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2012-07-23

【インド】与党重鎮のムカルジー前財務相が大統領に当選

19日にインドで行われた大統領選挙(連邦議会上下両院議員と州議会議員による間接選挙)の開票が22日に行われ、民主社会主義を掲げる与党・国民会議派のムカルジー前財務相が、主にインド人民党などの野党から支持を受けたサングマ元下院議長を破って当選を決めた。25日にパティル現大統領(初の女性大統領だった)から引継ぎを受けて正式に大統領に就任する。任期は5年。

ムカルジー前財務相(報道では「ムカジー前財務相」と表記される場合が多い)は76歳。西ベンガル州の選出で、70年代から閣僚を歴任し外相、国防相、商工相などの主要閣僚も務めた長老政治家だが、80年代の一時期には当時のラジヴ・ガンジー首相と対立して「全国社会主義会議派」を結成したこともある。ベンガル人ヒンズー教徒で、与党・国民会議派および与党連合「統一進歩同盟」のなかでも党と政権の重鎮としてカナメの地位にあったが、今回の大統領選挙に立候補するためマンモハン・シン政権の財務相を辞任したばかり。
議院内閣制を採るインドでは大統領よりも首相の権限が強いため従来は大統領ポストは名誉職的な国家元首として、首相とのバランスをとるべく言語・民族的もしくは宗教的・社会的マイノリティの出身者が就任することが多かったが、そのなかで政界の中枢を歩んできたムカルジー新大統領は異例の大統領となる(ただしベンガル人としては初の大統領)。これについては財務相の次にマンモハン・シン首相の後釜として首相ポストを狙っていたとされるムカルジー氏が高齢のためあきらめて大統領に切り替えたという説や、財務相としてマンモハン・シン首相と外資企業への遡及課税について対立したため大統領に棚上げされたとの説、次回総選挙での国民会議派および与党連合の苦戦を見越して「ハング・パーラメント」状況が現出した場合に首相指名で実力派の大統領として国民会議派寄りのイニシアティブを発揮するためという説も存在する(インドはじめ英国系の諸国では議会総選挙で第1党が過半数を握った場合にはそのまま首相選出となることが大半だが、過半数を握る政党もしくは政党連合が出なかった場合の規定があいまいな場合が多い)。

いっぽう野党は大統領候補選びから混迷し、最終的に北東部メガラヤ州首相を務めたこともあるベテラン政治家のサングマ元下院議長が無所属として立候補するまでに与党の一部などと連携してカラム前大統領の返り咲きを図る動きが浮上するなどの紆余曲折があった。サングマ氏もインドではマイノリティのモンゴリアン民族の政治家だが、国民会議派の出身ながらソニア・ガンジー総裁の選出に反対して離党した後は与党と野党を行き来し、さながら政界渡り鳥の観があった政治家で、ムカルジー新大統領とは好対照をなしている側面がある。なお娘が現職の国務相(インドでは国務相は閣外相もしくは副大臣的なポスト)だったが、父親の野党からの大統領選挙立候補および落選によって閣僚ポストから辞任した。

なお大統領選挙はインド憲法の規定により連邦議会上下両院議員と州議会議員に、ほぼ選挙区の人口1千人ごとに1ポイントを与え、優先順位をつけて移譲式投票をすることによって行われる(ただし今回は候補者が2名だったため票の移譲は行われなかった。過去の大統領選でも第1回集計で結果が決まることが多く、票の移譲が行われたのは1969年の一例しかない)。このため累積の総投票(ポイント)は11億人の総人口を反映して110万票近くに及ぶ。そのうち当選したムカルジー前財務相は与党連合の持つ票を大きく上回る71万票余を獲得し、サングマ元下院議長の32万票弱にダブルスコアの大差をつけた。この票差も次回総選挙後に「ハング・パーラメント」となった場合の政権の帰趨をめぐる各党の水面下の動きを反映するとみられ、注目される。また副大統領(アメリカと同様に上院議長を兼ねる)選挙では与野党の協議によりアンサリ副大統領が再選される見通し。

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2012-07-12

【東ティモール】議会選でグスマン派勝利、フレティリン敗れる

7日、インドネシアと接する東ティモールで議会選挙(定数65、比例代表制)が行われた。公式の選挙結果はまだ出ていないが、各党やメディアの報道によるとグスマン首相(元大統領)が率いる東ティモール再建国民会議(CNRT)が過半数に近い得票によって勝利した。社会主義インター加盟政党の東ティモール独立革命戦線(FRETILIN、フレティリン)はアルカティリ書記長を先頭として体勢を立て直し議席を伸ばしたが及ばなかった。
CNRTは過半数にはわずかに及ばなかったものの、これまでアラウジョ国会議長(通称ラサマ)が率いる民主党(今回第3党となった)と連立を組んできた経緯もあり、グスマン政権を維持する見通し。なおフレティリンだけでなくCNRT、民主党も民主社会主義的な政党であり、東ティモール政界は主義主張だけをみれば「総民主社会主義」的な様相を呈している。ただ、そのなかでもティモール社会党(PST)、社会民主党(PSD)、ティモール社会民主協会(ASDT)は今回は議席を獲得できなかった。

暫定的な各党の獲得議席は次のとおり(カッコ内は前回比)。

東ティモール再建国民会議 30(+12)
東ティモール独立革命戦線 25(+4)
民主党 8(±0)
東ティモール国民再建戦線=変革 2(新党、フレティリンより分裂)

