2013-10-31
【アルゼンチン】議会選で大統領派が優勢
27日、南米アルゼンチンで議会の中間選挙が行われた(上院・定数72、3分の1改選。下院・定数257、半数改選。比例代表制が基本)。その結果、フェルナンデス・ド・キルチネル大統領を支える正義党(PJ)内の左派派閥「勝利のための戦線」(FPV)が微減しつつも地歩を固め、第一勢力を維持した。社会主義インターに加盟する急進市民同盟(急進党)と社会党の両党も「進歩・市民・社会戦線」を組み猛追したが、FPVには及ばなかった。なおアルゼンチンでは特に正義党が解体状態となっており、同じ正義党でも派閥ごとに別々に立候補、政策も真反対ということがしばしばある。
勝利のための戦線(スペイン語)
http://www.frenteparalavictoria.org/
急進市民同盟(スペイン語)
http://www.ucr.org.ar/
社会党(スペイン語)
http://www.partidosocialista.com.ar/
勝利のための戦線(スペイン語)
http://www.frenteparalavictoria.org/
急進市民同盟(スペイン語)
http://www.ucr.org.ar/
社会党(スペイン語)
http://www.partidosocialista.com.ar/
2013-10-28
【チェコ】総選挙で社民党第1党も連立は不透明に
25・26の両日、中欧チェコで下院の総選挙(定数200、5%阻止条項付き比例代表制)が行われた。その結果、チェコ社会民主党(社会主義インター加盟政党)が第1党となったものの議席を減らし、中道右派リベラル新党・不満の市民行動2011(ANO2011)が議席を急伸するなど、小党分立色強まる下院となった。側近の汚職疑惑などで6月にネチャス首相が退任した中道保守の雄・市民民主党は惨敗し、大統領選挙で善戦したシュワルツェンベルク前外相の伝統・責任・繁栄09(TOP09)も議席を急減させた(なお現在のルスノク首相は暫定首相、選挙管理内閣の位置づけ)。
ソボトカ党首(元財務相)率いる社民党は、一定以上の議席を確保した上、共産党の閣外協力により左派連立政権の樹立を狙っていた。しかし共産党は伸ばしたものの2党で過半数を確保できず、左派連立の樹立は困難になった。さらに新党では日系実業家のオカムラ氏が率いるポピュリスト的な「直接民主主義の暁」も初議席を獲得、下院復帰が困難視されていたキリスト教民主主義の人民党も議席を回復させ、計7党が下院に議席を有することとなった。
今後の連立だが、社民党が主導権を握るのは間違いないものの、旧与党2党とは連立しないとしており、すると浮上するANO2011との合計でも過半数に足りず、人民党の参加が必須となる。この場合、ANO2011は財務相ポストを求める姿勢。その他の政党には過激な政党もあり連立政権の形成は困難で、他には社民党・共産党・人民党による左右の福祉派連立の可能性などもあるが、考えにくい(人民党は旧共産政権時代のキリスト教系翼賛政党をルーツに持つ)。
詳しい選挙結果は次のとおり(カッコ内は前回比)
チェコ社会民主党 50(-4)
不満の市民行動2011 47(新党)
ボヘミア・モラヴィア共産党 33(+7)
伝統・責任・繁栄09 26(-15)
市民民主党 16(-37)
直接民主主義の暁 14(新党)
チェコスロバキア人民党 14(+14)
チェコ社会民主党 公式サイト(チェコ語)
http://www.cssd.cz/
ソボトカ党首(元財務相)率いる社民党は、一定以上の議席を確保した上、共産党の閣外協力により左派連立政権の樹立を狙っていた。しかし共産党は伸ばしたものの2党で過半数を確保できず、左派連立の樹立は困難になった。さらに新党では日系実業家のオカムラ氏が率いるポピュリスト的な「直接民主主義の暁」も初議席を獲得、下院復帰が困難視されていたキリスト教民主主義の人民党も議席を回復させ、計7党が下院に議席を有することとなった。
