村野瀬玲奈の秘書課広報室

　過去に辺見庸さんが，橋↓徹はテレビ界が生み出したク〇みたいな存在であると言いました。
　山口県光市での親子殺害事件で，被告人の弁護団を糾弾することをテレビ番組で呼びかけ，憎悪によってテレビデビューした弁護士だと言えます。

　橋↓徹の言動を見ていると，よく右派が使う二項対立を使っています。
　本来は比較にならないくらい，無視されるべき論を誇大に膨らませ，あたかも対立する考えが同等の重みをもつかのようにします。

　橋↓徹の信仰は分からないのですが，その言動を見ていると「折伏（しゃくふく）」というものを連想します。折伏というのは日蓮宗関係に出てくる宗教用語です。悪人・悪法を打ち砕き，屈服させること，転じて執拗に説得・議論をして相手を屈服させ，自分の考えに従わせることを言います。
　
　創価学会のことを悪く言うつもりはありませんが，創価学会は他の宗派のところに赴き，道場やぶりのように論戦をしかけて相手を屈服させました。また仏壇の中にあるものを整理し，創価学会が本尊としてあがめるものを残し全て焼き捨てました（私の親戚で実例があります）。
　ひと昔前は選挙になると，公明党の候補に投票するような電話が多かったものです。
　創価学会の信者は自称800万家庭と言われています。橋↓徹がテレビに頻繁に出演し，喝さいをあびるのは，視聴者に中に彼の「折伏」のような言動に共感を覚える人がいるからではないでしょうか。関西地方でも創価学会の人は多いと思います。

　橋↓徹は，子どもとの対談で，子どもから涙まじりで教育のことについてお願いされたのに，「君たちが政治家になってから変えなさい」と冷たく言い放ちました。彼は弱者の声を聞こうとはしません。

　なお同じ日蓮宗系の立正佼成会は宥和的で喧嘩早くはありません。

＞Takeshiさん

公明党の候補に投票するようにと話しかけられたことがあります。夫婦で信者の方々のようでした。
こんなにダメな自民党政治を支える公明党に好意的になることはできませんと言ってにっこり笑ってお断りしましたが、よくもわるくも公明党の強さはある種の信仰心に支えられたパワフルな実働部隊なのだと思いました。

話変わって維新、あるいは橋下徹のことですが、維新のような人たちが社会の中に一定数いるのは仕方ないとして、マスメディアの中に維新に好意的な人、あるいは維新の問題点を理解していない人が多いように見えるのが創価学会とはまた違った頭痛の種です。名前は忘れましたが、ツイッターを使っているある朝日新聞の記者が橋下徹への好意あるいは期待感を隠していない投稿をしているのを見て、深く嘆いたことを覚えています。

　自分の地位を利用して順番を無視してPCR検査を受ける，ワクチン接種を受けるなどの現象がちらほら見られるようになりました。沈没する船から救命ボートに乗り込もうとする女性，子ども，年配者を押しのけて乗り込もうとするようなもので，とても「美しい日本」とは言えません。

「配分される死―パンデミックとトリアージ」（美馬達哉・「福音と世界」2021年6月号）から一部引用します。

　2020年3月にCOVID-19に感染した高齢のカトリック司祭が自ら治療を拒否し,「人工呼吸器を若者に使ってください」と言い残して亡くなったというフェイクニュースがあった。ジュゼッペ・ベラデッリ神父（72歳）がCOVID-19で命を落としたのは事実だが，そのことに関して人工呼吸器の配分が問題になったことはない。

　この場合,不足している医療資源（人工呼吸器）を患者が「自発的に」譲ることで配分したとの（虚偽の）物語となっている。高齢者が自ら犠牲となった物語が「美談」として流通する背景には，医療資源の配分において高齢者の優先度は低いことを当然として自覚しろと暗黙に強制する序列付けの価値観があるのではないかと思う。

