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2014-05-30

【エジプト】シシ元帥が大統領に

クーデターでムスリム同胞団系のモルシ大統領が放逐されたエジプトで、26日から28日にかけて大統領選挙が行われた。当初は投票日は26・27日の両日の予定だったが、低投票率となるとみるや軍政当局は28日も投票日に追加、有権者に投票を促した。その結果、下馬評どおり軍政の最高実力者、シシ元帥(前副首相・前国防相)が96%以上の票を集め、当選を決めた。唯一の対立候補者となったアラブ社会主義・ナセル主義系の「人民潮流」のサバヒ代表(社会主義インター加盟政党のエジプト社会民主党も大勢が支持した)は前回の大統領選では「革命」の代表者となりダークホースとして3位に食い込んだ実力者だったが、クーデターを支持したことなどがムスリム同胞団などから裏切りととられ(サバヒ代表は初の議会選挙ではアラブ社会主義系の「尊厳党」を率い、ムスリム同胞団系の「自由公正党」と統一名簿で立っている)、今回は軍政批判票の受け皿となれずわずか3%強と票を伸ばすことができなかった。
シシ元帥の政治信条は明確ではないが、旧与党・国民民主党(裁判所の解党判決により解散)を軍が支えてきた経緯からアラブ社会主義・ナセル主義に近いのではないかともみられ、その場合は今回の選挙は主義主張においては両候補ともナセル主義だったことになる。
なお投票率は投票日を一日追加するなどの異例のてこ入れにもかかわらず伸びず、約44%となり、前回大統領選決選投票の52%を下回った。

サバヒ代表 公式サイト(アラビア語)
http://www.hamdeensabahy.com/
2014-05-27

【ギリシャ】統一地方選アテネ市長選でPASOK系勝利

ギリシャで18日(第1回投票)および25日(決選投票)、全国で統一地方選挙が行われた。25日の決選投票は欧州議会選挙との同日投票になった。
注目の首都アテネ市長選では第1回投票で「全ギリシャ社会主義運動」(PASOK、社会主義インターおよび「進歩同盟」加盟政党)が率いる政党連合「オリーブの木」と「民主左派」(DIMAR)などが推すカミニス前ギリシャ(国家)オンブズマンが急進左翼同盟(SYRIZA)のサケラリディス候補と僅差で左派どうしの決選投票に進み、最終的にはカミニス前オンブズマンが接戦を制した。サマラス首相率いる国政与党で中道右派の新民主主義党(ND)のスピリオトプロス元国民教育相は3位にとどまりND候補としては1975年以来初めて決選投票に残ることができなかったうえ、4位の極右ネオファシスト「黄金の夜明け」(XA)のカシディアリス国会議員にも肉迫される惨敗を喫した。5位には共産党のソフィアノス候補が入った。
選挙全体としては欧州議会選と同様、SYRIZAが地域組織の未整備にもかかわらず急伸し勝利、サマラス政権与党のND後退の傾向が鮮明になった。そのなかでも退潮著しいPASOKの系列候補が僅差とはいえ、アテネ市長選を制したことが注目される。

「オリーブの木」公式サイト(ギリシャ語)
http://www.elia-dimokratikiparataxi.gr/
全ギリシャ社会主義運動 公式サイト(ギリシャ語)
http://www.pasok.gr/
2014-05-27

【コロンビア】大統領選は現職と右派新人の決選投票に

25日、南米コロンビアで大統領選挙の第1回投票が行われた。事前予測では現職・サントス大統領(国民統一社会党、社会主義インター加盟政党のコロンビア自由党も支援)が大差をつけることが予想されていたが、開票作業が進むにつれウリベ前大統領らが組織した右派政党・民主中央のズルアガ元財務相が伸ばして1位となり、決選投票に進むことが確実となった。3位はコロンビア保守党の女性候補・ラミレス元国防相、4位は首都ボコタの市長代行を務めたことがある女性のロペス候補(オルタナティヴ民主の軸…社会主義インター加盟政党)、5位は緑の党のペニャロサ元ボコタ市長となった。なお3位のラミレス元国防相と4位のロペス元ボコタ市長代行の票差はわずかだった。

来月15日に行われる決選投票ではラミレス元国防相の支持票がサントス大統領に流れるか、ズルアガ元財務相に流れるかがカギとなるとみられる。なお投票率はコロンビアの治安状況を反映し、約4割と推計されている。

コロンビア自由党 公式サイト(スペイン語)
http://www.partidoliberalcolombiano.info/
オルタナティヴ民主の軸 公式サイト(スペイン語)
http://www.polodemocratico.net/
2014-05-27

【ベルギー】下院選と地域議会選でフラマン独立派とワロン系社会党が1位・2位に

25日、欧州議会選挙との同日選挙でベルギーの下院総選挙(定数150、比例代表制)および地域圏選挙が行われた。その結果、フラマン語圏とワロン語圏で違う結果が出、ベルギーの分裂の深まりが予想されることとなった。

全国(連邦)レベルで第1党となったのはフラマン語圏の独立を掲げるデウェーヴェル・アントワープ市長が率いる新フラームス同盟(N-VA)で、第2党となったのはディルポ首相率いるワロン語圏の社会党(PS、社会主義インター・「進歩同盟」加盟政党)となった。また新フラームス同盟はフラマン語圏のフランデレン議会(定数124、比例代表制)でも大きく伸ばし第1党となった。また中道派地域主義の新フラームス同盟が伸ばしたぶん、極右地域主義のフラームス・ベランフが後退する現象もみられた。いっぽうワロン地域圏議会(定数75、比例代表制)では社会党が第1党となった。

ベルギーでは前回選挙後、ディルポ首相が選出され新政権が成立するまで約1年半を要した経験から統治機構改革を進め、今回から上院の直接選挙議席が廃止されたほか、下院・地域圏議会選挙は欧州議会選挙にあわせて5年に1度行われるようになった。この政治改革がベルギー政治の行き詰まり打開に力を発揮するか、今後は真価が問われることになる。

下院総選挙の結果は次のとおり(カッコ内は前回比)。
新フラームス同盟 33(+6)
社会党(ワロン系) 23(-3)
改革運動(ワロン系自由党) 20(+2)
フラマン系キリスト教民主党 18(+1)
フラマン系自由党 14(+1)
フラマン系社会党 13(±0)
人道民主センター(ワロン系キリスト教民主党) 9(±0)
フルン(フラマン系緑の党) 6(+1)
エコロ(ワロン系緑の党) 6(-2)
フラームス・ベランフ 3(-9)
労働者党 2(+2)
フランス語圏民主連邦主義者 2(前回は改革運動の一部)
人民党 1(±0)

