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2011-02-27

【アイルランド】総選挙で労働党が第2党に進出

英国に隣接する島国アイルランドで25日、共和党と緑の党の連立政権が崩壊したことに伴う下院の繰上げ総選挙(定数166、中選挙区移譲式比例代表制)が行われた。死票や取り過ぎた票を「移譲」するため開票に時間がかかる複雑な選挙制度を採用している同国では議席の確定まで時間がかかるのが通例だが、現在までのところ保守中道・対英国穏健派でキリスト教民主主義的な統一アイルランド党(フィナ・ゲール党)が得票を大きく伸ばし、第1党となる勢い。続けて民主社会主義の労働党(社会主義インター加盟政党)も議席を伸ばし、第2党となることが有力視されている。これまで長らくアイルランド政界の第1党に君臨してきた中道右派・共和主義で対英強硬派の共和党(フィアナ・フォイル党)は議席を半減させる失速ぶりで、初めて第3党に転落することとなった。また左翼・対英強硬派のシン・フェイン党が前進し、第4党となるとみられる。緑の党は共和党と並び批判にさらされたこともあり、議席獲得は微妙な情勢。ただ統一アイルランド党は無所属議員を含めても過半数の獲得は微妙で、労働党との連立政権樹立の可能性が高いとみられている。
90年代から低い法人税率やユーロ加入などをてこに企業・産業誘致に成功し「ケルトの虎」と呼ばれる経済成長を謳歌したものの、その後は不動産投機などで経済がバブル化、その結果として各銀行の不良債権処理への歳出が膨らんだことで生じた昨年の財政危機以来、欧州連合(EU)からの支援を受けるアイルランドでは、与党として銀行に近かったとされる共和党のカウエン首相率いる政権の緊縮財政策はじめ経済運営や失業率の急増が有権者の怒りを招き、共和党の地滑り的大敗につながった。これに対し労働党は「公正で、均衡の取れた政府」を主張して支持を伸ばした。次期政権にも引き継がれる悪化した財政に対し、新政権がEUおよび国際通貨基金(IMF)へ金利の引き下げを要求する、財政赤字解消のための増税策、賃金カットなど、ユーロを維持した上で競争力・経済成長を取り戻すためにどのような対策を採るのか、またそうした政策の遂行、特に賃金や雇用の問題において民主社会主義的で福祉を重視する労働党の主張がどういった形で反映されるのかが注目される。

労働党(アイルランド) 公式サイト(英語)
http://www.labour.ie/

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経済・財政危機の結果としての政権交代というのが主な報道の論調ですが、このブログではこれまで保守2大政党の色彩が強かったアイルランドで、初めて労働党が第2党となったことにも注目したいですね!

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2011-02-22

【ドイツ】ハンブルク市議選で社民党大勝、メルケル与党は上院で苦境に

ドイツのハンブルク市(州と同格)で20日、キリスト教民主同盟(CDU)と緑の党による「黒緑」連立が崩壊したことに伴う市議会(州議会)議員選挙(定数121、5%阻止条項つき比例代表制)が行われた。その結果、社会主義インター加盟政党の社会民主党(SPD)が単独過半数の議席を確保し、10年ぶりの市(州)与党復帰が確実となった。CDUは事前のあらゆる予想を下回り、議席の半分を失う惨敗となった。いっぽう連立から離脱した緑の党(ハンブルク市組織の正式名称は「緑のオルタナティヴ・リスト(GAL)」)は議席を微増させ、保守派と環境派が組む「黒緑」連立への有権者の違和感も浮き彫りになった。また産業界寄り自由主義政党とされる自由民主党(FDP)が5%条項を乗り越えて前回選挙では全議席を失った市議会に復帰したほか、左翼党が引き続き議席を獲得した。ドイツは各州のレベルでも議院内閣制を採用しているため、新しいハンブルク市長(州首相と同格)が市議会から新しい州与党・SPDの支持によって選出されることとなる。
ドイツでは今年、全16州のうち7州で州議会の選挙が予定されているが、現在は連邦野党に甘んじているSPDにとっては緒戦から朗報となった。またドイツ連邦参議院(上院)は各州の州政府を代表するため、連邦連立与党のキリスト教民主・社会同盟(CDU-CSU)とFDPによるメルケル中道保守政権にとっては上院の議席をさらに失うことも意味する。このため上院の過半数をすでに失っているメルケル連立与党の政局運営はさらなる譲歩をSPDに強いられるため困難さを増し、ドイツ政界のねじれ状況が深まることとなった。