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2012-07-11

【モンゴル】続報・各党獲得議席

先月28日に行われたモンゴルの大フラル(一院制議会、定数76)選挙は、大勢が決したものの、議会が召集されてもなお未確定の議席が残る状況となっている。

現在までのところの獲得議席は次のとおり。

民主党 31
モンゴル人民党 25(社会主義インター加盟政党)
正義同盟 11(エンフバヤル前大統領が復活させた「モンゴル人民革命党」が軸)
市民のゾリク(意志)・緑の党 2(親欧米民主派とも環境派ともいわれる)
無所属 3
未定 4

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2012-07-03

【メキシコ】大統領選・議会選で制度的革命党が返り咲き

1日、メキシコで大統領選挙および上下両院選挙が行われた(下院・定数500、小選挙区制と比例代表制の組み合わせ。上院・定数128、3人区制と比例代表制の並立制)。その結果、注目の大統領選挙では野党・制度的革命党(PRI、社会主義インター加盟政党)のペニャニエト前メキシコ州知事(注・メキシコではメキシコ合衆国内にメキシコ州があり、また首都としてメキシコシティがある)が当選を決めた。任期は6年。
これまで与党だった保守政党・国民行動党(PAN)のバスケス前教育相、もうひとつの社会主義インター加盟政党・民主革命党(PRD)から出馬し前回選挙で善戦したロペス=オブラドール元メキシコシティ市長は及ばなかった。

制度的革命党は1910年代のメキシコ革命の終結後、革命の成果を擁護するために結成された政党で(1929年に結成された当初の党名は「国民革命党」)、その思想は保守から左翼まで非常に幅広く、いわば「包括政党」、事実上の一党支配政党的な「ヘゲモニー政党」としてメキシコ政界を牛耳ってきた。しかし80年代には左派が離反(のちに中小左翼野党と大同団結しPRDを形成)、右派の小政党だったPANも勢力を伸ばし、ついに2000年には大統領選でPANのフォックス大統領に敗れて下野。6年前もPANのカルデロン大統領の前に敗れていた。今回の政権復帰は12年ぶり。ただ社会主義インターに加盟しているにもかかわらず、そうした左右に幅が広かった経緯から一般には中道政党と考えられ、社会主義政党とはみなされないことが多い。
いっぽうロペス=オブラドール元メキシコ市長が率いる民主革命党(PRD)は、他の小左翼政党と連携し今回こそ左派政権の樹立を狙ったが、果たせなかった。ただ同候補は前回選挙に引き続き、選挙結果に異議を申し立てる姿勢もみせている。

また開票は大統領選挙から行われ、議会上下両院選挙および同時に行われた地方選挙の結果判明までには多少時間がかかる見通し。

制度的革命党 公式サイト(スペイン語)
http://www.pri.org.mx/
民主革命党 公式サイト(スペイン語)
http://www.prd.org.mx/

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(追記)
議会上下両院選挙の結果は次のとおり(カッコ内は前回比。上院は06年選挙比、下院は09年中間選挙比)。

【上院】
制度的革命党 52(+17)
国民行動党 38(-14)
民主革命党 22(-9)
環境緑の党 9(+5)
労働党 5(+2)
市民運動 1(-1、前回は「結集」)
新同盟 1(±0)

【下院】
制度的革命党 207(-37)
国民行動党 114(-33)
民主革命党 101(+29)
環境緑の党 33(+16)
労働党 19(+10)
市民運動 16(+10、前回は「結集」)
新同盟 10(+2)

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2012-07-02

【アイスランド】大統領選で現職グリムソン大統領が5選

6月30日、北欧アイスランドで大統領選挙が行われ、現職のグリムソン大統領が5選を果たした。同国の大統領は基本的には名誉職的な国家元首だが、再選制限は憲法に規定されていない。
グリムソン大統領は現在は無所属だが、もともとは社会主義インター加盟政党の同盟(社会民主同盟)に加わっていた。またリーマン・ショックを受けた金融危機後には欧米の預金者にアイスランド国民の税金を投入して救済する法案がアルシング(国会)を通過したことに対し、2度にわたって署名を拒否。名誉職的な職責からの逸脱との批判も受けたが、多数の有権者からは喝采を浴びていた。対立女性候補は選挙戦中に出産するなど話題に事欠かなかったが、選挙戦そのものはグリムソン大統領が磐石の体制で安定した戦いぶりだった。

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2012-07-01

【モンゴル】議会選で人民党敗れる

モンゴルで6月28日、一院制議会にあたる「大フラル」(定数76、中選挙区比例代表並立制)選挙が行われ、バトボルド首相が率いる社会主義インター加盟政党の与党・人民党(旧人民革命党=共産党)は野党・民主党に敗れることが確実な情勢となった。人民党陣営からは選挙前にエンフバヤル元大統領が人民革命党の復活を宣言して分裂、苦しい選挙戦を強いられていた。なお選挙前には人民党と民主党は協定を結び大連立政権を構成していたが、選挙の結果を受けて解消されるとみられる。

モンゴルは人口密度が低く、かつ国土が広大であるため、選挙結果が発表されるまでには時間がかかる見通し。

モンゴル人民党 公式サイト(英語/ロシア語)
http://mpp.mn/index.php/en/

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プロフィール

西形公一

Author:西形公一
もと「民社ゆーす」(旧民社党全国青年部系)事務局長。昔は漫画と法律のことなどをやっていましたが、その後にインド・ネパール・タイなど熱帯アジアの国ぐにとパシュミナを軸とする小口貿易やNPO、研究活動など人とのつながりなどの縁ができて、今に至っています。写真は夕刻のゴア(インド)にて。

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