村野瀬玲奈の秘書課広報室

核発電は福島の事故に見られるように事故等起きれば取り返しがつきません。
地震大国日本には向きません。
そして何より核発電は核兵器の原料であるプラトニウム生成のために作られた悪しきものだということです。
自民党政権が危険だとわかっていながら核発電に固執するのは党内に安倍晋三のような多くの核武装論者がいるからです。
彼らは核兵器を保有するための技術を失いたくないのです。
核兵器は人間が作り出した最も愚かな物の一つです。
核兵器は根絶を！
そのためには「ダツダツ脱原発！」が求められます。

「完全版　チェルノブイリの祈り」(スヴェトラーナ・アレクシェーヴィチ/岩波書店)に記述されていた一部を紹介します。

　ある消防士の妻の証言

　あの人は礼装用の軍服を着て，胸のうえに制帽がのっかっていた。靴はサイズがなかった。足が腫れあがっていたんです。足ではなく爆弾みたいな形。制服も切られていた。着せることができなかったんです，完全なからだがもうなくなっていたから。全身が血のついた傷。手を持ち上げると骨がぐらぐら，ぶらぶらしていた。からだの組織が骨から離れたんです。肺のかけら，肝臓のかけらが口から出てきた。自分の内臓で窒息しそうになっていた。
　礼装用軍服の夫がポリ袋に押し込まれ，くちが結ばれました。この袋が木の棺の中に入れられて棺はさらにもうひとつの袋でくるまれた。ポリ袋は透明ですが，防水布みたいにぶ厚かった。そしてこれがぜんぶ亜鉛の棺に押し込まれるように納められたんです。

　ある母親の証言

　娘は生まれたとき，あかちゃんではなく，生きた袋でした。まわりがすっぽり縫いあわさった袋，ちいさな目だけが開いていたんです。カルテにはこう書かれています。「女児。多数の複合異常を伴って誕生。鎖肛，膣無形成，左腎無形成」四年間に四度の手術。こんな複合異常がありながら生きているのは，ベラルーシにこの子ひとりだけ。娘をとても愛しています。
　娘に肛門が作られた。膣が形成される。最後の手術のあと，排尿が完全にとまりました。カテーテルの挿入がうまくいかなかったので，また何回かの手術が必要です。これ以上の手術について外国でするようすすめられました。でも数万ドルのお金をどうしろっていうの。ある教授がこっそり教えてくれました。「外国の病院に手紙を書きなさい。関心をひくはずです」と。だから手紙を書いています。三十分おきに両手でおしっこをしぼりださなくちゃならないこと，おしっこは膣のあたりに点々とある穴からでることを。そうしないと，ひとつしかない腎臓がだめになるのです。三十分おきに両手でおしっこをしぼりださなくちゃならないなんて、世界にどこにこんな子どもがいますか、
　わたしは気ちがい呼ばわりされ，こんな子どもは古代ギリシャでもむかしの中国でも生まれていたといって，バカにされました。どなった役人がいたんです。「チェルノブイリの特典めあてだ！チェルノブイリの補償金めあてだ！」と。

　文学を教えている女性の証言

　若い妊婦がとつぜん亡くなった。診断なし、病理解剖学者でさえも診断がくだせなかった。小さな女の子が首をつった。五年生。これという理由もなく。親御さんは気もくるわんばかりです。すべてに対して診断されるはひとつ―チェルノブイリ－，なにが起きてもみんながいう，チェルノブイリだと。わたしたちは非難される。「恐れているから病気になるんです。原因は恐怖。放射線恐怖症です」。しかし，小さな子どもたちが病気になり，死んでいくのはどうしてですか。彼らは恐怖というものを知らない，まだ理解できていないのに。

　1999年9月30日，茨城県東海村で日本国内で最初の臨界事故が起きました。看護師は今まで見たことも聞いたこともない病状に変化していく患者を「肉塊」という言葉で表現するに至りました。二人の作業員が悲惨な亡くなり方をしました。このことを忘れてはいけないと思います。もちろん福島第一原子力発電所の事故でも少なくとも60人が亡くなっていますが，詳細は知らされていません。

