裁判官メモ:良心を感じる判断をした方の名前 (随時更新)
2024/09/23 Mon 16:11
私が良心を感じる判断をした裁判官の名前を此処に記録していこうと思います。
随時更新していきます。
樋口英明さん
大飯原発運転差止請求事件判決要旨全文
2014年5月21日
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被告は本件原発の稼動が電力供給の安定性、コストの低減につながると主張するが、当裁判所は、極めて多数の人の生存そのものに関わる権利と電気代の高い低いの問題等とを並べて論じるような議論に加わったり、その議論の当否を判断すること自体、法的には許されないことであると考えている。このコストの問題に関連して国富の流出や喪失の議論があるが、たとえ本件原発の運転停止によって多額の貿易赤字が出るとしても、これを国富の流出や喪失というべきではなく、豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していることが国富であり、これを取り戻すことができなくなることが国富の喪失であると当裁判所は考えている。
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また、被告は、原子力発電所の稼動がCO2排出削減に資するもので環境面で優れている旨主張するが、原子力発電所でひとたび深刻事故が起こった場合の環境汚染はすさまじいものであって、福島原発事故は我が国始まって以来最大の公害、環境汚染であることに照らすと、環境問題を原子力発電所の運転継続の根拠とすることは甚だしい筋違いである。
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長谷川恭弘さん
岐阜県に一部抹消命令 警察の個人情報収集「違法」 賠償も増額・名古屋高裁
2024/9/13 時事通信
長谷川裁判長は、同署による情報の収集と提供は公正な職務遂行を定めた警察法に反し、明らかに違法だと指摘。原告の活動を妨害し、風力発電事業を推進するために継続的に情報提供した行為は悪質で、「原告の精神的苦痛は非常に大きい」と非難した。
警察の公安活動「規律策定を」 プライバシーの侵害懸念
2024年9月13日東京新聞
高裁判決は個人情報の収集、保有、提供の違法性を認め「『公共の安全と秩序の維持』を名目としてフリーハンドで活動することは許されない」と厳しく指摘した。
山田秀樹弁護団長は「目的が市民活動を監視するためならそもそも違法だと、ずばりと認めてくれた」と評価。
警察の個人情報収集も「違法」 名古屋高裁、岐阜県に抹消命じる判決
2024/9/13 朝日新聞
長谷川裁判長は、憲法13条が個人情報をみだりに収集・保有されない自由も保障していることに加え、原告らの活動は平和的だったとして集会や結社、表現の自由などを保障した憲法21条にも反するとして、収集の違法性を認めた。
さらに、恣意的とした情報収集活動について、法律の規制もなく、監督する第三者機関もないと言及した上で、「警察内部の自浄作用が全く機能していない」と断じた。
また、情報の抹消については、今後提供される恐れがあるとして、保有していると認められる情報の抹消を県に命じた。
生活保護費引き下げで国に賠償命令 名古屋高裁 全国初
2023年11月30日 NHK
長谷川恭弘裁判長は「国は支給額を引き下げる改定の際、学術的な裏付けや論理的な整合性を欠いた、厚生労働省独自の指数を用いて物価の下落率を算定するなどしており、厚生労働大臣の裁量権の範囲を逸脱していることは明らかで、生活保護法に違反し、違法だ」などと指摘しました。 そのうえで、「違法な改定を行った厚生労働大臣には重大な過失がある。過去に例のない大幅な生活扶助基準の引き下げで、影響は生活保護受給者にとって非常に重大であり、原告らはもともと余裕のある生活ではなかったところを、支給額の引き下げ以降、9年以上にわたり、さらに余裕のない生活を強いられ、引き下げを取り消しても精神的苦痛はなお残る」として、引き下げを取り消すとともに、国に対し、原告13人全員に慰謝料として1人当たり1万円の賠償を命じました。
堺徹さん
旧統一教会に「賠償求めない」念書は無効 高額献金、最高裁が初判断
朝日新聞 2024年7月11日
「賠償を求めない」との合意は憲法が保障する「裁判を受ける権利」を制約するため、有効性は「慎重に判断すべきだ」と指摘。当事者の属性や相互の関係、合意の経緯や目的、当事者が受ける不利益などを総合考慮し、「公序良俗に反する場合は無効」と述べた。
家賃滞納による明け渡しは「不当」…最高裁、保証会社の「追い出し条項」で初判断
読売新聞 2022年12月13日
賃貸住宅の借り主が家賃を2か月以上滞納するなどした場合に、部屋を明け渡したとみなす家賃保証会社の「追い出し条項」の是非が争われた訴訟の上告審判決が12日、最高裁であった。堺徹裁判長は「消費者の利益を一方的に害する」と述べ、消費者契約法に基づき条項の使用差し止めを命じる初判断を示した。
…
保証会社は賃貸借契約の当事者ではないのに、その一存で借り主が部屋を使う権利が制限されるのは「著しく不当だ」と言及。「条項は借り主と保証会社との間に見過ごせない不均衡をもたらすものだ」として差し止めを認めた。
木納敏和さん
「返還求めない合意」無効 旧統一教会の献金巡り判決―東京高裁
2023年11月15日 時事
木納敏和裁判長は、女性と教団が交わした「将来いかなる請求もしない」との合意を「公序良俗に反して無効」と判断。合意は有効として訴えを却下した一審判決を取り消し、審理を東京地裁に差し戻した。
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判決によると、女性は2015年、息子が教団側から頼まれて借り入れた金の返済について話し合った際、「将来にわたり献金の返還など、いかなる請求もしない」とする合意書を交わしていた。
木納裁判長は、合意について「裁判による権利救済を一方的に否定するもので、合理性を欠く」と判断。女性が合意の法的な意味を十分理解していたとは認められないとも指摘し、「有効とすれば正義に反する結果を招くと言わざるを得ない」と結論付けた。
前田英子さん
サカイの出来高払い賃金認めず 「自助努力反映されていない」 地裁支部判決、運輸業界に波紋
2023/9/11 時事
前田英子裁判長は8月9日の判決で、出来高払い制賃金について、「作業量などの成果に応じて一定比率で定められるもの」と定義。同社の業績給の一部は、売り上げが営業担当者と顧客の交渉で既に決まっており、作業員は会社から指示された作業をしているだけだと指摘し、「(作業員の)自助努力が反映される賃金とは言い難い」として当てはまらないと判断した。
その上で、作業服への着替え時間なども労働時間に認定し、未払い残業代計約950万円の支払いを命令。制裁的な意味合いがある付加金約620万円の支払いも命じた。
「計画断念を」「歴史的な判決」東海第2運転差し止め、喜ぶ原告