フランデレン議会の結果は次のとおり(カッコ内は前回比)。
新フラームス同盟 43(+27)
フラマン系キリスト教民主党 27(-4)
フラマン系自由党 19(-2)
フラマン系社会党 18(-1)
フルン(フラマン系緑の党) 10(+3)
フラームス・ベランフ 6(-15)
フランス語話者同盟 1(±0)

ワロン地域圏議会の結果は次のとおり(カッコ内は前回比)。
社会党 30(+1)
改革運動 25(+6)
人道民主センター 13(±0)
エコロ 4(-10)
労働者党 2(+2)
人民党 1(初参加)

初めて行われるブリュッセル議会直接選挙(比例代表制)の結果は次のとおり。
(ワロン系…72議席)
社会党 21
改革運動 18
フランス語圏民主連邦主義者 12
人道民主センター 9
エコロ 8
労働者党 4
(フラマン系…17議席)
フラマン系自由党 5
フルン 3
フラマン系社会党 3
新フラームス同盟 3
フラマン系キリスト教民主党 2
フラームス・ベランフ 1

ドイツ語共同体議会(定数25、比例代表制)の結果は次のとおり。
キリスト教社会党 7
プロDG 6
社会党 4
自由と進歩のための党(改革運動に加盟) 4
ヴィヴァント(フラマン系自由党に近い) 2
エコロ 2

社会党(ワロン系) 公式サイト(ワロン語…フランス語の一方言)
http://www.ps.be/
フラマン系社会党 公式サイト(フラマン語…ドイツ語・オランダ語の一部とされる)
http://www.s-p-a.be/
2014-05-27

【欧州議会】民主社会主義会派第2党に、極右および左右のEU懐疑派も躍進

22日から25日にかけてEUの下院に相当する「欧州議会」の選挙(定数751、比例代表制)が行われ、中選挙区移譲式比例代表制のため開票作業に時間がかかるアイルランドおよび北アイルランドを除き結果が確定した。ユーロ債務危機の後に行われた初の欧州議会選となったが、有権者の関心は高くなく、投票率は前回を辛うじて上回る43%強に留まった。この低投票率が投票意欲の高い極右や左右のEU懐疑派の躍進を招くこととなった。

ドイツ(定数96)ではメルケル首相が率いるキリスト教民主=社会同盟(CDU-CSU)が第1党となったものの、社会民主党(SPD、社会主義インター加盟・「進歩同盟」中核政党)も昨年の総選挙に比べて猛追する結果となった。また緑の党(Grüne)、左翼党(Linke)も議席を確保した。さらに昨年の連邦議会選挙で5%条項に迫った反ユーロ新党「ドイツのための選択肢」(AfD)が今回は低投票率に助けられて議席を確保した。今回から欧州議会選においては5%条項が廃止されたため、5%に達しなかった自由民主党(FDP)のほか、7つの小政党が1議席ずつを獲得した(そのなかにはネオナチ政党の国家民主党(NPD)、州議会で善戦してきた海賊党(Piraten)、バイエルンに基盤を持つ「自由な有権者」(FW)、念願の初議席となったドイツ家族党(FAMILIE)やエコロジー民主党(ÖDP)、「過激な緑」である「人間環境動物福祉」(TIERSCHUTZ)、ジョーク政党の「パルタイ」(政党、の意)が含まれる)。

フランス(定数74)では極右・国民戦線(FN)が前回の3議席から24議席に8倍増となって第1党となり、政界に激震が走った。これに次いで右派(保守)野党・民衆運動連合(UMP)となり、与党・社会党(PS、社会主義インター・「進歩同盟」加盟政党)は3位に沈んだ。次いで中道リベラル派(UDIおよびMoDem)、緑の党(EELVほか)、左翼戦線(FG)など左翼諸党と続いた。

英国(定数73)ではEU脱退などを掲げるEU懐疑派の英国独立党(UKIP)が次々と議席を確保、第1党となり、これも激震が走った。次いで野党第1党・労働党(Lab、社会主義インター加盟・「進歩同盟」中核政党)となり、キャメロン首相率いる保守党(Cons.)は第3党に沈んだ。また連立第2与党・自由民主党(LD)はわずか1議席の獲得に終わった。他に緑の党、スコットランド国民党、プライド・カムリ(ウェールズ党)が議席を獲得した。なお北アイルランドの3議席は中選挙区移譲式比例代表制のため集計に時間がかかっており、現在も確定していない。

イタリア(定数73)では就任したばかりのレンツィ新首相率いる民主党(PD、「進歩同盟」中核政党)が順調に議席を伸ばし、4割を上回る31議席を獲得した。次いで反汚職新党でEUに懐疑的かつ直接民主主義や環境主義を掲げる「五つ星運動」(M5S)が第2党となり、ベルルスコーニ元首相が復活させた「フォルツァ・イタリア」(FI)は第3党に沈んだ。ほかに北部同盟(LN)、「左翼・環境・自由」(SEL)と再建共産党(PRC)などの左翼連合、与党第2党・新中道右派(NCD)などが議席を獲得した。このようにイタリアでは他国と異なり政権与党が信任される結果となり、レンツィ新首相に解散総選挙に打って出るべきだとする考えも出ている。

スペイン(定数54)では民衆党(PP)、社会労働者党(PSOE、社会主義インター・「進歩同盟」加盟政党)の二大政党が議席を減らし、共産系の「統一左翼」(IU)およびラホイPP政権への青年層の抗議デモを基盤とする新興左翼のポデモス(PODEMOS、「我々はできる」の意)、環境政党や地域政党の連合が議席を伸ばすこととなった。同国では全体的に既成大政党の緊縮財政策への左翼からの批判が強かった。

ポーランド(定数51)では比例選挙区が細かかったこともあり大政党に有利な結果となり、中道右派の市民プラットフォーム(PO)と保守系の「法と正義」(PiS)の保守2大政党が議席を維持したが、なかでもPOが議席を減らし、PiSが議席を伸ばした。社会主義インターに加盟する「民主左翼連合=労働同盟」(SLD-UP)は一歩伸ばせず両党の後塵を拝した。いっぽう農民党は現議席を確保、さらにEU懐疑派の「新右派会議」が議席を獲得した。

