参院選前に安倍政治を考える |
(2016参院選 安倍政治を問う:下) 日銀人事、染めた「安倍色」 2016年6月10日05時00分
安倍政権における「中立機関」の人事と実行された政策
「おい、この人はだれだ」「ネットで調べろ」
3月4日、日本銀行の新しい審議委員に桜井真氏をあてる人事案 が国会に示されると、日銀本店は騒ぎになった。サクライ・アソシ エイト国際金融研究センター代表という桜井氏は「日銀内でほぼ知 名度ゼロ」(日銀幹部)。関係部局は桜井氏の名を検索するなど情 報収集に追われた。
日銀にとって、6人の審議委員は3人の正副総裁とともに金融政 策を決める重要ポストだ。マイナス金利政策の導入を決めた1月の 金融政策決定会合では賛成5と反対4が拮抗(きっこう)しており、 マイナス金利賛成の桜井氏は、反対した白井さゆり委員の後任だ。
安倍晋三首相に近い閣僚は、首相ブレーンの本田悦朗内閣官房参 与が「桜井氏を首相に紹介した」と明言する。日銀OBによると、 かつて審議委員の人選は水面下で財務省が候補者リストを作り、政 府に示す慣例が続いたという。日銀が相談を受けることもあったが、 今回は蚊帳の外だった。
明らかな官邸主導人事に与党からも異論が出た。
「この人は何者ですか」。政府側から桜井氏の人事案を聞かされ た公明党幹部は語気を強めた。政府の担当者は首相ブレーンの浜田 宏一・米エール大名誉教授と桜井氏が共同で出した論文を持ってき たが、1970年代のものだった。「何年前の論文なんだ。結局、 自らの政策に合うか、合わないかだけで選んでいる」
安倍政権の人事の特徴は、安定した政策決定の必要から独立、中 立が求められてきた組織のトップに、自らの政策と方向性が同じ人 物を起用する点にある。典型例が日銀だ。
日銀法は、日銀の自主性の尊重を明記するが、2012年に自民 党総裁に返り咲いた安倍氏は「日銀法を改正してでも、日銀にもっ と金融緩和をやらせるべきだ」と強調した。
首相の経済政策に批判的だった白川方明(まさあき)総裁が13 年3月に任期を待たずに退任すると、後任総裁には大規模な金融緩 和論者で、首相が小泉内閣の官房副長官時代に財務省財務官として 知り合いだった黒田東彦(はるひこ)氏を起用。アベノミクスの第 1の矢である金融緩和を進めた。
「のりを超えてはいないか」。自民、民主両政権で経済政策を担 った与謝野馨元財務相は、今の政府と日銀の関係についてこう懸念 する。「どの国の中央銀行も政府と距離を持って金融政策を行って いるが、今の日銀は政権がめざす方向に進むしかなく、独立性を失 っている」
■慣例崩し異論排す
日銀と同様、官邸主導人事が断行されたのが内閣法制局だ。
内閣法制局は政治的な立場を離れ、法律を厳密に解釈する立場か ら「法の番人」と呼ばれる。長官は総務、財務、経済産業、法務の 4省出身者が交代で就任し、法制次長から長官に内部昇格する原則 もあったがゆえに、政治介入の余地を与えなかった。
しかし12年末、安倍氏が首相に返り咲くことが決まった直後か ら、安倍首相の側近は山本庸幸(つねゆき)長官に「集団的自衛権 の行使を認めるために憲法解釈の変更はできるか」と2回、探りを 入れた。法制局は長年、憲法9条のもと集団的自衛権の行使はでき ないとしてきたが、首相は憲法解釈を変更しようとしていたからだ。
山本氏が「できません」と答えると、首相は13年8月に人事を 断行。憲法解釈の変更に前向きだった外務省出身の小松一郎氏(故 人)を抜擢(ばってき)し、法制局の不文律が初めて崩れた。その 後、15年秋に集団的自衛権の行使容認を含む安全保障関連法が成 立した。
「不偏不党」を掲げるNHK関連の人事にも「安倍色」は及んだ。
13年秋、政府は「安倍首相を求める民間人有志による緊急声明」 に名を連ねるなど、安倍氏と関係の深い作家の百田尚樹氏、埼玉大 名誉教授の長谷川三千子氏をNHK経営委員とする人事案を国会に 示した。12人の経営委員はNHK会長の任命権を持つ。その経営 委が選んだ籾井勝人会長は就任会見で領土問題について「(国際放 送で)政府が右と言うことを左と言うわけにはいかない」などと述 べ、政権寄りとの批判を受けた。