2021/3/18 毎日新聞
判決は、今月で発生から10年を迎えた福島第1原発事故を例に挙げ、「原子力災害は自然災害に伴って発生することも当然に想定されなければならない」と指摘した。相沢さんは「原発事故の教訓が生かされた」とコメントした。原告の一人で茨城県石岡市の農業、魚住道郎さんは「原発事故で福島の人たちはふるさとを奪われた。勝利に喜ぶだけでなく、戦いを後退させないようにしたい」と力を込めた。
弁護団共同代表を務める河合弘之弁護士は「避難計画が不十分だというわかりやすい理由で勝訴したのはよい意味で予想外。歴史的な判決だ」と評価し「人口密集地帯で事故を起こしたらどうするのかという主張が裁判所に届いた」と喜んだ。
斎藤正人さん
カメラ撮影妨害は「正当防衛」 労組委員長らに逆転無罪 大阪高裁
産経新聞 2023年6月14日
「あいりん総合センター」の閉鎖に反対する人々の拠点だったテントを写す防犯カメラのレンズをゴム手袋などで塞ぎ、カメラを管理する大阪府などの業務を妨害したとして、威力業務妨害罪に問われ、1審大阪地裁で有罪判決を受けた稲垣被告(79)ら3人の控訴審判決公判が大阪高裁で開かれた。斎藤正人裁判長は「1審の認定、判断は誤り」として1審判決を破棄し、無罪を言い渡した。
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カメラの向きの変更はテント方向一帯の「防犯が目的」とした府職員の証言について、斎藤裁判長は判決理由で、一連の事実経過と整合しないと指摘。向きの変更でテントに出入りする人が特定可能となったことから、萎縮効果を与えて立ち退きを余儀なくさせたり、占有状況を把握したりするためだったと認定した。その上でレンズを塞ぐ行為が威力業務妨害に当たるとしても、「正当防衛が成立する」と結論付けた。
市原義孝さん
カメルーン人男性は「難民に該当」 国の不認定処分を取り消す判決
朝日新聞 2023年5月17日
訴訟で国側は、労働組合への参加を裏付ける証拠がなく、男性が提出した逮捕状は本物とは言えないなどと主張。だが判決は、逮捕状には具体的な事実関係の記載がないものの「真正さに疑義があるとまではいえない」と指摘。現地の新聞に逮捕状が出ていることを伝える記事もあり、「難民に該当していた」と結論づけた。
古田孝夫さん
ツイート投稿者を「いきなり提訴」した世耕議員を裁判所が批判、名誉毀損訴訟が異例の和解
弁護士ドットコム 2023年03月17日
和解条項で地裁は「公人の政治的姿勢、言動等に関しては、国民の自由な論評、批判が十分に保障されなければならない」と指摘。その上で「その上で(世耕氏側が)事前の削除要請・交渉もなく、訴訟を提起するという方法をとったことについて、公人に対する言論を萎縮させるおそれがあるものと被告に受け止められ、反訴が提起されるに至ったことは、裁判所ならびに原告および被告にとって遺憾」と表明した。
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弁護団も「この和解条項は、公表を前提としたものだということも意味が大きい。(スラップ訴訟は許されないんだという)公人を思いとどまらせる教訓として残ってほしい」(小川隆太郎弁護士)「判決よりいい和解。実質上の完全勝訴です」(海渡雄一弁護士)と評価した。
山口格之さん
山口県の貴賓車「センチュリー」購入は「違法」
…知事に2090万円全額支払い命じる判決
読売新聞 2022/11/02
山口格之裁判長は「知事の裁量権を逸脱または乱用した財務会計上の違法行為があった」として、村岡知事に全額の支払いを命じる判決を言い渡した。
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「知事が購入を阻止しなかったことは指揮監督上の義務に違反した過失だ」
朝倉佳秀さん
東京電力の旧経営陣4人に13兆円賠償命令
株主代表訴訟で東京地裁判決 津波対策を放置「著しく不合理」
東京新聞 2022年7月13日
約40分にわたる判決言い渡しで、朝倉裁判長は時に語気を強めながら、旧経営陣の主張を次々と退けていった。「(東電は)有識者の意見のうち、都合の良い部分をいかに利用し、都合の悪い部分をいかに無視し、顕在化しないようにするかと腐心してきた」
さらに「被告らの対応は東電内部では当たり前の行動だったかもしれないが、原子力事業者としては安全意識や責任感が、根本的に欠如していた」と厳しく批判した。
広瀬孝さん
北海道警のヤジ排除「表現の自由侵害」 道に賠償命令 札幌地裁
朝日新聞 2022年3月25日
原告男性(34)はJR札幌駅前などで応援演説をしていた安倍氏に「安倍やめろ」とヤジを飛ばし、警察官らに排除された。「増税反対」と叫んだ女性(26)も移動させられた上、警察官らに長時間つきまとわれた。
判決は、、警察官らの行為を「違法なもの」とした。 その上で、表現の自由について「民主主義社会を基礎づける重要な権利であり、公共的・政治的表現の自由は、特に重要な憲法上の権利として尊重されるべきだ」と指摘。原告らのヤジは公共的・政治的表現行為だと認めた。さらに、警察官らは原告らのヤジが安倍氏の演説の場にそぐわないものと判断して「表現行為そのものを制限した」と結論づけた。
また、原告女性につきまとった行為については、移動・行動の自由や名誉権、プライバシー権の侵害にあたると認定した。
伊藤寛樹さん
取り調べ中にトイレ行かせてもらえず失禁、
尊厳損ない「違法」…自白調書の証拠能力否定
読売新聞 2022年3月15日
伊藤寛樹裁判官は「尊厳を損なうことがないよう取り計らう義務に違反する」と判断し、自白調書の証拠能力を否定した。
平田豊さん
旧優生保護法 不妊手術強制で国に1500万円の賠償命令 東京高裁
NHK 2022年3月11日
東京高等裁判所の平田豊裁判長は「旧優生保護法は立法目的が差別的思想に基づくもので、正当性を欠き、極めて非人道的で憲法に違反する」と指摘しました。
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「国が謝罪の意を表明し、一時金の支給を定めた法律が施行された平成31年4月から5年が経過するまでは、賠償を請求できる」
西村修さん
無罪確定の男性の指紋やDNAデータ、国に削除命令 名古屋地裁
朝日新聞 2022年1月18日
無罪判決が確定した男性が、警察が保管する指紋とDNA型、顔写真データの削除などを求めた訴訟の判決が18日、名古屋地裁であった。西村修裁判長は「保管すべき具体的な必要性は示されていない」と述べ、国にデータの抹消を命じた。
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西村裁判長は、指紋やDNA型などは、みだりに取得・利用されない自由が憲法13条で保障され、データベース化によって情報漏出やどう使われるかわからないことへの不安など、国民の行動を萎縮させる効果がないとはいえないとした。
本多久美子さん