ルーマニア(定数32)ではポンタ首相与党第1党で旧救国戦線左派系の社会民主党(PSD、社会主義インター・「進歩同盟」加盟政党)系政党連合が半数の議席を獲得し悠々と勝利した。続いて下野したばかりの国民自由党(PLN)となり、旧救国戦線右派系の民主自由党(PDL)は第3党に沈んだ。極右・大ルーマニア党は議席を失った。

オランダ(定数26)では与党歴の長い(現在は野党)キリスト教民主アピール(CDA)が第1党となり、これに中道左派リベラルの民主66(D66)が続いた。躍進が予想された極右の「自由への党」(PVV)は第3党に留まり、現ルッテ首相与党の自由民主国民党(VVD、中道右派リベラル)および労働党(PvdA、社会主義インター・「進歩同盟」加盟政党)はそれに続く位置に沈んだ。

ベルギー(定数21)では連邦議会選および地域議会選との同日選挙となったが、フラマン語圏の「新フラームス同盟」(N-VA)が第1党となり、続いてワロン系社会党(PS、社会主義インター・「進歩同盟」加盟政党)が第2党となった。同国はフラマン語圏とワロン語圏で政党が別々になっていることもあり、政党と議席も細分化される結果になった。

チェコ(定数21)では与党第1党の社会民主党(ČSSD、社会主義インター・「進歩同盟」加盟政党)が議席を減らし、与党第2党でリベラル派新党の「不満の市民行動」(ANO)と野党第1党の「伝統・責任・繁栄09」(TOP09)と並んだ。これに共産党(KSČM)とキリスト教民主主義の人民党(KDU-ČSL)が続いた。旧与党第1党が長かった市民民主党(ODS)はそれ以下に沈んだ。

ユーロ債務危機の震源地であるギリシャ(定数21)は激震が走る結果となった。反EUの急進左翼連合(SYRIZA)が第1党となり、与党第1党の新民主主義党(ND)を上回った。またその暴力性から極右勢力のなかでもつまはじきにされている「黄金の夜明け」(XA)がそれに続き、全ギリシャ社会主義運動(PASOK、社会主義インター・「進歩同盟」加盟政党)は政党連合「オリーブの木」を結成したがXAをも下回り、共産党(KKE)や新興中道左派政党「河」(Potami、進歩同盟に近いスタンス)と並んだ。

ハンガリー(定数21)ではオルバン首相率いる「フィデス(青年民主同盟)」が先日の総選挙の勢いを持ち込み過半数を獲得した。社会党(MSzP、社会主義インター・「進歩同盟」加盟政党)は2議席で極右ヨッビク(Jobbik)をも下回ったが、連携を組んでいるジュルチャーニ元首相の民主連合(DK)が2議席を獲得したため合計では辛うじてヨッビクを抑えた。

ポルトガル(定数21)では社会党(PS、社会主義インター・「進歩同盟」加盟政党)が首位に立ち、コエーリョ首相率いる中道右派の社会民主党(PSD)を抑えた。ほかに共産党(PCP)と緑の党(PEV)の連合、中道右派環境政党などが議席を確保した。

スウェーデン(定数20)では野党第1党の社会民主労働党(SAP、社会主義インター・「進歩同盟」加盟政党)がトップとなったが、ラインフェルト首相率いる中道右派与党連合4党の合計はSAPを上回った。また極右のスウェーデン民主党が初議席を獲得。環境党・緑、左翼党も議席を獲得したが、海賊党は議席を失った。

オーストリア(定数18)では国民党(ÖVP)、社会民主党(SPÖ、社会主義インター・「進歩同盟」加盟政党)の2大政党が同等の議席を得たほか、極右の自由党(FPÖ)が2大政党に迫った。ほかに緑の党(Grüne)、新オーストリア(NEOS)が議席を得た。

ブルガリア(定数17)では野党第1党のブルガリア欧州発展のための市民(GERB)が議席を伸ばしたが、与党の「ブルガリアのための連合」(社会主義インター加盟政党のブルガリア社会党が中核)とトルコ系「権利と自由のための運動」(DPS)の合計はGERBを上回った。また極右のアタカは議席を失った。

フィンランド(定数13)では国民連合党(KOK)、中央党(KESK)、社会民主党(SDP、社会主義インター・「進歩同盟」加盟政党)、EU懐疑派の「真のフィン人」(PS)などが議席を分け合った。

デンマーク(定数13)では極右のデンマーク国民党(DF)が第1党となり、女性のトーニングシュミット首相が率いる社会民主党(SD、社会主義インター・「進歩同盟」加盟政党)を上回ったほか、各中小政党が議席を分け合った。

スロバキア(定数13)ではフィツオ首相率いる「スメル(方向)-社会民主主義」(Smer、社会主義インター加盟政党)が第1党となったが、先日の大統領選でのフィツオ首相の敗退を反映して中道右派野党連合の合計がスメルを上回った。また極右のスロバキア国民党(SNS)は議席を失った。

クロアチア(定数11)では野党第1党のクロアチア民主同盟(HDZ)が、ミラノヴィチ首相率いる与党第1党の社会民主党(社会主義インター加盟政党)を上回った。

アイルランド(定数11)はEU加盟国のなかでは唯一、全土で複雑な中選挙区移譲式比例代表制(STV)を採用しているため集計作業に時間を要し、結果が確定していない。ただし労働党(社会主義インター・「進歩同盟」加盟政党)が議席を失う可能性が指摘されている。

リトアニア(定数11)は票が分散する結果となり、祖国同盟、社会民主党(社会主義インター加盟政党)、自由運動、秩序と正義がそれぞれ2議席を分け合ったほか、3党が1議席ずつを獲得した。

ラトビア(定数8)は中道右派の「統一」が半数の議席を獲得した。社会主義インターや「進歩同盟」には加盟していないが欧州議会では社会主義会派に所属してきた社会民主党「調和」は1議席の獲得にとどまった。

スロベニア(定数8)は中道右派が5議席と過半数を獲得した。社会民主党(社会主義インター・「進歩同盟」加盟政党)は1議席にとどまった。

キプロス(定数6)は中道右派の民主集会(DISY)と共産系の勤労人民進歩党が各2議席、社会主義インター加盟政党の社会民主運動(EDEK)と「進歩同盟」加盟政党の民主党(DIKO)がそれぞれ1議席となった。