今後の連立だが、社民党が主導権を握るのは間違いないものの、旧与党2党とは連立しないとしており、すると浮上するANO2011との合計でも過半数に足りず、人民党の参加が必須となる。この場合、ANO2011は財務相ポストを求める姿勢。その他の政党には過激な政党もあり連立政権の形成は困難で、他には社民党・共産党・人民党による左右の福祉派連立の可能性などもあるが、考えにくい(人民党は旧共産政権時代のキリスト教系翼賛政党をルーツに持つ)。
詳しい選挙結果は次のとおり(カッコ内は前回比)
チェコ社会民主党 50(-4)
不満の市民行動2011 47(新党)
ボヘミア・モラヴィア共産党 33(+7)
伝統・責任・繁栄09 26(-15)
市民民主党 16(-37)
直接民主主義の暁 14(新党)
チェコスロバキア人民党 14(+14)
チェコ社会民主党 公式サイト(チェコ語)
http://www.cssd.cz/
2013-10-21
【ルクセンブルク】総選挙後の連立の行方は不透明に
20日、欧州ベネルクス三国で最小のミニ国家ルクセンブルクで総選挙(定数60、比例代表制)が行われた。その結果、ユンケル首相の19年にわたる長期政権を支えてきた与党・キリスト教社会人民党(CSV)が後退し、社会労働者党(LSAP)も現状維持。野党で保守リベラルの民主党(DP)が伸ばし、連立の行方は不透明となった。
今回の選挙はCSVの政治家と情報機関が絡む違法盗聴スキャンダルが浮上、CSVと大連立を組んできたLSAPが閣僚を引き上げ政権が崩壊したことを受けてアンリ大公に議会解散・総選挙を上奏し行われた。その結果、野党としてスキャンダルと無縁だった民主党が浮上することとなった。
今後に予想される連立だが、通常であればCSVとDPが組めば過半数を制するためにこの中道右派連合が有力だが、今回はCSVのスキャンダルに端を発した解散・総選挙であったため、他党が結集する形でCSVを下野させる動きも模索されており(その場合は社会労働者党、民主党、緑の党の3党による世俗派中道連立が有力)、今後の政局の行方は予断を許さない。
詳しい選挙結果は次のとおり(カッコ内は前回比)。
キリスト教社会人民党 23(-3)
社会労働者党 13(±0)
民主党 13(+4)
緑の党 6(-1)
オルタナティヴ民主改革党 3(-1)#中道右派・経済自由主義・欧州懐疑主義
左翼党 2(+1)
ルクセンブルク社会労働者党 公式サイト(ルクセンブルク語)
http://www.lsap.lu
今回の選挙はCSVの政治家と情報機関が絡む違法盗聴スキャンダルが浮上、CSVと大連立を組んできたLSAPが閣僚を引き上げ政権が崩壊したことを受けてアンリ大公に議会解散・総選挙を上奏し行われた。その結果、野党としてスキャンダルと無縁だった民主党が浮上することとなった。
今後に予想される連立だが、通常であればCSVとDPが組めば過半数を制するためにこの中道右派連合が有力だが、今回はCSVのスキャンダルに端を発した解散・総選挙であったため、他党が結集する形でCSVを下野させる動きも模索されており(その場合は社会労働者党、民主党、緑の党の3党による世俗派中道連立が有力)、今後の政局の行方は予断を許さない。
詳しい選挙結果は次のとおり(カッコ内は前回比)。
キリスト教社会人民党 23(-3)
社会労働者党 13(±0)
民主党 13(+4)
緑の党 6(-1)
オルタナティヴ民主改革党 3(-1)#中道右派・経済自由主義・欧州懐疑主義
左翼党 2(+1)
ルクセンブルク社会労働者党 公式サイト(ルクセンブルク語)
http://www.lsap.lu
2013-10-14
【イラク】クルド自治議会選で愛国同盟後退
