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2013-01-23

【イスラエル】総選挙で右派与党辛勝、中道系・労働党も伸長

22日、イスラエルでクネセト(国会)の総選挙(定数120、比例代表制)が行われた。これまでと同様、軍人票の開票が後回しになるため結果はまだ確定していないが、ネタニヤフ首相を支える与党の右派政党連合「リクード=我が家イスラエル」が議席を後退させながらも第1会派となることが確実となった。しかし労働党を含めた中道系の2党が大きく伸ばす結果ともなった。

今回選挙では保守のリクードと強硬右派の「我が家イスラエル」が統一名簿を組み、宗教・極右シオニストが結集した「ユダヤ人の家」とも選挙協力を行ったが、統一名簿は「ユダヤ人の家」が躍進した分を含めても後退する結果となった。
いっぽう元テレビキャスターのラピド氏が中間層支援を掲げて旗揚げした中道リベラルシオニズムの新党イェシュ・アティド(「未来がある」の意味)は事前予測を上回る大躍進を果たして一挙に第2党となり、女性のヤヒモビッチ党首の下で経済問題を中心に党勢を回復させた労働シオニズムの労働党(社会主義インター加盟政党)とともに次期政権の枠組みにおいて重要な役割を演じることが確実となった(イェシュ・アティド、労働党の両党も選挙協力を行った)。
またシオニズム最左派でもうひとつの社会主義インター加盟政党メレツも議席を倍化させ、同党が選挙協力を組んだリヴニ元外相や労働党離党者によるパレスチナ和平推進派の中道新党ハトヌア(「運動」の意味)とともに無視できない位置を占めることとなった。セファルディム(中東系ユダヤ人)を基盤とするユダヤ教超正統派(超正統派はシオニズムではない)のシャスは同じく超正統派のユダヤ・トーラー連合(この党はアシュケナジムと呼ばれる欧米系ユダヤ人を支持基盤とする)と組んで引き続き大きな位置を占めることとなった。
ほかに反シオニズムのアラブ系左翼連合ハダシュ(「平和と平等のための民主戦線」。共産党ほかで構成)とバラド(国民民主連合)による選挙協力も従来通り一定の議席を確保し、同じアラブ系でもイスラム原理主義右派の色彩が濃い統一アラブリストとタール(アラブ刷新運動)の統一名簿も議席を確保した。
リヴニ元外相が離脱したカディマはモファズ元国防相を先頭に戦ったが議席のほとんどを失い、2%阻止条項ぎりぎりまで後退する壊滅的敗北となった。その他の政党は議席を獲得できない見通し。なお労働党から分裂したバラク元首相が率いた中道シオニストの「独立」は選挙前に立候補を撤回、バラク氏も政界引退を表明している。

この結果を受けて、ネタニヤフ首相も勝利宣言のなかで「幅広い連立」に言及せざるを得なかった。予想では右派・極右および宗教政党がすべて連携した場合でも過半数の61議席に達するかは微妙となっている。ただイスラエルではアラブ系政党を連立に含めないことが慣例となっており、それに従えばリクードを外した連立政権が成立する可能性もまずない。従ってネタニヤフ首相の続投が濃厚だが、核兵器開発疑惑に揺れるイランへの攻撃も辞さず、パレスチナ和平にも消極的など強硬な外交姿勢で知られる同首相の路線が今回の選挙結果および交渉や和平を視野に入れる米オバマ政権の圧力の板挟みにあい、軌道変更を強いられる可能性は高いともみられる。

現在のところ報じられている選挙結果は次のとおり(最終結果ではない。カッコ内は前回比だが、参考)。

リクード=我が家イスラエル 31(-11)
イェシュ・アティド 19(新党)
労働党 15(+2)#「独立」の分裂により選挙前は8議席まで減らしていた
シャス 11(±0)
ユダヤ人の家 11(+4)
ユダヤ・トーラー連合 7(+2)
ハトヌア 6(新党)
メレツ 6(+3)
統一アラブリスト=タール 5(+1)
ハダシュ 4(±0)
バラド 3(±0)
カディマ 2(-26)

労働党 公式サイト(ヘブライ語)
http://www.havoda.org.il/
メレツ 公式サイト(ヘブライ語)
http://meretz.org.il/

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プロフィール

西形公一

Author:西形公一
もと「民社ゆーす」(旧民社党全国青年部系)事務局長。昔は漫画と法律のことなどをやっていましたが、その後にインド・ネパール・タイなど熱帯アジアの国ぐにとパシュミナを軸とする小口貿易やNPO、研究活動など人とのつながりなどの縁ができて、今に至っています。写真は夕刻のゴア(インド)にて。

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