エストニア(定数6)は中道右派リベラルの改革党が2議席、社会民主党(社会主義インター加盟政党)など4党が各1議席と分散した。

ルクセンブルク(定数6)はユンケル前首相が欧州委員長候補となった勢いもありキリスト教社会人民党(CSV)が半数の3議席を獲得した。ほか現連立与党の社会労働者党(LSAP、社会主義インター・「進歩同盟」加盟政党)、民主党(DP)、緑の党が1議席ずつを獲得し、与野党の勢力は拮抗した。

マルタ(定数6)はムスカット首相の率いる労働党(社会主義インター加盟政党)が昨年の政権奪還の勢いから4議席を獲得、2議席にとどまった国民党を抑えた。

今後は極右勢力が「最低7ヶ国から25議席以上」の制限を越えて会派を形成できるかが注目される。すでに25議席はクリアしているものの、フランスの国民戦線はギリシャの「黄金の夜明け」など「差別的で暴力的な政党」との提携を拒否しており「7ヶ国」の用件をクリアできるかが問題だが、マリーヌ・ルペン国民戦線党首は楽観的な見通しを明らかにしている。また、それとは別にEU懐疑派の会派形成には問題がないとみられる。

国別の獲得議席は以下の通り。

【ドイツ】
キリスト教民主=社会同盟34、社会民主党27、緑の党11、左翼党7、ドイツのための選択肢7、自由民主党3、自由な有権者1、海賊党1、人間環境動物福祉1、国家民主党1、家族党1、エコロジー民主党1、「パルタイ」(政党)1

【フランス】
国民戦線24、民衆運動連合20、社会党(急進左翼党含む)13、リベラル派計7、環境派計6、左翼系計4

【英国】
英国独立党24、労働党20、保守党19、緑の党3、スコットランド国民党2、自由民主党1、プライド・カムリ1、未定(北アイルランド)3

【イタリア】
民主党31、五つ星運動17、フォルツァ・イタリア13、北部同盟5、キリスト教民主主義系3、左翼系3、南チロル人民党1

【スペイン】
民衆党16、社会労働者党14、統一左翼(共産系)6、ポデモス5、統一・進歩・民主(中道系)4、ヨーロッパのための連合(地域政党連合)3、市民性の党(中道左派リベラル)2、決定権の左翼(カタルーニャ)2、民衆の決定1、ヨーロッパの春1

【ポーランド】
市民プラットフォーム19、法と正義19、民主左翼連合=労働同盟5、新右派会議4、農民党4

【ルーマニア】
社会民主党系連合16、国民自由党6、民主自由党5、ハンガリー系民主同盟2、民衆運動党2、無所属1

【オランダ】
キリスト教民主アピール5、民主66 4、自由への党4、労働党3、自由民主国民党3、フルンリンクス(緑左翼)2、社会党2、キリスト教同盟・政治改革党2、動物のための党1

【ベルギー】
新フラームス同盟4、フラマン系自由党3、ワロン系社会党3、ワロン系自由党3、フラマン系キリスト教民主党2、フラマン系社会党1、フラマン系緑の党1、フラームス・ベランフ1、ワロン系緑の党1、ワロン系キリスト教民主党1、キリスト教社会党(ドイツ系)1

【チェコ】
ANO2011 4、伝統・責任・繁栄09 4、社会民主党4、共産党3、キリスト教民主・人民党3、市民民主党2、自由市民の党1

【ギリシャ】
急進左翼連合6、新民主主義党5、黄金の夜明け3、オリーブの木(全ギリシャ社会主義運動系)2、「河」2、共産党2、独立ギリシャ人1

【ハンガリー】
フィデス系連合12、ヨッビク3、社会党2、民主連合2、共に2014 1、新しい政治の形(緑の党系)1

【ポルトガル】
社会党8、社会民主党6、共産党3、地球党2、左翼ブロック1、民主社会中央・民衆党1

【スウェーデン】
社会民主労働党6、穏健党3、環境党・緑3、国民党・自由2、スウェーデン民主党2、中央党1、キリスト教民主党1、左翼党1、フェミニスト・イニシアティヴ1

【オーストリア】
国民党5、社会民主党5、自由党4、緑の党3、新オーストリア1

【ブルガリア】
ブルガリア欧州発展のための市民6、ブルガリアのための連合4、権利と自由のための運動4、検閲なきブルガリア2、改革ブロック1

【フィンランド】
国民連合党3、中央党3、真のフィン人2、社会民主党2、緑の連盟1、左翼連合1、スウェーデン人民党1

【デンマーク】
デンマーク国民党4、社会民主党3、自由党2、保守党1、急進自由党1、社会人民党1、反EU民衆運動1

【スロバキア】
スメル-社会民主主義4、キリスト教民主運動2、民主キリスト教同盟・民主党2、ハンガリー系共同党1、普通の人々1、ノヴァ1、架け橋1、自由と連帯1

【クロアチア】
クロアチア民主同盟4、社会民主党3、クロアチア権利党スタルチェヴィチ派1、持続的発展1、人民党1、農民党1

【アイルランド】(複雑な集計方法につき中途見通し)
フィン・ゲール(統一アイルランド党)4、シン・フェイン2、フィアンナ・フェイル(共和党)1、未定4

【リトアニア】
祖国同盟2、社会民主党2、自由運動2、秩序と正義2、労働党1、ポーランド系選挙行動1、農民緑同盟1

【ラトビア】
統一4、社会民主党「調和」1、統一ラトビア人権のために1、国民連合1、緑と農民同盟1

【スロベニア】
民主党3、新スロベニア・人民党2、社会民主党1、「信じる」1、年金民主党1

【キプロス】
民主集会2、勤労人民進歩党2、社会民主運動1、民主党1

【エストニア】
改革党2、祖国公共同盟1、社会民主党1、中央党1、無所属1

【ルクセンブルク】
キリスト教社会人民党3、社会労働者党1、民主党1、緑の党1

【マルタ】
労働党4、国民党2

グループ(会派)別の予想は次のとおり(カッコ内は選挙前比)。
欧州人民党(キリスト教民主主義・保守系) 211(-63)
社会主義・民主主義・進歩同盟 186(-7)
自由主義・民主主義同盟(リベラル・中道派) 58(-27)
緑・欧州自由同盟(環境・地域主義) 46(-12)
欧州統一左翼・北方緑の左翼 45(+10)
欧州保守改革グループ 44(-12)
自由と民主主義の欧州(EU懐疑派) 38(+5)
無会派(極右の多くはここに含まれる) 41
新党 79