　こうした医療資源の配分を事前にルール化して,医療提供側が，患者をグループ分けした上で,治療の優先度の順位をつけることを「トリアージ」という。
　2020年3月に日本の生命倫理・医療倫理学者の一部がCOVID-19の流行している中でトリアージを肯定し，「人工呼吸器が払底した状況下においては，人工呼吸器の再配分は許容されうる」との提言を公表した。複数の患者を比較した上で，救命可能性の高い人を有線することを意味する。そして配分ではなく,「再配分」ということは，人工呼吸器を効率的に利用するために,すでに人工呼吸器による治療を受けている人の治療を中止して死ぬにまかせ，別の（もっと救命可能性の高い）重症者に人工呼吸器を使うことを指している。

　日本では1995年の阪神大震災のころから，災害で多数の負傷者が出たとき,誰を優先して現場から病院に移送すべきかの順位付けがトリアージとして議論されることが多くなった。この災害トリアージとは別に日本ではリアージ｣という制度も存在している。2012年ころから保険診療として認められたもので，救急外来を受診した患者が緊急の処置が必要な状態か待合室で待てる状態かを診察前に振り分けることを意味する。さらに, COVID-19の流行に伴い，それが拡大解釈されて運用されている。つまり,医療機関で発熱した患者を通常とは別の診察室に案内することも，保険診療上は院内トリアージの一つとして扱われている。

　私たちはウェブ上での記述式の質問票を用いて,「閉じ込め症候群（ロックトイン・シンドローム）」の人々に対する調査実施した際､COVID-19に関連したトリアージに対しての意見を調べた。「閉じ込め症候群」とは,感覚や意識ははっきりしたまま,手足は動かず，口や舌も動かないので声の出なくなった状態のことを言う医学用語だ。調査結果の内容を見るとまず驚くことは閉じ込め症候群の人々のCOVID-19に対する見方の多様さだ。緊急事態宣言や外出自粛に関してパンデミックを身近に感じて遺書を書いた人もいれば,身体が動かないので関係ないと超然とした答えをする人もいる。

　人工呼吸器トリアージについては,今まさに人工呼吸器を使用している方々13名が意見を寄せてくれた。慎重・反対の理由としては，一律に強制するのではなく,生きる権利を守り個人の意志を尊重すべきだとの意見が最も多く（4名），生命を救う医療体制の整備をまず行うべきだとの意見（2名）もあった。ただしその一方で,人工呼吸器トリアージをやむをえないものついてケースバイケースとして容認する考えの人びともいた（3名）。
　とくに印象的だったのは，「心は毎日変動するものであり患者とその家族にとって医師の言葉はあまりにも影響がありすぎるため,洗脳される可能性も無いとは言えませんので第三者が生死を説得または説明などするべきではない」との声だ。

　以上で引用を終わります。
　なお，美馬達哉さんは立命館大学大学院先端総合学術研究科教授です。

　人工呼吸器トリアージは考えても袋小路に陥る難しい問題だと思います。

「＜トリアージ＞の社会学」（天田城介・「福音と世界」2021年6月号）から一部引用します。

　れいわ新選組元党員の大西恒樹はユーチューブチャンネルで「生命,選別しないと駄目だと思いますよ。はっきり言いますけど，何でかってというと,その選択が政治なんですよ。その選択をするんであれば，もちろん高齢の方から逝ってもらうしかないんですよ」と発言した。これに対して木村英子参議院議員はホームページ上で次のように厳しく批判した。

　「命の選別」それが政治によって決められる世の中になったら，常時介護の必要な重度障害者の私は真っ先に選別の対象になるでしょう。／障害を持った幼い時から自分の命を誰かに預けなければ生きていけない私にとって,他者に従うことは絶対でした。私の命､私の身体､私の生活､すべてを他者にゆだねるということは,支配されてしまうことです。／「命の選別」，この言葉は,私が幼いころから抱いてた，「殺されるかもしれない」という避けがたい恐怖を蘇らせました。大西氏の発言は,自分の命を人に預けなければ生きていけない人たちにとって，恐怖を与える発言であり，高齢者だけではなく障害者も含めた弱者全体を傷つけた暴言であると思います（木村2020年7月15日）。