9月21日、イラク北部クルド自治区で自治議会選(定数111、比例代表制)が行われた。少数民族留保分の選挙結果集計が遅れたため最終結果も遅れたが、クルド2大政党のひとつでタラバニ・イラク大統領が率いるクルド愛国同盟(PUK、社会主義インター加盟政党)は議席を減らし、バルザニ・クルド自治区大統領が率いるクルド民主党(KDP、クルド民族主義中道政党)が議席を伸ばした。またリベラル派の「変革のための同盟」が第2党となった。この結果、ネチェルヴァン・バルザニ首相(バルザニ自治区大統領の甥)の再任が濃厚となり、KDPを率いてきたバルザニ一族によるクルド自治区支配の色が強まった。ほかに世俗色の強いクルド地域としては、イスラム勢力の進出が目立った。
タラバニ大統領は全イラクの国家元首であるが、フセイン時代の反省から分権を徹底したイラクでは大統領は名誉職的・象徴的国家元首と位置づけられており、実権は大きくない(マリキ首相のほうが権限が大きい)。いっぽうクルド自治区大統領は実権のあるポストで、その差が選挙結果に出たともいえる。
選挙の詳しい結果は次のとおり(カッコ内は前回比)。
・クルド人議席(定数100)
クルド民主党 38(+11)
変革のための同盟 24(-1)
クルド愛国同盟 18(-8)
クルド・イスラム同盟 10(+4)
クルド・イスラムグループ 6(+2)
クルド・イスラム運動 1(-1)
クルド社会主義民主党 1(-1)
クルド共産党 1(±0)
第三の方向 1(+1)
・トルクメン人留保議席(定数5)
トルクメン発展リスト 2(+2)
エルビル・トルクメン 1(±0)
トルクメン変革と刷新 1(+1)
イラク・トルクメン戦線 1(+1)
・アッシリア人留保議席(定数5)
アッシリア民主運動 2(±0)
カルデア・シリア・アッシリア人民協議会 2(-1)
メソポタミアの息子たち 1(+1)
・アルメニア人留保議席(定数1)
無所属 1
クルド愛国同盟 公式サイト(多言語)
http://www.pukmedia.com/
タラバニ大統領は全イラクの国家元首であるが、フセイン時代の反省から分権を徹底したイラクでは大統領は名誉職的・象徴的国家元首と位置づけられており、実権は大きくない(マリキ首相のほうが権限が大きい)。いっぽうクルド自治区大統領は実権のあるポストで、その差が選挙結果に出たともいえる。
選挙の詳しい結果は次のとおり(カッコ内は前回比)。
・クルド人議席(定数100)
クルド民主党 38(+11)
変革のための同盟 24(-1)
クルド愛国同盟 18(-8)
クルド・イスラム同盟 10(+4)
クルド・イスラムグループ 6(+2)
クルド・イスラム運動 1(-1)
クルド社会主義民主党 1(-1)
クルド共産党 1(±0)
第三の方向 1(+1)
・トルクメン人留保議席(定数5)
トルクメン発展リスト 2(+2)
エルビル・トルクメン 1(±0)
トルクメン変革と刷新 1(+1)
イラク・トルクメン戦線 1(+1)
・アッシリア人留保議席(定数5)
アッシリア民主運動 2(±0)
カルデア・シリア・アッシリア人民協議会 2(-1)
メソポタミアの息子たち 1(+1)
・アルメニア人留保議席(定数1)
無所属 1
クルド愛国同盟 公式サイト(多言語)
http://www.pukmedia.com/
2013-10-01
【オーストリア】総選挙で社民党が第1党確保
9月29日、中欧オーストリアで国民議会(下院)総選挙(定数183、4%阻止条項つき比例代表制)が行われ、ファイマン首相を擁する社会民主党(SPÖ、社会主義インター加盟政党)が後退しながらも第1党を確保、連立相手の保守政党・国民党(ÖVP)が同じく後退しつつ第2党となり、両党でかろうじて過半数を確保した。しかし極右視されることの多い自由党(FPÖ)が得票を伸ばし2大政党に迫ったほか、緑の党も得票を増加。さらに2つの対象的な新党が議席を獲得し、連立の枠組みに変動が生じる可能性もある。