社会主義・民主主義・進歩同盟 公式サイト(多言語)
http://www.socialistsanddemocrats.eu/
欧州社会党 公式サイト(多言語)
http://www.pes.eu/
2014-05-27

【ウクライナ】ポロシェンコ元外相が大統領に当選

25日、ウクライナで大統領選挙の第1回投票が行われた。その結果、穏健親EU派で製菓業などで「チョコレート王」といわれる実業家のポロシェンコ元外相(無所属、「UDAR」推薦)が投票の過半数、約55%を獲得し、決選投票を待たずに当選を決めた。

今回の選挙はロシアがクリミアを力づくで併合し、さらに東部ドンパス2州(ドネツク・ルガンスク両州)を親ロシアの武装勢力が押さえるなどの難局のなか行われたが(ドンパス2州の武装勢力は合同し「ノボロシア(新ロシア)」として独立を宣言)、優位に立っていたポロシェンコ元外相は「(現在の)ウクライナに決選投票を行う余裕はない」として第1回投票での当選をめざし、ティモシェンコ元首相(親EU保守派「祖国」)、親ロシア派のティプコ元副首相、同じく親ロシア派のドブキン最高会議議員(地域党)、その他ウクライナ民族主義極右諸候補などを圧倒した。危機のなか、基本的に親EUの立場にいつつもヤヌコビッチ前政権にも入閣したことのあるバランス感覚に富んだポロシェンコ元外相が「ウクライナの危機を打開できるリアリスト」として圧倒的な支持を得た。特に美貌で知られるティモシェンコ元首相は知名度にもかかわらず「ウクライナの政治危機を招いた張本人のひとり」として2位に入ったものの得票はポロシェンコ元外相に大きく水をあけられた。
なお親EU派「UDAR」(一撃の意)のクリチコ党首(ボクサー出身)も当初、大統領選挙立候補をめざしたが、のちにポロシェンコ元外相支持に転じ、クリチコ党首は首都キエフ市長選挙に回り当選を決めている。なおポロシェンコ元外相は2001年まではウクライナ社会民主党に所属していた。

ウクライナは半大統領制であるため首相も置かれるが、大統領の権限は圧倒的に強く、ポロシェンコ新大統領にはロシアから「内戦状態」とも言われるウクライナの危機打開が望まれ、早くも「最初の訪問先は(独立を宣言している)東部ドンパスだ」と発言し、ウクライナ危機の収拾に意欲を示している。

ポロシェンコ新大統領 個人サイト
http://www.poroshenko.com.ua/
2014-05-26

【リトアニア】大統領選決選で女性現職が勝利、社民党も健闘

25日、バルト三国のリトアニアで大統領選挙の決選投票が欧州議会選挙との同日投票で行われた。その結果、現職女性のグリバウスカイテ大統領が2位で与党第1党・社会民主党(旧独立派共産党を含む。社会主義インター加盟政党)のバルサイデス元首相代行を第1回投票で大きく引き離した勢いで当選を決めたが、バルサイデス元首相代行も前回約13%強だった得票を3倍化する40%を上回る得票により、予想以上に善戦した。
なお投票率はグリバウスカイテ大統領の当選が確実視されていたこともあり、欧州議会選挙との同日選だったにもかかわらず47%強と低迷した。これがバルサイデス元首相代行の善戦につながった面もあるとみられる。

リトアニア社会民主党 公式サイト(リトアニア語)
http://lsdp.lt/
2014-05-25

【イラク】総選挙でマリキ首相与党勝利、クルド愛国同盟も前進

先月30日に行われたイラクの連邦議会総選挙(定数328…3増、比例代表制)の最終結果発表が、この25日に公式に行われた。米軍撤退後の国づくりを占う、重要な選挙となるが、マリキ首相率いるシーア派政党連合・法治国家連合が他党を引き離し多くの議席を得た。前回、第一会派となったアラウィ元首相が率いる「イラキーヤ」は世俗派とスンニ派に解体し、予想通り多数を取ることができなかった。またシーア派反米強硬派のサドル潮流が第2党に躍進したほかバルザニ・クルド自治区大統領率いるクルド民主党、タラバニ・イラク連邦大統領(国家元首)率いるクルド愛国同盟(社会主義インター加盟政党)などクルド系政党も善戦した。
選挙そのものは反政府勢力の自爆攻撃などで死傷者がでるなか行われ、平穏無事というわけではなかったが、全土にわたり米軍無しでも選挙が実施できたことは評価してよいと思われる。

連邦議会選挙の結果は次のとおり(カッコ内は前回比)。

法治国家連合 92(+3)#シーア派
サドル潮流 34(-5)#シーア派強硬派
イラク・イスラム最高評議会(連合政党含む)31(+13)#シーア派
ムッタヒドーン 28(-14)#世俗派
クルド民主党 25(-4)#クルド世俗派
イラク国民合意 21(前回は「イラキーヤ」連合)#世俗派
クルド愛国同盟 21(+7)#クルド世俗派中道左派
イラク国民対話戦線 10(前回は「イラキーヤ」連合)#スンニ派
変革のための運動 9(+1)#クルドリベラル派
国民改革潮流 6(+4)#シーア派
イスラム美徳党 5(-1)#シーア派サドル派分派
ディヤラ州は我がアイデンティティ 5 #スンニ派
クルドイスラム同盟 4(±0)#クルドスンニ派
市民民主同盟(共産党など)3 #世俗派左派
クルドイスラムグループ 3(±0)#クルドスンニ派、愛国同盟別働隊
その他 31

なお州別に見た場合は結果はバラバラとなり、イラク国内の国論分裂や宗派対立が色濃く反映されることとなった。

クルド愛国同盟 公式サイト(クルド語ほか多言語)
http://www.pukmedia.com/
2014-05-24

【英国】地方選で労働党勝利、独立党も躍進

22日、英国のイングランドと北アイルランドで統一地方選挙(小選挙区制または大選挙区連記式が基本)が行われた。イングランドと北アイルランドでは統一地方選挙は通常、毎年5月の第1週に行われるが、今回は25日までの4日間にわたってEU加盟各国で行われる欧州議会選挙に合わせる形で、投票日が5月後半の22日に移された。

