2012-02-28
【エジプト】上院選挙でもイスラム主義派圧勝、民主社会主義派及ばず
1月から2月にかけてエジプトで上院にあたる諮問評議会(定数270、うち公選定数180、公選部分は小選挙区比例代表並立制)の選挙が行われ、先日の人民議会(下院)選挙に引き続きイスラム主義右派(原理主義)穏健派組織「ムスリム同胞団」主導の「自由公正党」が圧勝する結果となった。
選挙結果は「自由公正党」が公選部分の過半数を確保したほか、イスラム主義右派厳格派の「ヌール党」(光の党)が第2勢力、保守リベラルの新ワフド党が第3勢力となった。上記3党は連立を形成することですでに合意している。エジプト社会民主党、国民進歩統一党(タガンマア党、元体制内左派)などからなる「エジプト連合」は有力構成勢力の自由エジプト人党が選挙ボイコットを表明したため第4勢力にとどまり伸び悩んだ。有権者の関心も低調だった。
今後は大統領選挙に向け、社会主義インターが会議に招聘するなど注目するムーサ・アラブ連盟事務局長らを軸に民主社会主義勢力が巻き返しを図れるかが焦点となる。
選挙結果は「自由公正党」が公選部分の過半数を確保したほか、イスラム主義右派厳格派の「ヌール党」(光の党)が第2勢力、保守リベラルの新ワフド党が第3勢力となった。上記3党は連立を形成することですでに合意している。エジプト社会民主党、国民進歩統一党(タガンマア党、元体制内左派)などからなる「エジプト連合」は有力構成勢力の自由エジプト人党が選挙ボイコットを表明したため第4勢力にとどまり伸び悩んだ。有権者の関心も低調だった。
今後は大統領選挙に向け、社会主義インターが会議に招聘するなど注目するムーサ・アラブ連盟事務局長らを軸に民主社会主義勢力が巻き返しを図れるかが焦点となる。
2012-02-28
【オーストラリア】ギラード首相が労働党党首に再選
27日、オーストラリア労働党(社会主義インター加盟政党)の議員総会で党首選が行われ、現党首のギラード首相が前党首のラッド前首相(外相を辞任)を破り、再選を決めた。
今回の党首選は22日に突如、外相を辞任したラッド氏が党首選に臨むことを表明したため行われた。ギラード首相はラッド氏に時間的猶予を与えないため早々に党首選を行うことを決めていた。両者の票はギラード首相71票に対し、ラッド前首相は31票にとどまり、大差がついた。2年前に密航者急増問題などに有効な対処ができず党内政変を起こされ首相の座を奪われたラッド前首相が、ギラード首相との確執や一般有権者国民からの高支持、ギラード政権の炭素税導入など公約違反を背景に返り咲きを期したが、主要閣僚の多くが早々にギラード支持を表明するなど党内支持基盤はギラード首相のほうがはるかに厚く、及ばなかった。しかし世論は党内での権力闘争が続いている労働党に批判的な視線を向け野党・保守連合にリードを与えており、経済界も主だった反応を見せていない。今後は来年までに予定される総選挙に向けて党内の結束がはかれるかどうかがカギとなる。
オーストラリア労働党 公式サイト(英語)
http://www.alp.org.au/
今回の党首選は22日に突如、外相を辞任したラッド氏が党首選に臨むことを表明したため行われた。ギラード首相はラッド氏に時間的猶予を与えないため早々に党首選を行うことを決めていた。両者の票はギラード首相71票に対し、ラッド前首相は31票にとどまり、大差がついた。2年前に密航者急増問題などに有効な対処ができず党内政変を起こされ首相の座を奪われたラッド前首相が、ギラード首相との確執や一般有権者国民からの高支持、ギラード政権の炭素税導入など公約違反を背景に返り咲きを期したが、主要閣僚の多くが早々にギラード支持を表明するなど党内支持基盤はギラード首相のほうがはるかに厚く、及ばなかった。しかし世論は党内での権力闘争が続いている労働党に批判的な視線を向け野党・保守連合にリードを与えており、経済界も主だった反応を見せていない。今後は来年までに予定される総選挙に向けて党内の結束がはかれるかどうかがカギとなる。
オーストラリア労働党 公式サイト(英語)
http://www.alp.org.au/