君が代不起立、元教諭逆転勝訴 再任用拒否「裁量権の逸脱」 大阪高裁
2021年12月9日 時事通信社
本多久美子裁判長は「裁量権の逸脱で違法」と述べ、請求を棄却した一審大阪地裁判決を変更し、府に315万円の賠償を命じた。
家令和典さん
患者3人中毒死事件で無期懲役 横浜地裁判決の要旨 (裁判員裁判)
朝日新聞 2021年11月9日
…更生可能性がある。 総合考慮すると死刑選択を躊躇(ちゅうちょ)せざるを得ない。生涯をかけて罪の重さと向き合わせ、償いをさせるとともに更生の道を歩ませるのが相当であると判断した。
倉田慎也さん
本部長の専決処分で沖縄に機動隊派遣、高裁が違法と判断
…110万円の支払い命令求める判決
読売新聞 2021年10月7日
沖縄県の米軍施設工事の周辺警備に愛知県警機動隊が違法に派遣されたとして、同県の住民193人が大村秀章知事を相手取り、当時の県警本部長に派遣費用分の賠償を命じるよう求めた訴訟の控訴審判決が7日、名古屋高裁であった。倉田慎也裁判長は、請求を棄却した1審・名古屋地裁判決を変更し、手続きの違法性を認め、当時の本部長に約110万円の支払い命令を出すよう知事に命じた。
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1審判決は、専決の手続きに瑕疵(かし)があるとしながら、違法性は認めなかった。しかし、高裁判決は、派遣決定が県公安委員会の専決規定で審議が必要な「異例または重要と認められるもの」に該当し、県警本部長の専決処理は許されず、違法だったと結論づけた。
森鍵一さん
大阪の「不自由展」、会場使用認める 許可取り消しの執行停止 地裁
2021年7月9日 時事通信
大阪市内で開催予定だった「表現の不自由展」をめぐり、会場への抗議が相次いで使用許可が取り消された問題で、大阪地裁は9日、実行委員会が申し立てていた取り消しの執行停止を認める決定を出した。
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森鍵一裁判長は、利用者の安全確保を理由とした許可取り消しについて、「重大な事態が発生する具体的な危険性があるとは言えない。抗議活動は一定の限度では受忍するしかない」と判断した。
大飯原発の設置許可取り消し 住民ら原告側勝訴 大阪地裁が初判断
毎日新聞2020年12月4日
森鍵一(もりかぎはじめ)裁判長は、原発が想定する地震の最大の揺れを示す「基準地震動」について、「原子力規制委員会の判断に看過しがたい過誤、欠落があり、設置許可は違法」と述べた。
・関西電力は大飯原発3、4号機の耐震性判断に必要な地震(基準地震動)を想定する際、過去の地震規模の平均値をそのまま使い、実際に発生する地震が平均より大きくなる可能性を考慮していない。
・原子力規制委員会の審議や判断には看過しがたい過誤や欠落があり、不合理。
車の通行を2時間以上制止… 県警側の違法性を認定
高江ヘリパッド抗議で那覇地裁
沖縄タイムス 2018年1月16日
2016年11月に、ヘリパッド建設が進む沖縄県東村高江周辺の県道で、沖縄県警の指揮下にあった警察官に違法に車両の通行を2時間以上制止されたなどとして、建設反対の市民を支援する弁護士が県に国家賠償法に基づく損害賠償を求めた訴訟で、那覇地裁(森鍵一裁判長)は16日、県警側の対応の違法性を認め、県に30万円の支払いを命じる判決を言い渡した。
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「県警指揮下にあった警官が実施した留め置きやビデオ撮影は、原告の自由を制約するものであり、警察官職務執行法や警察法によっても正当化できるものではない」
白井幸夫さん
国の責任認定、原告逆転勝訴 「対策取れば事故至らず」
原発避難者訴訟・東京高裁
2021/2/19 時事通信
白井裁判長は、2002年に地震調査研究推進本部が巨大津波を発生させる地震の可能性を指摘した「長期評価」について、「相応の科学的信頼性のある知見」と指摘。長期評価の見解に基づけば、国は15メートル以上の津波の危険性を認識できたとした。
その上で、防潮堤や原発の重要機器を浸水させない水密化など事前対策は可能で、国は想定すべきだったと判断。「対策が講じられれば、津波の影響は相当程度軽減され、事故と同様の全電源喪失には至らなかった」と結論付け、事故の結果回避可能性について仙台高裁判決よりも踏み込んだ認定をした。
また、避難者が帰還するかどうかの意思決定を迫られることや、元の居住地での生活を諦めることなども精神的損害に当たると判断。慰謝料とは別に賠償すべきだとの考えを示した。
増田稔さん
防衛大いじめ 元学生逆転勝訴 国に268万円賠償命令 福岡高裁判決
2020/12/9 毎日新聞
原告側弁護士によると、防衛大でのいじめで国の安全配慮義務違反を認めた判決は全国初とみられる。
…
増田裁判長は、防衛大に対しても「暴力などを防止するため、教官がどのように指導すべきか大学内での検討も不十分だった」と批判。国の安全配慮義務違反と男性の休学、退校との因果関係を認めた。男性の損害額としては、医療費などから算出。一方、幹部自衛官に任官していればもらえたと見込める給料などは認めなかった。
上田哲さん
原発事故で国の責任認める 仙台高裁 2審で初めて
NHK 2020年9月30日
判決で、仙台高等裁判所の上田哲裁判長は
「平成14年に政府の地震調査研究推進本部が発表した地震の『長期評価』を踏まえた試算をしていれば、大規模な津波が到来する可能性を認識することができた。国が東京電力に対策を求める権限を行使しなかったのは違法だ」と指摘し、東京電力とともに国の責任を認めました。
また「国と東京電力は『長期評価』に基づく津波の試算を行って対策を講じた場合の、主に東京電力の経済的な負担などの影響の大きさを恐れるあまり、試算自体を避けるなどしたと認めざるを得ない」と、指摘しました。
そのうえで1審では、東京電力の半分にとどまるとした国の賠償責任の範囲について「国がみずからの責任で原発の設置を許可したもので、範囲を限定するのは相当ではない」などと指摘し、東京電力と同等の責任があるとして、国と東京電力に総額でおよそ10億1000万円の賠償を命じました。
宮崎裕子さん
(こちらにもリストアップされています:裁判官メモ:疑問を感じる判断をした方の名前 )
ふるさと納税訴訟 大阪 泉佐野市勝訴 市除外を取り消し 最高裁
NHK 2020年6月30日
最高裁判所第3小法廷の宮崎裕子裁判長は「総務省がふるさと納税制度の指定を受けられる基準を定めた告示は、法律改正前に著しく多額の寄付金を集めたことを理由に指定を受けられなくするものといえる。法律の条文や立法過程の議論を考慮しても、総務大臣にこのような趣旨の基準を定めることが委ねられているとはいえず、告示のうち、過去の募集状況を問題とした部分は違法で無効だ」と指摘しました。
小川理津子さん
NHK映らない加工テレビ 「受信契約義務なし」 東京地裁判決
毎日新聞 2020年6月26日