安倍政権は人事権を最大限いかし、スピード感ある「決められる 政治」を具現してきた。しかし、異論を排して意に沿った人物を登 用する手法は、首相への権力集中を加速している。ブレーキ役の見 当たらない「安倍1強体制」が問われている。 (岡村夏樹、藤田知也) 朝日新聞
「安倍政治を問う」という朝日新聞のシリーズ。 の最後かな? 今回は、え~と、7段落目になりますか、 >安倍政権の人事の特徴は、安定した政策決定の必要から独立、中 >立が求められてきた組織のトップに、自らの政策と方向性が同じ人 >物を起用する点にある という点を問うもののようですよ。
そして、 >典型例が日銀だ と、日銀審議委員や日銀総裁の選び方が紹介されてます。 それから、内閣法制局長官やNHKの人事についても。
で、記事の最後は、 >安倍政権は人事権を最大限いかし、スピード感ある「決められる >政治」を具現してきた。しかし、異論を排して意に沿った人物を登 >用する手法は、首相への権力集中を加速している。ブレーキ役の見 >当たらない「安倍1強体制」が問われている。 となってますが。
まぁ「安倍1強体制」というのは、自民党を勝たせた有権者の選択 の結果だから、仕方ないとしても、「1強」となっても、その権力の 行使のやり方は、安倍っち(安倍晋三・首相)独自のものですよねぇ。
日銀を支配し、内閣法制局を従わせ、NHKさえ「政府が右と言うこと を左と言うわけにはいかない」という人物を会長に据える安倍っち が、まだ司法に手を出してないというのは救いなのでは?!
安倍戦争法案(安保関連法案)のときに、「憲法判断をする最終機関 は最高裁ですから」などと稲田朋美先生が言ってましたが、その最 高裁の人事にまで、安倍っちが手を出すようになると、もう「安倍 1強体制」を超えて、安倍独裁体制ですよねぇ~。
そうなるとホント怖いですよ~。(@_@) 漠然とした不安ではなく現実の問題として、去年12月、最高裁で選 択的夫婦別姓を認めない現在の民法は違憲ではないという判決が出 ました。
まっ、リベラルな政権ができて、民法を改正してくれればいいんで すけど、今のTDP(民進党)を見てると、あまり期待も持てないよう な、、、。(T_T)
それでも、絶望しないでいられるのは、このまま保守政権が続いて も(ということは国会で保守政党が多数を占めるということですが) 15年か20年もすれば、最高裁が選択的夫婦別姓を認めない民法は違 憲である!と違憲判決を出してくれるだろうという信頼があるから ですよ。(*^^*)
2・3年前に婚外子差別に違憲判決が出たと思いますが、その15年く らい前には、婚外子差別を合憲とする判決でしたから。 それを考えると、選択的夫婦別姓も、そのくらい待てば、いくら 違憲判決を出したがらない最高裁でも、違憲判決となるのではない かと思ってるのですが。
これが、安倍っちのような手法で、法務省が出してくる人事案を無 視して、選択的夫婦別姓を認めない民法は違憲ではない!と考える 保守的な人物を最高裁判事に送り込むようなことになれば、もう、 国会も保守、最高裁も保守となっては、たまりませんよねぇ。
結局、国民が被害を被ることになりますからねぇ~。
まぁ~、あれじゃないですか、こういう手法の安倍政治がどういう 末路となるか。それで、「こういうことをしてたのでは、ダメなん だな」と後輩政治家も学習するのでは、、、?
安倍っちの最後ですか? それは、「アベノミクスなんか全然うまくいかないじゃないか! 何 がこの道しかないだ!? この後始末はどうするんだよ、一体?!」 とアベノミクスの失敗がはっきりすることになると、国民のみなさん こんな考えになるでしょうから、そのときは「1強」がアダとなって、 自民党の内部には反対する人はいませんから、「自民はダメだ!」と なって下野するしかなくなりますよ。
まっ、強みといいますか武器としてきたものが弱点となると、、、。 歴史の教訓が作られますよ。たぶん。
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