2012-02-22
【ドイツ】社民党の推す大統領誕生へ
17日、ドイツのウルフ大統領(与党・キリスト教民主同盟所属)が経済界から便宜供与を受けていたスキャンダルにより辞任した。これを受けてメルケル首相は後任の大統領選びに入ったが、一昨年にウルフ大統領が選出された際に野党・社会民主党(社会主義インター加盟政党)と緑の党が推す対立候補だったヨアヒム・ガウク氏を与野党の枠を超えて推す方向となった。ウルフ大統領は前任のケーラー大統領がアフガニスタンに関するドイツ軍の関与強化についての発言を批判されたことによって辞任したことに伴う就任であったことから、二人の大統領が続けて辞任するという異常事態に対処する必要があるとメルケル首相が判断し譲歩したため、野党が推す大統領候補を受け入れ国民的コンセンサスを重視した新大統領選出が行われることとなった。この際、メルケル首相は当初、別の候補を推していたが、中道右派連立与党に加わっている自由民主党がガウク氏を推すことを主張し、これが通ったと報じられている。
ガウク氏は72歳。旧東ドイツでプロテスタントの牧師として共産主義政権に対する反体制・人権擁護活動に携わり、ベルリンの壁崩壊と引き続く東独民主化の過程では反体制派のうち市民的かつ民主社会主義的な「新フォーラム」に加わった。その後「新フォーラム」も加わった政党連合「同盟90」から東独最後の人民議会議員となって国家公安省(シュタージ、秘密警察組織)の解体において重要な役割を果たし、ドイツ再統一後はシュタージの保有していた個人情報管理に関する監理調査を担う「ガウク機関」の長として活動した(この時期に「同盟90」が緑の党と合流すると、この政治的な動きと距離を置いた)。この徹底した反シュタージ・反独裁の姿勢から、反共主義的なスタンスを有しているとみられることもあり、前回ウルフ氏と大統領ポストを争った際には旧東独共産党の流れをくむ左翼党からの協力が得られず落選した経緯もある。また、旧東独出身者としては初の大統領となり、同じく旧東独出身のメルケル首相とあわせ、ドイツ大統領・首相の両ポストが旧東独民主化運動の出身者で占められることとなる。
ドイツでは大統領は主に名誉職的な元首としてドイツ国家と国民統合の象徴的役割を担い、連邦議会(下院)議員およびそれと同数の各州議会代表によって構成される非常設機関の連邦会議(連邦集会と訳されることもある)によって正式に選出される。連邦会議は3月18日に行われる見通しで、それまで大統領権限は連邦参議院(上院)議長が代行する。
ガウク氏は72歳。旧東ドイツでプロテスタントの牧師として共産主義政権に対する反体制・人権擁護活動に携わり、ベルリンの壁崩壊と引き続く東独民主化の過程では反体制派のうち市民的かつ民主社会主義的な「新フォーラム」に加わった。その後「新フォーラム」も加わった政党連合「同盟90」から東独最後の人民議会議員となって国家公安省(シュタージ、秘密警察組織)の解体において重要な役割を果たし、ドイツ再統一後はシュタージの保有していた個人情報管理に関する監理調査を担う「ガウク機関」の長として活動した(この時期に「同盟90」が緑の党と合流すると、この政治的な動きと距離を置いた)。この徹底した反シュタージ・反独裁の姿勢から、反共主義的なスタンスを有しているとみられることもあり、前回ウルフ氏と大統領ポストを争った際には旧東独共産党の流れをくむ左翼党からの協力が得られず落選した経緯もある。また、旧東独出身者としては初の大統領となり、同じく旧東独出身のメルケル首相とあわせ、ドイツ大統領・首相の両ポストが旧東独民主化運動の出身者で占められることとなる。
ドイツでは大統領は主に名誉職的な元首としてドイツ国家と国民統合の象徴的役割を担い、連邦議会(下院)議員およびそれと同数の各州議会代表によって構成される非常設機関の連邦会議(連邦集会と訳されることもある)によって正式に選出される。連邦会議は3月18日に行われる見通しで、それまで大統領権限は連邦参議院(上院)議長が代行する。
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