回ったと見られる。
議院内閣制のイタリアでは大統領は名誉職の色彩が強いが、政局が混乱した際には強い調整権を持つなど隠然たる力を有している。

民主党 公式サイト(イタリア語)
http://www.partitodemocratico.it/
プロフィール

西形公一

Author:西形公一
もと「民社ゆーす」(旧民社党全国青年部系)事務局長。昔は漫画と法律のことなどをやっていましたが、その後にインド・ネパール・タイなど熱帯アジアの国ぐにとパシュミナを軸とする小口貿易やNPO、研究活動など人とのつながりなどの縁ができて、今に至っています。写真は夕刻のゴア(インド)にて。

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