今回の統一地方選挙では大ロンドン(日本でいうなら東京都に相当)傘下の32特別区(その自治体としての権限はサッチャー政権時に一時廃止され、ブレア政権で復活した大ロンドンよりむしろ強い)をはじめ、労働党(Labour、社会主義インター加盟・「進歩同盟」中核政党)の地盤となっている都市部で行われる選挙(なお総数でなく、半数や3分の1のみ改選する自治体も多い)が多かったため事前から労働党の優位が予想されていたが、それでも多くの自治体で労働党が議席を増やし、保守党(Conservative)・自由民主党(Liberal Democrats)の連立与党2党は議席を大きく減らした。また反EUを掲げる保守派の英国独立党(UKIP)が大きく躍進し、得票では自由民主党を上回った。
独立党は今回の成果に勢いづいており、25日の全EU諸国での投票終了後に開票される欧州議会選挙(英国定数73、比例代表制。ただし北アイルランドのみ中選挙区移譲式比例代表制)においては労働党を上回り英国での第1党となるという観測が強い。

英国労働党 公式サイト(英語)
http://www.labour.org.uk
2014-05-21

【ギニアビサウ】PAIGCのマリオ氏が大統領に当選

18日、西アフリカの最貧国ギニアビサウで大統領選挙の決選投票が行われ、ギニア・カーボベルデ独立アフリカ党(PAIGC、社会主義インター加盟政党)のマリオ元財務相が6割強の票を獲得、4割弱に留まった無所属のゴメス候補を破り、当選を決めた。

PAIGCは過去はマルクス主義的な民族解放組織として独立、そして一党独裁政党を経て冷戦終了後に複数政党制に移行した過去を持つ。昨年のクーデターで大統領選挙が中止され暫定的な軍事政権下に置かれていた。今回、民政移管できたものの、再びPAIGC政権の樹立となったため政権不安に追い込まれる可能性もある。

なお前回、先月13日の大統領選第1回投票と同時に行われた議会選挙では、PAIGCが議席を減らしながらも過半数を獲得している。

ギニア・カーボベルデ独立アフリカ党 公式サイト(ポルトガル語)
http://www.paigc.org/
2014-05-18

【インド】詳報・総選挙で野党インド人民党圧勝、国民会議派惨敗

インドで1ヵ月半、9フェーズにわたって行われていた下院(ローク・サバー)総選挙(公選定数543ほか大統領指名2、小選挙区制)が行われ、モディ首相候補(グジャラート州首相)のインド人民党(BJP)率いる野党連合・国民民主同盟(NDA)が北インドから西インドにかけて順調に議席を伸ばし過半数を獲得、圧倒的な勝利を飾った。なかでもBJP単独でも過半数に達した今回の結果はヴァジパイ前政権(1998年~2004年)でも得られなかった数字で各方面に衝撃を与えており、経済においては早くもインドルピーと株価の高騰を招いている。

いっぽうソニア・ガンジー総裁、ラフル・ガンジー副総裁母子を先頭に戦った国民会議派(「進歩同盟」加盟政党)は単独で44議席と過去最低の結果に終わり、いっこうに解決しない汚職問題やインフレによる物価高騰など経済運営の失政を一身に負うこととなった。

「第三戦線」各党では南インド・タミルナドゥ州のジャヤラリター州首相が率いる全インド・アンナ・ドラヴィダ進歩同盟(AIADMK)がタミルナドゥ州内で圧勝、オディシャ州のビジュ・ジャナタ・ダル(BJD)も圧勝したが、他党が伸びなかった。またどれの政党連合にも加わらなかった各党では、西ベンガル州のバネルジー州首相が率いる草の根会議派(TC)が圧勝した(同党の当選者の中には"ネタジ"スバス・チャンドラ・ボースの甥の子、スガタ・ボース教授も含まれている)。社会党(SP)とジャナタ・ダル統一派(JD-U)は大敗、大衆社会党(BSP)はそれなりの得票を得たにもかかわらず議席ゼロに終わった。反汚職新党としてケジリワル党首(前デリー都首相)がヴァラナシ選挙区に立候補、BJPのモディ首相候補と直接対決となったアームアードミ党(AAP、庶民党、一般人党)はケジリワル党首が落選、躍進の予想にもかかわらず4議席にとどまった。

この結果21日にもモディ新首相が誕生することになるが、同新首相は2003年にヒンズー教徒とイスラム教徒が衝突した「グジャラート暴動」を黙認・煽動した疑いをもたれており現在もアメリカへの入国禁止処分が解けていない。ただし最近はアメリカ大使と会見するなど、一定の関係改善の動きもみられる。なおアメリカ入国禁止処分もあり、モディ新首相は初の外遊先に日本を選んだ。

なお投票率は州ごとにバラツキが在ったが、全体として66%以上に達した。

詳しい選挙結果は次の通り(カッコ内は前回比)

●国民民主同盟 計336
 インド人民党 282(+166)
 シヴ・セーナー 18(+7)
 テルグ・デサム党 16(+10)
 庶民の力党 6(+6)
 アカリ・ダル 4(±0)
 全国庶民平等党 3(新党)
 アプナ・ダル 2(+2)
 パタル・マカリ・カッチ 1(「労働者党」のタミル語、+1)
 スワビナーミ・パクシャ 1(±0)
 ナガ人民戦線 1(±0)
 N.R.会議派 1(新党)
 国民人民党 1(新党)
●統一進歩同盟 計59
 国民会議派 44(-162)
 国民主義会議党 6(-3)
 全国ジャナタ・ダル 4(±0)
 インド連邦ムスリム連盟 2(+2)
 ジャールカンド解放戦線 2(±0)
 ケララ会議派 1(±0)
●第三戦線 計77
 全インド・アンナ・ドラヴィダ進歩同盟 37(+28)
 ビジュ・ジャナタ・ダル 20(+6)
 社会党 5(-18)
 ジャナタ・ダル統一派 2(-18)
 ジャナタ・ダル世俗派 2(-1)
 左翼戦線 小計11
 ・インド共産党マルクス主義派 9(-7)
 ・インド共産党 1(-3)
 ・革命社会党 1(-1)
●その他
 草の根会議派 34(+15)
 テランガナ国民団 11(+9)
 YSR会議派 9(新党)
 アームアードミ党 4(新党)
 全インド統一民主戦線 3(+2)
 ジャンムー・カシミール人民民主党 3(+3)
 インド国民ローク・ダル 2(+2)
 シッキム民主戦線 1(±0)
 全インド統一ムスリム評議会 1(±0)
 無所属 3