NHKは、電波を増幅するブースターを取り付けたり、工具を使って復元したりすれば、放送を受信できると主張したが、小川理津子裁判長は「ブースターがなければ映らないのであれば契約義務はない。自分で加工をしたわけではなく、専門知識のない女性に復元は困難だ」と退けた。
岡部豪さん
「違法な検査」と無罪判決 覚醒剤密輸事件で千葉地裁
産経新聞 2020.6.20
千葉地裁(岡部豪裁判長)は、「同意も令状もなく手荷物の解体検査をしており、税関の検査には重大な違法性がある」として無罪判決を言い渡した。
判決によると、男性は税関でスーツケースを解体して検査する同意書への署名を拒否。税関職員は同意や令状のないままカッターなどで破壊し中から覚醒剤を見つけた。
判決理由で岡部裁判長は「解体検査は旅客の被る不利益が極めて大きく、特段の事情がない限り同意も令状もなく行うことは許容されない」と指摘。今回の検査に特段の事情はなく、違法な検査で得られた覚醒剤の証拠能力は否定すべきだとした。
小川秀樹さん
君が代で起立せず停職 元教職員の処分取り消す判決 東京高裁
NHK 2020年3月25日
「積極的に式典を妨害したわけではなく、君が代を斉唱する際に起立しなかったという消極的な行為で、処分とのバランスを著しく欠き、裁量権を逸脱して違法だ」と指摘して、1審とは逆に懲戒処分を取り消しました。
森一岳さん
「活断層調査は不十分」「阿蘇山噴火も考慮を」伊方原発差し止め、逆転決定 広島高裁
毎日新聞 2020年1月17日
決定で森一岳裁判長は、四電が十分な調査をせずに、活断層が敷地沿岸部に存在しないと判断し、必要な地震の揺れの評価もしていなかったと指摘。四電が申請した安全審査を原子力規制委が合格と判断した点について「過程に過誤ないし欠落があったといわざるを得ない」と断じた。また、破局的噴火でなくても、四電が想定する噴出量の3~5倍が見込まれ、この過小な想定を前提にした原子炉設置変更許可申請を問題ないと判断した規制委の判断は不合理だと結論付けた。
中本敏嗣さん
「森友学園」情報開示訴訟 市議側が全面勝訴 値引き根拠示さぬ国「違法」 大阪高裁
毎日新聞2019年12月17日
一部を適法とした1審判決を変更し、全額の賠償を命じた。国が値引きの根拠を非開示にしたことを1審は適法と判断したが、中本敏嗣裁判長は違法と指摘。「値引きの根拠は売却価格と同様に、公表すべき重要な情報だ」として、市議側の主張を全面的に認めた。
内藤裕之さん
調理師死亡は「過労が原因」 大阪地裁が認定 ミシュラン掲載店に勤務
毎日新聞 2019年5月15日
フランス料理店で働いていた男性調理師がウイルス性の心疾患で死亡したのは、過重労働が原因だとして、男性の妻が遺族補償年金などを不支給とした国の処分を取り消すよう求めた訴訟の判決で、大阪地裁は15日、取り消しを命じた。内藤裕之裁判長は、男性の時間外労働が月250時間に達していたと認定し、「過労で免疫に異常が生じた」として死亡との因果関係を認めた。
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「業務と感染症の因果関係が不明」などとする国の主張を退けた。
三輪方大(まさひろ)さん
1型糖尿病「障害基礎年金の打ち切りは違法」 患者9人が全面勝訴 大阪地裁
毎日新聞2019年4月11日
幼少期に発症することが多い「1型糖尿病」の患者9人が、理由を明示されずに障害基礎年金を打ち切られたとして、国に処分の取り消しを求めた訴訟の判決で、大阪地裁は11日、患者側の主張を全面的に認め、全員の処分取り消しを命じた。
野山宏さん
「民間企業への威嚇」認定 国に530万円賠償命令
2019/4/10 朝日新聞
会社の元社長が、仕事とは無関係の市民活動を理由に国土交通省の幹部から「公共事業の発注を中止する」と脅され、取締役辞任に追い込まれたなどとして、国に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が10日、東京高裁であった。野山宏裁判長は、「民間企業への威嚇」だと判断し、請求を棄却した一審・東京地裁判決を変更し、国に約530万円の賠償を命じた。
…
判決は、国交省幹部の対応を「民間企業の経営や個人の進退に対する、法律に基づかない介入」だと指摘。「請願権」を保障した憲法16条にも違反するとして、男性が受け取れたはずの役員報酬などの賠償を命じた。
平山馨さん
目取真さん拘束、国に賠償命じる 那覇地裁、辺野古抗議の逮捕違法
2019/3/19 共同通信
平山馨裁判長は、国内の捜査機関は米軍から速やかに容疑者の身柄を引き取る必要があるとし、米軍は今回、身柄拘束から3分後には海保側に通知していたと指摘。「引き取りが遅れたことに合理的な理由はない。緊急逮捕も、注意義務違反があるため違法だ」と述べた。
金沢秀樹さん
奨学金で生活保護減額は違法=「収入認定検討せず」賠償命令―福島地裁
時事 2018/1/16(火)
福島市が奨学金を収入と認定し、生活保護費を減額されたことで精神的苦痛を受けたとして、市内の30代女性と高校生の長女が市に計100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が福島地裁であった。 金沢秀樹裁判長は、処分は違法として、母娘に各5万円を支払うよう命じた。…
金沢裁判長は「市は奨学金が収入認定除外の対象となるかどうか検討しておらず、裁量権を逸脱し違法」と指摘。「母親は経済的に深刻な不安を抱き、長女は努力して獲得した奨学金を事実上没収された」として、いずれも精神的損害を認めた。
野々上友之さん
<伊方運転差し止め>広島高裁の野々上裁判長、今月退官へ
毎日新聞 2017/12/13
伊方原発3号機の運転差し止めを求めた仮処分申請の即時抗告審で、申し立てを却下した今年3月の広島地裁の判断を取り消し、四電に運転差し止めを命じる決定を出した。
…
広島地裁判事だった09年、救護などに携わった「3号被爆者」が被爆者手帳交付を求めた集団訴訟を担当。広島市の漫然とした事務を批判し、市による交付申請の却下処分を取り消して原告全面勝訴を言い渡している。
岡田治さん
生活保護打ち切りに「違法」判決 津地裁
朝日新聞 2017年11月21日
十分な検討をせず一方的に生活保護を打ち切ったとして、30代女性が市に慰謝料など220万円の支払いを求めた訴訟の判決が20日、津地裁であった。岡田治裁判長は「市が調査を尽くしたとは認められない」と述べ、市の打ち切り処分を違法と認め、市に5万5千円の支払いを命じた。
都築政則さん
警視庁の職務質問「違法」、都に賠償命令 東京地裁
日本経済新聞 2013/5/28
警視庁の違法捜査で精神的苦痛を受けたなどとして、男性会社員が東京都などに約200万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決で、東京地裁(都築政則裁判長)は28日、男性への職務質問を違法と認め、都に5万円の支払いを命じた。…