　スヴェトラーナ・アレクシェーヴィチの「チェルノブイリの祈り」をお読みになった方もいると思いますが，大幅に加筆された完全版が2021年2月17日付で第一刷が発行されています。ぜひ完全版に目を通していただきたいと思います。

　1988年6月，アメリカ軍のヘリが伊方原発から800mのところに墜落しました。800mずれていれば西日本はそのとき消滅していたと言われています。

　「隠して核武装化する日本」（槌田敦ほか/影書房）の中で，槌田敦さんは次のように言っています。

　日本人の中には，北朝鮮と同じように，核兵器を所有すれば世界を脅すことができて，外交がうまくいくと考えている人達がまだいる。少なくとも，核兵器をつくる能力とその材料としての60%以上の濃縮ウラン，または94%以上の濃縮プルトニウムの生産能力が必要と考えている。しかし，日本には54基（東北大震災前の数，現在は33基）の原発がある。そして，それと同じ数以上の使用済み燃料プールがあり，核爆発物をかかえている施設は合計100カ所以上ある。もしも，日本が核兵器を所有して相手を脅したりすれば，この100カ所に対して通常ミサイル攻撃がなされて，福島第一原発3号機のような核爆発を起こすことになる。テロやゲリラでも原発攻撃は可能である。原子炉格納容器の隣にある中央制御室，または原子炉建屋とタービン建屋との間の配管室を攻撃して炉心の冷却ができなくなれば，福島第一原発2機のように大量の放射能が放出される。つまり，日本が核兵器を所有しても無駄で，通常兵器でも充分に反撃できる。

　また，同書で柳田真さんは次のように述べています。
　毒物対策もできず，働く人をヒバクさせて，地震に弱く，核のゴミを未来永劫管理せねばならないーこれだけ多くの問題を抱えているにもかかわらず，なぜ原発推進なのか，税金を多額に投じる国策として維持されるのかー多くの人が持つ疑問です。そこには”日本核武装という隠れた狙い”が日本の支配層にある，と考えるしか，回答は出て来ません。米国でも英国でも仏国でも，原子力（核）の軍事利用と平和利用はもともと”一体のもの”です。日本では，発電所の場合は「原子力」と訳し，兵器の場合は「核」と訳して，二つを使い分け，国民をゴマ化してきています（韓国や台湾では発電所を”核電”と表現しています）。

　2022年5月29日に新潟県知事選挙が行われます。花角現知事に対抗して出馬したのは片桐なおみさんです。原発の廃止と女性の活躍を訴えています。しかし，行政経験がなく元大学教授であったという学識経験もありません。
当選はなかなか難しいのではないでしょうか。柏崎刈羽原発があるおかげで仕事についている人が多くいます。原発をなくしたら彼らの仕事をどう確保するのか，原発と核兵器は表裏一体のものであることなど，ていねいに説明しなければいけないと思います。なお，新潟県は原発がなくても十分に電力があります。原発で作られる電機はすべて首都圏に送られています。一般家庭は東京電力ではなく，東北電力の電気を使います。こういった事情は福島第一原発と同じです。もちろん私は片桐なおみさんに投票しますが。

チェルノブイリをめぐる小話です。
　それは現地の人を笑いものにするのではなく，現地の人が笑い話でも
しないとやってられないという気持ちから出たものです。

①　チェルノブイリの立入禁止区域でタバコの葉っぱが栽培されました
　とさ。工場はこの葉っぱでタバコを作りました。ひとつひとつの箱に
　書かれていました。「保健省の最終警告ー喫煙は健康に有害」・・・
　あはは，ここのじいさんたちは吸ってるよ。

②　チェルノブイリの女がふたり話していましたとさ。「聞いたかね?
　いまじゃあたしたちみんな白血病だってよ」「ふん，ばかくさ。あた
　しゃ昨日指を切ったけど，赤い血がでたよ」。