　「トリアージ」はフランス語のtrier(選別する)に由来し,大規模災害など多数の負傷者が複数存在した場合,傷病者の緊急度や重症度に応じて救命の順序を決めることで，適切な処置や搬送を行うことを指す。
　そもそもの「トリアージ」は,現場の者が瞬時に傷病者を軽傷／中傷／重傷や治療を至急必要とするか否かを区分し，緊急に治療の必要な人を優先的に治療することであって,今日のコロナ禍の＜トリアージ＞が示すような人工呼吸器やエクモといった医療資源は有限のため，治療の可能性が低い高齢者や障害者は後回しにするという「命の選別」の問題ではないし,限られた資源を誰に回すかという医療資源の分配問題でもないのだ。

　「トリアージ」はもともと戦場での軍事医学に由来しているため，「命の遠別」といった要素が入りこむことはある。しかしポストフランス革命期においては身分や地位に関係なく医学的必要性のみによる治療の選別が行われるようになったのだ。その意味で「トリアージ」という思想・技術は平等主義的なものだったのだ。ところが次第に「トリアージ」の意味内容が変容し,軍事的必要性によって命を選別することになった。戦力＝傷病者の集合的な価値という観点から，多量の医療資源を必要とする一人よりも多数の軽傷者の治療を有線したのだ。ここでの＜トリアージ＞は差別主義的実践である。

　気味悪くおぞましい＜トリアージ＞に内在する論点は三つある。

　第一に，この＜トリアージ＞の考えは「医療資源は限られている」という＜資源の有限性＞を前提にしている。医療体制を組み替え,より必要なところに医療資源を回し，医療資源全体を増大させたり,創出したりしていくことは充分に可能である。「命の選別」をせずに社会を回していくこと，否,現場の人びとが資源の有限性の前にひれ伏し，「命の選別」を強いられることがないように,資源を徹底的に創出していくことこそが「政治」である。私たちが「限られた資源の優先配分」「苦渋の取捨選択」「究極の二者択一」を行われなくてもすむような｢社会｣を構想・設計することが「政治」の仕事なのだ。

　第二に，この＜トリアージ＞の考えは「パンデミックの中でどのように資源を配分するか」という＜事が生じたあとでいかに再配分を行うか＞を前提にしている。感染爆発が生じたあと,あたふたして「現状の医療資源では優先順位をつけざるを得ず，治療の可能性が低い高齢者や障害者は後回しにせざるを得ない」というが,そうした「戦争状況＝極限状況」に陥らないように徹底して制御・ハンドリングをすることが「政治」の仕事ではあるまいか。自ら制御思想・制御技術を創出することなしに，「戦争状況＝極限状況」を出来させた自らの政治責任を問わず,＜パンデミックの中での資源配分＞を語ることはむしろ自らの政治責任を放棄・忘却するものだ。

　第三に，「治療の可能性が低い人びとよりも治療の可能性が高い人びとに資源を優先すべきである」という価値前提に立っている。治療の現場では，どのような状態が治療の可能性が低い高いか医学的判断はきわめて難しいのだが,かりにできたとして，それは何のための判断・選択なのか。治療を受けて回復した人間が多い方が社会の利益と考えてはいまいか。
「政治」の仕事は「命の選別」をすることではなく,ガイドラインや基準を定めることでもなく，「戦争状況＝極限状況」においては「純粋に医療的必要性から優先順位を決めるしかない」こと,「そのような純粋に医学的必要性から優先順位を決めることは，そもそも決めることができない難しい判断・選択を私たちが担わざるを得ないこと」，「決めることが困難なことを決めること」であるという苦渋の決断であることを誰よりも知悉することこそが「政治」の仕事ではないのか。

　
　以上で引用を終わります。
　なお，天田城介さんは中央大学文学部教授です。

　官僚は「財政的にもきわめて厳しい状況の中で高齢者の社会保障についても優先順位をつけざるを得ない」と平気で口にします。新聞では「未曾有の超高齢化・人口減少社会にあっては限られた資源をいかに再配分するかは待ったなしの問題だ」と報道されています。パンデミックにおける＜トリアージ＞と同じ参照前提であることに注意する必要があります。