詳しい選挙結果は次の通り(カッコ内は前回比)。
社会民主党(SPD) 62(+17)
キリスト教民主同盟(CDU) 28(-29)
緑の党系(GAL) 14(+2)
自由民主党(FDP) 9(+9)
左翼党(Linke) 8(±0)

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2011-02-12

【エジプト】ムバラク大統領が辞任

連日の民主化を求めるデモが起きていたエジプトで11日、ムバラク大統領が辞任し、サダト大統領の暗殺以来30年に及んだムバラク政権は崩壊した。大統領権限はタンタウィ国防大臣率いる軍の最高評議会に委譲された。これを受けて軍は声明のなかで政権は暫定的なものであることを強調した。報道では今回の事態を「エジプト革命」と呼称するものが出てきた。
1952年のナギブ、ナセルら「自由将校団」による(前回の)エジプト革命以来のアラブ民族主義・アラブ社会主義の系譜を引きムバラク政権を事実上の一党支配(少数の野党勢力は存在したが、ヘゲモニー政党制と考えられる)で支えてきた国民民主党は社会主義インターナショナルの加盟政党だが、今回の民主化デモを実力で鎮圧しようとし犠牲者も出したため、インターから加盟資格を停止されている。
今後は民主化の定着と大統領・議会選挙の実施にむけ、世俗的な民主主義体制への移行をどう図るのか、軍および旧体制勢力、今回のデモを担った民主化勢力、そしてこれまで宗教政党として禁止されてきたが事実上の最大野党だったイスラム主義勢力「ムスリム同胞団」といった各勢力の動向も併せて注目される。

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2011-02-10

【カーボベルデ】議会選で独立アフリカ党が勝利

6日、西アフリカ沖合に位置する島国カーボベルデで議会選挙(定数72、比例代表制)が行われた。その結果、与党のカーボベルデ独立アフリカ党(PAICV、社会主義インターナショナル加盟政党)が37議席とぎりぎりの過半数を獲得し、33議席を獲得した野党・民主運動を押さえて勝利した。
カーボベルデ独立アフリカ党は1956年、ポルトガルの植民地支配に対抗するギニア・カーボベルデ独立アフリカ党(PAIGC)として創設されたが、独立達成後に旧ポルトガル領だったギニアビサウとカーボベルデの両国はそれぞれ別の道を歩み、党も1981年に分離された。しばらくは一党独裁政党だったが、1991年の選挙から複数政党制が導入され、以後は同党と民主運動のあいだで政権交代のある二大政党制というべき体制となっている。

カーボベルデ独立アフリカ党 公式サイト(ポルトガル語)
http://www.paicv.cv/online/

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2011-02-10

【ニジェール】大統領選・議会選で民主社会主義党が優勢

1月31日にアフリカ北側の内陸国ニジェールで、昨年2月のクーデターの後の民政復帰をめざす大統領選挙(二回投票制)が行われた。その結果、社会主義インターナショナル加盟政党のニジェール民主社会主義党(PNDS)のイスフ元首相が約36%を獲得したものの過半数は得票できなかったため、約 23%の得票で2位となった中道右派・社会発展国民運動のウマル元首相とのあいだで3月12日に決選投票が行われることとなった。また議会選(定数 113、比例代表制が基本)では民主社会主義党が39議席を獲得し第1党となった。
ニジェールは政情・経済とも不安定で、近年は砂漠化によって農業生産もしばしば旱魃に襲われるなど最貧国のひとつに数えられるが、アクータ鉱山ほかの豊富なウラン資源を有し、エネルギー燃料供給を通じて国際情勢に与える影響は必ずしも小さいものではない。

ニジェール民主社会主義党 公式サイト(フランス語)
http://pnds-tarayya.net/news/news.php

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プロフィール

西形公一

Author:西形公一
もと「民社ゆーす」(旧民社党全国青年部系)事務局長。昔は漫画と法律のことなどをやっていましたが、その後にインド・ネパール・タイなど熱帯アジアの国ぐにとパシュミナを軸とする小口貿易やNPO、研究活動など人とのつながりなどの縁ができて、今に至っています。写真は夕刻のゴア(インド)にて。

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