③　チェルノブイリの被災者の特典に関する政令。発電所から２０キロ
　圏内に住む者は，姓のまえに「貴族（フォン）」をつけること，１０
　キロ圏内はすでに「殿下さま（スヴェートロスチ）」で，発電所のす
　ぐそばで生き残っている者は「閣下さま（シャーチェリストヴォ）」。

④　市場でウクライナのおばさんがでっかくて赤いリンゴを売ってたと
　さ。「さあ，いらっしゃい，いらっしゃい。リンゴを買っとくれ。
　チェルノブイリのリンゴだよ」だれかが助言する。「おばさん，チェ
　ルノブイリって言っちゃだめだよ。だれも買ってくれないよ」「とん
　でもない買ってくんだよ。姑にやら，上司にやらって！」。

　大飯原発運転差し止め訴訟において，福井地裁が2014年5月21日に下した判決の結論や裁判官がどのように処遇されたか周知のところですが，今一度判決の内容を確認しておいてもよいのではないかと思います。

　判決は，「ひとたび深刻な事故が起これば多くの人の生命，身体やその生活基盤に重大な損害を及ぼす事業に関わる組織には，その被害の大きさ，程度に応じた安全性と高度の信頼性が求められて然るべきである。このことは，当然の社会的要請であるとともに，生存を基礎とする人格権が公法，私法を問わず，すべての法分野において，最高の価値を持つとされている以上，本件訴訟においてもよって立つべき解釈上の指針である。個人の生命，身体，精神及び生活に関する利益は，各人の人格に本質的なものであって，その総体が人格権であるということができる。人格権は憲法上の権利であり（１３条，２５条），また人の生命を基礎とするものであるがゆえに，我が国の法制下においてはこれを超える価値を他に見出すことはできない。したがって，この人格権とりわけ生命を守り生活を維持するという人格権の根幹部分に対する具体的侵害のおそれがあるときは，その侵害の理由，根拠，侵害者の過失の有無や差止めによって受ける不利益の大きさを問うことなく，人格権そのものに基づいて侵害行為の差止めを請求できることになる。人格権は各個人に由来するものであるが，その侵害形態が多数人の人格権を同時に侵害する性質を有するとき，その差止めの要請が強く働くのは理の当然である。」と述べ，「原子力発電所に求められるべき安全性，信頼性は極めて高度なものでなければならず，万一の場合にも放射性物質の危険から国民を守るべく万全の措置がとられなければならない」としています。
　人格権に基づく本件の差止め請求権は，生命を守り，生活を維持するという人格権の中でも根根源的な権利であるとし，「原子力発電所の稼働は法的には電気を生み出すための一手段たる経済活動の自由（憲法２２条１項）に属するものであって，憲法上は人格権の中核部分よりも劣位に置かれるべきものである。しかるところ，大きな自然災害や戦争以外で，この根源的な権利が極めて広汎に奪われるという事態を招く可能性があるのは原子力発電所の事故のほかは想定し難い。かような危険を抽象的にでもはらむ経済活動は，その存在自体が憲法上容認できないというのが極論にすぎるとしても，すくなくともかような事態を招く具体的危険性が万が一でもあれば，その差止めが認められるのは当然である」。
　「新しい技術が潜在的に有する危険性を許さないとすれば社会の発展はなくなるから，新しい技術の有する危険性の性質やもたらす被害の大きさが明確でない場合には，その技術の実施の差止めの可否を裁判所において判断することは困難を極める。しかし，技術の危険性の性質やそのもたらす被害の大きさが判明している場合には，技術の実施に当たっては危険の性質と被害の大きさに応じた安全性が求められることになるから，この安全性が保持されているかの判断をすればよいだけであり，危険性を一定程度容認しないと社会の発展が妨げられるのではないかといった葛藤が生じることはない。原子力発電技術の危険性の本質及びそのもたらす被害の大きさは，福島原発事故を通じて十分に明らかになったといえる。本件訴訟においては，本件原発において，かような事態を招く具体的危険性が万が一でもあるのかが判断の対象とされるべきであり，福島原発事故の後において，この判断を避けることは裁判所に課された最も重要な責務を放棄するに等しいものと考えられる」。
　また具体的危険性の有無を判断することは，「人格権の我が国の法制における地位や条理等によって導かれるものであって，原子炉規制法をはじめとする行政法規のあり方，内容によって左右されるものではない。」と言い切っています。
　「この地震大国日本において，基準地震動を超える地震が大飯原発に到来しないというのは根拠のない楽観的見通しである。」と述べ，「基準地震動に満たない地震によっても冷却機能喪失による重大な事故が生じうるというのであれば，そこでの危険は，万が一の危険という領域をはるかに超える現実的で切迫した危険と評価できる」としました。
　「国民の生存を基礎とする人格権を放射性物質の危険から守るという観点からみると，本件原発に係る安全技術及び設備は，万全ではないのではないかという疑いが残るというにとどまらず，むしろ，確たる根拠のない楽観的な見通しのもとに初めて成り立ちうる脆弱なものであると認めざるを得ない。……本件原子炉及び本件使用済み核燃料プール内の使用済み核燃料の危険性は運転差止めによって直ちに消失するものではない。しかし，本件原子炉内の核燃料はその運転開始によって膨大なエネルギーを発出することになる一方，運転停止後においては時の経過に従って確実にエネルギーを失っていくのであって，時間単位の電源喪失で重大な事故に至るようなことはなくなり，破滅的な被害をもたらす可能性がある使用済み核燃料も時の経過によって崩壊熱を失っていき，また運転停止によってその増加を防ぐことができる。そうすると，本件原子炉の運転差止めは上記具体的危険性を軽減する適切で有効な手段であると認められる。
　被告は本件原発の稼働が電力供給の安定性，コストの低減につながると主張するが，当裁判所は，極めて多数の人の生存そのものに関わる権利と電気代の高い低いの問題等とを並べて論じるような議論に加わったり，その議論の当否を判断すること自体，法的には許されないことであると考えている。我が国における原子力発電への依存率等に照らすと，本件原発の稼働停止によって電力供給が停止し，これに伴って人の生命，身体が危険にさらされるという因果の流れはこれを考慮する必要のない状況であるといえる。
　被告の主張においても，本件原発の稼働停止による不都合は電力供給の安定性，コストの問題にとどまっている。このコストの問題に関連して国富の流出や喪失の議論があるが，たとえ本件原発の運転停止によって多額の貿易赤字が出るとしても，これを国富の流出や喪失というべきではなく，豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していることが国富であり，これを取り戻すことができなくなることが国富の喪失であると当裁判所は考えている」。