都築裁判長は「男性に異常な挙動など犯罪を疑う理由はない」とし、職務質問と所持品検査を違法と判断した。その後の任意同行や指紋採取は「当時、男性が承諾していた」として適法とした。
裁判官メモ:疑問を感じる判断をした方の名前 (随時更新)
随時更新していきます。
樋口英明さん
大飯原発運転差止請求事件判決要旨全文
2014年5月21日
・・・・・
被告は本件原発の稼動が電力供給の安定性、コストの低減につながると主張するが、当裁判所は、極めて多数の人の生存そのものに関わる権利と電気代の高い低いの問題等とを並べて論じるような議論に加わったり、その議論の当否を判断すること自体、法的には許されないことであると考えている。このコストの問題に関連して国富の流出や喪失の議論があるが、たとえ本件原発の運転停止によって多額の貿易赤字が出るとしても、これを国富の流出や喪失というべきではなく、豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していることが国富であり、これを取り戻すことができなくなることが国富の喪失であると当裁判所は考えている。
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また、被告は、原子力発電所の稼動がCO2排出削減に資するもので環境面で優れている旨主張するが、原子力発電所でひとたび深刻事故が起こった場合の環境汚染はすさまじいものであって、福島原発事故は我が国始まって以来最大の公害、環境汚染であることに照らすと、環境問題を原子力発電所の運転継続の根拠とすることは甚だしい筋違いである。
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長谷川恭弘さん
岐阜県に一部抹消命令 警察の個人情報収集「違法」 賠償も増額・名古屋高裁
2024/9/13 時事通信
長谷川裁判長は、同署による情報の収集と提供は公正な職務遂行を定めた警察法に反し、明らかに違法だと指摘。原告の活動を妨害し、風力発電事業を推進するために継続的に情報提供した行為は悪質で、「原告の精神的苦痛は非常に大きい」と非難した。
警察の公安活動「規律策定を」 プライバシーの侵害懸念
2024年9月13日東京新聞
高裁判決は個人情報の収集、保有、提供の違法性を認め「『公共の安全と秩序の維持』を名目としてフリーハンドで活動することは許されない」と厳しく指摘した。
山田秀樹弁護団長は「目的が市民活動を監視するためならそもそも違法だと、ずばりと認めてくれた」と評価。
警察の個人情報収集も「違法」 名古屋高裁、岐阜県に抹消命じる判決
2024/9/13 朝日新聞
長谷川裁判長は、憲法13条が個人情報をみだりに収集・保有されない自由も保障していることに加え、原告らの活動は平和的だったとして集会や結社、表現の自由などを保障した憲法21条にも反するとして、収集の違法性を認めた。
さらに、恣意的とした情報収集活動について、法律の規制もなく、監督する第三者機関もないと言及した上で、「警察内部の自浄作用が全く機能していない」と断じた。
また、情報の抹消については、今後提供される恐れがあるとして、保有していると認められる情報の抹消を県に命じた。
生活保護費引き下げで国に賠償命令 名古屋高裁 全国初
2023年11月30日 NHK
長谷川恭弘裁判長は「国は支給額を引き下げる改定の際、学術的な裏付けや論理的な整合性を欠いた、厚生労働省独自の指数を用いて物価の下落率を算定するなどしており、厚生労働大臣の裁量権の範囲を逸脱していることは明らかで、生活保護法に違反し、違法だ」などと指摘しました。 そのうえで、「違法な改定を行った厚生労働大臣には重大な過失がある。過去に例のない大幅な生活扶助基準の引き下げで、影響は生活保護受給者にとって非常に重大であり、原告らはもともと余裕のある生活ではなかったところを、支給額の引き下げ以降、9年以上にわたり、さらに余裕のない生活を強いられ、引き下げを取り消しても精神的苦痛はなお残る」として、引き下げを取り消すとともに、国に対し、原告13人全員に慰謝料として1人当たり1万円の賠償を命じました。
堺徹さん
旧統一教会に「賠償求めない」念書は無効 高額献金、最高裁が初判断
朝日新聞 2024年7月11日
「賠償を求めない」との合意は憲法が保障する「裁判を受ける権利」を制約するため、有効性は「慎重に判断すべきだ」と指摘。当事者の属性や相互の関係、合意の経緯や目的、当事者が受ける不利益などを総合考慮し、「公序良俗に反する場合は無効」と述べた。
家賃滞納による明け渡しは「不当」…最高裁、保証会社の「追い出し条項」で初判断
読売新聞 2022年12月13日
賃貸住宅の借り主が家賃を2か月以上滞納するなどした場合に、部屋を明け渡したとみなす家賃保証会社の「追い出し条項」の是非が争われた訴訟の上告審判決が12日、最高裁であった。堺徹裁判長は「消費者の利益を一方的に害する」と述べ、消費者契約法に基づき条項の使用差し止めを命じる初判断を示した。
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保証会社は賃貸借契約の当事者ではないのに、その一存で借り主が部屋を使う権利が制限されるのは「著しく不当だ」と言及。「条項は借り主と保証会社との間に見過ごせない不均衡をもたらすものだ」として差し止めを認めた。
木納敏和さん
「返還求めない合意」無効 旧統一教会の献金巡り判決―東京高裁
2023年11月15日 時事
木納敏和裁判長は、女性と教団が交わした「将来いかなる請求もしない」との合意を「公序良俗に反して無効」と判断。合意は有効として訴えを却下した一審判決を取り消し、審理を東京地裁に差し戻した。
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判決によると、女性は2015年、息子が教団側から頼まれて借り入れた金の返済について話し合った際、「将来にわたり献金の返還など、いかなる請求もしない」とする合意書を交わしていた。
木納裁判長は、合意について「裁判による権利救済を一方的に否定するもので、合理性を欠く」と判断。女性が合意の法的な意味を十分理解していたとは認められないとも指摘し、「有効とすれば正義に反する結果を招くと言わざるを得ない」と結論付けた。
前田英子さん
サカイの出来高払い賃金認めず 「自助努力反映されていない」 地裁支部判決、運輸業界に波紋
2023/9/11 時事
前田英子裁判長は8月9日の判決で、出来高払い制賃金について、「作業量などの成果に応じて一定比率で定められるもの」と定義。同社の業績給の一部は、売り上げが営業担当者と顧客の交渉で既に決まっており、作業員は会社から指示された作業をしているだけだと指摘し、「(作業員の)自助努力が反映される賃金とは言い難い」として当てはまらないと判断した。
その上で、作業服への着替え時間なども労働時間に認定し、未払い残業代計約950万円の支払いを命令。制裁的な意味合いがある付加金約620万円の支払いも命じた。