社民党、国民党の両党は戦後オーストリア(第二共和政)では長いこと「プロポルツ」(比例)と呼ばれた大連立を組み、権力を分割してきた。これはオーストリア=ハンガリー帝国が崩壊した後の共和国(第一共和政)において左右対立から政局が混乱しドルフース独裁政権の樹立、ひいてはナチス・ドイツによる併合(アンシュルス)を招いた悲劇的体験による。だが2大政党が権力を分割する体制には談合的との批判も強く、自由党の進出や社会党(社民党の前身)単独政権の樹立、さらには国民党と自由党(当時の同党は極右色を強めたハイダー党首が批判を浴びていた)による右派政権の樹立などの変遷をたどってきた。その後に「プロポルツ」が復活したような2大政党の大連立となり、現在に至っている。
しかし今回の総選挙では再びこの大連立への批判が強まり、反イスラム色の強いシュトラーヒェ党首の下で極右化を続ける自由党のほか、実業家のシュトロナハ氏が各党から議員を引き抜いた欧州懐疑主義の「チーム・シュトロナハ」も選挙では初議席を獲得。いっぽう両党が「反南欧・反ユーロ」を訴えるのに対して親EUの中道リベラル新党「新オーストリア」(NEOS)も初議席を得て、緑の党も加えて6党からなる多彩な下院が実現(ただしハイダーが自由党を離れて新設したものの、同氏の事故死によって穏健化した「未来同盟」は4%を割り込み議席を喪失)。今後はファイマン首相の続投が有力とされるが、重要法案の採択には3分の2が必要とされるオーストリアでは2大政党だけでは不充分となり、もう1党を加えた3党連立の可能性が高い。その場合、緑の党かNEOSの連立入りが現実的と思われるが数字上はNEOSでは足りない。
国民議会選挙の詳しい結果は次のとおり(カッコ内は前回比)。
社会民主党 53(-4)
国民党 46(-5)
自由党 42(+8)
緑の党 22(+2)
チーム・シュトロナハ 11(新党)
新オーストリア 9(新党)
オーストリア社会民主党 公式サイト(ドイツ語)
http://spoe.at/
社民党、国民党の両党は戦後オーストリア(第二共和政)では長いこと「プロポルツ」(比例)と呼ばれた大連立を組み、権力を分割してきた。これはオーストリア=ハンガリー帝国が崩壊した後の共和国(第一共和政)において左右対立から政局が混乱しドルフース独裁政権の樹立、ひいてはナチス・ドイツによる併合(アンシュルス)を招いた悲劇的体験による。だが2大政党が権力を分割する体制には談合的との批判も強く、自由党の進出や社会党(社民党の前身)単独政権の樹立、さらには国民党と自由党(当時の同党は極右色を強めたハイダー党首が批判を浴びていた)による右派政権の樹立などの変遷をたどってきた。その後に「プロポルツ」が復活したような2大政党の大連立となり、現在に至っている。
しかし今回の総選挙では再びこの大連立への批判が強まり、反イスラム色の強いシュトラーヒェ党首の下で極右化を続ける自由党のほか、実業家のシュトロナハ氏が各党から議員を引き抜いた欧州懐疑主義の「チーム・シュトロナハ」も選挙では初議席を獲得。いっぽう両党が「反南欧・反ユーロ」を訴えるのに対して親EUの中道リベラル新党「新オーストリア」(NEOS)も初議席を得て、緑の党も加えて6党からなる多彩な下院が実現(ただしハイダーが自由党を離れて新設したものの、同氏の事故死によって穏健化した「未来同盟」は4%を割り込み議席を喪失)。今後はファイマン首相の続投が有力とされるが、重要法案の採択には3分の2が必要とされるオーストリアでは2大政党だけでは不充分となり、もう1党を加えた3党連立の可能性が高い。その場合、緑の党かNEOSの連立入りが現実的と思われるが数字上はNEOSでは足りない。
国民議会選挙の詳しい結果は次のとおり(カッコ内は前回比)。
社会民主党 53(-4)
国民党 46(-5)
自由党 42(+8)
緑の党 22(+2)
チーム・シュトロナハ 11(新党)
新オーストリア 9(新党)
オーストリア社会民主党 公式サイト(ドイツ語)
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