　経済活動の自由は人格権に優位するものではないこと，豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活してることが国富であり，これを取り戻すことができなくなることが国富の喪失である，と言っているところが重要だと思います。国富とは安倍晋三が唱えた「富国強兵」ではない，従来言われてきた「富国」は多国籍企業が豊かな国になることで，国民の多くが格差と貧困に苦しむ現状を改善しようというものではまったくありません。
　「憲法をくらしのなかに生かす」ことこそ重要であり，改憲への対案は誠実に憲法を順守する，に限られるのではないでしょうか。

　トルコ大地震により多くの人々が命を失い，助かった人々も甚大な被害を蒙りました。被害に遭われた人々に深い悲しみと同情をお伝えできればと思います。
　さて日本では救助隊の活動や民間人からの善意による寄附金のことが取りあげられていますが，地震大国である日本に40数基の原子力発電所があり，地震になって炉心融解・爆発が起きることはないかのようにマスコミは素通りしています。東北大震災での原発事故は再び起きないと断言できるのでしょうか。昨今の電気代の異常な高騰に，原子力発電所を稼働させるべきだという小規模経営者もいるようです。
　先制的攻撃を主張してやまない人々も原子力発電所が狙われることはいっさい口にしません。どんな大地震があっても原発は無事だ，日本が先制攻撃した相手国からミサイルが発射されても原発には絶対当たらないと思っているのでしょうか。識者はこれらの危険性について語るべきです。