「計画断念を」「歴史的な判決」東海第2運転差し止め、喜ぶ原告
2021/3/18 毎日新聞
判決は、今月で発生から10年を迎えた福島第1原発事故を例に挙げ、「原子力災害は自然災害に伴って発生することも当然に想定されなければならない」と指摘した。相沢さんは「原発事故の教訓が生かされた」とコメントした。原告の一人で茨城県石岡市の農業、魚住道郎さんは「原発事故で福島の人たちはふるさとを奪われた。勝利に喜ぶだけでなく、戦いを後退させないようにしたい」と力を込めた。
弁護団共同代表を務める河合弘之弁護士は「避難計画が不十分だというわかりやすい理由で勝訴したのはよい意味で予想外。歴史的な判決だ」と評価し「人口密集地帯で事故を起こしたらどうするのかという主張が裁判所に届いた」と喜んだ。
斎藤正人さん
カメラ撮影妨害は「正当防衛」 労組委員長らに逆転無罪 大阪高裁
産経新聞 2023年6月14日
「あいりん総合センター」の閉鎖に反対する人々の拠点だったテントを写す防犯カメラのレンズをゴム手袋などで塞ぎ、カメラを管理する大阪府などの業務を妨害したとして、威力業務妨害罪に問われ、1審大阪地裁で有罪判決を受けた稲垣被告(79)ら3人の控訴審判決公判が大阪高裁で開かれた。斎藤正人裁判長は「1審の認定、判断は誤り」として1審判決を破棄し、無罪を言い渡した。
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カメラの向きの変更はテント方向一帯の「防犯が目的」とした府職員の証言について、斎藤裁判長は判決理由で、一連の事実経過と整合しないと指摘。向きの変更でテントに出入りする人が特定可能となったことから、萎縮効果を与えて立ち退きを余儀なくさせたり、占有状況を把握したりするためだったと認定した。その上でレンズを塞ぐ行為が威力業務妨害に当たるとしても、「正当防衛が成立する」と結論付けた。
市原義孝さん
カメルーン人男性は「難民に該当」 国の不認定処分を取り消す判決
朝日新聞 2023年5月17日
訴訟で国側は、労働組合への参加を裏付ける証拠がなく、男性が提出した逮捕状は本物とは言えないなどと主張。だが判決は、逮捕状には具体的な事実関係の記載がないものの「真正さに疑義があるとまではいえない」と指摘。現地の新聞に逮捕状が出ていることを伝える記事もあり、「難民に該当していた」と結論づけた。
古田孝夫さん
ツイート投稿者を「いきなり提訴」した世耕議員を裁判所が批判、名誉毀損訴訟が異例の和解
弁護士ドットコム 2023年03月17日
和解条項で地裁は「公人の政治的姿勢、言動等に関しては、国民の自由な論評、批判が十分に保障されなければならない」と指摘。その上で「その上で(世耕氏側が)事前の削除要請・交渉もなく、訴訟を提起するという方法をとったことについて、公人に対する言論を萎縮させるおそれがあるものと被告に受け止められ、反訴が提起されるに至ったことは、裁判所ならびに原告および被告にとって遺憾」と表明した。
…
弁護団も「この和解条項は、公表を前提としたものだということも意味が大きい。(スラップ訴訟は許されないんだという)公人を思いとどまらせる教訓として残ってほしい」(小川隆太郎弁護士)「判決よりいい和解。実質上の完全勝訴です」(海渡雄一弁護士)と評価した。
山口格之さん
山口県の貴賓車「センチュリー」購入は「違法」
…知事に2090万円全額支払い命じる判決
読売新聞 2022/11/02
山口格之裁判長は「知事の裁量権を逸脱または乱用した財務会計上の違法行為があった」として、村岡知事に全額の支払いを命じる判決を言い渡した。
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「知事が購入を阻止しなかったことは指揮監督上の義務に違反した過失だ」
朝倉佳秀さん
東京電力の旧経営陣4人に13兆円賠償命令
株主代表訴訟で東京地裁判決 津波対策を放置「著しく不合理」
東京新聞 2022年7月13日
約40分にわたる判決言い渡しで、朝倉裁判長は時に語気を強めながら、旧経営陣の主張を次々と退けていった。「(東電は)有識者の意見のうち、都合の良い部分をいかに利用し、都合の悪い部分をいかに無視し、顕在化しないようにするかと腐心してきた」
さらに「被告らの対応は東電内部では当たり前の行動だったかもしれないが、原子力事業者としては安全意識や責任感が、根本的に欠如していた」と厳しく批判した。
広瀬孝さん
北海道警のヤジ排除「表現の自由侵害」 道に賠償命令 札幌地裁
朝日新聞 2022年3月25日
原告男性(34)はJR札幌駅前などで応援演説をしていた安倍氏に「安倍やめろ」とヤジを飛ばし、警察官らに排除された。「増税反対」と叫んだ女性(26)も移動させられた上、警察官らに長時間つきまとわれた。
判決は、、警察官らの行為を「違法なもの」とした。 その上で、表現の自由について「民主主義社会を基礎づける重要な権利であり、公共的・政治的表現の自由は、特に重要な憲法上の権利として尊重されるべきだ」と指摘。原告らのヤジは公共的・政治的表現行為だと認めた。さらに、警察官らは原告らのヤジが安倍氏の演説の場にそぐわないものと判断して「表現行為そのものを制限した」と結論づけた。
また、原告女性につきまとった行為については、移動・行動の自由や名誉権、プライバシー権の侵害にあたると認定した。
伊藤寛樹さん
取り調べ中にトイレ行かせてもらえず失禁、
尊厳損ない「違法」…自白調書の証拠能力否定
読売新聞 2022年3月15日
伊藤寛樹裁判官は「尊厳を損なうことがないよう取り計らう義務に違反する」と判断し、自白調書の証拠能力を否定した。
平田豊さん
旧優生保護法 不妊手術強制で国に1500万円の賠償命令 東京高裁
NHK 2022年3月11日
東京高等裁判所の平田豊裁判長は「旧優生保護法は立法目的が差別的思想に基づくもので、正当性を欠き、極めて非人道的で憲法に違反する」と指摘しました。
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「国が謝罪の意を表明し、一時金の支給を定めた法律が施行された平成31年4月から5年が経過するまでは、賠償を請求できる」
西村修さん
無罪確定の男性の指紋やDNAデータ、国に削除命令 名古屋地裁
朝日新聞 2022年1月18日
無罪判決が確定した男性が、警察が保管する指紋とDNA型、顔写真データの削除などを求めた訴訟の判決が18日、名古屋地裁であった。西村修裁判長は「保管すべき具体的な必要性は示されていない」と述べ、国にデータの抹消を命じた。
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西村裁判長は、指紋やDNA型などは、みだりに取得・利用されない自由が憲法13条で保障され、データベース化によって情報漏出やどう使われるかわからないことへの不安など、国民の行動を萎縮させる効果がないとはいえないとした。
本多久美子さん
君が代不起立、元教諭逆転勝訴 再任用拒否「裁量権の逸脱」 大阪高裁