その他、100万票以上獲得して議席を得られなかった政党
・大衆社会党(2300万票弱、北部ウッタル・プラデシュ州の旧被差別民を基盤とする大政党)
・ドラヴィダ進歩同盟(960万票強)
・民族進歩ドラヴィダ同盟(200万票強)
・ジャールカンド勝利戦線(160万票弱)
・復興ドラヴィダ進歩同盟(140万票強)
・全インド前進同盟(120万票強、「左翼戦線」加盟のチャンドラ・ボース派左派)
・インド共産党マルクスレーニン主義解放派(100万票強、毛沢東主義)

なお同時にアーンドラ・プラデシュ州を分割して新設されるテランガナ州と(新)アーンドラ・プラデシュ州の州議会議員選挙、アルナーチャル・プラデシュ州議会議員選挙、オディシャ州議会議員選挙、シッキム州議会議員選挙も行われ、アルナーチャル・プラデシュ州を除き各州の地域政党が強みをみせた。これはインド人民党(BJP)が今回、全国レベルで圧勝しながらその独自の選挙基盤においては北インドと西インドに偏っており、南インドや東インドでは有力な地域政党の支えがなければやっていけない実情を示している。

テランガナ州議会(定数119、小選挙区制。カッコ内は前回比)
テランガナ国民団 63(+53)
国民会議派 31(-31)
テルグ・デサム党 15(-21)
全インド統一ムスリム評議会 7(±0)
大衆社会党 2(+2)
インド人民党 1(-1)

アーンドラ・プラデシュ州議会(定数175、小選挙区制。カッコ内は前回比)
テルグ・デサム党 100(+43)
YSR会議派 67(新党)
インド人民党 5(+5)
無所属 2

アルナーチャル・プラデシュ州議会(定数60、小選挙区制。カッコ内は前回比)
国民会議派 42(±0)
インド人民党 11(+8)
アルナーチャル人民党 5(+1)
無所属 2

オディシャ(オリッサ)州議会(定数147、小選挙区制。カッコ内は前回比)
ビジュ・ジャナタ・ダル 117(+45)
国民会議派 16(-31)
インド人民党 10(+4)
インド共産党マルクス主義派 1(+1)
平等クランティ・ダル 1(新党)
無所属 2

シッキム州議会(定数32、小選挙区制。カッコ内は前回比)
シッキム民主戦線 22(-10)
シッキム・クランティカリ戦線 10(新党)

インド国民会議派 公式サイト(英語中心)
http://www.inc.in/
2014-05-16

【インド】速報・総選挙でインド人民党圧勝、国民会議派惨敗

16日、約1ヶ月半にわたって行われたインド下院総選挙(公選定数543、小選挙区制)の開票が行われ、ヒンズー右派・インド人民党(BJP)が率いる野党連合・国民民主同盟(NDA)の圧勝、政権交代が確実になった。与党・国民会議派(INC、「進歩同盟」加盟政党)は汚職問題や経済運営でのつまづきが有権者から集中的に批判を浴び、惨敗することとなった。

BJP-NDAは人口の多い北インドを中心に票を伸ばし、「サフランの波」(サフランはBJPおよびヒンズー右派のイメージカラー)と呼ばれる一大ブームを巻き起こし、国民会議派および「第三戦線」加盟政党など他党の票を奪った。NDA全体でなく、BJP単独で過半数を獲得したとする報道もある。いっぽう南インドではタミルナドゥ州でジャヤラリター州首相率いる全インド・アンナ・ドラヴィダ進歩同盟(AIADMK、今回は「第三戦線」に加わっていた)が圧勝、隣接するケララ州でも共産党系の「左翼民主戦線」(LDF、「左翼戦線」のケララ州組織。「第三戦線」に加盟)が善戦するなどしたが、全国的な傾向を覆すまでには至らなかった。

この結果、BJP-NDAのモディ首相候補(グジャラート州首相)が新連邦首相に就任するとみられる。しかしモディ首相候補はグジャラート州内の堅実な経済発展を評価されるいっぽう、2003年のグジャラート暴動を黙認・煽動した疑いでアメリカからの入国禁止措置が解けていないなど、毀誉褒貶が大きい。また今回の結果を受けてインドルピーや株価は高騰をみせている。

インドの最高級英字紙『The Hindu』など各紙の報道を総合すると、次のような結果が予測されている。

国民民主同盟(インド人民党中心)系 340前後
統一進歩同盟(国民会議派中心)系 60前後
「第三戦線」系およびその他 140前後

インド国民会議派 公式サイト(英語中心)
http://www.inc.in/
2014-05-12

【リトアニア】大統領選第1回投票で現職が優勢

11日、バルト3国の一国リトアニアで大統領選挙の第1回投票が行われた。その結果、現職の女性・グリバウスカイテ大統領が個人的人気を背景に他候補を圧倒したが、得票率が46%と過半数に僅かに足りず、2位で14%を獲得した与党第1党・社会民主党(社会主義インター加盟政党、旧独立派共産党を含む)のバルサイデス元首相代行とのあいだで決選投票が行われることとなった。決選投票は2週間後の25日(欧州議会選と同時)に行われる。なお第1回投票の投票率は51%強と高くなかった。

しかし決選投票においてもグリバウスカイテ大統領の優位は揺らがないとみられる。なおリトアニアは半大統領制を採用しており、議会が選出する首相が大きな力を持つものの、大統領も外交安全保障を中心に大きな権力を留保している。

リトアニア社会民主党 公式サイト(リトアニア語)
http://lsdp.lt/

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2014-05-10

【南アフリカ】総選挙でアフリカ民族会議が勝利

7日、南アフリカで下院総選挙(定数400、比例代表制)および全9州議会選挙(比例代表制)が行われた。慎重に行われた開票作業のため確定まで3日間を要したが、開票の結果、与党・アフリカ民族会議(ANC、社会主義インター加盟政党)が勝利した。いっぽう最大野党でリベラル派の民主同盟(DA)は得票を全国的に伸ばしたほか西ケープ州で第1党となり州政権を維持した。ANCはアパルトヘイト廃止後、94年の全人種選挙以来5期連続で勝利したこととなる。この結果、下院はズマ現大統領を再選する。