2021年12月9日 時事通信社
本多久美子裁判長は「裁量権の逸脱で違法」と述べ、請求を棄却した一審大阪地裁判決を変更し、府に315万円の賠償を命じた。
家令和典さん
患者3人中毒死事件で無期懲役 横浜地裁判決の要旨 (裁判員裁判)
朝日新聞 2021年11月9日
…更生可能性がある。 総合考慮すると死刑選択を躊躇(ちゅうちょ)せざるを得ない。生涯をかけて罪の重さと向き合わせ、償いをさせるとともに更生の道を歩ませるのが相当であると判断した。
倉田慎也さん
本部長の専決処分で沖縄に機動隊派遣、高裁が違法と判断
…110万円の支払い命令求める判決
読売新聞 2021年10月7日
沖縄県の米軍施設工事の周辺警備に愛知県警機動隊が違法に派遣されたとして、同県の住民193人が大村秀章知事を相手取り、当時の県警本部長に派遣費用分の賠償を命じるよう求めた訴訟の控訴審判決が7日、名古屋高裁であった。倉田慎也裁判長は、請求を棄却した1審・名古屋地裁判決を変更し、手続きの違法性を認め、当時の本部長に約110万円の支払い命令を出すよう知事に命じた。
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1審判決は、専決の手続きに瑕疵(かし)があるとしながら、違法性は認めなかった。しかし、高裁判決は、派遣決定が県公安委員会の専決規定で審議が必要な「異例または重要と認められるもの」に該当し、県警本部長の専決処理は許されず、違法だったと結論づけた。
森鍵一さん
大阪の「不自由展」、会場使用認める 許可取り消しの執行停止 地裁
2021年7月9日 時事通信
大阪市内で開催予定だった「表現の不自由展」をめぐり、会場への抗議が相次いで使用許可が取り消された問題で、大阪地裁は9日、実行委員会が申し立てていた取り消しの執行停止を認める決定を出した。
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森鍵一裁判長は、利用者の安全確保を理由とした許可取り消しについて、「重大な事態が発生する具体的な危険性があるとは言えない。抗議活動は一定の限度では受忍するしかない」と判断した。
大飯原発の設置許可取り消し 住民ら原告側勝訴 大阪地裁が初判断
毎日新聞2020年12月4日
森鍵一(もりかぎはじめ)裁判長は、原発が想定する地震の最大の揺れを示す「基準地震動」について、「原子力規制委員会の判断に看過しがたい過誤、欠落があり、設置許可は違法」と述べた。
・関西電力は大飯原発3、4号機の耐震性判断に必要な地震(基準地震動)を想定する際、過去の地震規模の平均値をそのまま使い、実際に発生する地震が平均より大きくなる可能性を考慮していない。
・原子力規制委員会の審議や判断には看過しがたい過誤や欠落があり、不合理。
車の通行を2時間以上制止… 県警側の違法性を認定
高江ヘリパッド抗議で那覇地裁
沖縄タイムス 2018年1月16日
2016年11月に、ヘリパッド建設が進む沖縄県東村高江周辺の県道で、沖縄県警の指揮下にあった警察官に違法に車両の通行を2時間以上制止されたなどとして、建設反対の市民を支援する弁護士が県に国家賠償法に基づく損害賠償を求めた訴訟で、那覇地裁(森鍵一裁判長)は16日、県警側の対応の違法性を認め、県に30万円の支払いを命じる判決を言い渡した。
…
「県警指揮下にあった警官が実施した留め置きやビデオ撮影は、原告の自由を制約するものであり、警察官職務執行法や警察法によっても正当化できるものではない」
白井幸夫さん
国の責任認定、原告逆転勝訴 「対策取れば事故至らず」
原発避難者訴訟・東京高裁
2021/2/19 時事通信
白井裁判長は、2002年に地震調査研究推進本部が巨大津波を発生させる地震の可能性を指摘した「長期評価」について、「相応の科学的信頼性のある知見」と指摘。長期評価の見解に基づけば、国は15メートル以上の津波の危険性を認識できたとした。
その上で、防潮堤や原発の重要機器を浸水させない水密化など事前対策は可能で、国は想定すべきだったと判断。「対策が講じられれば、津波の影響は相当程度軽減され、事故と同様の全電源喪失には至らなかった」と結論付け、事故の結果回避可能性について仙台高裁判決よりも踏み込んだ認定をした。
また、避難者が帰還するかどうかの意思決定を迫られることや、元の居住地での生活を諦めることなども精神的損害に当たると判断。慰謝料とは別に賠償すべきだとの考えを示した。
増田稔さん
防衛大いじめ 元学生逆転勝訴 国に268万円賠償命令 福岡高裁判決
2020/12/9 毎日新聞
原告側弁護士によると、防衛大でのいじめで国の安全配慮義務違反を認めた判決は全国初とみられる。
…
増田裁判長は、防衛大に対しても「暴力などを防止するため、教官がどのように指導すべきか大学内での検討も不十分だった」と批判。国の安全配慮義務違反と男性の休学、退校との因果関係を認めた。男性の損害額としては、医療費などから算出。一方、幹部自衛官に任官していればもらえたと見込める給料などは認めなかった。
上田哲さん
原発事故で国の責任認める 仙台高裁 2審で初めて
NHK 2020年9月30日
判決で、仙台高等裁判所の上田哲裁判長は
「平成14年に政府の地震調査研究推進本部が発表した地震の『長期評価』を踏まえた試算をしていれば、大規模な津波が到来する可能性を認識することができた。国が東京電力に対策を求める権限を行使しなかったのは違法だ」と指摘し、東京電力とともに国の責任を認めました。
また「国と東京電力は『長期評価』に基づく津波の試算を行って対策を講じた場合の、主に東京電力の経済的な負担などの影響の大きさを恐れるあまり、試算自体を避けるなどしたと認めざるを得ない」と、指摘しました。
そのうえで1審では、東京電力の半分にとどまるとした国の賠償責任の範囲について「国がみずからの責任で原発の設置を許可したもので、範囲を限定するのは相当ではない」などと指摘し、東京電力と同等の責任があるとして、国と東京電力に総額でおよそ10億1000万円の賠償を命じました。
宮崎裕子さん
(こちらにもリストアップされています:裁判官メモ:疑問を感じる判断をした方の名前 )
ふるさと納税訴訟 大阪 泉佐野市勝訴 市除外を取り消し 最高裁
NHK 2020年6月30日
最高裁判所第3小法廷の宮崎裕子裁判長は「総務省がふるさと納税制度の指定を受けられる基準を定めた告示は、法律改正前に著しく多額の寄付金を集めたことを理由に指定を受けられなくするものといえる。法律の条文や立法過程の議論を考慮しても、総務大臣にこのような趣旨の基準を定めることが委ねられているとはいえず、告示のうち、過去の募集状況を問題とした部分は違法で無効だ」と指摘しました。
小川理津子さん
NHK映らない加工テレビ 「受信契約義務なし」 東京地裁判決
毎日新聞 2020年6月26日
NHKは、電波を増幅するブースターを取り付けたり、工具を使って復元したりすれば、放送を受信できると主張したが、小川理津子裁判長は「ブースターがなければ映らないのであれば契約義務はない。自分で加工をしたわけではなく、専門知識のない女性に復元は困難だ」と退けた。