今回の総選挙では経済の低迷や社会格差の拡大、治安悪化や公務員の汚職、特にズマ大統領自身の私邸改装への公金流用疑惑など高官の不祥事が目立つなか、ANCがとこまで前回獲得議席を維持できるかが注目された。結果としてANCは微減となったが、圧倒的第1党の座は守り抜いた。ズマ大統領はこの多数を背景に労組離れを強め、企業寄りの雇用流動化を含む経済成長路線をとるとみられる。これに不満な左派はズマ大統領元側近でANC青年部の元幹部ジュリアス・マレマを「最高司令官」(党首)に今回、マルクス=レーニン主義、反資本主義を掲げる新党「経済的自由の闘士」(EFF)を立ち上げた。同党は軍隊式の規律で若年層の不満を集め、第3党に入った(ANCは同党をジンバブエのムガベ政権が南アフリカ撹乱のために支援していると非難している)。第4党には黒人ズールー族保守派のインカタ自由党(IFP)が、第5党にはインカタから分裂した国民自由党(NFP)が入った。前回、新興政党として伸びて注目された人民会議(COPE)は凋落した。白人右翼の流れを汲む自由戦線プラス(FF+)は一定の議席を確保した。

ANCはアパルトヘイトと戦ってきた黒人解放組織がルーツであり、昨年のマンデラ元大統領の死去後も国民、特に黒人有権者の支持は厚い。しかし今回選挙では初めて「ボーンフリー」(「生まれながらに自由」の意、アパルトヘイト廃止後に生まれた世代を指す)が有権者に加わったことで、黒人若年層からも一部DAに投票する者が出るなど、将来は二大政党制あるいは他の小政党を含めた「穏健な多党制」に移行していくとの観測もある。いっぽうで白人有権者のあいだには一部黒人政治家が「黒人至上主義」的な主張を匂わせる発言がなされたことに脅威を感じる向きも出てきている。

なお投票率は73%強だった。

詳しい選挙結果は次のとおり(カッコ内は前回比)。

【下院】
アフリカ民族会議 249(-15)
民主同盟 89(+18)
経済的自由の闘士 25(新党)
インカタ自由党 10(-8)
国民自由党 6(新党)
統一民主運動 4(±0)
自由戦線プラス 4(±0)
人民会議 3(-27)
アフリカ・キリスト教民主党 3(±0)
アフリカ独立会議 3(新党)
南アフリカ建設 2(新党)
パンアフリカニスト会議 1(±0)
アフリカ人民集会 1(±0)

【東ケープ州議会】(定数63)
アフリカ民族会議 45(+1)
民主同盟 14(+4)
統一民主運動 4(+1)
経済的自由の闘士 2(新党)
人民会議 1(-8)
アフリカ独立会議 1(±0)

【フリーステイト州議会】(定数30)
アフリカ民族会議 22(±0)
民主同盟 5(+2)
経済的自由の闘士 2(新党)
自由戦線プラス 1(±0)

【ハウテン州議会】(定数73)
アフリカ民族会議 40(-7)
民主同盟 23(+6)
経済的自由の闘士 8(新党)
自由戦線プラス 1(±0)
インカタ自由党 1(±0)

【クワズールー・ナタール州議会】(定数70)
アフリカ民族会議 52(+1)
インカタ自由党 9(-9)
国民自由党 6(新党)
経済的自由の闘士 2(新党)
マイノリティ戦線 1(-1)

【リンポポ州議会】(定数49)
アフリカ民族会議 39(-4)
経済的自由の闘士 6(新党)
民主同盟 3(+1)
人民会議 1(-3)

【ムプマランガ州議会】(定数30)
アフリカ民族会議 24(-3)
民主同盟 3(+1)
経済的自由の闘士 2(新党)
ブッシュバックレッジ住民協会 1(新党)

【北西州議会】(定数33)
アフリカ民族会議 23(-2)
経済的自由の闘士 5(新党)
民主同盟 4(+1)
自由戦線プラス 1(+1)

【北ケープ州議会】(定数30)
アフリカ民族会議 20(+1)
民主同盟 7(+1)
経済的自由の闘士 2(新党)
人民会議 1(-4)

【西ケープ州議会】(定数42)
民主同盟 26(+2)
アフリカ民族会議 14(±0)
経済的自由の闘士 1(新党)
アフリカ・キリスト教民主党 1(±0)

アフリカ民族会議 公式サイト
http://www.anc.org.za/

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2014-05-06

【パナマ】大統領選で民主革命党候補敗れる

4日、中米のパナマ運河を抱えるパナマで大統領選挙および議会選挙(定数71、小選挙区制と比例代表制の組み合わせ)が行われた。

大統領選挙はパナマ運河の返還を実現した故トリホス元大統領(中道かつ民族主義的な立場からパナマの改革を進めた民主社会主義軍事政権だった)を創設者とし、のちにノリエガ将軍の政権を支えた民主革命党(PRD、社会主義インター加盟政党)のナヴァロ首都パナマ市長のほか、古参の中道保守政党であるパナメニスタ党(PP)のヴァレラ副大統領、新興中道右派政党・民主変革(CD)のアリアス前住宅土地相による三つ巴の激戦となったが、世論調査ではわずかに不利とされていたヴァレラ副大統領が結果的には1位となり、当選を決めた。世論調査では優勢と見られていたアリアス前土地住宅相は2位、選挙直前の世論調査でトップになったナヴァロ市長は3位と、それぞれわずかに及ばなかった。

しかし議会選挙は逆にパナメニスタ党が3位となり、民主変革が1位、民主革命党が2位となった。このためヴァレラ新大統領は議会対策に苦心することになると予想される。

なお有権者の関心は高く、選挙管理委員会に相当する選挙裁判所によれば投票率は大統領選が76%強と発表された。議会選もこれに準じるとみられる。

議会選挙の詳しい結果は次のとおり(未定の議席がまだ多いため増減は記載しない)。

変革のための同盟 29 #民主変革と小政党の連合
民主革命党 22
民衆第一 12 #パナメニスタ党と小政党の連合
無所属 1
未定 7

民主革命党 公式サイト(スペイン語)
http://prdunido.com/

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プロフィール

西形公一

Author:西形公一
もと「民社ゆーす」(旧民社党全国青年部系)事務局長。昔は漫画と法律のことなどをやっていましたが、その後にインド・ネパール・タイなど熱帯アジアの国ぐにとパシュミナを軸とする小口貿易やNPO、研究活動など人とのつながりなどの縁ができて、今に至っています。写真は夕刻のゴア(インド)にて。

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