岡部豪さん
「違法な検査」と無罪判決 覚醒剤密輸事件で千葉地裁
産経新聞 2020.6.20
千葉地裁(岡部豪裁判長)は、「同意も令状もなく手荷物の解体検査をしており、税関の検査には重大な違法性がある」として無罪判決を言い渡した。
判決によると、男性は税関でスーツケースを解体して検査する同意書への署名を拒否。税関職員は同意や令状のないままカッターなどで破壊し中から覚醒剤を見つけた。
判決理由で岡部裁判長は「解体検査は旅客の被る不利益が極めて大きく、特段の事情がない限り同意も令状もなく行うことは許容されない」と指摘。今回の検査に特段の事情はなく、違法な検査で得られた覚醒剤の証拠能力は否定すべきだとした。
小川秀樹さん
君が代で起立せず停職 元教職員の処分取り消す判決 東京高裁
NHK 2020年3月25日
「積極的に式典を妨害したわけではなく、君が代を斉唱する際に起立しなかったという消極的な行為で、処分とのバランスを著しく欠き、裁量権を逸脱して違法だ」と指摘して、1審とは逆に懲戒処分を取り消しました。
森一岳さん
「活断層調査は不十分」「阿蘇山噴火も考慮を」伊方原発差し止め、逆転決定 広島高裁
毎日新聞 2020年1月17日
決定で森一岳裁判長は、四電が十分な調査をせずに、活断層が敷地沿岸部に存在しないと判断し、必要な地震の揺れの評価もしていなかったと指摘。四電が申請した安全審査を原子力規制委が合格と判断した点について「過程に過誤ないし欠落があったといわざるを得ない」と断じた。また、破局的噴火でなくても、四電が想定する噴出量の3~5倍が見込まれ、この過小な想定を前提にした原子炉設置変更許可申請を問題ないと判断した規制委の判断は不合理だと結論付けた。
中本敏嗣さん
「森友学園」情報開示訴訟 市議側が全面勝訴 値引き根拠示さぬ国「違法」 大阪高裁
毎日新聞2019年12月17日
一部を適法とした1審判決を変更し、全額の賠償を命じた。国が値引きの根拠を非開示にしたことを1審は適法と判断したが、中本敏嗣裁判長は違法と指摘。「値引きの根拠は売却価格と同様に、公表すべき重要な情報だ」として、市議側の主張を全面的に認めた。
内藤裕之さん
調理師死亡は「過労が原因」 大阪地裁が認定 ミシュラン掲載店に勤務
毎日新聞 2019年5月15日
フランス料理店で働いていた男性調理師がウイルス性の心疾患で死亡したのは、過重労働が原因だとして、男性の妻が遺族補償年金などを不支給とした国の処分を取り消すよう求めた訴訟の判決で、大阪地裁は15日、取り消しを命じた。内藤裕之裁判長は、男性の時間外労働が月250時間に達していたと認定し、「過労で免疫に異常が生じた」として死亡との因果関係を認めた。
…
「業務と感染症の因果関係が不明」などとする国の主張を退けた。
三輪方大(まさひろ)さん
1型糖尿病「障害基礎年金の打ち切りは違法」 患者9人が全面勝訴 大阪地裁
毎日新聞2019年4月11日
幼少期に発症することが多い「1型糖尿病」の患者9人が、理由を明示されずに障害基礎年金を打ち切られたとして、国に処分の取り消しを求めた訴訟の判決で、大阪地裁は11日、患者側の主張を全面的に認め、全員の処分取り消しを命じた。
野山宏さん
「民間企業への威嚇」認定 国に530万円賠償命令
2019/4/10 朝日新聞
会社の元社長が、仕事とは無関係の市民活動を理由に国土交通省の幹部から「公共事業の発注を中止する」と脅され、取締役辞任に追い込まれたなどとして、国に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が10日、東京高裁であった。野山宏裁判長は、「民間企業への威嚇」だと判断し、請求を棄却した一審・東京地裁判決を変更し、国に約530万円の賠償を命じた。
…
判決は、国交省幹部の対応を「民間企業の経営や個人の進退に対する、法律に基づかない介入」だと指摘。「請願権」を保障した憲法16条にも違反するとして、男性が受け取れたはずの役員報酬などの賠償を命じた。
平山馨さん
目取真さん拘束、国に賠償命じる 那覇地裁、辺野古抗議の逮捕違法
2019/3/19 共同通信
平山馨裁判長は、国内の捜査機関は米軍から速やかに容疑者の身柄を引き取る必要があるとし、米軍は今回、身柄拘束から3分後には海保側に通知していたと指摘。「引き取りが遅れたことに合理的な理由はない。緊急逮捕も、注意義務違反があるため違法だ」と述べた。
金沢秀樹さん
奨学金で生活保護減額は違法=「収入認定検討せず」賠償命令―福島地裁
時事 2018/1/16(火)
福島市が奨学金を収入と認定し、生活保護費を減額されたことで精神的苦痛を受けたとして、市内の30代女性と高校生の長女が市に計100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が福島地裁であった。 金沢秀樹裁判長は、処分は違法として、母娘に各5万円を支払うよう命じた。…
金沢裁判長は「市は奨学金が収入認定除外の対象となるかどうか検討しておらず、裁量権を逸脱し違法」と指摘。「母親は経済的に深刻な不安を抱き、長女は努力して獲得した奨学金を事実上没収された」として、いずれも精神的損害を認めた。
野々上友之さん
<伊方運転差し止め>広島高裁の野々上裁判長、今月退官へ
毎日新聞 2017/12/13
伊方原発3号機の運転差し止めを求めた仮処分申請の即時抗告審で、申し立てを却下した今年3月の広島地裁の判断を取り消し、四電に運転差し止めを命じる決定を出した。
…
広島地裁判事だった09年、救護などに携わった「3号被爆者」が被爆者手帳交付を求めた集団訴訟を担当。広島市の漫然とした事務を批判し、市による交付申請の却下処分を取り消して原告全面勝訴を言い渡している。
岡田治さん
生活保護打ち切りに「違法」判決 津地裁
朝日新聞 2017年11月21日
十分な検討をせず一方的に生活保護を打ち切ったとして、30代女性が市に慰謝料など220万円の支払いを求めた訴訟の判決が20日、津地裁であった。岡田治裁判長は「市が調査を尽くしたとは認められない」と述べ、市の打ち切り処分を違法と認め、市に5万5千円の支払いを命じた。
都築政則さん
警視庁の職務質問「違法」、都に賠償命令 東京地裁
日本経済新聞 2013/5/28
警視庁の違法捜査で精神的苦痛を受けたなどとして、男性会社員が東京都などに約200万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決で、東京地裁(都築政則裁判長)は28日、男性への職務質問を違法と認め、都に5万円の支払いを命じた。…
都築裁判長は「男性に異常な挙動など犯罪を疑う理由はない」とし、職務質問と所持品検査を違法と判断した。その後の任意同行や指紋採取は「当時、男性が承諾していた」として適法とした。
裁判官メモ:疑問を感じる判断をした方の名前 (随時更新)
良心的な裁判官。
コメントありがとうございます。
参考にさせてもらいますね。